鶴田俊正の発言 (経済産業委員会)
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○鶴田参考人 専修大学の鶴田でございます。
今般の法改正の審議会に参加させていただきました。しかし、審議会の意見ということじゃなくて、私の考え方を述べさせていただきます。
今度の制度改革につきまして、電気、都市ガスともエネルギー政策基本法の二つの視点を前提としております。一つはエネルギーの安定供給の確保、それから環境への適合ということであります。その二つを前提として制度改革に取り組んでいるわけでありますが、その場合に私個人が一番大事に思いましたのは、内外価格差の存在と内々価格差の存在であります。
この価格差につきましては、いろいろなはかり方があると思いますけれども、厳密にどの統計を使ったからというのではなくて、ちょうど私たちがぐあいが悪いときに医者に行って、体温計ではかります。体温計ではかって熱があったとき、そこから問診が始まり、検診が始まるわけですが、この内外価格差があるということは、ちょうど患者が熱があるなということと同じことでございます。したがいまして、その熱のある状態ですと、やはり制度に何か不都合があるだろうということでございます。
したがいまして、内外価格差が存在しているということは、やはり制度のどこかに問題があるから、それを見直さなきゃいけないというふうになります。
また、内々価格差が存在しているということは、全体としての効率性の向上と国内における非効率企業の存在を示しているわけでありますから、それもやはり制度を変えなきゃならないというふうになると思うのであります。
その場合に、三つの視点を私は大事にしております。一つは、需要家利益の確保であります。二つ目が、供給側事業者の活性化、効率化の達成であります。そして三番目が、事業者間の公正な競争を確保して、現在二つの産業とも地域独占でございますから、地域独占から有効競争への転換を実現するということ。つまり、地域独占から有効競争への転換があって初めて産業組織の活性化、効率化が達成されるというふうに私は思います。
さて、電気につきましては、制度改革に当たりましてやはり産業としての特性を考えておく必要があります。四つのことを申し上げたいと思うのであります。
電気は、産業と家計にとりましての必需財であります。競合財なり代替財が存在しておりません。こういう性質を持っておりますために、自由化を段階的かつ漸進的に行わなければならないというふうに思います。カリフォルニアのような失敗は許されないわけでございます。したがいまして、電気につきましては、平成十六年度から五百キロワットの高圧需要家、平成十七年度から五十キロワットの高圧需要家の自由化をする。これは、ある意味では電気の特性から考えて妥当な措置であると思います。絶対失敗は許されないということであります。
二番目は、送配電部門に関してでございますけれども、送電線に関しては独占財であります。専門用語で恐縮ですけれども、エッセンシャルファシリティーというふうに言えると思います。送電線それ自身は電力会社の私的財産でございます。したがいまして、自由化するにつきましてはその開放が大前提となります。前回の自由化論議の際に、東京電力の当時の荒木社長の開放宣言から自由化が進展したわけでございまして、その結果、今日では社会的インフラとしての性格づけが行われています。
ただ、いわゆる私的財でございまして、東京電力を初め関西電力さん等々の電力会社が一貫垂直体制を維持いたしますから、その送電線に対するアクセスをすべての企業が公平に利用できるようにしなければいけません。つまり、ネットワークをできる仕組み、条件設定に工夫が必要だというふうになります。
第三番目の特徴は、競争と規制分野が共存しているということでございます。
二つの点でございますけれども、今回でも、家庭等々の低圧の部門についてはまだ自由化しておりません。したがいまして、自由化部門と規制部門が共存しているということでございます。ということは、自由化部門の赤字を規制部門で補うなどの内部補助は絶対禁止しなければならないし、また、その措置がとられております。
二番目に、規制財でございます送電線と自由部門である発電・営業が共存しているわけであります。したがいまして、こういう二つの規制財と自由部門とが共存している状態では、ネットワークに対する公正な競争を確保するために、系統管理と営業部門との情報遮断が徹底されなければなりません。あるいは、ネットワークへの公正なアクセスを保証するために、差別的取引を禁止しなければならないというふうになります。今回の法改正でもこの三つが盛り込まれております。
