島聡の発言 (憲法調査会)
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○島委員 日本国憲法第八章の地方自治というのは、第二章とともに新しい憲法に盛り込まれた章であります。この阿部参考人のお話を聞きながら、憲法九十二条にあります地方自治の本旨というか、地方自治というものが本当に実現されつつあるんだなということを感じながら、この前の参考人の意見を聞いていたわけでありますが、この憲法九十二条の地方自治の本旨というのは一体何なのかということがきちっと議論されていないんじゃないかというふうに私は思うわけであります。
憲法九十二条、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。」とあります。この地方自治の本旨、一体何なのか。
合併の話でありますが、例えば、地方自治の本旨というもののグローバルスタンダードというのには、例えばですが、欧州評議会というものがつくった欧州地方自治憲章というのがあります。あるいは国際自治体連合というものがつくった世界地方自治宣言というのがあります。その中で、世界地方自治宣言をとりますと、これは十一条から成り立っているんですが、自治体の境界の変更ということに関しましては、四条で、これは自治体との事前協議があるべきであるというふうにされ、その廃置分合に関しましては、例えばイタリアの憲法などは憲法に規定されていると思います。そういう廃置分合というものに関して、合併というものに関しては、きちんと憲法で規定するほど住民の意思を重要視しなくちゃいけないんだというような、そういう地方自治の本旨というものをきちんと整理して、そして日本全体の市町村の再構成というものを考えていくべきであるというふうに思っております。
今から、今杉浦小委員長のお話があった中の道州制の話を申し上げますが、地方公共団体という言葉は、当初のGHQ案ではローカルガバメントということでありました。ローカルガバメントというのを、日本の方がローカルセルフガバメントというふうにしました。そして、地方公共団体という形に改めたわけであります。
これは、いいこともあります。つまり、ローカルガバメントだけ、地方政府だけのときの案では、その中の、いわゆる市とか県とかいうものを規定されていました、町とか村とか、憲法上に。ところが、地方公共団体という形にして、都道府県とか市町村とかいうことをきちんと明記しませんでしたので、それは立法政策にゆだねられまして、道州制というのを憲法改正することもなくできるというふうに私は解釈しています。
したがって、それはいい点なんでありますが、となると、国の形とか国家の構造というものを考えることなく、単に規模の都道府県合併だけが道州制と言われる危険性すら持つことになってまいります。したがって、これから先、本当に道州制というものを議論すると、今杉浦小委員長おっしゃったわけでありますが、その際には、本当に国の形というものがどうあるべきなのかということをきちんとこの憲法調査会として議論してから道州制論に入っていくべきだと思うわけであります。
それに関しまして、一つ申し上げておきますが、民主党の代表であります菅直人代表が一九九六年十二月六日の予算委員会でした質問があります。この質問は憲法六十五条の行政権の話をしておりまして、憲法六十五条が言っている行政権というものには自治体の行政権は含まれているのか、含まれていないのかという質問をしました。そこで、当時の大森法制局長官が、憲法六十五条の「行政権は、内閣に属する。」という意味は、行政権は原則として内閣に属するんだ、逆に言いますと、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関としては内閣であると。なかなかわかりにくいことを言っているわけですが、これは、地方の行政権が内閣の行政権に含まれ、その一部を譲り受けるということではない、内閣とは別で、独立して持っているものだということを示したというふうに民主党の菅代表はその後の「大臣」という岩波新書で書いているわけです。
具体的に言いますと、地方自治の本旨というのは、国家が後見的な監督の範囲において存在理由があると強調するのは後見的自治観、これに反して、国家といえども侵すべからざる地方自治の原理があると主張するのが自立的自治観、それで、この大森答弁は、国家といえども侵すべからざる地方自治の原理がある、そういうことを言っているんだというふうに、法制局長官の答弁の中で言っておるわけでありますが、これは、法制局の答弁じゃなくて、憲法調査会としてはこうなんだということをきちんと言う必要があると私は思っております。
以上、終わります。