イラク人道復興支援並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会

2003-07-01 衆議院 全180発言

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会議録情報#0
平成十五年七月一日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 高村 正彦君
   理事 浅野 勝人君 理事 中谷  元君
   理事 浜田 靖一君 理事 松下 忠洋君
   理事 末松 義規君 理事 中川 正春君
   理事 赤松 正雄君 理事 一川 保夫君
      荒巻 隆三君    伊藤 公介君
      金子 恭之君    北村 誠吾君
      小島 敏男君    小西  理君
      新藤 義孝君    杉浦 正健君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      谷本 龍哉君    中本 太衛君
      仲村 正治君    原田 義昭君
      福井  照君    牧野 隆守君
      松浪 健太君    松宮  勲君
      宮腰 光寛君    森岡 正宏君
      山本 明彦君    伊藤 英成君
      大畠 章宏君    桑原  豊君
      原口 一博君    平岡 秀夫君
      細野 豪志君    前原 誠司君
      山口  壯君    吉田 公一君
      渡辺  周君    佐藤 茂樹君
      斉藤 鉄夫君    丸谷 佳織君
      佐藤 公治君    中塚 一宏君
      赤嶺 政賢君    木島日出夫君
      春名 直章君    今川 正美君
      金子 哲夫君    佐藤 敬夫君
      山谷えり子君
    …………………………………
   防衛庁長官政務官     小島 敏男君
   外務大臣政務官      新藤 義孝君
   参考人
   (元防衛庁防衛研究所副所
   長)           前川  清君
   参考人
   (東洋英和女学院大学国際
   社会学部教授)      池田 明史君
   参考人
   (株式会社ゼネラルサービ
   ス取締役統轄本部長)   大野 元裕君
   参考人
   (ジャーナリスト)    角谷 浩一君
   参考人
   (大阪市立大学教授)   松田 竹男君
   参考人
   (慶應義塾大学法学部助教
   授)           藤田 祐幸君
   参考人
   (衆議院議員)      杉浦 正健君
   参考人
   (衆議院議員)      斉藤 鉄夫君
   参考人
   (衆議院議員)      末松 義規君
   参考人
   (衆議院議員)      首藤 信彦君
   参考人
   (参議院議員)      緒方 靖夫君
   参考人
   (衆議院議員)      今川 正美君
   参考人
   (衆議院議員)      山内 惠子君
   衆議院調査局イラク人道復
   興支援並びに国際テロリズ
   ムの防止及び我が国の協力
   支援活動等に関する特別調
   査室長          前田 光政君
    —————————————
委員の異動
七月一日
 辞任         補欠選任
  新藤 義孝君     小西  理君
  杉浦 正健君     山本 明彦君
 田野瀬良太郎君     原田 義昭君
  高木  毅君     中本 太衛君
  渡辺  周君     細野 豪志君
  佐藤 茂樹君     斉藤 鉄夫君
  木島日出夫君     春名 直章君
  山谷えり子君     佐藤 敬夫君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     新藤 義孝君
  中本 太衛君     高木  毅君
  原田 義昭君    田野瀬良太郎君
  山本 明彦君     杉浦 正健君
  細野 豪志君     渡辺  周君
  斉藤 鉄夫君     佐藤 茂樹君
  春名 直章君     木島日出夫君
  佐藤 敬夫君     山谷えり子君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案(内閣提出第一二〇号)

     ————◇—————
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高村正彦#1
○高村委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案を議題といたします。
 本案審査のため、本日、午前の参考人として、元防衛庁防衛研究所副所長前川清君、東洋英和女学院大学国際社会学部教授池田明史君、株式会社ゼネラルサービス取締役統轄本部長大野元裕君、ジャーナリスト角谷浩一君、大阪市立大学教授松田竹男君、慶應義塾大学法学部助教授藤田祐幸君、以上六名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、前川参考人、池田参考人、大野参考人、角谷参考人、松田参考人、藤田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。
 それでは、まず、前川参考人にお願いいたします。
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前川清#2
○前川参考人 御紹介いただきました前川でございます。
 現職当時、防衛駐在官としまして中東に広く勤務し、イラクにも足を踏み入れ、退官後は、幾つかの大学で中東の教育研究を続けておりまして、近年は、ゴランPKOの派遣要員に対しずっと中東事情の教育を担当しておるという者でございまして、現在はそのような民間人の一人として、本法案の早期成立を期待する立場から、以下、三つの点を強調して御意見を申し述べさせていただきます。
 まず第一は、日本のイラク復興支援における自衛隊の派遣が、いかに必要であり、かつ効果的であるかということについてでございます。
 湾岸戦争当時、アラブでささやかれた英語もじりのやゆ的なブラックジョークに、ヤバン・イズ・ジャバンというのがございまして、ヤバンというのは日本という意味ですが、似た発音でジャバンというのは憶病だという意味がございます。それが多大な資金協力をした日本への当初の評価だったんですが、ところが、その後、波濤万里、掃海部隊がペルシャ湾で活躍をしまして、対日評価は一変したわけでございますね。言うならば、死に金になりかけていた日本の協力が生き金に変わったというのが、この防衛協力の効果であるということ。その後、平成十三年に湾岸七カ国に遠洋航海が参りましたけれども、その先々で大歓迎をされ、現地の大使からもそういう内話を伺ったわけでございます。
 経済協力に偏向した国際貢献というのが、誤れる対日観を生むだけではなくて、日本への侮りやたかりの風潮をもたらすということを示唆することの一つであろうかと思います。経済協力とともに、防衛協力の黄金比率をどうするか、そのリンケージをどうするかというのが政治の重要な役割ではなかろうかという感じを強くするわけでございます。
 今回の法案を実現した場合の自衛隊の活躍、多面的な効用というのは、もう御存じのとおり、非常に高い自己完結性もありますし、また国際共同性、インターオペラビリティーというような共同性もあるわけですが、国際貢献と同時に、日本及び国際社会に対する新しい脅威に対応するに必要な自衛隊の能力を、新しい能力を開発するという意味でも、イラクへの派遣というのは非常に有効であろうと思います。
 日本が油をたくさん依存しているアラブのことわざに、言葉は雲、行動は雨と。言葉もありがたいけれども、それ以上に水、中東で欲しい水を象徴する行動をしてもらいたいということわざがございますし、きょうの水の一滴はあしたの水の百滴にまさる、水の一滴は血の一滴というようなことわざに象徴されるように、やはり行動で示してもらいたい、あるいは特に必要なものを支援してもらいたいというところが、このことわざの中に象徴されているのではなかろうかと思います。
 第二は、自衛隊による最も効果的な協力というのは何かということでございます。
 法案では幾つかの業務が定められておりまして、それぞれ軽重の差はあれ、重要なものでございますけれども、全体的なニーズ、あるいは自衛隊の特色を発揮するという点で最も効果があろうと思われるのは、先ほどの、行動は雨ということに関連しました水であろうということでございます。これは一石二鳥、三鳥の効果があるものであろうと思います、その水の支援というのは。
 バグダッド周辺の連合軍、これは米軍主体ですけれども、これは飲み水の大半をクウェートから自隊であるいは役務で長距離を運んでいるわけですが、自衛隊がイラクに参りましてバグダッド周辺で浄水・給水支援をするということができるようになりますと、それ自体非常に有益なことですけれども、同時に、治安確保に多くの勢力を割いている連合体、特に米軍ですね、その分を治安確保の方に回すことができるということですね。それによって、治安確保を早期に実施できるという効果があろうかと思います。
 治安確保と人道復興支援というのは非常に密接な関係がございますのは御存じのとおりですけれども、治安復興がなくして人道復興、人道支援というのはできませんし、人道支援ができないと、これは生活危機からいろいろ犯罪が起こるということで、相互に密接に関係しているわけです。
