藤洋作の発言 (経済産業委員会)

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○藤参考人 皆様、おはようございます。電気事業連合会の藤でございます。
 平素、私ども電気事業に対しまして格別の御理解と御指導を賜りまして、厚く御礼申し上げます。また、本日は、このようなチャンスをいただきましてまことにありがとうございます。一般電気事業者の立場から、電気事業法改正案に関する意見を述べさせていただきます。
 最初に私どもの電気事業制度改革に対します基本的な考え方につきまして説明させていただき、次に電気事業法改正案について、そして最後に制度移行に当たってのお願い事項を申し上げさせていただきたい、かように存じます。
 まず、私どもの電気事業制度改革に当たっての基本的な考え方につきまして、二点申し上げます。
 改めて申し上げるまでもございませんけれども、電気という財は経済社会活動に不可欠でございまして、また、他の財への代替性が極めて低い必需品でございます。また、貯蔵が困難なため、消費に合わせて同時に生産される必要がございます。
 こうした電気の財としての特性に加えまして、島国でございます。国土が狭く人口が密集しているといった地理的な条件、少資源国であるがためにエネルギーの輸入依存度が極めて高い、言いかえますとエネルギー自給率が四%と極めて低いという事情、また、需要変動が急峻である、需要が非常に急に変動するという特徴など、自由化を進めている諸外国とは異なった我が国特有の事情がございます。
 電気事業制度の改革に当たっては、これら電気の特性や我が国固有の事情を十分に踏まえ、安定供給の確保を図る仕組みとしていただくことが何よりも肝要というふうに存じます。
 そして、必需品である電気の安定供給を確保しつつ、いかにしてお客様の利益を図るかということが重要であります。
 私どもは、競争原理の導入による電気料金の低下やサービス水準の向上を通じて、お客様の利益、ひいては我が国全体の利益の増進を図ることが自由化の目的であると理解しております。
 我が国の電力自由化は、平成七年の卸発電分野の自由化、平成十一年の小売分野の部分自由化と、過去二回にわたる電気事業法改正によりまして着実に進展してまいりました。例えば、現行制度により自由化されました特別高圧需要のうち、業務用分野の新規参入者のシェアは、これは平成十四年の十二月現在でございますが既に六%強に達し、今後新規参入者の大規模な新規発電所も続々と運転開始の見込みでございますことから、新規参入は着実に進んでいるということができます。
 私ども一般電気事業者も、こうした新規参入者の方々との競争を念頭に、さらなる経営の効率化を進め、電気料金の引き下げを行ってまいりました。平成十年には平均で四・七%、十二年にも五・四%、そして昨年にも五から七%程度の引き下げを行ってまいりましたことに御理解を賜りたい、かように存じます。
 以上、私どもの電気事業制度改革に当たっての基本的な考え方について述べさせていただきましたが、次に、電気事業法の改正案について申し上げたい、かように存じます。
 一昨年から、電気事業分科会におきまして、私ども一般電気事業者も参画して電気事業制度改革について審議され、それを受ける形で、このたび政府から電気事業法の改正案が本国会に上程されたところでございます。
 本改正案は、安定供給の確保と需要家選択肢の拡大により、お客様利益の増進を図るということを目的とするものでございまして、今回の制度設計につきましては、一般電気事業者の発送一貫体制を堅持しつつ、公平、透明な競争を確保するという我が国の実情を踏まえた日本型自由化モデルの方向性を打ち出していただいたものとして高く評価いたしますとともに、先行きの不透明感を払拭するためにも、今回の制度設計についての考え方が長期にわたって持続されるということが望ましいと考えております。
 次に、具体的な制度設計に関しまして、少し意見を申し上げさせていただきます。
 発電並びに送電設備の建設には長期間を必要といたします。電力不足の状況に陥っても、すぐには供給力をふやすことができません。また、周囲を海に囲まれ、海外との送電連系がない我が国におきましては、長期的な需要見通しに基づいて計画的に設備形成を行っていくことが極めて重要でございます。
 諸外国で発電、送電、小売というように機能別に事業を分割した事例を見ますと、各事業者が自己の利益を最大化する行動に出る結果、設備の計画的な整備が進みにくくなるとともに、責任の所在があいまいになって供給信頼度が低下したり、あるいは電力価格の乱高下を招いたりといった問題が見受けられるケースがございます。
 このために、だれが責任を持ってお客様に安定して電気をお届けするか、いわゆる供給責任の所在を明確にすることが極めて重要でございますことから、我が国においては、発電から小売まで一貫した体制で確実に電力の供給を行う責任ある供給主体として、一般電気事業者制度を存続することが適切となったものと理解しております。この考え方は、将来にわたって維持されるべきものであると考えます。
 続きまして、送配電部門の公平性や透明性についてでございます。
