厚生労働委員会

2003-05-23 衆議院 全281発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十五年五月二十三日(金曜日)
    午前九時三十四分開議
 出席委員
   委員長 中山 成彬君
   理事 熊代 昭彦君 理事 長勢 甚遠君
   理事 野田 聖子君 理事 宮腰 光寛君
   理事 鍵田 節哉君 理事 山井 和則君
   理事 福島  豊君 理事 武山百合子君
      岡下 信子君    川崎 二郎君
      倉田 雅年君    小西  理君
      左藤  章君    佐藤  勉君
      田村 憲久君    竹下  亘君
      棚橋 泰文君    西川 京子君
      原田 義昭君    平井 卓也君
      松島みどり君    三ッ林隆志君
      宮澤 洋一君    森  英介君
      谷津 義男君    山本 幸三君
      吉田 幸弘君    吉野 正芳君
      渡辺 具能君    家西  悟君
      石毛えい子君    大石 正光君
      大島  敦君    加藤 公一君
      五島 正規君    城島 正光君
      三井 辨雄君    水島 広子君
      江田 康幸君    桝屋 敬悟君
      佐藤 公治君    小沢 和秋君
      山口 富男君    阿部 知子君
      金子 哲夫君    山谷えり子君
    …………………………………
   厚生労働大臣       坂口  力君
   厚生労働副大臣      鴨下 一郎君
   厚生労働大臣政務官    渡辺 具能君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   坂  篤郎君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (厚生労働省厚生労働審議
   官)           大塚 義治君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬局長)  小島比登志君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局長
   )            松崎  朗君
   厚生労働委員会専門員   宮武 太郎君
    —————————————
委員の異動
五月二十三日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     倉田 雅年君
  奥谷  通君     原田 義昭君
  後藤田正純君     小西  理君
  平井 卓也君     左藤  章君
  谷津 義男君     川崎 二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  川崎 二郎君     谷津 義男君
  倉田 雅年君     岡下 信子君
  小西  理君     後藤田正純君
  左藤  章君     平井 卓也君
  原田 義昭君     奥谷  通君
    —————————————
五月二十三日
 健保本人負担を二割に戻すなど社会保障の充実に関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第二二一七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二二一八号)
 同(中林よし子君紹介)(第二二一九号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二二二〇号)
 同(松本善明君紹介)(第二二二一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第二二二二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二二五二号)
 社会保障の拡充、将来への安心と生活の安定に関する請願(小沢和秋君紹介)(第二二二三号)
 同(中山義活君紹介)(第二二二四号)
 同(西村眞悟君紹介)(第二二二五号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第十九条の改正に関する請願(鹿野道彦君紹介)(第二二二六号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二二二七号)
 同(江田憲司君紹介)(第二二四七号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二二四八号)