 この水の支援というのは、人道支援面でも、給水の余裕ができれば、イラクの、特にバグダッド周辺の官民にも給水することができるという意味でも、一石二鳥、三鳥の効果があるという意味で非常に大事でありますし、また、日本があるいは自衛隊が、これまでのPKOあるいは国内の災害派遣での経験あるいはそういう装備、能力、これを十分に発揮することができるのが給水活動であろうということを痛感するわけでございます。
 第三点は、安全確保の問題でございます。
 これは、治安情勢等と密接に関係があり、あるいは問題の武器使用基準等とも関係が非常に深うございますが、それ以上に、適切な業務、基幹業務を選定して、それをどこで行うか、どういう要領で行うかということと非常に密接に連動しておるものだと思います。
 例えば、比較的安全な連合軍の全般配置のところで、そこで給水活動、ちょうどユーフラテスの水源というのはそういうところが入っていますから、そこで固定的にやる。それで、こちらから運ぶのではなくて、消費者にとりに来てもらうというような行動をすれば、危険というものも非常にレベルが下がってくる、容易に対処できるということが考えられるわけでございます。
 最近の調査団の報告その他一般の情報から見ると、現地の治安情勢、好転はしつつも用心しなきゃいけないところがございますので、もちろん、不測の事態に対応するという、自隊の警備、危機管理というのは当然、自己完結型の部隊としてやっていただくということでございますけれども、今言ったような態勢をとることによって、場所あるいは業務要領を選定することによって、戦闘地域、非戦闘地域の区分が云々ということは、それほど大きな意味を持たなくなるという側面もあろうかと思います。
 したがいまして、現法案の武器使用基準で有効かつ安全に行える業務の選定、実施場の選定ということで、この安全問題には相当対処できる。しかしながら、いわば武器の使用基準というようなものを現地でさらに柔軟に対応できるような詰めを行っていただいて、それを運用基準にするということが大事なのは言うまでもありません。
 それから、携行武器についても、抑止あるいは対処効果ということを考えまして、装甲車だとかロケット、これは自爆用に突入してくるものに対応するものですけれども、そういうものを携行する。
 ただし、その使用についてはまた別に基準で決めるというようなことでございまして、安全上の問題というのも、今の安全基準の中でやれるという部分を最大限に高めまして、また、武器の使用基準についてもグレーゾーンの部分がございますが、そのグレーゾーンの部分をよく緻密に詰めることによって、武器の使用基準、新しい使用基準というんですか、さらに細部の使用基準をつくるということによって対応できると思っております。
 最後に、これからのさらなる現地調査あるいは情報収集、関係国との密接な連絡調整で効果的な、しかも安全なイラク支援の計画作成というものが望ましいものであると思うんですが、危険を伴う国際貢献に赴く隊員のためにも、幅広い政治的な合意のもとで法案が成立することを心から祈念するわけでございます。
 終わります。拍手
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高村正彦#3
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、池田参考人にお願いいたします。
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池田明史#4
○池田参考人 池田でございます。
 私は、国際政治を専攻する研究者でありまして、とりわけ、これまでは、中東における紛争問題及び紛争解決のプロセス、あるいは我が国の中東政策の変遷といったものを主たる研究のテーマとして取り組んできた者でございます。その立場から、今回のイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法案の審議に際して、若干の意見を陳述いたしたいと考えます。
 何よりも、私は、イラク戦争後のこの地域の安定と復興という問題に我が国が最大限の関心を寄せているというこの事実を、広く国際社会に、そして、とりわけイラクの人々及び中東地域の諸国に対して、明確かつ具体的な形で示す必要があろうかと考えております。
 振り返ってみますと、一九九一年の湾岸戦争を境といたしまして、我が国の中東政治情勢に対する基本的な姿勢は、非常にドラマチックな、劇的な転換を遂げたように思われるわけであります。
 それまでは、要するに、パレスチナ問題とかアラブ・イスラエル紛争、あるいはイラン・イラク戦争など、さまざまな紛争やあつれきを抱えているこの地域の政治情勢に対して、我が国の対応というのはどちらかといえば受動的なものでありました。すなわち、中東が我が国の主たるエネルギーの供給源である、こういう事実を踏まえながらも、そうした経済的な権益を保全するために、政治的には努めて目立たない、ロープロファイルという姿勢を保っていたわけであります。ありていに言えば、要するに、余計な面倒に巻き込まれたくないというような態度に見られても仕方がないような我が国の姿がそこにはあったわけであります。
 これが、冷戦構造の崩壊と湾岸戦争という極めて大きな国際政治上の状況変化によりまして、大きく方向を変えて、我が国はより積極的にこの地域の平和と安定の実現のためにみずからかかわっていくのだ、こういう姿勢を高く掲げるようになったのであります。それまでとは逆に、政治的にできるだけ目立つこと、ハイプロファイルということを心がけるようになったわけです。
 例えば、マドリード会議あるいはオスロ合意以降のいわゆる中東和平プロセスというものにおいて、今や我が国はアメリカとかヨーロッパと並んで欠くことのできない和平支援勢力とみなされるようになっておりますし、このことは、当事者であるパレスチナやイスラエルの人々、あるいはその周辺のアラブ諸国からも大きな評価や期待を寄せられる立場になっているように思えるわけです。
 また、例えばアメリカが悪の枢軸の片割れに位置づけているようなイラン・イスラム共和国に対しても、我が国は、アメリカの敵視政策とは明らかに異なる姿勢、対話と説得、この路線を維持して、アメリカやほかの西側諸国との橋渡しの可能性を持つ相手として、イランからも一定の評価を受けているということであります。
 このように、湾岸戦争以降、我が国は中東地域の政治情勢の中で、従前のいわば透明な存在という状況から一転して、それなりの存在感を積み上げてきている、こういうことが言えるように思えるわけです。しかしながら、一方において中東の安定と平和とを求める我が国の積極的な関与というものを是認して、これを多としつつも、他方ではなおこの地域の人々の胸の中に、我が国の腰が必ずしも本当には定まっていないのではないかという猜疑あるいは不安といったものが残っているような印象もまたぬぐえないわけであります。
 これまでの我が国のかかわりは、事柄の性質上、目に見える部分では資金援助とか財政支援、ODAといったような、いわばお金の面でのかかわりというものがどうしても前面に出てきていたわけですね。技術協力とかNGOの展開といったようなものも確かにあったわけですけれども、しかし、そのような活動というのはどうしても目に見えにくい。したがって、我々が実際に流しているところの汗という部分が一般民衆のレベルでは非常に伝わりにくいというようなところがございました。
 日本はもともと余計な面倒には巻き込まれたくないといったような態度をとってきた国であるというのが、彼らのイメージとして残っているわけですね。だから、積極的な関与と今言っているけれども、今度も結局、簡単に手を出したり引いたりできるところ、つまり経済面とか金銭面での援助でお茶を濁しているだけではないのか、いざとなったら腰が引けてしまうのではないのかといったような疑念というのがどうしても払拭できない、そういう歯がゆい状況が現在あるように思えるわけであります。
 このように考えますと、今回のイラクに対する復興支援活動、こういうものへの主体的な参加というものは、我が国にとってはむしろ非常に大きなチャンスと見るべきであろうと考えているのであります。とりわけ、自衛隊という我が国の国権の究極的な発動を担う組織の派出というものを射程に入れることで、中東地域の安定と平和とを希求する我が国の意思を明確かつ具体的な形でこの中東の地域の内外に示すことができるということの意味は、極めて大きいと言わなければなりません。
 もとより、現実に派出するに際しては、隊員の安全確保とか任務の実現可能性とか、さまざまな要件を細心の注意を払って検討して、その可否を決定する必要があることは言うまでもないわけでありますが、しかし、現時点で何よりも重要なことは、国際社会に対し、あるいは中東地域に対し、とりわけイラクとその周辺の人々に対して、我が国がイラクの復興と安定に本気で取り組む覚悟があるんだ、こういうメッセージを速やかに伝えるというところにあるんだというふうに考えるわけであります。安全なところからお題目のように平和とか安定といったものを唱えているのではないんだ、それなりのリスクを冒しながらも、日本は国家としてこの地域の混乱の収拾に具体的な役割を果たすんだ、こういう強い意思を表明することが大事なんだと考えているわけであります。
 そのことによって、中東和平交渉へのかかわりを初めとする我が国のこれまでの中東地域に対する積極的な姿勢が、単なる技術的、戦術的な政策の集積ではなくて、はっきりとした戦略的な決断に基づく外交路線である、そういうことの裏づけにもなるように思うわけであります。
