金子哲夫の発言 (憲法調査会)
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○金子(哲)委員 私は、社会民主党・市民連合の金子哲夫です。
国際協力と国連という観点で意見を述べさせていただきたいと思います。
さきの小委員会で、佐藤参考人は、国連はまだまだ未完成な組織だということが指摘をされ、さらに、日本の国内で国連について抱かれているイメージと国連の実態は大変違うということを強調されました。確かに、ある意味ではそのとおりだと言えます。安全保障理事会常任理事国の拒否権の問題など、改革を進めなければならない課題は多くあるのは周知の事実です。
しかし、佐藤参考人も指摘されたように、大切なことは、国連の今果たしている役割であります。国連が憲章でうたう精神と我が国憲法とがどのような関係にあるかということであり、さらに、今日の国際社会にあって、平和と安定にとって国連がどのような役割を果たしているのか、また果たし得るのかということをしっかりと検証することが重要であります。
国連憲章は、その前文で、我らの一生のうちに二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨禍から将来の世代を救うとし、さらに、国際の平和及び安全を維持するために我らの力を合わせると、その平和主義をうたい、さらに第二条では、すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないよう解決しなければならないと、国際紛争を平和的に解決するために最大限の努力を行おうとしています。
まさに平和憲法と同じ精神を持っていると言うことができます。だから、日米安保条約においても国連ということが強調されていると思います。そうした考えと方向性を持って、世界は国連を中心に、世界秩序を維持するために戦後努力を続けてきたと言ってよいと思います。また、国連にその役割を求めたと言えます。特に我が国は、さきに述べた憲法の精神からも、そのような立場に立って、国連とのかかわりを強め、国際協調、とりわけ国連中心主義ということを強調してきたと言えます。そして、その国連に対する期待は冷戦崩壊後一層強まったと言ってもよいと思います。
しかし、今回の米英両軍によるイラク攻撃は、国連決議がないばかりでなく、防衛とはいいながら、先制攻撃を行ったのであり、国連憲章がうたう方向とは相入れないものと言わざるを得ません。イラクへの米英軍による軍事行動は、今世界が求める方向性を否定したものと言わざるを得ません。
その意味では、イラクの戦後復興をどう進めていくのかは、壊された国連の権威を回復し得るかどうかの試金石でもあると言えます。ですから、イラクの戦後復興は国連決議や合意に基づいて進めていくことが重要だと考えています。
今後も、我が国は、国連を中心とした世界の平和と安定をつくり出すために全力を挙げるべきです。
今、我が国においても、イラクの戦後復興に関して、自衛隊を派遣すべきだという議論が進んでいます。なぜ自衛隊なのかと率直に感じます。イラクにおいてアメリカ軍が歓迎されていないということがマスコミでも報道されています。このことは自国に他国の軍隊が進出することを歓迎しないということであり、いまだ新たな政権が確立していない状況であるということもしっかり認識することが大切だと考えております。
大事なことは、国連を中心として枠組みをつくることであり、その上に立って、戦後復興をどのように進めるのか、その課題を果たすために我が国はどのような役割を果たせばよいのかをしっかり議論するということであります。とにかく、まず自衛隊の派遣ありきから出発する論議のあり方に大きな疑問を感じています。大事なことは、今イラク国民にとって最も必要とされていることは何かということ、そして、我が国は現憲法の枠内において何ができるかが政策検討の中心でなければならないはずだということを改めて強調したいと思います。
次に、NGOについて意見を述べたいと思います。
世界的にNGOの活動が大きな役割を持ってきていることは間違いありません。政府外交を補完する意味から、より積極的な人道援助外交としての役割を担うこととなってきていることを考えますと、NGOの活動と政府が進める外交とがより密接にリンクしていくことが重要になっているとも言えます。もちろん、当たり前のことでありますけれども、NGOの独立性と自主性が保障されることは当然なことです。
私たちは、このNGOの活動をより積極的に評価していくことも必要ではないかと考えます。そして、そうした側面をより積極的に受け入れた外交を進めることは、自衛隊の派遣を強調することよりも、憲法の平和主義ともつながっていくように思います。
以上、私の意見を終わります。