 乳幼児医療費無料制度の創設に関する請願(中林よし子君紹介)(第二二二八号)
 健保三割負担など医療費負担増の見直しに関する請願(末松義規君紹介)(第二二二九号)
 被用者保険の負担引き下げに関する請願(木島日出夫君紹介)(第二二三〇号)
 同(児玉健次君紹介)(第二二三一号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二二三二号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二二三三号)
 同(藤木洋子君紹介)(第二二四九号)
 あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律の改正に関する請願(金子哲夫君紹介)(第二二五〇号)
 同(川田悦子君紹介)(第二二五一号)
 同(阿部知子君紹介)(第二二七三号)
 同(三井辨雄君紹介)(第二二七四号)
 同(大島敦君紹介)(第二三三五号)
 健保本人三割負担を実施前に戻すなど社会保障制度の拡充に関する請願(阿部知子君紹介)(第二二七二号)
 小規模作業所等成人期障害者施策に関する請願(五十嵐文彦君紹介)(第二三一三号)
 同(石毛えい子君紹介)(第二三一四号)
 同(大出彰君紹介)(第二三一五号)
 同(金子善次郎君紹介)(第二三一六号)
 同(河上覃雄君紹介)(第二三一七号)
 同(小平忠正君紹介)(第二三一八号)
 同(後藤茂之君紹介)(第二三一九号)
 同(今野東君紹介)(第二三二〇号)
 同(佐々木秀典君紹介)(第二三二一号)
 同(田中慶秋君紹介)(第二三二二号)
 同(土井たか子君紹介)(第二三二三号)
 同(中井洽君紹介)(第二三二四号)
 同(中川正春君紹介)(第二三二五号)
 同(楢崎欣弥君紹介)(第二三二六号)
 同(西村眞悟君紹介)(第二三二七号)
 同(樋高剛君紹介)(第二三二八号)
 同(保坂展人君紹介)(第二三二九号)
 同(堀込征雄君紹介)(第二三三〇号)
 同(松原仁君紹介)(第二三三一号)
 同(山内惠子君紹介)(第二三三二号)
 腎疾患総合対策の早期確立に関する請願(大島敦君紹介)(第二三三三号)
 同(栗原博久君紹介)(第二三三四号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 労働基準法の一部を改正する法律案(内閣提出第七七号)

     ————◇—————
この発言だけを見る →
中山成彬#1
○中山委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、労働基準法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官坂篤郎君、法務省大臣官房審議官深山卓也君、民事局長房村精一君、厚生労働省厚生労働審議官大塚義治君、医薬局長小島比登志君及び労働基準局長松崎朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
この発言だけを見る →
中山成彬#2
○中山委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    —————————————
この発言だけを見る →
中山成彬#3
○中山委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長勢甚遠君。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#4
○長勢委員 おはようございます。
 労働基準法改正案の審議になったわけでございますが、今SARS等が大変やかましいわけで、それに関連して、最初に一つだけ御質問させていただきたいと思います。
 去る五月二十一日に東京高裁でいわゆるカイワレ訴訟についての判決が出されたわけであります。判決の趣旨は、O157事件に関連する厚生省の中間報告についての当時の厚生大臣の公表の方法が違法であるということで、国に対し、国家賠償法に基づく千七百万円の損害賠償を命ずるというものと承知をいたしておりますが、そのとおりでしょうか。
この発言だけを見る →
小島比登志#5
○小島政府参考人 御指摘のとおりでございます。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#6
○長勢委員 こういうことであれば、当時の厚生大臣の必要な注意義務を欠く違法な政治的パフォーマンスが国民に理由のない不安を与え、被害を与えたということが高裁の判断として示されたということであります。昨今、SARSとか食品安全など、国民生活における危機管理が重要な課題となっている中で、画期的な判決ということが言えると思います。今後、この判決の趣旨を尊重して、適切な対応をしていくということが厚生行政に求められておる、このように思います。