 もちろん、自衛隊の派出の重要性というものは、その象徴性にとどまるものではないわけですね。私はこれまでに、中東におけるさまざま平和維持活動といったものを検分してまいりました。レバノンのUNIFIL、あるいはゴラン高原のUNDOF、シナイ半島のMNFなどであります。そこではっきりと認識したことは、こうした活動を担える組織というのは軍隊ないしこれと同等の組織以外には考えられないという点であります。
 自衛隊にせよ、他の諸国の軍隊にせよ、もともとはこのような活動を本務として編成されたものではない、これは確かです。その意味では、国際的な平和協力あるいは戦災復興を担う組織としては、細かい部分で数々のふぐあい、あるいは不適合も出てくる、これはしようがないわけであります。にもかかわらず、言葉の本来の意味での自己完結性を備えた軍隊もしくはこれに準ずる体系的な軍事組織のみがこうした任務を担えるということは動かない。他のどのような組織も、実効性という点でこれに及ぶことは不可能であると考えるに至りました。期待される任務への実際的な適合性とか、あるいは具体的な遂行可能性という面において、自衛隊という組織の関与というものが最も合理的であると考えざるを得ないわけです。
 最後に、期待される任務という観点から一言つけ加えて、私の意見陳述を終わりたいと思います。
 今回の特別措置法案の審議において想定されている自衛隊の任務は、主として輸送及び補給にかかわるものであるというふうに理解しておりますが、このうち補給、とりわけ水にかかわる補給問題については、今後の我が国の中東への関与を考えるときに、非常に大きな意味を持ってくるように思われるわけです。
 御承知のように、中東というのは、水資源というものが著しく偏在、偏って存在している地域であります。将来的には、この水の問題が中東における紛争の主要な要因になり得る、これが我々の懸念でもあるわけです。自衛隊を初めとする我が国の復興支援組織あるいは個人が、イラクの現地において水の浄化とか、あるいはその浄化された水の補給とか配給の実務にかかわって、そのノウハウを蓄積するということは、今後の我が国の中東地域における平和協力あるいは安定化への協力といったものを進める上で、大きな財産を手に入れることを意味します。
 任務計画の検討や策定に当たっては、こうした点を十分に踏まえて、より実質的な成果が上げられるような計画が実現することを切に望みますし、また、我々研究者の間においても、中東における長期的な水資源問題への対処という視点から、将来的な我が国の中東地域へのかかわりの幅を広げていく方向で議論を深めていくことが肝要であると痛感しているところであります。拍手
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高村正彦#5
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、大野参考人にお願いいたします。
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大野元裕#6
○大野参考人 御紹介いただきました大野でございます。
 私は、もともとイラクのシーア派を研究している者として、あるいは湾岸戦争時に専門調査員としてイラクに赴任し、あるいは在ヨルダンのイラク班の次席としてイラクを見てきました立場から、私の経験と知識をこの特別委員会に貢献させていただければと思って、意見陳述させていただきます。
 きょう私が取り上げます主題は、イラクの治安状況でございます。
 現在、イラクの戦闘あるいは治安状況、これが話題になっておりますけれども、私は、湾岸戦争直後の掃海部隊、これを担当した者として、あるいは最後のシリアにおきまして、日本が九六年からゴラン高原に自衛隊を送っておりますが、そこで、現地でこういった自衛隊の方々の御苦労を見てきた者といたしまして、ぜひとも、もしも自衛隊がこの地域に派遣される場合には、現地の状況をきちんと把握していただいて、それに対するしっかりとした後詰めをやっていただいて派遣をいただきたいという観点から、この治安状況について述べさせていただく次第でございます。
 最初に、治安状況の悪化でございますが、現在、バグダッドが陥落して以来、その後の治安の悪化にはパターンが見られるところからお話をさせていただきたいと思います。
 お手元に資料があると思うのでございますが、そちらに表で書いてございますが、治安の悪化のパターンには四つのパターンが見られます。
 一つ目は、戦後のどさくさと申しますか、戦後ばたばたとした状況がございまして、そこでは略奪、泥棒あるいは暴行、こういった行為が行われてまいりました。
 これ自体は、発生している場所は大都市圏、例えばバグダッドでの映像が御記憶にあると思いますが、大都市圏で発生しておりますし、現在も、大都市圏の一部におきましては、子供あるいは強盗団、こういったものが略奪を行っております。あるいは、地方の石油施設等の政府関連の施設等が標的にされておりますが、これは時間がたてば安定とともに終息が期待されるものであります。
 そして二つ目には、組織的犯罪、これは、戦争の前にサダム・フセインが恩赦を行いまして、例えばギャング団、テロ組織、こういったものが監獄から出てまいりました。こういった者たちが主体となりまして襲撃、強盗、こういったものを行っています。
 これは場所としましては大都市の中、あるいは人が住んでいないところ、具体的には、例えばヨルダンとバグダッドの間の道路で、簡単に言えばホールドアップ強盗というんでしょうか、こういったものが出ております。さらには都市の周縁部でこういった強盗が出ておりますが、彼らは、行政がしっかりし、民生が安定化すれば恐らく抑えられていくものだろうと思っております。
 そして、ちょっと三つ目は後におきまして、最後に「特殊なパターン」と書いておりますが、政府が逃げるときに役人の人たちが放火を行うとか、あるいは一定の地域でこれまでの指導者層に対して報復の銃撃が行われる、こういったものが出てまいりました。最後に残された、今、米軍あるいはイギリス軍、こういったものが標的となっているテロ、狙撃、衝突行為、こういったものがございます。
 ここについて御説明をさせていただきたいんですが、発生場所、これは後ほどお話をいたしますが、特定の地域、それから大都市圏でございます。これはやはり、後ほどお話し申し上げますが、社会的、構造的不満への対処、これが不可欠であろうと私は考えております。
 今現在、最も深刻な攻撃で、自衛隊が派遣されるときに恐らく直接的に問題となるのは、この三つ目の、今アメリカが標的となっているような衝突、テロ事件だと理解しております。
 時系列で見ますと、二番目ですけれども、バグダッド陥落あるいは主要な戦闘の終結後、これが、サダム政権の残党が引き続き戦闘に加わって事態が不安定になっていたわけではないんです。五月の二十七日にファルージャというバグダッド西側の地域でアメリカ軍がデモ隊に対して発砲を行った、この日を機会として、実は、その後、死傷者を伴う襲撃事件が頻発しております。
 そこだけ見ていただきまして、三番目の、二ページ目に地図がございますが、こういった襲撃行為は、組織性があるかどうかというのは別といたしましても、実は特定の背景のある場所で発生しています。
 これは、大都市を除きますと、こちらの地図にございますけれども、西側のユーフラテス川沿いに上の方に上った地域、それからチグリス川をバグダッドから上に上った地域、この中部の地域に集中しております。この地域は、スンニ派の人たちが住んでおりまして、特に重要なことは、サダム政権とかつて連合関係にあった部族が住んでいる場所なんです。
 この人たちに今何が起こっているかというと、軍が解体され、政府が解体され、あるいはバース党がなくなった。それによって、この人たちはかつて特権層で、一定のお金と利権とそれからポストを与えられていましたが、彼らがいわゆる職を失って地元に帰っているわけです。あるいは、今後標的とされるかもしれないと考えて不安になっているわけです。ある地域、例えばラマディという地域では、ここの人たちは軍人に多く登用されていましたが、極端な言い方をすれば、この人たちが総失業状態になっている。これが現在の状況で、アメリカが入ってきたことによって状況はより悪くなっている。
 したがって、ここに、この人たちが、恐らく不満を持って何かをしている、あるいはサダム政権の残党の隠れみのとなることができる、そういう条件を提供している、こういった状況でございまして、これがまさに今発生している地域の、したがって、組織性とは申し上げませんが、一定の背景を共有しているところで事態が深刻になっています。
 こういった状況を踏まえまして、この三つ目のパターンへの評価でございますが、一つ目は、これまでの戦闘と、通常の戦争とは違って、前線を挟んで対峙するような戦闘というものはもはや発生はしていないというのが私の理解でございます。
 さらに、先ほど申し上げましたとおり、政権と連合関係にある部族は先行きの不透明感と不安を抱えています。したがって、たとえ民生が安定しても、この人たちの層がどう対処されるか、この人たちの将来がどのように処遇されるかということを見せないと、つまり社会的な、組織的な対応がなければ、この人たちの不満というものは解消されないと思っております。
 さらに、大都市にはさまざまな民族、宗教、部族が混在しております。不満を持っている層、持てる層、今後自分たちが期待とそれから希望を抱いている層、こういった人たちが混在しておりますので、何でも起こる可能性があるということです。
