宗田親彦の発言 (法務委員会)
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○参考人(宗田親彦君) おはようございます。ただいま御紹介いただきました参考人の宗田でございます。
お手元に、要旨とまとめましたピースを差し上げてございます。それを説明しながら進めさせていただこうと存じております。
今回の会社更生法の改正の趣旨は、私なりに見ますところ、要点は二つ、スピードと改良でございます。
民事再生法が運用として、百五十日ルールで再生計画の認可決定までという、申立てから認可決定までが百五十日ということで処理しているということに比べて会社更生は大変に重装備で時間が掛かっておりましたので、スピードアップすること、スピードと書いてありますが、ダウンするんではなくてスピードアップすることです。それから、合理化して改良するという部分と二つに分かれるかと思います。
現行の会社更生法は、御案内のとおり、昭和二十七年に成立しまして、当時のアメリカのアクト・オブ・バンクラプシー、アメリカ連邦破産法第十章のコーポレーション・リオルガニゼーションというものを輸入しまして、これにドイツ法系の手続を加味して成立したものでございます。そういう意味では、アメリカ法とドイツ法を加味した世界最先端の法律として当時スタートしたわけです。
その後、十五年たった四十二年に相殺に関するものなど若干の改正を経ましたが、ちょうど今年は、成立から五十年たちました今日、社会、経済、法制度の状況から特に倒産件数が激増して、中でも自然人の自己破産、先日の新聞報道によりますと、平成十四年は自己破産が二十万件を超える見込みだというような状態と並んで大企業の倒産が増加しているため、ここに全面的な改正をする必要があるというふうに至ったものと存じております。
この昭和二十七年の会社更生法は、精密で世界最高レベルの法律でありましたけれども、重厚長大の典型でございまして、重装備で時間が掛かるというものでございました。平成九年以降は金融機関、保険会社等の更生特例法の制定もありましたが、これらにおいても基本は従来の会社更生法のままでございました。
我が倒産法制には、破産、和議、特別清算、会社更生、会社整理がありましたけれども、この会社更生法によって法制度としては世界のトップランナーとして走ってきたのでありますけれども、昭和五十年代から世界の先進諸国では倒産法の改正が相次いでなされまして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国、お隣の韓国でも既に最新の倒産法が施行されております。我が国の状態は既にトップランナーではなくなっているという状況も改正に拍車を掛けたという事情かと存じております。
そこで、御承知おきの民事再生法が平成十一年に成立して和議法に取って代わりました。和議法がなくなって民事再生法になったわけですが、この民事再生法は、和議法の欠点を補い、会社更生の制度を取り入れた上で、スピードの速い、使い勝手の良い法律として現在多数利用していることは御案内のとおりです。これに個人再生手続が平成十二年に加わりまして、同じく平成十二年には外国倒産承認法も制定されて、国際倒産についても国連のUNCITRALのモデル法を参考として渉外倒産につき一定の処理がなされるというところまで参っておるわけでございます。
このような状況でございますが、民事再生法は成立のときに会社更生法の良い点を取り入れて、かつ新しい制度を取り入れましたので、民事再生法が現在では最先端の法律というふうになっております。会社更生が最先端であったものを民事再生ができたために民事再生の方が最先端になってしまいましたので、そこで会社更生を民事再生の制度を取り入れたり新しい制度を作ったりして再びリニューアルして、時代の流れにマッチした、スピードアップした、そうして改良した法律にしようというのが今回の改正法案だというふうに存じております。
ここで注意しなければなりませんのは、法改正に当たりまして、市場原理から、倒産者を負け組、倒産者の相手方を勝ち組、又はスポンサーが市場に残っておりますから、それを勝ち組として、勝ち組の論理だけで処理を進めてはなりませんで、管財人の背後にある一般債権者や当の企業の従業員の立場とのバランスを失ってはならないと。特にこの点は、スポンサーの利益だとか、倒産法は現在、実体法の改正が進んでおりますけれども、そちらの部分でも十分に注意するべきであるというふうに考えております。
さて、民事再生と会社更生はそうすると重複するのではないかという点がございますが、民事再生は、株式会社以外の法人、個人を対象といたしまして、DIP、すなわち再生債務者に管理・処分権が原則として残り、運用で全件監督委員が付きますけれども、DIP制度が取られていること、抵当権などの担保権の行使が自由であるというものに対しまして、会社更生においては、更生管財人がいて、担保権独自の行使が禁止され、担保権は届け出て更生計画によって弁済されるというものでございます。また、両制度とも経営者、役員等の責任追及や否認権などの詐害行為取消し権が修正拡大したそういう制度を備えておるわけでございます。
民事再生で従来の経営者が残りましてもスポンサーや利害関係人の協力で再建できる例もございますが、経営者のモラルハザード、責任問題、信頼関係、スポンサーとの関係などから民事再生から会社更生へ、民事再生を申し立てるけれども会社更生に変更したという実例も皆様御案内のとおりでございます。