 そのためにも、行政のメンツに固執をして上告するなどということはあってはならない、こういうふうに考えますが、この判決に対して厚生労働省としてどのように対応する方針か。また、同趣旨の裁判が大阪高裁にも係属しておると聞いておりますが、国は控訴を取り下げるべきであると考えますけれども、このこともあわせてお考えをお答えいただきたいと思います。政府委員で結構です。
この発言だけを見る →
坂口力#7
○坂口国務大臣 今お話がございましたとおり、このカイワレ訴訟につきましては、発表をしたことはいいけれども、しかしその中身が不十分だ、国民に誤解を招くことがあった、こういう内容だったというふうに思っております。
 現在、私も、その当時の中間取りまとめ発表なるものの内容を検討させていただいているところでございます。関係者の皆さん方の御意見も十分拝聴しながら、今後の最終結論をしたいと考えております。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#8
○長勢委員 仮にこの判決が確定をした場合には、国は千七百万円の支払いをしなきゃならぬということになるわけであります。当時の厚生大臣の個人的な違法行為のために税金からこういうものを支払わなきゃならぬというのは、どうも割り切れないものを感ずるわけでございますけれども、損害賠償を払わなきゃならぬということになった場合には、国のどのような予算から支出することになるのか。医薬局長の答弁をお願いいたします。ヤジ
この発言だけを見る →
中山成彬#9
○中山委員長 御静粛に願います。
この発言だけを見る →
小島比登志#10
○小島政府参考人 東京カイワレ訴訟につきましては、国はこれまで法的責任はないと主張してきたところでございまして、この主張が認められておらず、極めて厳しい判決であると考えております。
 今後の対応につきましては、判決の内容を十分精査の上、関係機関と協議の上、大臣の御判断を仰いでまいりたいと思いますし、私どもとしては、まず、上訴をするかどうかというふうな判断のための検討を進めてまいりたいと考えております。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#11
○長勢委員 いや、仮に払わなきゃならなくなったら国のどの予算から出すのかということを御質問したんですけれども。
この発言だけを見る →
小島比登志#12
○小島政府参考人 上訴ということになりますと、すぐ損失補償ということにはならないわけでございまして、私どもとしては、まず、上訴するかどうかというふうな判断を決定していきたいということでございます。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#13
○長勢委員 全く質問に答えておらないので不愉快ですけれども、審議をとめるわけにはいきませんので続けます。
 それでは、今回の労働基準法の改正について議論をしたいと思いますが……ヤジ
この発言だけを見る →
中山成彬#14
○中山委員長 御静粛に願います。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#15
○長勢委員 今回の基準法の改正は、総合規制改革会議の強硬な主張が根底にあったものと理解をしております。総合規制改革会議と当時の厚生省あるいは厚生労働省とでは意見の相違があって、厚生労働省が抵抗勢力としていわれなき非難をされておったということについては私は同情しておるわけであります。しかし、ここに、このたび関係審議会の熱心な議論を経て法案の提出を見るに至ったことには敬意を表しておるものでありまして、当委員会として、この法案が早急に成立する、可決されるということを期待しております。
 そのような経過を踏まえての法案と考えておりますので、法案の中身の前に総合規制改革会議の考え方についてまずお伺いし、確認をしておきたいと思います。
 総合規制改革会議の基本的な考え方というものをまず確認をしたいと思いますが、基本的な考え方は、自己責任と市場原理に立つ自由で公正な経済社会の構築を目指すということにあって、それを踏まえて、雇用労働に関しては、長期的な経済社会の構造変化のもとで労働市場の状況や雇用のあり方は大きく変わってくるということから、一つは、円滑な労働移動を可能とする規制改革、二つ目に、就労形態の多様化を可能とする規制改革、三番目に、新しい労働者像に応じた制度改革、こういうものを推進すべしということで、能力開発ですとか職業紹介ですとか、あるいは労働者の募集、採用ですとか派遣の問題ですとか、有期労働契約、裁量労働制、解雇基準、社会保険制度、個別労使紛争など、各般にわたって提言を行ってこられたと思っております。