 それから、抑止の話が先ほども出ましたけれども、実は、標的となっているアメリカ軍は、イラクの国内でも最も装備にすぐれた軍事装備を持っていますが、残念ながら現実では抑止にはつながっていない。それよりも、残念ながら、武力を使ったことによって、ファルージャで先ほど申し上げましたとおりデモ隊に発砲したことによって、逆に民衆の不満に火をつけてしまったというのが実際に起こったことでございます。
 それから最後には、軍事的な防衛線に関してですけれども、実は、深い防衛線をしいた地域を突破して何かが起こったという事態は、南の方でイギリス軍に対して起こった事件の一件のみでございます。これは恐らく、デモ隊にイギリスが発砲したためにちょっと違った形で起きた事件なんですが、したがって、どちらかというとテロ的な行為、一発撃って逃げてしまう、こういった行為が行われておりますので、組織的に深く侵入するという行為は起こっておりません。
 それから、潜在的なアメリカ軍への不信感、これは非常に強いし、今も存在している。これは、戦前、戦中、戦後と、残念ながらアメリカの態度というのはイラク国民の関心に対してこたえ得るものではなく、逆に不信感をあおってしまった。これがアメリカが標的になっている、ポーランド軍でもなく、あるいはイギリス軍は一件だけございましたが、イギリス軍に対して多発しているわけでもなく、アメリカ軍が標的になっている理由であると思います。
 今後でございますが、シーア派層、これはシーア派層というのはイラクの人口の六割以上を占めていますけれども、このシーア派層も、実は、先ほどのスンニ派層に比較して弱いながらも不満をためていて、デモ等を行っています。実際に、アマラでイギリス軍を標的としたのはシーア派でございました。したがって、今シーア派層は抑えられていますが、今後、きっかけ次第ではシーア派層にもいろいろな事態が拡大する可能性は否定できない。そうなると、国家全土が不安定になってくる可能性も否定できないと思います。
 それから最後に、つい最近起こり始めたことでございますが、計画的で意図を持ったテロ活動の兆しも見え始めています。これは民生を安定させようとする石油に関連いたしまして、パイプラインの爆破事件、こういったものも起こっております。これまでのような場当たり的なものではなくて、組織的、計画的なものが発生していますので、今後は復興とともに、社会的、構造的な問題への対処をしないと、国家全土にこういった事態が広がることを防げないばかりではなく、あるいは、特定の地域においては、我が国の部隊あるいは協力というものをなし得る環境ができないという懸念すら出ているということでございます。
 以上をもちまして、私の陳述にさせていただきます。拍手
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高村正彦#7
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、角谷参考人にお願いいたします。
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角谷浩一#8
○角谷参考人 本日は、参考人として意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
 私は、ジャーナリストとして、ラジオ番組などで、殊に九月十一日以降の一連の国際社会の動向、それはつまり、アメリカの同時多発テロからアメリカのアフガニスタン侵攻、アメリカ・イギリス軍のイラク攻撃という約二年間に起こった出来事と、我が国の安全保障の考え方の変化について、世論の動きとともにウオッチしてまいりました。
 そして今、我が国は、イラクへの人道復興支援や国際テロリズム防止のための支援活動のあり方に関して議論が進められているわけであります。その間、我が国の安全保障の柱として有事関連三法が可決するなど、安全保障に関する国民の考え方は、現在の国際情勢に即して大きな変化を受け入れたのだというふうに考えていいと思います。
 きょうは、私のジャーナリストの視点から、イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別法案についての参考人意見を述べさせていただきます。
 さて、その中で、イラクの人道復興支援のための自衛隊の派遣についてですが、私は、幾つかの問題があるのではないかと考えております。
 一つは、我が国の国連との関係であります。
 我が国は、外交の基軸に国連主義と日米安保に基づく日米関係を掲げていることは承知しておりますけれども、人道支援のみならず治安維持についても、国連が平和維持活動として軍隊の派遣を決議し、かつ日本にも要請があるのならば、日本は積極的に対応する必要があるというスタンスであったと考えておりました。しかしながら、政府がイラク支援法案の根拠としている国連安保決議第一四八三号は、人道支援においても治安維持においても、加盟国に対して占領国への協力を要請したものではないと考えます。
 先週、自民党の麻生太郎政調会長は講演で、戦後、自由主義陣営と共産主義陣営が分かれて、日本は自由主義陣営について利益を得た、この際、国連とアメリカは一体に見えたが、今回初めてこの二つが別々の立場をとった、対米追従とすぐ言うが、これが何を意味するかを考えるべきだ、自民党としては、国連をとるかアメリカをとるかの選択で、断固アメリカを支持したつもりで、そのアメリカが戦争においては勝利し、利益を得ると考えている、国連は安全を保障してくれないと述べています。
 麻生氏の発言は、我が国の戦後政府の一つのハードルとしてきた海外出兵を行わないことを、大義もなく乗り越えてしまうということになりはしないかと考えます。我が国の軍事力を海外に派遣することの基本原則もなく、国連よりアメリカとの関係の維持のための海外派遣というものは、海外出兵を行う整合性についての議論が余りにもお粗末かつ乱暴な感じがいたします。
 その意味では、湾岸戦争以来、安全保障に関して、政府はその根本的、根源的な議論を避け続け、国際情勢の中の利害の選択だけを無定見に、なし崩しに選択してきた時期があったのではないでしょうか。
 また、この海外出兵がだれのために、どんな目的で行われるのか。イラク現地は猫の手もかりたいのは当然だと思います。アメリカでは、NATO軍の派遣要請も検討されていると聞いています。その中で、イラクの暫定政権からの要請ならばともかくも、アメリカの要請による出兵で、アメリカ軍とともに駐留軍として占領軍の一員になるという可能性の説明がいささか足りないのではないかと思います。
 加えて、政府は、イラクとの間で地位協定を結ぶことについても準備を進めています。今、国民のどれほどが、今回のイラク支援法がアメリカ軍とともに駐留軍としての役割を大きく担っているとの理解をしているのでしょうか。
 海外派兵や武器輸出に関して、我が国の国会は、結論を導き出さないまでも、議論をし続けてきました。武器や戦力の定義などの議論はそれに当たるでしょう。しかし、国際情勢の変化に対応するというのは、国際社会の政治的駆け引きや政局の取引ではなく、我が国としての安全保障に関する明確な基本原則の確立と行動原則ではないでしょうか。解釈論やすき間を探しての場当たり的な運用に既に無理が生じていることは明らかだと思います。
 政府は、このイラク支援法に対して、何が現場で起こるのか予測不能であるとの見解を示しています。
 自民党を初め与野党は、イラク視察団を送り込んで現場を視察しています。各党の報告やレポートを拝見いたしますと、どこが戦場でどこが戦場でないかという命題に対して、安全だと言い切れないと、一様に、混乱している戦時下であるとまとめているようです。であるならば、時限立法という形で海外派兵というオペレーションを実現化するのではなく、国民的議論にしていく義務が国会にはあるのではないでしょうか。その意味では、政府や国会に国民的議論を喚起させているという印象がいささか薄いように感じます。
 この法案は、国土の安全を守る有事三法とは全く異質のもので、この法案が有事三法の延長線上にあるものと考えるならば、安全保障に対しての我が国の考え方の議論や国益に対しての明確なビジョンや定義も議論して、国民の相互理解を得るべきだと思います。このままですと、自衛官にとっても大義の薄い困惑したままの派遣という認識は取り払われず、我が国の安全保障の根幹がないままの派遣となってしまいます。
 我が国が海外出兵に踏み込むには、総理の言う国力に合った協力ということと同時に、相応の世論喚起や、周辺アジア各国への説明や配慮も必要だと思います。国連主義を切り捨て、アメリカとの関係を維持するための意義とリスクについても、もう少し立ちどまった議論が求められると思います。
 その意味では、我が国は今、安全保障に関して戦後最大の議論のチャンスを迎えています。国際社会の中の日本の役割、この国の十年、五十年、百年のビジョンを明確につくり上げるために、政局の駆け引きなどで成立させようとする議会運営にピリオドを打っていただいて、国民の総意が形成されるまで、立ちどまることを恐れずに、ぜひ丁寧に議論を尽くしていただきたいというふうに考えます。
 私は、放送を通じて、若い人たちに今の国会の様子を伝えています。九・一一以来、若い人たちの安全保障への興味や、国家とか国益という大きなテーマが、自分のものだとか自分の問題になりつつあるように感じます。イラク攻撃にも大きな関心を寄せていました。そして、番組にもたくさんの意見が寄せられています。ただ、その意見が出ている間に議論が次の段階に行ってしまって、どうも若い人たちの議論が置いてきぼりにされているような感じがします。これからの二十一世紀を担う若者たち不在の議論が英知の前例とはならないように、どうか国民的議論に広がりを持たせていただきたいというふうに私は考える次第であります。