会社更生の利点としましては、法的権限のある更生管財人が存在することと、担保権などの権利行使が制限されて再建するための企業としては大変にやりやすいということと、裁判所の積極的な指導などによって利害関係人間の調整とかスポンサー問題、そして雇用の継続の対処というものが合理的にスムーズに進められるという点がメリットであるかというふうに考えております。
ただ、先ほど申しましたように、会社更生は重厚長大で時間が掛かり過ぎますから、そういうものでございました。私が管財人代理として担当した日本リースの会社更生では、債権者などの利益の極大化という点と、早く確実にと、この二つをモットーに進めましたけれども、それでも開始決定から更生計画の認可決定までは十五か月、一年三か月を要しました。先ほど申しましたような民事再生が百五十日というところからすると、これは十五か月要した、早くしてもそれだけ掛かりましたから、やはりこちらの方が長く掛かるということはやむを得ないということになるかと存じます。
今回の改正案は、その折の処理方法が数多く取り入れられているというふうに考えられます。例えば、更生計画によらない営業譲渡とか、それから早期売却のための担保権消滅制度とか、それから更生計画の早期の提出とか情報公開などがそういうわけでございます。
新法を先取った日本リースのケースではパラダイム革命が起こったというようなことが言われたわけですが、そこで、具体的なその二番目のスピードアップでございますが、(1)から(12)までまとめてございます。
(1)が管轄。東京地裁、大阪地裁にできると。それから、書いてございませんけれども、子会社とか親子会社、それから連結決算の会社も申立てができるというようなことでスピードアップ、東京地裁、大阪地裁には専門部がございますから、これでそれを図ろうというふうに、そういう法案でございます。
それから、(2)が更生手続開始条件の軽減。従前は更生の見込みがあることというふうに条文がございましたが、それを削除いたしまして、更生の見込みの判定に開始の部分で非常に時間を取られるということでこれをやめたわけです。
(3)が更生計画によらない営業譲渡。早く企業そのものを再建するという立場であれば、それだけであれば更生計画によって営業譲渡をすればよろしいわけですけれども、企業の再建から事業の再建へという時代でございますから、これは民事再生でも同じでございますが、更生計画によらない営業譲渡は、法案の四十六条で、裁判所の許可でそれができると。そして、債務超過の会社の場合には株主に通知をしなくてもよろしいというような制度になってございます。
四番目が担保権消滅制度。これは、先ほど申しましたような更生会社の各物件には担保権が設定されておりますから、早い売却、営業譲渡などをするためにはこの担保権の消滅制度、日本リースのケースでは担保権返還の和解契約、それを裁判所で御許可をいただく。担保権の数だけ和解契約がございましたから大変に難渋した点でございました。これを制度として一括して処理できるということにしてあるわけです。
五番目が債権調査における調査期間と書面主義。債権調査期日を設けたり、そこでのボートをしておりましたのが、書面で管財人が認否書を出したり、債権者が異議があれば書面で異議が出せるというようにしたわけです。
六番目と七番目が、債権等の確定の査定手続及び異議があったものについて、届け出た担保権者でも届け出た更生債権者でも、異議がなされると査定の申立てをしておいて、そして(7)の価額決定の申立てをすると。担保権についての大きな争いというのがこの担保権の目的物がいかほどであるかというその価額が問題でございましたから、これを一律に裁判所によって価額決定していただくというのも、これもスムーズになるためのものと存じております。
それから、八番目、更生計画による弁済期間の短縮。これが十五年。従前は二十年でございましたが、特別の事情で二十年ということは残してございますものの、原則として十五年。
九番目、更生計画の早期提出を一年。従来は二年も三年も四年も、更にもう少し掛かるというようなこともございましたが、それを開始後一年で提出していただくというふうにしてあります。
それから、社債権者について、十番目です。社債権者について社債管理会社が議決権の行使をすることをむしろ原則としまして、多くの社債権者がおりますから、商法の規定で会社更生などに権利行使するためには法定多数の社債権者集会が必要でございますが、それを通知しているいとまがない、なかなか連絡が取れない、それでは、社債権者が一人一人会社更生で議決権を行使すればよろしいかというと、これも何千人、何万人というふうにおりますから、それが実現できない、具体的な例でも、社債を発行している会社が今申し上げたような事情で会社更生を断念したという実例に接したことがございます。そういうわけで、原則としては社債管理会社が議決権を行使すると。
それから、十一番目、更生計画の可決の要件の軽減。これが更生債権について総額の二分の一、更生担保権が、原則三分の二、カットをする場合に四分の三、清算の場合には十分の九、株主は従来と同じ二分の一。それぞれが三分の二、四分の三、五分の四、一〇〇%であったものをそのように軽減したわけです。