 これらの会議の答申に盛られた個別の文言はそれなりにきれいになっておるというふうには理解しますけれども、それを通ずる基本原理は、あらゆる社会システムについての自己責任と市場原理の貫徹、それらの最優先というところにあると思われます。雇用労働についても、そのことが繰り返し強調されてきたと思われます。もちろん、経済社会構造の変化に対応して変えるべきものは変えるのは当然ではございますけれども、雇用労働について市場原理最優先という考え方はいかなものであろうか、この規制改革会議がどういう労働市場、どういう雇用関係にこれからの日本をしようとしておるのか、大いに疑問に思ってきたところでございます。
 私は、企業の生産性の向上維持のためにも、国民生活の安定のためにも、長期雇用を基本とすることが最も適切であると考えております。世界各国ともこの方針で苦労してきておる、こういうふうに思っておりまして、そういう中で、唯一と言っていいくらい日本だけが、日本本来の集団主義文化を踏まえて格段に長期雇用慣行を達成し、各国にうらやまれてきたのが今日である、こういうふうに評価をしております。
 これに対しまして、総合規制改革会議は、従来の終身雇用制の弊害をあげつらうというだけではなくて、長期雇用そのものをも否定して、労働移動の促進に極めて熱心な考え方に立っておるというふうに思われます。しかし、この姿勢というのは、一般には達成し得ない個人の能力開発に対する自己責任を根拠としておる、そしてこれに対応して企業の市場原理を貫徹しようとするものであると思いまして、まさに日本を個人主義文化の社会に変容しようというのが基本的な考え方であると思っております。
 したがって、この総合規制改革会議の目指すところというのは、企業は必要に応じて必要な労働者を外部労働市場から調達する、つまり、必要な労働者を状況に応じて取っかえ引っかえするようにするということではないのだろうか、必要な労働者をアラカルトでそろえて企業経営をするのがいいんだというふうに言っておるとしか思われないわけであります。それで、必要な労働者が確保されないと、つまり、外部市場にいないと、このシステムは動かないということになるわけですから、能力開発、職業紹介、雇用関係法制全般にわたってこの方向での改革を求めるというのが総合規制改革会議の基本的な方向であるというふうに思わざるを得ません。
 こんなことで生産性の高い企業経営というのは行えるんだろうか、またこんなシステムで勤労生活を全うできる労働者はどれだけいるんだろうか、まして、総合規制改革会議の赴くところ、一部の労働市場関連分野の企業本位としか思えないものがたくさんあるわけでありまして、こういうことを考え合わせますと、この方向でどんどんいきますと、日本はどんな社会になるんだろうということを考え、まさに慄然とした思いがいたします。
 きょうは坂統括官においでをいただいておるわけでありますが、統括官の立場上、議論というわけにはいかないのかもしれませんけれども、ずっと総合規制改革会議の議論をフォローされてこられたというお立場から、総合規制改革会議の基本的な考え方についての私の理解に誤解や間違いがあったら、ひとつ御指摘をいただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →
坂篤郎#16
○坂政府参考人 必ずしも誤解や間違いということではないんだろうと思いますが、御指摘になりましたような立場から、総合規制改革会議での議論をちょっと御紹介をさせていただきたいと思います。
 総合規制改革会議は、十三年十二月の第一次答申あるいは昨年十二月の第二次答申でさまざまな分野について答申をいたしておりますけれども、雇用労働市場についても答申をいたしたわけでございます。
 その答申の考え方を御紹介させていただきますと、経済とか社会がいろいろ構造変化をしている、そういうもとで労働市場もあるいは雇用のあり方も現実も大きく変わっている、そういうことも考えて雇用や労働市場をめぐる規制のあり方も変化すべきではないだろうか、こういう問題意識かと存じます。
 やや具体的に申し上げますと、例えば、経済が非常にグローバル化して競争環境が激化している、あるいはITなどの新しい技術革新というのもあった、そういう中で個別の企業とか産業とかの栄枯盛衰のテンポも非常に速くなっていて、場合によると人間の一生よりも企業の一生の方が短いというようなこともある。そうしますと、一企業で雇用を保証するというのもなかなか現実には難しいというケースもたくさんあるだろう、こういうことでございます。そうすると、労働市場全体として雇用を保証するという考え方に移行していかなくてはいけないんじゃないだろうかということでございます。