 ありがとうございました。拍手
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高村正彦#9
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、松田参考人にお願いいたします。
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松田竹男#10
○松田参考人 大阪市立大学の松田でございます。
 国際法を専攻しておりますので、きょうは、米英軍によるイラク占領統治の法的な性格及び正当性について所見を述べたいと思います。
 本委員会で審議されておりますイラク支援特別措置法案は、イラクに自衛隊を派遣しようという法案でございますが、国際法上、他国の領土にその国の同意なしに軍隊を派遣することは、違法な武力行使に該当し、侵略行為を構成することになります。
 そこで、本法案の第二条三項は、イラクについては、安保理決議一四八三その他の政令で定める国連総会または安保理決議に従って「イラクにおいて施政を行う機関の同意によることができる。」と定めております。問題は、この「イラクにおいて施政を行う機関」が、そのような違法性を阻却し得るような正当な統治権限、法的なステータスを持っているのかどうかということであります。
 そこで、安保理決議一四八三を見てみますと、同決議本文第四項は確かに、オーソリティーに対して、国連憲章及び関連する国際法に従い、領土の実効的統治を通じてイラク国民の福祉を増進するよう要請していますが、前文第十三項によれば、ここでオーソリティーというのは統一司令部のもとにある占領国ということで、同項は、米英両国が占領国として関係国際法上有する特定の権限、責任及び義務を認識するというふうに述べております。
 重要なことは、これらの規定が、占領が国際法に従って行われるべきことを規定しているだけで、新たな権利、権限、義務、責任等を付与してはいないことです。つまり、本決議は、米英両国に占領国としての国際法上の権限、責任、義務を全うするよう求めているだけで、米英両国による占領統治の合法性を承認するとか、新たに占領統治の権限を付与するというものではありません。
 現代国際法では戦争や武力行使が違法化されておりますから、戦争のやり方、武力行使の手段や方法についての規則は本来は存在し得ません。武力を行使する者は、犯罪者か法の執行官か正当防衛か、そのいずれかであって、対等、平等な交戦者という概念はもはや存在し得ないはずです。しかし、現実には今なお多数の武力紛争が発生しておりますし、武力行使の合法性が常に判定できているわけでもありません。そこで、国際法では、戦争や武力行使を違法化しつつ、他方で、現実に武力紛争が発生した場合には、戦争の惨害や残虐さを緩和するために、武力行使が合法か違法かにかかわりなく、すべての当事者が遵守しなければならない人道的な諸規則を整備、発展させてきています。国際人道法とか武力紛争法と呼ばれている法です。
 軍事占領について言えば、他国の領土に侵入してこれを占領するということはもちろん違法ですし、自衛権の行使として他国の領土を占領するということも考えにくいことですから、現代国際法上、軍事占領という制度はもはや存在する余地がないと思われますけれども、現実には、武力紛争の過程でしばしば他国領土の占領が行われております。そこで、国際人道法では、軍事占領そのものの合法、違法は別にして、現に他国領土を占領している以上は、占領地の治安を維持し、住民の生活と福祉を最大限に尊重し、保護するよう義務づけております。安保理決議一四八三は、このような国際人道法上の占領国としての義務、責任を果たすよう求めたもので、占領統治そのものを合法化したものではありません。
 政府は、米英軍によるイラク攻撃は安保理決議六七八、六八七、一四四一に基づく正当な武力攻撃であったと解釈しておりますから、事によると、占領統治もこの正当な武力行使の一部あるいは結果として合法だと考えているのかもしれません。しかし、これも無理な議論と言わなければなりません。
 第一に、米英軍のイラク攻撃が安保理決議に基づいた行動だという主張に無理がありますが、この点は既に何度も審議されておりますので、ここでは立ち入らないことにします。
 第二に、問題は、たとえ米英軍の武力行使が安保理決議に基づいた行動だということであったとしても、その目的や程度は大量破壊兵器の探索、廃棄に限定されているはずで、イラク全土を長期にわたり軍事占領するということは、明らかに必要な限度を超えていると言わざるを得ません。安保理といえども、平和に対する脅威を除去するために必要最小限度を超えて武力行使を行ったり、あるいは許可する権限は持っておりません。
 以上のように、オーソリティー、すなわち「イラクにおいて施政を行う機関」は、国際法上正当な統治権力として認められてはいません。違法な軍事占領と認定されたわけではありませんが、他方で合法的な占領統治と認定されたわけでもないのです。政府は、日本国政府としては合法かつ正当な占領統治と解釈していると主張するかもしれませんが、それだったら、イラク側にも、違法、不当な軍事占領と解釈する同等の権利があると言わざるを得ません。
 かくして、イラクの旧政権の残存勢力には、国際人道法規則を遵守する限り、自国領土を占領している米英軍を攻撃する正当な権利があり、イラク国民にはレジスタンス闘争を行う正当な権利があるということになります。軍事占領そのものが違法、不当とみなされるのですから、米英軍が治安の維持や民生安定、人道支援などいかなる活動を行っていても、攻撃対象とすることが可能です。占領国としての国際人道法上の義務を遂行している最中でも攻撃することが可能になります。
 本委員会では、戦闘行為が行われている地域といない地域とを区分けすることができるかどうかがしばしば議論されていますが、米英軍に対する攻撃が法的に可能であるという意味では、イラク全土が今でも戦闘地域です。現に戦闘行為が行われていない地域というのは、たまたまある時点で戦闘行為が行われていないというだけで、法的には、いつでも戦闘行為を行うことができる地域なのです。このような地域に自衛隊を派遣すれば、自衛隊自身が正当な攻撃対象、軍事目標となることは言うまでもありません。
 米英軍は他国領土の占領という軍事行動を行っているわけですから、その部隊に対する補給や輸送は、武器弾薬であろうと、水、食糧、医薬品であろうと、すべて立派な作戦行動であり、旧政府残存勢力による攻撃や占領地住民によるレジスタンスの対象になります。米英軍に対する支援行為を行っていなくても、自衛隊は攻撃対象になります。オーソリティー、すなわち占領当局の同意を得ているといっても、イラクにはこの占領当局を正当な統治権力と認める義務はありませんから、イラク国民は、自衛隊を、自国の同意なく駐留している違法な侵略者とみなすことが可能なのです。
 なお、本法案の第十七条では、自己または自己とともに現場に所在するほかの自衛隊員等の生命または身体を防衛するため必要な場合には武器を使用できる旨規定しておりますが、イラク側の攻撃またはレジスタンスが正当な戦闘行為であるとすれば、これに対する反撃行為を、自衛あるいは正当防衛と言うことはできません。それ自身もまた同格の戦闘行為です。火中のクリを拾いにみずから飛び込んできた者には、自衛や正当防衛を口にする資格がないのです。
 このように考えてみますと、自衛隊のイラク派遣は、国際法上の合法性を担保されていない軍事行動への参加であり、憲法第九条が禁じる武力の行使に当たると考えられます。
 イラクの復興支援に協力、支援することは確かに必要でありますが、それは、自衛隊の派遣ではなくて、非軍事的な方法で行うことが適切であろうと考えております。
 以上が、私の所見の表明でございます。拍手
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高村正彦#11
○高村委員長 ありがとうございました。
 次に、藤田参考人にお願いいたします。
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藤田祐幸#12
○藤田参考人 御紹介いただきました藤田でございます。
 私は、今から半世紀以上前、オットー・ハーン、シュトラウスマン、あるいはリーゼ・マイトナーといった物理学者によって発見された、純粋なる物理現象としての核分裂反応、これが二十世紀の歴史に、あるいは政治に非常に深刻な影響をもたらしたということで、核の軍事的な利用及び商業的な利用について、これを厳重に監視していくということが物理学者の一つの責務であるというふうに考えて、これまで活動し、行動し、発言をしてまいりました。
 その観点から申し上げますと、今から十年余り前、湾岸戦争と呼ばれている戦争においてアメリカ軍が初めて使ったウラン兵器、劣化ウラン弾と言われている兵器の問題について、極めて厳重なる問題がある、非常に重要な問題があるとして関心を持ち続けてきております。
 その後、バルカン戦争においてやはりこのウラン弾兵器が使われ、そして今回のイラクでも使われたということで、一九九九年と二〇〇〇年に、私は、コソボ、セルビア、あるいはボスニアなどの地域で劣化ウラン弾の調査及びその健康的な影響についての調査をしてまいりました。そして、本年五月十九日から六月二日にかけて、バグダッド及びバスラ周辺において、今次の戦争においていかなる形態で劣化ウラン弾が用いられたのかどうかということについての実地の調査をしてまいりました。その結果をきょう御報告し、我々が今なすべきことについての御提言をさせていただきたいと思います。