 送配電部門を管理運営する立場から、新規参入者との公平な競争環境を確保するために、公平性、透明性確保が重要であることは十分認識しており、会計分離や託送業務の際に知り得た情報の目的外利用の禁止、さらに差別的な取り扱いの禁止につきましては、これまでも自主的に対応してきたところではございます。これらが今回法制化されるに伴い、今後とも、より一層厳格、的確に対応してまいる所存でございます。
 また、あわせて、今回の法改正により、送配電部門に係るルール策定や運用状況の監視等を行う送配電等業務支援機関の設置が予定されておりますが、こうした仕組みを通じて、公平性、透明性がより一層確実に担保されることになると考えております。
 このほかに、今回の制度改革では、電源開発投資環境を整備する観点から、電力取引市場を創設し、さらには需要家選択肢の拡大という観点から段階的に自由化範囲を拡大することが予定されておりますが、これらにつきましても、一般電気事業者として必要な仕組みの構築に全力を挙げて対応してまいる所存でございます。
 しかしながら、消費者の皆様にとって生活必需財であり、代替性が乏しい電気につきましては、自由競争下において、ユニバーサルサービスや最終保障をどう考えるかが重要でございます。
 電気事業分科会答申では、段階的に自由化を拡大し、平成十九年四月を目途に全面自由化の是非について検討を開始することとなっておりますが、その際には、需要家選択肢の拡大と自己責任の関係について、また、ユニバーサルサービスや最終保障のあり方についてきちんと議論し、皆さんの合意が得られることが前提になる、このように考えております。
 以上、今回の電気事業法改正案に関する意見を述べさせていただきましたが、最後に、制度移行に当たって御留意いただきたい事項について、二点お願い申し上げたいと思います。
 まず第一点目は、振りかえ供給料金の廃止についてであります。
 供給区域をまたいで電力を送る際の設備使用料であります振りかえ供給料金は、広域流通の円滑化という政策的要請により解消されることになりますが、料金廃止に際しては、設備コストの公平な負担、設備コストの確実な回収、そして遠隔地域に電源が集中立地することの抑制、この三点に十分配慮した制度設計が肝要であると考えます。
 振りかえ供給料金の廃止は、電源とネットワークの効率的な形成を阻害する懸念があります。今後、もしこのような事態が生じた場合には、柔軟に制度を見直していただくようお願いしたいと存じます。
 二点目は、自由化と原子力の整合についてであります。
 昨年六月に制定されましたエネルギー政策基本法の趣旨は、エネルギーの安定供給の確保、環境への適合及びこれら二つの政策目的を十分考慮しつつ市場原理の活用を図るというものであると理解しております。二十一世紀におきまして、ますます資源制約、環境制約が強まることを考えますと、原子力政策の基本方針を定めた原子力長期計画にございますとおり、我が国におきます原子力発電及び原子燃料サイクルの推進の必要性は不変であり、今後とも、エネルギー政策の基軸であると認識しております。
 また、原子力発電により年間八千二百万キロリットルの原油消費が節約されており、これは我が国の原油輸入量の約三割に相当いたしますが、原子力というオプションがあればこそ、国際的な化石燃料の取引において、我が国はバーゲニングパワーを持つことができるのではないかというふうに思います。
 しかしながら、今後自由化が進展いたしますと、長期にわたって確実にコスト回収を図る必要がある原子力は、特にバックエンド事業につきましては事業期間が超長期にわたり将来の政策面等に不確定な面が残ること、廃棄物処分等に対する制度のうち未整備のものがあることなどにより、長期的な事業推進に対するリスクが増大します。
 私どもは、引き続き、民間として、エネルギー政策の大きな柱でございますバックエンド事業も含めた原子力発電を推進していく所存でございますが、そのためには、民間の事業リスクを勘案しながら、官民の役割分担を見直し、広く薄く、適切なコスト回収を図るような仕組みが必要であると考えております。
 こうした具体的な方策については、早急に検討の場を立ち上げ、できるだけ早く必要な措置を講じていただきますようお願い申し上げます。
 私どもといたしましては、四年ぶりの電気事業法改正という状況を迎え、公益的課題と効率化との両立という自由化の基本理念を踏まえながら、新たな電力供給システムの構築に対応してまいるべく、改めてみずからの社会的役割の重要性を認識しているところでございます。今後とも、御指導、御鞭撻をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 最後に、このたびの電気事業法改正案が、今国会での審議を経て、成立、施行されることを希望する旨申し添えまして、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。大変ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 藤洋作

speaker_id: 17425

日付: 2003-05-13

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会