 また同様に、個人の側でも、いろいろな専門能力を有するホワイトカラー層ですとか、あるいはパートタイムで働きたいという人たちですとか、あるいは派遣がいいんだという人たちとか、個人の働く方の側の望みというか需要の方もいろいろなタイプの方が出てきていらっしゃる、こういうこともございます。
 そういうようなことから、就労形態もだんだん多様化しておりますし、その多様化を可能とするような規制改革というのも必要なのではないだろうか、そういうような観点から、職業紹介規制でございますとか、さっき先生が御指摘になりましたようなさまざまな規制改革を提案したということでございます。
 別に長期雇用慣行をいけないと言っているわけではございませんで、さまざまなスタイルがあっていいのではないだろうか、それが経済社会構造の変化に対応した規制なのではないだろうかという考え方かというふうに承知いたしております。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#17
○長勢委員 今おっしゃったように、専門分野が出てきたとか企業のいろいろなスパンが短くなったとか、いろいろなことがありますが、それに対応するあるいは多様な働き方に対応していくということが必要な部分が全くないと私も思っているわけではありませんけれども、それに事寄せて、それを奇貨としていろいろなことを言い過ぎである、逆にそれが中心であるかのごとき提言がどんどんなされておって、その根底には先ほど申し上げたような基本的な戦略があるのではないか、こういうことをそのまま許しておると日本の国はどうなっていくんだろうということを私は指摘をいたしたいわけであります。
 総合規制改革会議での議論には厚生労働大臣も大変御苦労いただいておると承知をいたしておるわけでありますけれども、これからの日本というのは労働で支えていかなきゃならないわけで、その労働のあり方をきちんとしたものにしていくために、さらに御努力をいただけるものと期待をいたしております。
 総合規制改革会議の基本的な考え方について、今私も意見を申し上げましたし、坂統括官からも御答弁があったわけでございますが、ここでの議論について、厚生労働大臣からもひとつ御感想でもあれば、お伺いをさせていただければありがたいと思います。
この発言だけを見る →
坂口力#18
○坂口国務大臣 長勢議員の御主張になりましたこと、私も考え方といたしましては大きく違わない、そんなつもりでおります。
 いつかもここで申し上げましたとおり、これから、雇用というものを重視していかなければならない、そういう社会になってくるというふうに思っております。その中で、日本が現在の経済状況の中で労働生産性を高めていかなければならないことは紛れもない事実だというふうに思いますが、その労働生産性を高めるためには、技術の開発でありますとか、新しいシステムの開発でありますとか、そうしたことによってこれは高めていくべきものであって、労働条件を悪化させる、あるいは労働時間の延長を行わせる、そうしたことによって労働生産性を上げていくというのは、これは少し本末転倒しているのではないかと実は思っております。
 したがいまして、労働者の働く条件を守りながら、そして、一方において、技術開発によって他の国々に打ちかっていく、そういう方向性を日本は打ち出さないといけないのではないか。そちらの方の規制改革が必要ならば、私はどんどんやっていただいて結構というふうに思っておりますが、どうも現在の規制改革、そうした経済に対します規制改革のことが余り少なくて、十項目ぐらいあります中で、六項目も七項目も厚生労働省に関することが列挙されているというのは、いささか偏り過ぎていないかと私も考えております一人でございます。それは、経済諮問会議におきましても率直に私の意見を述べているところでございまして、これからも述べ続けさせていただきたいと思っているところでございます。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#19
○長勢委員 労働に絞って、規制改革会議の議論というか、話をさせていただきますと、今大臣おっしゃったように、私は、企業経営の生産性を向上する基本は、基本的には長期雇用慣行が一番ベストである、こう思っておりまして、しかし、従来、終身雇用制の弊害も徐々に出てきている部分もありますし、その長期雇用慣行をどうやって再構成していくかという観点からのいろいろな議論は、当然みんなで、労使協力してやっていくべきことだと思っておりますが、一部の、ある種少数の、ある種特殊な専門職の方々だとか、そういう方々を中心にした、それを前提にした、そういう社会にしようというがごとき議論というのはまことに不適切、社会の実態からかけ離れた間違った思想だと私は思っております。大臣にも御理解をいただいておる部分が相当あるようでございますので、何とぞ今後ともひとつ頑張っていただきたい、心から御期待を申し上げる次第であります。