 御承知のとおり、劣化ウランという物質、これは、原子力産業あるいは核兵器産業において、ウラン濃縮過程において発生する産業廃棄物とでも申し上げましょうか、ほぼ純粋なウラン238の同位体であります。それで、このウラン238という同位体は、かつてはプルトニウムの原材料になるということで資源価値を持っておりましたけれども、今では、プルトニウム利用計画というものは各国で破綻をしております。その結果、このウラン238という物質は、単なる産業廃棄物という位置づけになってきております。
 このウランを金属として扱った場合の物理的な特性としては、比重が極めて大きい、それから非常にかたい金属である、そして、経済的な問題から申し上げますと、廃棄物であるがゆえに値段が非常に安い、こういう利点があります。
 イラクに対する最初の攻撃であった湾岸戦争当時、アメリカ軍は、A10というジェット戦闘機から対戦車砲の弾頭としてこのウラン弾を使ってまいりました。ウランという物質は非常に重くてかたいために、戦闘機から発射されて甲鉄板に当たりますと、そこで激しく発熱をいたします。ウランという金属は発火性金属でありまして、鉄の融点よりも高い温度で燃焼いたしますので、その戦車の甲鉄板はたやすく溶け、弾丸は中に入って激しく燃焼して乗組員を焼き殺す、こういう効果を持った兵器であります。
 しかし、その爆発炎上したときに、数ミクロンの大きさのウランの微粒子となりまして環境に噴出いたします。これを吸い込みますと、肺に沈着して重篤なる健康障害を引き起こす、こういうことがよく知られているわけであります。
 この砲弾は機関砲で撃ち出されます。戦車の周辺で撃ち出されますけれども、戦車に当たるのは一発か二発で、大部分のものはそのまま地面に突き刺さります。私がコソボで確認をしたケースで見ますと、地面に突き刺さったウラン弾は、地下一・五ないし二メートルという深さまで突き刺さっております。しかも、衝撃力は熱に至りませんで、金属のまま地中に埋まっている。二〇〇〇年にコソボに参りましたときに、掘り出したウラン弾を見ましたところ、そのウラン弾は半分ほどにやせ細っているということが確認できました。ウランという金属は、水と接触することによって水溶性のウランとなり、地下水へ汚染として入っていくということがそのことによっても確認できるわけであります。
 この十年前、湾岸戦争において大量に利用されましたこの劣化ウラン弾の影響が最初に報告されましたのは、アメリカ軍の帰還兵の健康状態、及び、その帰還兵の子供たちに重篤な身体障害あるいは発がん性といったようなものが次々と発生するということから、湾岸戦争症候群というふうに呼ばれ、社会問題化いたしました。そして、その弾丸を撃ち込まれた側のイラクの子供たちにも同じような影響が出始めたということで、国際的にも大きな社会問題となってきたわけであります。
 このような問題というものが明らかになっているにもかかわらず、今次の戦争において劣化ウランが大量に使われたということが、今回調査をしてきた結果、明らかになりました。
 ここにありますのが、バグダッドの計画省という建物の周辺で発見されたウラン弾であります。(パネルを示す)この上の方にあります金属の棒、これが、純粋なウラン金属、直径一センチ、長さ十センチ、重さ三百グラム程度のウラン金属です。これは十ミリほどで、撃ち出すのは三十ミリ砲ですから、アルミ合金で三十ミリのさやをつくって、その中に入れて撃ち込むわけであります。
 そして、この計画省、これはバグダッドの中心部、サダム宮殿の近くでありますが、その計画省の裏庭から、私たち取材チームがほんのわずかな時間歩き回っただけで、これだけの大量のウラン弾の破片及びウラン弾そのもの、これが発見されました。つまり、今次の戦争においては、対戦車砲としてつくられたはずのウラン弾が建物の攻撃にも使われたということになります。その前の道路などにもこれが散乱しておりました。これを子供が拾ったりすると大変危険であります。これは早急に回収する必要があります。
 それから、バグダッド南部及びバスラ南部の地域において、被弾している戦車を何台か発見いたしました。ここでは、ちょうどバターをナイフで切るように鋭く鉄を切り裂く、そして中で爆発する、こういう跡がたくさん確認されました。これなどは、まさにバターをナイフで切り裂いたがごとく、これは戦車の表面で弾がはね返った状態を示しているものであろうと思われますが、このように、戦車に当たった場合にはこの微粉末が環境に噴き出し、その周辺の地域を放射能で汚染するということになります。
 それから、その戦車の周辺の建物、これは製氷工場でありますが、この製氷工場にもたくさんの銃弾が撃ち込まれておりまして、この工場自体が汚染されている。とても工場の再開は難しいということで、私たちが行って測定をした結果、ここの工場長は頭を抱えて困り果てているという状況が起こっております。
 バスラの母子病院、これは十年前の湾岸戦争によって大量に発生した、そうした子供たちのための小児がん病棟がつくられております。そこには多くの子供たちが、例えばこの子はおなかが大変膨れ上がってしまっていて重病です。それから、この子は目にがんができていて助かる見込みがない。それから、この子は耳の下、甲状腺のところに大きながんができている。さらに、この赤ちゃんはわきの下に頭と同じぐらいの大きさの腫瘍ができている。
 こういう子供たちが湾岸戦争後急増し、当時、例えばバスラ周辺では年間に二十人ほどの小児がんの発生数であったものが、現在では、二〇〇二年の調査では百六十人、八倍にもふえている。人口当たりの統計を見ても、九〇年には十五歳以下の子供の十万人当たり三・九八人であったのが、二〇〇二年には十八・五人と、四・六倍の増加をしている。因果関係についてのさまざまな議論はございますけれども、疫学的に明らかに放射能影響というものがこのバスラ周辺の子供たちに、そしてこの影響はバグダッドでも顕著に見られているわけであります。
 そのほか、死産、流産も非常に多くなっております。そして、先天的な機能不全というものも大変多く見られるようになっております。
 長期にわたる経済封鎖のために、医療器材、薬品、人材など絶望的に不足して、治癒率が極めて低いというのが現状であります。
 ウラニウムという物質の放射能の半減期は四十五億年であります。この時間は、地球の誕生以来の時間に匹敵するわけであります。一たん汚染された大地がもとに戻ることは永遠にないということが言えると思います。ウランは環境の中で循環し、今後極めて長期にわたってイラクとその周辺国の子供と母親たちを苦しめることになります。
 十年前の湾岸戦争の影響が極めて深刻な中で、さらに今次の戦争で大量のウラニウムが撃ち込まれたということは、到底許すことのできることではない。例えば、今イラクで、イラクの原子力産業からイエローケーキというウラニウムが大量に持ち出されたという話があります。これが大変大きな問題になっております。
 ウラニウムという物質を環境にばらまくということは、本来あってはならないこと。これを兵器として意図的にある地域にばらまくということは、到底許されることではありません。目の前で大量に人が死ぬということはありませんが、数年後にはさらに多くの子供たちと母親が悲惨な運命を引き受けることになることは明らかであります。その悲劇は終わることがなく続くことになります。サイレント・ジェノサイドあるいはサイレント・エスニック・クレンジングというべき事態であると私は認識しております。
 その無差別性と大量性、これは大量破壊兵器の定義を満たしております。米国は既に広島と長崎に大量破壊兵器を投下し、しかも、戦後、その犯罪は問われることはありませんでした。そして、湾岸戦争においても劣化ウラン弾を大量にイラクの大地に撃ち込み、その結果についても罪を問われることはありませんでした。そして、今次の戦争においてさらに多量のウラン弾を再びイラクに撃ち込んだということは、到底許されることではない。これは、イラクが大量破壊兵器を隠しているのではないかという疑い、それが理由で大量破壊兵器をアメリカ軍が使ったということになります。
 イラクの人たちは、このウランの被害がいかに深刻なものであるかということをよく承知しておりまして、市民が今最も、僕たちが測定器を持って歩きますと、うちをはかってくれ、うちをはかってくれ、みんながすがるようにして安全を確かめようとすることが、何度も体験いたしました。
 今日本が、この特措法三条に言うように、イラクの国民に対して医療その他の人道上の支援を行うということを真に望むのであれば、武装した兵士をそこに送り込むのではなくて、バスラ及びバグダッドに最新の設備を備えた小児がんセンターを建設することでありましょう。
 アメリカの大量破壊兵器の投下によって、皮肉なことに、日本は放射線治療について非常に多くの経験を重ねてきております。今同じ苦しみをイラクの国民がこれから受けていこうとするときに、この核の洗礼を受けた先進国である日本が今イラクに対してなし得ることは、この我々の経験を伝えていくことであると考えております。
 この不当な戦争に加担したこの日本という国は、その贖罪の意味も込めて、イラクの子供たちのためにがん専門の最先端の医療設備を、若い医者の教育のためのプログラムをイラクに贈ること、これが最も今望まれていることであると考え、それを提言して、私の発言を終えます。
