長勢甚遠の発言 (厚生労働委員会)

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○長勢委員 今回の基準法の改正は、総合規制改革会議の強硬な主張が根底にあったものと理解をしております。総合規制改革会議と当時の厚生省あるいは厚生労働省とでは意見の相違があって、厚生労働省が抵抗勢力としていわれなき非難をされておったということについては私は同情しておるわけであります。しかし、ここに、このたび関係審議会の熱心な議論を経て法案の提出を見るに至ったことには敬意を表しておるものでありまして、当委員会として、この法案が早急に成立する、可決されるということを期待しております。
 そのような経過を踏まえての法案と考えておりますので、法案の中身の前に総合規制改革会議の考え方についてまずお伺いし、確認をしておきたいと思います。
 総合規制改革会議の基本的な考え方というものをまず確認をしたいと思いますが、基本的な考え方は、自己責任と市場原理に立つ自由で公正な経済社会の構築を目指すということにあって、それを踏まえて、雇用労働に関しては、長期的な経済社会の構造変化のもとで労働市場の状況や雇用のあり方は大きく変わってくるということから、一つは、円滑な労働移動を可能とする規制改革、二つ目に、就労形態の多様化を可能とする規制改革、三番目に、新しい労働者像に応じた制度改革、こういうものを推進すべしということで、能力開発ですとか職業紹介ですとか、あるいは労働者の募集、採用ですとか派遣の問題ですとか、有期労働契約、裁量労働制、解雇基準、社会保険制度、個別労使紛争など、各般にわたって提言を行ってこられたと思っております。
 これらの会議の答申に盛られた個別の文言はそれなりにきれいになっておるというふうには理解しますけれども、それを通ずる基本原理は、あらゆる社会システムについての自己責任と市場原理の貫徹、それらの最優先というところにあると思われます。雇用労働についても、そのことが繰り返し強調されてきたと思われます。もちろん、経済社会構造の変化に対応して変えるべきものは変えるのは当然ではございますけれども、雇用労働について市場原理最優先という考え方はいかなものであろうか、この規制改革会議がどういう労働市場、どういう雇用関係にこれからの日本をしようとしておるのか、大いに疑問に思ってきたところでございます。
 私は、企業の生産性の向上維持のためにも、国民生活の安定のためにも、長期雇用を基本とすることが最も適切であると考えております。世界各国ともこの方針で苦労してきておる、こういうふうに思っておりまして、そういう中で、唯一と言っていいくらい日本だけが、日本本来の集団主義文化を踏まえて格段に長期雇用慣行を達成し、各国にうらやまれてきたのが今日である、こういうふうに評価をしております。
 これに対しまして、総合規制改革会議は、従来の終身雇用制の弊害をあげつらうというだけではなくて、長期雇用そのものをも否定して、労働移動の促進に極めて熱心な考え方に立っておるというふうに思われます。しかし、この姿勢というのは、一般には達成し得ない個人の能力開発に対する自己責任を根拠としておる、そしてこれに対応して企業の市場原理を貫徹しようとするものであると思いまして、まさに日本を個人主義文化の社会に変容しようというのが基本的な考え方であると思っております。
 したがって、この総合規制改革会議の目指すところというのは、企業は必要に応じて必要な労働者を外部労働市場から調達する、つまり、必要な労働者を状況に応じて取っかえ引っかえするようにするということではないのだろうか、必要な労働者をアラカルトでそろえて企業経営をするのがいいんだというふうに言っておるとしか思われないわけであります。それで、必要な労働者が確保されないと、つまり、外部市場にいないと、このシステムは動かないということになるわけですから、能力開発、職業紹介、雇用関係法制全般にわたってこの方向での改革を求めるというのが総合規制改革会議の基本的な方向であるというふうに思わざるを得ません。
 こんなことで生産性の高い企業経営というのは行えるんだろうか、またこんなシステムで勤労生活を全うできる労働者はどれだけいるんだろうか、まして、総合規制改革会議の赴くところ、一部の労働市場関連分野の企業本位としか思えないものがたくさんあるわけでありまして、こういうことを考え合わせますと、この方向でどんどんいきますと、日本はどんな社会になるんだろうということを考え、まさに慄然とした思いがいたします。
 きょうは坂統括官においでをいただいておるわけでありますが、統括官の立場上、議論というわけにはいかないのかもしれませんけれども、ずっと総合規制改革会議の議論をフォローされてこられたというお立場から、総合規制改革会議の基本的な考え方についての私の理解に誤解や間違いがあったら、ひとつ御指摘をいただければありがたいと思います。

発言情報

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発言者: 長勢甚遠

speaker_id: 30791

日付: 2003-05-23

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会