山崎美貴子の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(山崎美貴子君) 山崎と申します。
本日は、意見を陳述させていただく機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。
私は長年、一人親家庭、特に母子生活支援施設で暮らしておられるお母さんと子供の問題を研究してまいりました。そうした立場から御発言をさせていただく機会を得られましたことを感謝申し上げます。
本日の法案につきましては、総合的に母子福祉施策を推進するという総合性につきまして、大変私は感謝を申し上げております。就労とか父親の養育費の問題など盛り込んでいただきましたことに心から感謝を申し上げています。
この一年余り、母子家庭施策が大きく見直されていますが、母子家庭をめぐる状況と施策の動向につきまして少しお話をさせていただきたいと思います。
まず、母子家庭をめぐる状況あるいは課題についてでございます。
母子家庭は増加しております。五年ごとに実施しております全国母子家庭等調査がございます。平成十年に行ったものを参考にいたしますと、母子世帯は九十五万五千世帯であり、前回の平成五年の調査と比較いたしますと二割ほど増えております。
母子世帯になりました理由でございますが、離婚が七割を占めております。離婚件数は、明治、大正、昭和、平成と比べてみましても、現在が最高を更新し続けております。平成十三年の離婚件数は二十九万件、離婚率二・三と、フランス並みと言われております。一分五十秒に一件離婚が進みます。離婚が発生いたしますと、その半数は母子家庭でございます。
母子家庭のお母さんの八割以上、つまり八四・九%でございますが、職に就いておられます。しかし、近年の不況の問題もございますが、正社員、つまり常用の身分を得られております方は五割程度でございます。パートや臨時の勤め、あるいは土日のような休日の出勤など、母子家庭になる前に就職している割合が半分程度でございましたので、離婚等の直後に、生活のために取りあえず身近なところで子供さんの養育と一緒に併せて就労ということになりますので、近い職場で、臨時の職場で働かれるケースが多いことが影響しているのではないかというふうに考えられます。
母子家庭の経済的な基盤という意味では、別れたお父さんからの支払われる子供の養育費の問題が私は大変重要と思って、現在その調査をさせていただいております。
離婚の際の養育費の支払状況を見ますと、取り決めている割合が三五%、しかし実際に養育費をもらっている割合は二一%。前回の調査は一四%にとどまっておりました。欧米諸国では、離婚は裁判で決められて、その中で子供の養育あるいは養育費の支払が決められます。残念ながら、我が国では、離婚は当事者の協議という場合が九〇%でございますので、これまで養育費の取決めが非常に不十分というふうに認識しております。この問題が今回の法案でも触れていただいておりますことを感謝申し上げます。
ここで児童扶養手当について少し申し上げたいと思いますが、児童扶養手当に相当する手当は二つタイプがあるように思われます。アメリカあるいはイギリス方式という側面、つまり所得制限が課されて就労義務が負わされているというようなやり方とか、あるいはドイツとかスウェーデンのような養育費の立替えという制度がございます。お父さんは養育費を借りて、自治体が手当を支給して、親からの取立て権を取得するという仕組みでございます。
我が国の児童扶養手当は、国民皆年金になるときに、黒武者さんなどの団体のところが、死別母子世帯を対象とした母子福祉年金制度が創設されたときに、生別世帯にも同様の社会保障を図るべきということで創設されたもので、どちらにも属さないという特徴がございます。
我が国における養育費に対する認識を深めて、子供の幸せのために取決めをするのが当たり前という社会的な機運をやはり作っていくことが何よりも大切と存じます。お父さんは別れてもお父さんです。我が国における養育費に対する認識を深め、子供の幸せのために取決めをするのが当たり前だという社会的な機運の醸成を私は図っていただきたいと考えるわけです。
母子家庭については、これまでも母子及び寡婦福祉法と児童扶養手当法に基づいて相談や生活指導、あるいは就労支援、あるいは養育、家庭の支援、施設・住宅関連の支援、児童扶養手当の支給、あるいは母子福祉資金の貸付けその他の施策が行われてまいりました。特に児童扶養手当は現在七十六万世帯が受給しておられます。
母子福祉対策は、戦後、貸付金を中心として実施され、近年において、離婚とかあるいは非婚のお母さんの増加によって児童扶養手当を中心としてこの対応が行われてきました。経済的な支援策を中心に戦後五十年の歴史を持っているわけでございますが、母子家庭の自立というものを促進していくためには生活全般にわたる総合的な展開が必要だというふうに認識しておりまして、今回の母子寡婦対策を見直して、そして新しい時代の要請に適切に対応できるような母子寡婦福祉対策として展開することが必要だというふうに認識しております。今回はその緒に就いて前に前進してきている様子をうかがうことができて、有り難いと思っております。
母子家庭対策の見直しでございますが、今回の母子家庭対策の見直しは、これまでの児童扶養手当に大きくウエートが掛かっている対策から、子育てとか生活面での支援、あるいは就労の支援、養育費の確保、それから児童扶養手当あるいは貸付金というふうに経済的な支援を総合的に実施することで母子家庭の自立を促進しようというふうに理解しております。
この法案は、五年後に実施する対策として、母子家庭対策を、離婚などの生活の激変を一定期間内で緩和して自立を促進するという趣旨で、細かに配慮しながら、支給期間と手当の額の関係を見直して、受給期間が五年を超える場合は手当の一部支給停止ということが盛り込まれております。母子家庭にとってはこれは大変厳しい側面を持っていると思います。就労支援、子育て支援、生活支援、養育費の確保をしっかりと講じていただきながら、きめ細かくトータルで母子家庭の自立が図れるようになることが必要と思います。
八月から児童扶養手当の支給事務が都道府県から福祉事務所が設置される市に委譲されます。これを機会に、母子家庭の自立支援が支給主体であります自治体で総合的に展開されることになります。それぞれの家庭の事情に応じたきめ細かいものができると思います。これからの地方自治体の役割は大きいと思います。
これまで児扶の支給と就労・子育て支援の対策が必ずしも総合的に、特に市部におきましては母子家庭対策を総合的に進めていくことを特にお願いしたいと思います。その辺りがつながっていなかったような気もいたします。例えば、児童扶養手当の窓口と母子家庭対策の窓口が別々で両方に行かなければいけないというようなことなどもございました。それらが一緒になったり、あるいは利用者にとってもう少し利便性が図られたり、あるいは施策の効率化が図られるような対策を講じていただきたいと願うところでございます。
今回の改正法案では、身近な地方公共団体で母子家庭の自立支援のための施策を実施することになっております。新しい制度も始まります。施策が実を結ぶためには、母子家庭自身の努力も当然でございますが、関係団体あるいは当事者組織あるいは民間のそれぞれの団体が連携しながらこの施策の展開をしていくことが大切と思います。そうした意味で、国が母子家庭対策の基本方針を定めて、地方公共団体に基本方針に即した関係者の意見が反映できるような自立支援計画というものの策定を促し、一人親家庭に対して、家事とかあるいは保育サービスを提供する事業とか、就業あるいは自立支援事業を計画的に推進されることがとても大切だと思います。
子育て支援をしていくためには、お母さんの就労あるいは住宅の問題、様々な、父親の養育費の問題など、前進が進められますように、先生方の心からの御支援をお願い申し上げます。
本日は大変ありがとうございました。