 ありがとうございました。拍手
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高村正彦#13
○高村委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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高村正彦#14
○高村委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。
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森岡正宏#15
○森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏と申します。
 参考人の皆さん方、きょうは有意義なお話をいただきまして、本当にありがとうございました。
 私たち、本委員会の審議の中で、二十四日以来、いろいろな議論を重ねてまいりました。昨日は、提出する価値のない法案だと決めつけた委員の方もいらっしゃいました。しかし、私たちは、一日も早くこのイラク支援法を成立させて、そして我が国が国際社会の中で果たすべき役割、イラクへ行ってしっかりとした支援をしたいという思いから、この法案の推進を図っているわけでございます。委員の中にもいろいろな人たちがいる。しかし、参考人の皆さん方もいろいろな意見を持っておられるということがよくわかったわけでございます。
 私は、きょうは短い時間でございますので、早速質問に入らせていただきますが、今までの参考人の皆さん方のお話の中にもございましたが、この法案を審議する前提といたしまして、我が国が国際社会で果たすべき役割、特に中東地域の安定、なかんずく、その真ん中にあるイラクへの支援をすることが、我が国の国益にとって大変大事なことだと思うわけでございます。
 石油エネルギーの八八%を中東地域に依存しているこの日本。しかも、既に米英のほかにも十三カ国の軍隊がイラクに入って治安維持に努めておられる。そして、ほかにも十四カ国の人たちがイラクへの支援を決めているという現実を見ましたときに、先ほど来、前川参考人からお話ございましたように、あの湾岸戦争のときの轍を踏んではならない、お金だけ出して人的な貢献は何もしないのか、日本は憶病か、こう言われるようなことのないようにしていきたい。
 少なくとも、普通の国の支援ができるようにしたいというのが私たちの願いでございますけれども、参考人の皆さん方から、まず、イラクでの貢献、私たちこの日本が果たすべき役割についてどう考えておられるのか、前川参考人と池田参考人、大野参考人、それぞれ一言ずつ、三人の方にお伺いしたいと思います。
 前川参考人からお願いいたします。
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前川清#16
○前川参考人 今質問がございましたように、中東地域の日本及び世界にとっての重要性、これは申すまでもありませんけれども、世界の石油の埋蔵量の三分の二、しかも輸出量の三分の一、その中東の中で、イラクの埋蔵量というのはサウジアラビアに次いで非常に大きい。これはまだよく調査ができていませんけれども、これから調査をすれば埋蔵量はさらにふえるであろう。そういうイラクの中東における、あるいは世界における重要性ということにかんがみて、イラクが早く復興され平和になるということが、中東の安定はもちろん、世界の安定にも大きく寄与する、日本の中東への石油依存、安定確保にも大きく寄与するということでございます。
 そこで、今回のイラクへの支援でございますけれども、人道復興支援というのと安全確保支援というのは、先ほど申しましたように密接に結びついておるわけでございまして、最終的には人道復興支援が最終でございますが、しかし、安全確保ができなければまず人道復興もできない。
 御存じのとおり、テロ等が横行すると経済が非常に悪化しますし、それで生活が悪化する。さらにそれが犯罪その他を生むというようなローテーションになるわけでございまして、そういう中で、両方が大事なんですけれども、とりあえず安全確保支援というものに、これに役立つような後方支援をするということが人道復興支援にも役に立っていくわけでございますね。それがまた安全にも振り返ってくる。
 先ほど大野参考人から、安全上の、危険上のいろいろ興味深い話を聞きましたけれども、当面の短期的な治安情勢と長期的な治安情勢というのを考えるときに、一番長期的に危惧されるのは、現在イラクに出ております米軍、米軍はバグダッドから、これを含む北あたりの地域の治安維持を図っておるわけで、イギリス軍はバスラ周辺の南の方の治安維持に当たっておるし、それからポーランド軍は中西部の方の治安維持に当たっておるわけですが、長期的にそういう軍が撤退をしなければいけないようなほどに治安状況が悪化するのかということと、いや、そうじゃない、これまでの調査団の報告あるいはそれが新聞で出されるところを見ますと、いろいろ地域差、時間差はありますけれども、逐次好転をしていっているということでございますね。
 したがって、そういう中で日本が、先ほどから申し上げましたような形で治安維持の支援を当面重点にやり、一部人道支援をやるということで、それで大きく治安が回復される、そして人道復興支援の方に重点が志向されるということになろうかと思います。そこに日本のイラクに対する支援の大きなメリットがあろうということでございます。
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池田明史#17
○池田参考人 日本のこれまでの中東に対する貢献というのは、このイラクが初めてということではないわけですね。パレスチナに対して、あるいはいわゆる中東和平支援とかいうような形で、さまざまな関与を行ってきている。あるいは、ゴラン高原において兵力引き離しの国際的な協力というようなものもやっているんですが、いかんせん、どの協力も非常に地味なわけですね。
 中東の中で日本のプレゼンスというものが必ずしも明確に認識されていないという状況というのは残念ながら存在するわけで、その意味においては、イラクに今の時点で日本がかかわっていくということは非常に大きな象徴的な意味を持つ。つまり、日本のプレゼンスをそこで中東の内外の人々に大きく印象づけるという点で、今までのさまざまな貢献というものとはかなり違った、より高いレベルの印象を与えることになるというふうに思っております。
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大野元裕#18
○大野参考人 簡単に申し上げます。
 二点申し上げますけれども、一つ目は、イラクにおきましても中東におきましても、今、安全のもとあるいは不安定、両方。安定のもとであり不安定のもとであるのはアメリカです。したがいまして、アメリカが一番安定の方向に力を発揮できるようなやり方を行うのが、まず日本の置かれている現実的な立場だと思います。
 それから二つ目には、アメリカができずに日本が行える役割というのがあると思います。それは、先ほど申し上げましたような、社会的な問題を和らげるようないわゆるインカムジェネレーションあるいは民生の安定、こういったところに関しては、日本の方がアメリカよりもイラクからの信頼を得ておりますので、日本の方がはるかに受け入れやすい立場にあると思いますので、そこに我が国の役割があると私は考えております。
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森岡正宏#19
○森岡委員 なぜ自衛隊員が行かなければならないのかということが、委員会の大変大きな論点になっております。
 先ほど来もお話が出ておりますけれども、この法案は、武力行使はしないんだ、そして戦闘地域には行かない、憲法上の許される範囲でというくくりになっているわけでございます。先日、公明党の赤松委員が、国内でいうところの災害救助活動という役割をイラクでやるんだ、そう思えばいいんじゃないかということを例え話でおっしゃったわけでございますが、私もそういう考えで行けばいいというふうに思うわけでございますが、野党の皆さん方で、自衛隊員がイラクへ行くことに危惧する方は、まるで武力行使に行くかのごとくおっしゃる方がいらっしゃるわけでございます。
 私は、丸腰の民間人が行くよりは、自己完結性を持っている、こういう自衛隊の組織が行くことがふさわしいというふうに思うわけでございますが、もう一度、前川参考人とそれから池田参考人から御意見を伺いたいと思います。一言で結構でございます。
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前川清#20
○前川参考人 なぜ自衛隊の派遣、それが効果的か、なぜ自衛隊の派遣が必要かということでございますけれども、先ほどおっしゃったように、自己完結性があると同時に、国際共同性というのを自衛隊というのは持っておりまして、既に参っております外国の軍隊と密接に共同ができるという効率性がございます。と同時に、災害派遣での教訓、そこで得た能力というのを現地でも発揮できる、そういう面の役割も大きくニーズがあろうかと思うわけでございます。
 以上でございます。
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池田明史#21