四番目は、生産と消費に関することでございますが、電力は同時同量の原則できっちり系統管理を行わなければいけません。したがって、同時同量の原則をきっちり確保すること、それは、電力の安定供給上、極めて重要だというふうになります。ただ、全国的に安定供給を実現するためには、連系線の空き情報とかあるいは電流が混雑する場合もございますから、そういう情報公開が必要不可欠だというふうになります。
さて、改革の要点でございますが、段階的自由化をすること、先ほど申しましたように、十六年度から五百キロワット、十七年度から五十キロワットまで自由化し、家計部門につきましては十九年度から検証開始というふうになっております。
それから二番目に、いわゆるパンケーキと言っておりますけれども、振替料金制度を廃止して全国市場をつくるということが今回の大きな特徴であります。
それから三番目に、余剰電力の取引を可能とする私設機関としての卸電力取引所を創設するということが盛り込まれております。
それからまた四番目に、中立機関を設立して、全体としての公正な競争を確保するということが大きな法律改正であります。
さて、この法改正と最近の原子力問題との関係について考えておく必要があると思います。
私ども、カリフォルニアは他山の石というふうに理解しておりますけれども、東京電力さんの今回の需給問題は、足元からの教訓、つまり他山の石じゃなくて自山の石と言ってもいいのかもしれません。学ぶべき点は、特定の私企業に安定供給を丸投げしていると一見便利のようでございますけれども、今のような形での供給不安のリスクも潜在的に抱えているということであります。
したがいまして、電力は、発電、送配電、小売と一貫したシステムでございますから、システムとしての安定供給を考えることが緊急に必要だというふうに思います。その意味で、連系線設備の強化を広域的な観点から推進する今回の改革はその第一歩であると思います。それから、中立機関、取引所などの整備を通じたシステム強化は安定供給に不可欠だというふうに言って差し支えないと思います。
原子力を進めていく際にも、特定の事業者を支援するという発想ではなくて、全国的な市場整備、送電網管理の中で吸収余地を高めるなど、システム全体としての検討が不可欠だというふうになります。
今後の課題でございますけれども、中立機関の公平性、透明性、中立性をどのように確保していくか、また二番目に、卸電力取引市場で公正な価格形成を促すための監視機能をどう導入するか、この二つが入ることによって、仏をつくって初めて魂が入るんだということが言えると思います。
それから三番目に、これは一貫垂直体制を今回維持いたしますけれども、そのことによって、やはり送電線への公正なアクセスがきっちり確保できるようにならなきゃいけません。先ほど三つのポイントを申し上げましたけれども、こういう三つの、情報遮断なり会計分離なり等々でございますけれども、これは、一貫体制を維持するための社会的コストとしてむしろ規制が強化されてきたということも申し上げておきたいと思います。
最後に、都市ガスについてでございますが、都市ガスは、電力と違いまして、同じ公益事業でございますけれども代替財が非常にございます。電力、石油、LPガス、非常に豊富でございます。
そういう意味では電力以上に競争が働いている産業でございますけれども、ただ電力と違って、供給体制を見ますと、大規模企業なり中規模企業、小規模企業が混在しております。また、民間企業と公営企業も混在しております。また、一般ガス事業者と簡易ガス事業者とも併存しております。さらに、導管の未普及地域が存在しております。LPGが二千六百万世帯に供給する、そういう意味で、同じ公益事業といっても電力とかなり違った点があります。
また、ネットワークにつきましては、電力産業の場合ですと全国的に送電網が形成されておりますけれども、導管の場合ですと、全国が寸断されているわけであります。そういう意味では、全国市場が形成されておりません。
したがって、制度改革のポイントは、導管網の整備をいかに促進していくか、そして、全国市場の形成をいち早く達成しなければならないというところが第一点であります。
第二点目は、中小企業が存在をしておりますけれども、いかにして効率的な供給体制をつくっていくかというところに二番目の大きなポイントがあります。
それから三番目、競争財があるといっても、やはり自由化は段階的に進めなければなりません。特に、ガスの場合ですと保安の問題がございますから、したがいまして、電気同様、平成十六年度から五十万立米、平成十九年度から十万立米の自由化をいたします。自由化率は五〇%となります。電力の場合には六七%でございますけれども、ガスの場合には中圧までの自由化をするというふうになっております。
以上のように、ガスにつきましても段階的自由化という考え方に立って、そして需要家にとって利益になるような形での自由化を推進していくというのが今度の改正案の骨子であります。
以上で終わります。ありがとうございました。(拍手)