春名直章の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○春名委員 日本共産党の春名直章でございます。
国際機関と憲法について議論する上で、やはり、今の中川委員のお話とも結びついた話になりますが、一つは、イラク戦争をどう見て、世界の平和秩序を展望する上でこれがどういう意味を持っているのか。二つは、その中で国連あるいは国際社会の動きをどう見るべきなのか。三つは、日本政府がとった態度をどう評価すべきかということが、国際機関と憲法について議論する上で非常に大事な局面だと考えております。
参考人で陳述をされた元国連大使の佐藤さんが、アメリカの国連に対する態度は、利用しがいがあるときには利用するし、利用しがいがないときには無視とまでは言わないまでも軽視するというふうに陳述をされました。今、その方針が、国防報告などで明らかなように、気に入らない国は国連の決定がなくても先制攻撃を辞さないというところまで進みまして、イラク戦争はそれを実際に実行に移したあしき例になってしまったというふうに思うんです。
今、国際社会が求められているという点について言いますと、アメリカによるイラク戦争を追認するのではなくて、やはりこの戦争の無法性や違法性についてきちっと徹底するということが引き続き大事であります。第二点目は、アメリカはイラク戦争後、シリアやイランや北朝鮮などの名前も挙げて、先制攻撃戦略の発動も選択肢にあるというふうに公言しておりますので、これ以上、無法なそういうやり方は拡大させないということをはっきり国際社会として進めていくことが大事だと思います。第三に、イラクの軍事占領をてこにして石油資源を収奪するなどという企図が語られておりますけれども、その意味では新しい植民地主義と言わざるを得ないような状況があるわけで、こういうことを許さないということが国際社会に今問われている局面だと私は思っています。
第二に、イラク戦争との関係で、国連の役割についてであります。
国連は機能不全に陥ったという議論もあります。しかし、これは大変一面的で皮相的な見方だと考えます。実際、時系列を見てみますと、イラク戦争に至る経過の中で、昨年九月からことしの三月にかけて国連安保理を舞台に大変激しい外交交渉をやられました。超大国の戦争をその意味で半年間食いとめることになったというふうに思います。外交的な戦いで、アメリカは国連の戦争容認の決議を得ようとして各国に圧力をかけましたけれども、国際社会は最後までその圧力に屈することなく、その意味で深刻な外交的敗北という中で戦争に突入するということになりました。
国連が戦争を食いとめるための本来の機能と力を今回ほど発揮したことはないというふうに言えるんじゃないでしょうか。これらは、明々白々なアメリカのあの六〇年代のベトナムへの侵略戦争のときには、ほとんど国連はそういう機能を発揮できませんでしたが、その当時と比較しても、大変大きな歴史的な意味を持つものになっているというふうに考えます。
金沢の地方公聴会が開かれましたが、その中で岩淵陳述人が、国連安保理がイラク攻撃容認の決議を許さない、アメリカが国際社会の正当性を得られなかったことをその意味で強調しました。国連は無力だったんじゃなくて、超大国アメリカの無法な戦争を食いとめるために力を発揮したということで、ここに世界の平和ルールを取り戻していく道があるということを発言されておられました。
さて、最後に、日本政府の態度についてなんですが、この戦争に直ちに支持を表明したことに対して中東諸国民から、例えば、なぜ日本は戦争を支持したのか理解できない、原爆を落とされ、第二次世界大戦で被害を受けた日本こそ戦争の悲惨な実態を知っているはずなのにという批判がなされていることも受けとめるべきだと思うんです。
今の自衛隊の部隊の派遣の問題について言いますと、自衛隊の派兵は、イラク国民の意思に基づく復興という点で考えれば、逆行する事態にならざるを得ないと思うんです。イラク国民の意思に基づく復興というのは国連中心にその役割を果たしてこそ可能になるので、米英軍支援のための派兵ということに今の形ではなりますので、これは有害無益になってしまうし、無法な戦争の上に今軍事占領を行っている米英軍による占領支配に参加することは、その意味で憲法が禁止している武力行使にもつながりますし、今、人道支援で国際機関がさまざまな努力をされていますので、そういう分野で貢献することは大いにやりながら、自衛隊派兵先にありきというやり方には私は異議を唱えるものであります。
以上です。