2003-07-01
衆議院
前川清
イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
前川清の発言 (イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会)
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○前川参考人 御紹介いただきました前川でございます。
現職当時、防衛駐在官としまして中東に広く勤務し、イラクにも足を踏み入れ、退官後は、幾つかの大学で中東の教育研究を続けておりまして、近年は、ゴランPKOの派遣要員に対しずっと中東事情の教育を担当しておるという者でございまして、現在はそのような民間人の一人として、本法案の早期成立を期待する立場から、以下、三つの点を強調して御意見を申し述べさせていただきます。
まず第一は、日本のイラク復興支援における自衛隊の派遣が、いかに必要であり、かつ効果的であるかということについてでございます。
湾岸戦争当時、アラブでささやかれた英語もじりのやゆ的なブラックジョークに、ヤバン・イズ・ジャバンというのがございまして、ヤバンというのは日本という意味ですが、似た発音でジャバンというのは憶病だという意味がございます。それが多大な資金協力をした日本への当初の評価だったんですが、ところが、その後、波濤万里、掃海部隊がペルシャ湾で活躍をしまして、対日評価は一変したわけでございますね。言うならば、死に金になりかけていた日本の協力が生き金に変わったというのが、この防衛協力の効果であるということ。その後、平成十三年に湾岸七カ国に遠洋航海が参りましたけれども、その先々で大歓迎をされ、現地の大使からもそういう内話を伺ったわけでございます。
経済協力に偏向した国際貢献というのが、誤れる対日観を生むだけではなくて、日本への侮りやたかりの風潮をもたらすということを示唆することの一つであろうかと思います。経済協力とともに、防衛協力の黄金比率をどうするか、そのリンケージをどうするかというのが政治の重要な役割ではなかろうかという感じを強くするわけでございます。
今回の法案を実現した場合の自衛隊の活躍、多面的な効用というのは、もう御存じのとおり、非常に高い自己完結性もありますし、また国際共同性、インターオペラビリティーというような共同性もあるわけですが、国際貢献と同時に、日本及び国際社会に対する新しい脅威に対応するに必要な自衛隊の能力を、新しい能力を開発するという意味でも、イラクへの派遣というのは非常に有効であろうと思います。
日本が油をたくさん依存しているアラブのことわざに、言葉は雲、行動は雨と。言葉もありがたいけれども、それ以上に水、中東で欲しい水を象徴する行動をしてもらいたいということわざがございますし、きょうの水の一滴はあしたの水の百滴にまさる、水の一滴は血の一滴というようなことわざに象徴されるように、やはり行動で示してもらいたい、あるいは特に必要なものを支援してもらいたいというところが、このことわざの中に象徴されているのではなかろうかと思います。
第二は、自衛隊による最も効果的な協力というのは何かということでございます。
法案では幾つかの業務が定められておりまして、それぞれ軽重の差はあれ、重要なものでございますけれども、全体的なニーズ、あるいは自衛隊の特色を発揮するという点で最も効果があろうと思われるのは、先ほどの、行動は雨ということに関連しました水であろうということでございます。これは一石二鳥、三鳥の効果があるものであろうと思います、その水の支援というのは。
バグダッド周辺の連合軍、これは米軍主体ですけれども、これは飲み水の大半をクウェートから自隊であるいは役務で長距離を運んでいるわけですが、自衛隊がイラクに参りましてバグダッド周辺で浄水・給水支援をするということができるようになりますと、それ自体非常に有益なことですけれども、同時に、治安確保に多くの勢力を割いている連合体、特に米軍ですね、その分を治安確保の方に回すことができるということですね。それによって、治安確保を早期に実施できるという効果があろうかと思います。
治安確保と人道復興支援というのは非常に密接な関係がございますのは御存じのとおりですけれども、治安復興がなくして人道復興、人道支援というのはできませんし、人道支援ができないと、これは生活危機からいろいろ犯罪が起こるということで、相互に密接に関係しているわけです。
この水の支援というのは、人道支援面でも、給水の余裕ができれば、イラクの、特にバグダッド周辺の官民にも給水することができるという意味でも、一石二鳥、三鳥の効果があるという意味で非常に大事でありますし、また、日本があるいは自衛隊が、これまでのPKOあるいは国内の災害派遣での経験あるいはそういう装備、能力、これを十分に発揮することができるのが給水活動であろうということを痛感するわけでございます。
第三点は、安全確保の問題でございます。
これは、治安情勢等と密接に関係があり、あるいは問題の武器使用基準等とも関係が非常に深うございますが、それ以上に、適切な業務、基幹業務を選定して、それをどこで行うか、どういう要領で行うかということと非常に密接に連動しておるものだと思います。
例えば、比較的安全な連合軍の全般配置のところで、そこで給水活動、ちょうどユーフラテスの水源というのはそういうところが入っていますから、そこで固定的にやる。それで、こちらから運ぶのではなくて、消費者にとりに来てもらうというような行動をすれば、危険というものも非常にレベルが下がってくる、容易に対処できるということが考えられるわけでございます。
最近の調査団の報告その他一般の情報から見ると、現地の治安情勢、好転はしつつも用心しなきゃいけないところがございますので、もちろん、不測の事態に対応するという、自隊の警備、危機管理というのは当然、自己完結型の部隊としてやっていただくということでございますけれども、今言ったような態勢をとることによって、場所あるいは業務要領を選定することによって、戦闘地域、非戦闘地域の区分が云々ということは、それほど大きな意味を持たなくなるという側面もあろうかと思います。
したがいまして、現法案の武器使用基準で有効かつ安全に行える業務の選定、実施場の選定ということで、この安全問題には相当対処できる。しかしながら、いわば武器の使用基準というようなものを現地でさらに柔軟に対応できるような詰めを行っていただいて、それを運用基準にするということが大事なのは言うまでもありません。
それから、携行武器についても、抑止あるいは対処効果ということを考えまして、装甲車だとかロケット、これは自爆用に突入してくるものに対応するものですけれども、そういうものを携行する。
ただし、その使用についてはまた別に基準で決めるというようなことでございまして、安全上の問題というのも、今の安全基準の中でやれるという部分を最大限に高めまして、また、武器の使用基準についてもグレーゾーンの部分がございますが、そのグレーゾーンの部分をよく緻密に詰めることによって、武器の使用基準、新しい使用基準というんですか、さらに細部の使用基準をつくるということによって対応できると思っております。
最後に、これからのさらなる現地調査あるいは情報収集、関係国との密接な連絡調整で効果的な、しかも安全なイラク支援の計画作成というものが望ましいものであると思うんですが、危険を伴う国際貢献に赴く隊員のためにも、幅広い政治的な合意のもとで法案が成立することを心から祈念するわけでございます。
終わります。(拍手)