 そこで、基準法改正の内容について、若干の質疑をさせていただきたいと思います。
 今回の改正は、有期労働契約、あるいは解雇ルール、あるいは裁量労働制についての三点が主な内容だと思いますが、まず、有期労働契約関係について御質問させていただきます。
 有期労働契約期間の上限延長でございますけれども、こういう改正を行う趣旨、目的というのは何なんだろうか。今までの私の質問とも絡みますけれども、どうもこの趣旨、目的というのは、専門職などについて働き方の選択肢をふやすとか、雇用機会の拡大を図るとかということがうたわれておるようでございますけれども、どれほどの必要性がそのことのためにあるのかということについて、私は極めて疑問に思っております。そんなことだから、この規定がリストラのために使われるのではないかという無用の批判まで出ておる始末なのではないかと思います。
 技能、技術などの変化の中で、三年の有期労働契約が適切な場合ということが生じておる、にもかかわらずそれを法律で縛るというのでは困る、合わなくなっているということがあり得るということは十分理解できます。したがって、今回の改正は、そのような例外的な場合に対処するための法改正であるというふうに理解すべきものと考えます。
 この改正によって、リストラの方策として有期労働契約への切りかえが行われたり、あるいは期間の定めのない契約による長期雇用は例外というような風潮が生じたり、三年契約が当然というような採用が行われたりというようなことは、私は起こってはならない、また、そういうことが起こらないように改正の趣旨の徹底が一番肝要だと思います。もし間違ってそういう風潮が起こるということになれば、健全な経営の上からも決してよいわけではありませんから、そういう誤解が生じないように経営者団体からもきちんと指導させるべきだと思っております。
 基準局長にお伺いしますが、この改正の施行に当たって、今私が申しました問題点というか、理解の徹底についてどのように対応されていく方針か、お伺いをさせていただきます。
この発言だけを見る →
松崎朗#20
○松崎政府参考人 まず、今回の有期労働契約の上限の延長の影響でございますけれども、これはまず基本的に私どもが考えておりますのは、各企業におきましていわゆる常用労働者と有期契約の労働者、これをどういうふうに組み合わせていくかということは、やはりそれぞれ企業の事業戦略、そういったものを遂行していくための人材戦略として考えられていくわけでございまして、人員構成でございますとか配置、キャリア形成のあり方などいろいろなものを総合的に判断して進められていくというふうに考えております。したがいまして、法律制度上、この上限を延長されたからといいまして、直ちにそれが個々の企業につきまして常用からの代替が起こるということは少ないんじゃないかというふうに考えております。
 確かに、御指摘のような懸念につきましては、本案を検討いただきました労働政策審議会におきましても、そういった御指摘のような懸念が表明されたわけでございますけれども、これに対しまして、使用者側の委員の方からは、やはり企業においては基幹労働力というのは基本的に期間の定めのない雇用としておって、今回の見直しに伴ってそういった基幹労働者の方、これを有期労働者にかえるということは、企業という組織を健全に運営していく上からもそういったことは普通考えられないといったような意見表明もございました。
 ただ、公労使一致しての建議におきましても、この上限を延長することに伴いまして、企業におきまして、期間の定めのない労働者、こういった方を、合理的な理由がなく有期労働契約に変更することがないようにすることが望まれるといった建議もいただいております。したがいまして、御指摘のように、この制度の趣旨、そういったものにつきましては、この施行に当たりまして、どういう具体的な方法、そういったことについてこれから検討していきたいというふうに考えております。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#21
○長勢委員 今回の法案はそういう趣旨のものとして、私も賛成をしておるわけでありますが、誤解もあるようでありますし、どうしても法律についてしゃくし定規に読む人が出てくるといろいろなことが起きますから、今御答弁になった趣旨、特にこれは例外的な話なんだよということは徹底して御指導いただくようにお願いをしたいと思います。
