春名直章の発言 (憲法調査会)
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○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
まず、福岡地方公聴会の感想についてであります。
第一に、今度の地方公聴会では、意見陳述者の全員が九条の問題について触れました。アメリカが起こそうとしているイラクへの戦争に対して日本がイージス艦を派遣する問題、それから国民の世論に反して政府が今なお有事法制に執着しているという状況も反映しまして、こうした政府の行為に対する危惧と抗議の声が寄せられました。憲法九条を持つ日本として、軍事的関与ではなくて、平和的な関与に力を尽くせという意見が大多数の陳述者から出されたことは、非常に印象的でした。九条を守るとともに、九条を生かした国づくりをという声であります。
日下部意見陳述人からは、イージス艦の派遣はアメリカの戦争にくみする危険なことであって、その決定過程が有事法制の先取りであって、厳重に抗議するという発言がなされました。
石村陳述人からは、イージス艦だけでなく、自衛艦の派遣それ自体が他国からは戦争行為に加担していると見られることになり、こういう行為は避けるべきであると発言がなされました。
後藤陳述人からは、世界の世論が、戦争はやむを得ないとする世論とあくまで平和で徹底して話し合いで解決すべきとの世論に分かれたときに、世界に誇るべき平和憲法を持つ日本がとるべき立場は、平和でいくというアピールであって、しかもそれは、今日、世界にも通用する時代になっているという発言がなされました。
NHKがことし三月に行った世論調査でも、九条が日本の平和と安全に役立っていると考えている方が七三%、九条改正は必要なしと考えている方が五二%であり、今度の地方公聴会はこうした国民の意識をも反映したものであったと私は実感をいたします。
第二に、職場や生活の現場から憲法に反する実態がリアルに告発されると同時に、人権を獲得していく運動に取り組むときに憲法が力になったとの発言を新鮮に私自身受けとめました。
日下部陳述人は、薬害スモン被害者や障害者とともに、人間としての復権と薬害の根絶、障害者の働く権利の保障に取り組んだ運動、職場の過労死を根絶する運動に取り組むとき、その力とも武器ともなったのが憲法であったということをお述べになりました。
林陳述人は、自身の父親がハンセン病患者であったことに触れて、差別や偏見、無知と闘ってきたことへの実感として、基本的人権についての誠実かつ不断の努力はまだ十分であったとは言えないということをお述べになりました。
後藤陳述人からは、憲法三十二条の裁判を受ける権利の実現のためには、司法制度改革の中で、裁判所体制の充実と法律扶助制度の抜本的拡充こそが必要だと訴えられました。
最近、ILOが、憲法で保障された公務員への労働三権を保障する方向で法律の改正を行うべきとの報告、勧告を採択したことも極めて重要だと思います。これも、憲法と現実の乖離への鋭い告発の一つだと思います。
こうした発言や情勢の変化を見るにつけて、改めて、国民の実生活と憲法とのかかわりについての調査こそ本調査会に与えられた重要な課題であって、来年の調査会では真っ先に取り組むべきテーマだと思います。
次に、政治の基本機構小委員会及び地方自治小委員会の調査について感想を述べます。
政治の基本機構小委員会では、高田篤参考人から、九〇年代の日本の政治改革が、ドイツを参考にしたといいながら、既成大政党に有利で、おいしいとこ取りの改革であり、現行憲法の原則と整合性がとれているのか議論のあるところと指摘されたことが印象的でした。小選挙区制、政党助成法が憲法の平等原則、結社の自由、国民主権、議会制民主主義などに照らしてどうなのか、調査する必要性を改めて感じます。
地方自治小委員会では、穂坂邦夫参考人から、はしの上げおろしまで法律、通達、行政指導で細かく規定されていることが窮屈で、地方の自主性が発揮できない旨の発言がありました。地方自治の原則に照らして、下位の法律がふさわしいものになっているかどうかの調査が必要であると感じます。
今臨時国会で行われた福岡地方公聴会、二つの小委員会の調査、この間に起こった現実政治の変化に触れて共通して実感したことは、この国では憲法の運用実態が一体どうなっているのかということであります。その理念から外れた運用、現実との乖離がさまざまな角度から浮き彫りになってきつつあります。このテーマ、角度からの調査はまだ本調査会ではほとんど行っておらないと思いますので、来年からの調査会では真っ先に取り上げていただきたいということを申し述べまして、私の発言といたします。