認可された更生手続の早期の終結について、十二番目でございますが。金銭債権の全体で三分の二が弁済されればそれで終結決定ができるというふうに企業が再建するというときに商業登記簿謄本に会社更生の開始決定の登記がなされておりますから、海外の取引などでそのことが大変に、この会社は履歴として倒産したんですねというようなことが、まだ倒産状態であるのかというようなことが指摘されてやりにくかった経験がございますので、早めにそれが終結できるということが望ましいと思います。
その次のピースでございます。
3が改良点でございますが、(1)の担保権の目的の評価と(5)の更生会社の財産の評価、これが「(時価)」と書いてございます。これが従前は、ゴーイング・コンサーン・バリュー、すなわち企業の継続価値というふうに定められておりましたけれども、そうすると、全体としての継続価値、それから、それをディスカウント・キャッシュ・フローで計算いたしましたとしても全体で出てきますが、担保権を持っている方々は個々の担保権について市場で現在どれぐらいかということを考えて担保を設定してございますから、それを私は市場処分価格と呼んでおりましたが、法案では時価ということで、民事再生では、これを処分するものとそれから企業を継続するものと両方で書いて構わないという規定がございますが、会社更生の方は時価で一本化していると。
それから、情報開示。これも十四条、十五条で、原則情報公開、ランニング中のものについて支障部分というものを設けまして、それで非公開にすることができるというような制度を作りました。
(3)の保全措置につきましては、担保権の実行中止を含むというのは、会社更生では担保権が実行できませんが、それは開始決定があってからのことでございますから、申立てから開始決定までの間に担保権の実行をするということは大いにございます。例えば、動産売買先取特権などはそれをするわけですが、そういうものについての中止という命令を出したり、それから、更生債権、更生担保権について、全員について、二十五条、包括的に禁止命令というものも導入しましょうと。これは、既に民事再生法の二十六条ないし二十七、二十九、三十一条に既にあるものを導入したものでございます。
それから、開始前の商事留置権の消滅制度。商事留置権が事実上最優先で、占有をしているというので最優先の担保権ということになったりすると、例えば倉庫に品物が預けてある場合でございますけれども、全額払わないと引き渡されないなどということで原材料などが動かない、それで再建がやりにくいということがございました。開始決定後にはこの制度がございましたが、それを開始決定前、保全の段階でも導入しましょうと。
それから、(5)は先ほど説明申しましたので、第六番目に、更生債権者委員会、更生担保権者委員会というようなものを作りまして、これは運用としてはもう何十年も前から私どもが利用しておりますが、これを法制化して、管財人に意見を述べたり、債権者集会の申立てなどを求めたり、その他をするというような制度がございます。
七番目のホッチポットルールというのは、渉外の倒産で、外国で同一会社について再建の届出をして回収してきた場合には、議決権としては全額で行使できるけれども、債権の回収としては、海外で回収したものをカウントして、それが日本で配当するものと同レベルに達するまでは海外で回収したものは債権の回収ができないというルールでございます。
それから、議決権の不統一行使。これは、サービサー会社、債権回収会社などが債権を譲り受けて行使する場合に、複数の譲渡し会社からそういうことを譲受けをしておりますと、それぞれの色彩がございますので、そういうものに拘束されるという、議決権をそれぞればらばらに使ってもよろしいのではないかという、実務でもそのニーズがございましたので、こういうことが導入されたわけです。
議決権の基準日の制度というのは、これは、更生手続を始めた後、外資に債権を売ってしまうとかその他ということがございまして、そうすると、せっかく法定多数の同意が取られつつあるのにまた新しく更生計画案の御同意をいただかなければならないというようなことがございまして、目まぐるしく変わって私もちょっと大変に悩んだ難しい局面に逢着したことがございまして、そのために、議決権を行使するのは、一定の日時を裁判所が設けて、その日における債権者を議決権の行使者というふうにしたわけです。債権の配当は、実体の譲受け債権者が配当を受ける。
外国倒産処理手続がある場合の特則というのは、そういう法律の特別法がございますが、それとほとんど同じような、各管財人が相互に協力し合うとか、届出のない債権者について管財人が代理等になれるというような制度が改良点でございます。
その他といたしまして、倒産実体法の部分、相殺権、否認権、取戻権、多数当事者関係、賃貸借契約、請負契約等の実体法に関する改正は現在進行中でございますので、今回の当改正には盛り込んでございません。
そういうようなことを考えてまいりますと、統一的にできるものは倒産法、4の(2)、最後でございますが、会社更生法、民事再生法、破産法等を統一して単一法化するということについても今後検討してみなければならない部分であるかというふうに存じております。
時間がございませんでしたのでやや早口で大変失礼いたしましたが、私からの報告は以上にさせていただきます。失礼いたしました。