 次に、解雇ルールについて、若干質問をさせていただきたいと思います。
 解雇については、労使それぞれ全く相対立する、片一方は自由に解雇したいということでしょうし、片一方はめったやたらに解雇されては困るというか、解雇は制限をしてもらいたいということでありますから、その中に立って、最高裁の判例でルールを形成してきたというのが今日までだと思います。今回の改正はその判例を法文化をするものでありまして、現下の雇用不安のもとで法律上もこのことを明確にしておくということは、不当解雇を防止する上でも時宜を得たものだと思っております。
 ただ、この条文というか改正をめぐっては、大変多くの議論が見られるわけであります。基準法というのは基本法ですから、そういうことは仕方がないのだなとは思いますけれども、正直言って、どうも議論が法律家中心の法律論に偏しておるというか、それに偏っておる。どれだけ実態に関係のある議論が行われているのかなと疑問に思うこともあるわけでございます。
 現実には、経営者の中には、不況の中で、金輪際解雇はできないのだと思い込んで大変困っておるという人もおられますし、一方、労働者の中には、いつ不当に解雇されるか冷や冷やしているというか、不安に思っておられるという方も見られるわけであります。まして、最高裁判例の四条件とかといったようなことを理解しておる向きというのはほとんどおられないのではないかと思います。そういう中でのこの法改正であります。ぜひ、この改正を契機に、解雇に関するルールの周知を図るということが、労使ともの不安を解消するという上で極めて大事なことだと思います。
 ところが、この改正によって、間違うと、解雇は何でも自由にできるんだという経営側の誤解が生じたり、あるいは、解雇というのは今までよりもきつく制限されるようになったんだという誤解が生ずるというようなことがあっては、私は、大変趣旨に反する、間違ったことが起こる、このように思います。
 せっかくの改正が労使双方にきちんと理解されて、労使ともに、解雇についての最高裁判例が形成してきたルールがきちんと徹底できれば、まことに効果があるというか、この改正の意味があるわけでありますから、こういうことについての周知徹底について特段の方策を講じていただきたいと思いますが、どういう対応を考えておいでになるか、お伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
松崎朗#22
○松崎政府参考人 御指摘のように、解雇に関しましては、労使、非常に意見の隔たりがございました。ただ、そういった中で、具体的に検討いただきました労働政策審議会におきましても、少なくとも唯一一致いたしましたのは、解雇が労働者に与える影響の重大性、それから解雇に関する紛争が増大している、こういった現状にかんがみて、とにかく解雇に関する基本的なルール、そういったものをあらかじめ明確にすることによりまして、解雇に際しまして発生するトラブル、こういったものを防止して、その迅速な解決を図るということが必要であるということは一致したわけでございます。
 そのためにどうするかという方策でございますけれども、これは御指摘のように、現在、昭和五十年のリーディングケース以来三十年間定着しておりますいわゆる解雇権濫用法理というものを、これは俗に言えば足しもせず引きもせず、そのまま立法化すべきじゃないかという御提言をいただいたわけでございまして、その趣旨を、趣旨といいますか最高裁判例、この解雇権濫用法理を立法化するに当たりまして、これは御指摘のように、かなり法技術的な面がございました。そういったことからいろいろ誤解を生むといった面もあろうかと思いますけれども、そういった誤解のないよう、この法制化に当たりましては、特にこれは基準法の中に書くということになりますと、やはりいろいろPRも積極的にできますし、また、私ども現場の監督署におきましても、最終的な無効かどうかの判断というのは裁判所になるわけでございますけれども、具体的な説明、そういったものも積極的にできますので、労使双方に誤解のないように、きちんと周知徹底というのは図っていきたいというふうに考えております。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#23
○長勢委員 質問時間が終了したようですが、ちょっと一言だけ。
 今の御説明は、最高裁の判例をそのまま条文化をしたという説明だったと思うのですけれども、何かいろいろな議論が世の中にあるようですが、最高裁の判例と違う考え方があって、そういう反対の議論もあるのでしょうか。それだけ教えてください。
この発言だけを見る →
松崎朗#24