○池田参考人 一言で、行軍、宿営と申しまして、要するに、自衛隊並びに他国でいえば軍隊ですが、こういう組織というのは、道のないところにも道をつくって進めるわけですね。全く宿がないところにも自分でテントを張って、そしてあらゆる施設を自分でつくり出して、そこで野営できるわけですね。これを自己完結性というわけですが、そのような能力を備えた組織というのは、我が国内には自衛隊以外にはあり得ないわけであります。
 今のようなイラクの情勢の中で、したがって、最も効率的に任務を遂行できるというのは、自衛隊という組織をおいてないというふうに私は思います。
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森岡正宏#22
○森岡委員 与党のイラク調査団の報告を聞きました。もはや戦闘は終結しているけれども、今なお旧政権の勢力が挑発的な襲撃を行っている、しかし治安状況は日ごとに改善されているということでございました。
 先ほど大野参考人から、治安状況についてお話を伺いました。私は、イラク全土でいまだ戦闘状態が続いているところもあるということでございますけれども、随分地域的な格差があるんじゃないか、そう思うわけでございます。日本より大きな国土、しかも大変な砂漠地帯を持っている、こういう国で、戦闘地域であるのか非戦闘地域であるのか、安全な場所を探すことは可能じゃないかな、そう思うわけでございますが、大野参考人から、この件についてもう一度お伺いしたいと思います。
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大野元裕#23
○大野参考人 先ほど申し上げましたとおり、私は、戦闘地域か非戦闘地域かということではなくて、実際に死傷者が出た事件がどこに起こったかということでございまして、今現在の時点では、先ほど申し上げましたとおり、中西部、この地域が、特に第三番目のパターンで治安が非常に悪化している。そして、大都市では何が起こるかわからない状況にある。しかしながら、北部のクルド地域では全くそういった事件は起こっていない。南部では若干起こっておりますけれども、少なくとも今の現状では起こっていないと言うにふさわしい状況があるが、残念ながら不満というものはどんどん高じておりまして、これが中西部に起こって行われたようなきっかけさえあれば、もしかするとこういった戦闘、治安の悪化が拡大する可能性があるというのが私の認識であります。
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森岡正宏#24
○森岡委員 ありがとうございました。
 残念ながら時間が参りましたので、これで私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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高村正彦#25
○高村委員長 次に、平岡秀夫君。
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平岡秀夫#26
○平岡委員 民主党の平岡秀夫でございます。
 きょうは、参考人の皆さん、大変貴重な時間をいただきまして、ありがとうございます。すべての方に質問したいと思うんですけれども、ちょっと時間がないので、私がきょう説明を伺いました中で、ちょっと質問してみたい事項について限って質問させていただきたいというふうに思います。
 まず、前川参考人に伺いたいと思います。
 前川参考人、大変いい言葉をいろいろと述べられまして、言葉は雲、行動は雨、きょうの一滴はあすの百滴にまさるといったようなことで、確かに今、我々も、イラクにおいていろいろな支援が必要であろうということについては全く否定するものではないんですけれども、今、前川参考人が引用された言葉というのは、多分、イラクの国民の皆さんにとってみて支援が必要であるということを端的に言いあらわされたことであって、必ずしも私は、米軍あるいは英軍あるいは当局といったようなことに対しての話ではないんじゃないかなという印象を持ちました。
 そこで、ちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、自衛隊が行える最も効果的、効率的な協力は何かというところで、水の補給関係を言われました。この水の問題は、昨日のこの委員会でも、現地調査をした我が党の委員の方からも、本当にその必要性があるのかどうかということについてかなり議論をしましたので、私は、その点についてはきょうはお聞きしようとは思いませんけれども、仮に自衛隊が水の補給をする、補給活動をするということになる場合に、国連の決議一四八三では統合された司令部、当局と呼んでいますけれども、当局との関係というのは一体どのようになるのか、占領軍との関係はどのようになるのかということについてどのように考えておられるかということを、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
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前川清#27
○前川参考人 当局との関係では、やはり自衛隊にこういう分野の業務を期待したいというお話がございますでしょう。そのニーズを受けて、自衛隊側が主体的に、これならば十分できる、しかも効果があるということで、そこでその主要業務というのが現実化するんであろうと思うんですけれども。
 それでは、次には、どの地域でやってもらうかということになりますと、水源の問題だとかいろいろなことを考慮しまして、そして現在、例えばバグダッド周辺だと連合軍が主要な地域に駐留しておりますね。そこの安全は確保していますけれども、そういう確保された地域の中で実施をできるとすれば、これは一番安全上有効なわけでございますね。そこらあたりの調整ができるのと、もう一つは、それでは浄水をしたものをどういうぐあいにして配給するのか。これをそれぞれのところからとりに来てもらうということであれば一番安全なわけですね、固定的な配置の中でやるわけですから。それを日本が、自衛隊側が車で運ぶとなると、これは危険を伴いますから、そこらあたりの調整でございましょうけれども、今までの伝えられるところでは、水をとりに行くのは消費側がとりに行くというようなことのようでございますので、そういうような業務態様が成り立つのではなかろうかと思います。
 以上でございます。
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平岡秀夫#28
○平岡委員 私が質問したかったのをもう少し明確にしておけばよかったかもしれません。
 決議一四八三の中では、占領国でないその他の諸国が当局のもとで活動し、あるいは将来活動をし得るというような表現があって、自衛隊と当局との関係というのはどういうふうになるのかというところをちょっと聞いてみたかったんです。つまり、当局のもとなのか、あるいは、政府が説明しているように、当局と協力してという位置づけなのか、その点だったんですけれども。
 まあ、それはともかくとして、大野参考人にちょっとお聞かせいただきたいと思うんですけれども、大野参考人は先ほど、説明の中に、潜在的な米軍への不信感は常に存在しているんだというふうに言われました。先ほど前川参考人の方からも、給水活動についてのCPAあるいは占領軍との関係をちょっと説明されましたけれども、そのような活動をするときに、現地のイラクの人たちというのは、仮に自衛隊がそういう形で協力しているということを見たときには、一体どのような受けとめ方をするんでしょうか。そして、それに対する安全性といいますか、潜在的な米軍への不信感は常に存在しているという状況の中における危険性、自衛隊が一緒に行動しているという状況の中での安全性についてはどのようにお考えになっているかということをお聞かせいただきたいと思います。
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大野元裕#29
○大野参考人 米軍への不信感に関しましては、元来イラク人に根づいていて、なおかつ、戦時中も増幅されたものですが、その後の戦後の処理に関しても、残念ながら、力で抑えようということで、不信感というものはいまだにぬぐい切れていないと思っております。
 日本がイラクに出る場合に、現地の人々は、一義的には軍が来たという形でやはり見ざるを得ない。そのときに私は重要だと思っておりますのは、イラク人のニーズに合ったような行動を行えるかどうかということだと思います。たった今、水のお話が出ましたけれども、例えば水をアメリカに対して補給します、しかしこちらでは水に関して困っているイラク人がほうっておかれている、これはイラク人の不信感を必ずしも払拭するものではないと思います。
 あるいは、水の補給だけではなくて、イラクの場合には、水施設そのものが破壊されている。あるいは、長期的な計画がないがために、長期的な計画といいますのは、実は塩水が湾岸の方からアマラ、百五十キロぐらいのところまで上がってきているんですけれども、そういった長期的な計画を立ててあげないがために、今後、どういう役に日本が立っているのかということがイラク人に見えない場合には、残念ながら同じ不信感の中でくくられる場合もある。逆に、イラク人のニーズにこたえられる場合には、アメリカ軍にどういう感情を抱いていようが、日本の自衛隊に対する評価というものが高まる可能性はあると思います。
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