○松崎政府参考人 解雇に関するルールといった場合に、もちろん現在では御指摘のように最高裁におきます確立しております解雇権濫用法理というものがありますけれども、これは逆に、政策論といたしましては、例えば解雇制限法のように、正当な理由がない場合には解雇できないといったような立法例も諸外国にはございます。そういったように、政策論としてはいろいろな法がございますけれども、現状において労使当事者が一応納得をしてといいますか、理解をして進められるものとして、解雇権濫用法理を条文化するという道を選んだわけでございます。
この発言だけを見る →
長勢甚遠#25
○長勢委員 どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
中山成彬#26
○中山委員長 次に、桝屋敬悟君。
この発言だけを見る →
桝屋敬悟#27
○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。久々にこの委員会で質疑を行わせていただきます。
 いよいよきょうから労働基準法の一部を改正する法律案の審議が始まったわけであります。この国会で、労働界といいますか、今連合の皆さんや、最大の関心を持って見ておられる法律の一つがやはりこの労働基準法ではないか、こう思っております。
 今回の改正は、少子化による労働人口の減少、あるいは経済の国際化であるとか、あるいは情報化等の進展によりまして、産業構造が変化をしておる、あるいは労働市場が変化をしておる。そうした変化の中で、経済社会や労使の要請にこたえるものとして今回の改正案が準備をされたものであるというふうに理解をしております。
 こうした変化の時代にあって、この法律の今回の改正の心といいますか、どのような経済社会あるいは労働市場を志向しておられるのか、そのあたりから、先ほどの長勢委員の議論でもありましたけれども、厚生労働省サイドから、まずその基本についてお伺いしたいと思います。
この発言だけを見る →
鴨下一郎#28
○鴨下副大臣 今委員おっしゃっていますように、まずはとにかく、現在、経済が国際化して、そして個人そのものの意識も、さまざまなライフスタイルでそれぞれお考えになっている、こういうようなことでありまして、ある意味でさまざまな状況が大きく変化していく、こういうような中で経済の活力を維持していかなければいけないわけでありますし、さらに、先生御指摘のように、産業構造そのもの、それから企業活動の変化、そしてさらに労働者そのものの就業意識の変化、こういうようなものに対応していくというようなことを大前提としまして、個人が持てる力を有効に発揮できる、こういうような社会を志向していく、こういうようなことが前提になっているんだろうというふうに思います。
 その中で、今回の基準法の改正は、労働者が主体的に多様な働き方を選択できるようなさまざまな可能性を拡大しよう、こういうようなことと、もう一つは、働き方に応じて適正な労働条件を確保できる、こういうような観点から改正を行おう、こういうようなことでございます。
この発言だけを見る →
桝屋敬悟#29
○桝屋委員 ありがとうございます。
 最初に申し上げましたけれども、今大変な変化の時代であるというふうに私は思っております。先ほど長勢委員の議論の中でも、やはり変化に応じて法律も変わっていくということはあっていいわけでありますが、ただ、その方向性が問われているんだろうと私も思っております。
 先ほどの議論ではありませんが、自己責任、それから市場原理のみの発想で法律改正が進むということはこれは慎重でなきゃならぬ、そこはしっかりこの委員会で今回の改正について審議をしなければならぬというように思います。
 今も副大臣がおっしゃったように、選択の幅が広がるといいますか、多様な働き方ができるということが一方では確かに求められている。ただ同時に、そうした非常に変化に富んだ労働市場の中で、やはり適正な労働基準といいますか労働環境というものが用意されなきゃならぬ。ここは本当に二つのバランスが非常に難しい点だな、こういうふうに思っております。
 それで、きょうは時間も限りがありますから、一つは解雇ルールの法制化の問題、それから裁量労働制、それから時間がありましたら有期労働契約の期間の問題、この三点に絞って議論をさせていただきたいというふうに思います。
 最初に、解雇ルールの法制化であります。
 先ほどの長勢委員の議論でもありましたように、今回、解雇ルールの法制化ということが一つのテーマであります。今回の改正の最大の論点だろうというふうに私は思っております。
 解雇をめぐる紛争が多く発生をしておるという話をよく聞くわけでありますが、まずは現状について、この紛争の状況について御報告をいただきたいと思います。
この発言だけを見る →
← 戻る