森地茂の発言 (国土交通委員会)

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○森地参考人 おはようございます。森地でございます。このような場で意見を述べさせていただくことを大変光栄に存じます。
 時間が限られておりますので、お手元にメモを用意してございます、ごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
 最初に、ちょっと迂遠ではございますが、後ほどの論理展開上、戦後の社会資本整備について私がどういうふうに考えているかということを一ページ目にまとめてございます。
 御承知のとおり、戦後、荒廃したこの国土を復興するという目的、それから、次々に出てきます社会的ニーズにこたえるために、そこにありますようなもろもろの対応がなされてまいりました。
 ここにある五つの目標、少し単純化してはございますが、五つの目標にそれぞれの分野で対応してきた。
 例えば、旧建設省の都市局は都市化という問題、大都市への人口集中という問題がございましたし、道路局はモータリゼーションに、河川局は洪水対応あるいは災害対応に、こういう格好で、いわばそれぞれの目前の課題にこたえることに一生懸命やってきた、こういうことではないかと思います。
 戦後、財政的に大変厳しい状況下で、しかも、ODAが今のようにきっちりしてなかった、そういうときに、日本特有の制度、具体的には受益者負担を極めて重んじるような制度をつくり上げてきたわけでございますが、当初の十年ぐらいはその枠組みをつくるのに模索していた、こういうふうに理解をしてございます。
 その後、一九五〇年代の後半ごろから、社会資本整備をすれば地域構造が変わっていって、農業も漁業もあるいは新たな産業も成立していくような時代になりました。そういう時代が約三十年から四十年間続いたと考えます。言ってみると、地域づくりが大変単純に見えた、そういう、国際的に見ますと大変幸せな時代を過ごしてきた、こういうふうに理解をしてございます。
 その間、特に、一九七〇年代に入りますと欧州、それから八〇年代になりますとアメリカが、経済的に大変厳しい状況になって、そこからどうやって経済的に復興するかということが大きな課題になりました。もちろん発展途上国も、テークオフするのにどうすればいいかということを模索したわけでございます。そういう国々では、どのシナリオもリスクが伴いますし、意見がいろいろ分かれます。しかしながら、ある種のシナリオを選定して一定期間継続することによって、それを、いい選択をし、しかも継続をできた国だけが復興できた、こういう歴史だったのではないかと思います。日本が地域づくりが単純に見えたのと非常に対照的ではなかったかと思います。
 そういう時代を経て、社会資本整備に対するいろいろな批判が出てまいりました。そこにございますように、非効率とか公共事業依存型地方経済ですとか資源配分が適正かとか、あるいは発注入札制度の問題はないかとか、こういうことでございます。こういうことに対応するために、いろいろなスキーム、仕組みが、この数年間、ようやく整備されてきた、こういうふうに理解をいたします。
 社会資本整備の意義の変化としましては、個別社会資本整備の時代から社会資本間の調整が強く求められた時代を経て、今は、地域づくりのシナリオのもとで社会資本を選択していく時代に入っている。こういうことにうまく対応できるのかということが求められ、今回の法案も、そういう背景のもとに成立しているのではないかと思います。
 二ページ目でございますが、長期計画の意義に関しましては、もう言うまでもなく、長期、中期、短期の計画を持たない国はないわけで、それぞれの国がそういうものを持っております。
 その意義は、各分野の計画の整合性を保つとか、あるいは民間も含めた各国民が、この地域がどうなるか、社会資本がどうなるかということを見て長期的な意思決定ができる、あるいは歴史的な判断とか毎年の社会状況の判断とか、各時間レンジでの評価を各時間レンジの計画に際して行うとか、あるいは時系列でマネジメントをする、具体的には、手順前後が起こらないようにきちっとした意思決定をしていく、こんな意図を持っているのかと思います。
 しかしながら、この数年間、長期計画は要らないかのごとき議論をマスコミ等で拝見いたします。公共事業配分の既得権化とか分野別配分の固定化とか社会経済の変化への対応力の低さとか、こういう視点からの御批判ではないかと思いますが、計画論として長期計画を否定する論理性はない。つまり、長期計画が悪いのではなくて、それにかかわる、つまり、計画策定時とかそれに参加する時期とか、あるいは、その計画を実行する時期の意思決定の問題と長期計画自身の問題は、また別の問題と私自身は理解をしてございます。
 そんなことも踏まえて、社会資本整備重点計画法案でございますが、長期計画の策定は意義があることでございます。法案を拝見いたしますと、事業間の整合性、連携を確保した体系的な取り組みが可能になっておりますし、事業執行の計画性、効率性等の確保のため、適切な進捗管理が可能になっている、アウトカム指標を設定することで国民にもわかりやすい計画になっている、あるいは国民に対する説明責任を果たす手段としての方針も規定をされておりますし、国と地方公共団体共通の目標設定をする、こういう枠組みにもなっている。こういう意味で、長期計画の策定を意義あるものとして動かすような枠組みになっていると理解をいたします。
 二番目に、分野別計画を廃止し一本化する、こういうことでございますが、これは大変適切なことで、政策目標達成のための事業間の横断的取り組みですとか事業分野別の重点化、効率化ですとか、あるいは空間計画をきちっとこの社会資本と整合させるとか、こういう枠組みができ上がっていると理解をいたします。
 三番目に、社会資本整備の共通的諸課題への取り組みの明示、この方針が示されております。例えば、地域住民の理解確保、コスト削減、時間管理概念の導入、透明化確保、事業評価、入札制度、以上でございます。
 このような観点から、本法案及び社会資本整備重点計画法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に賛成するものでございます。
 公共事業基本法案についてでございますが、こういう法案を先駆的に御提案になったことに敬意を表したいと思います。こういうものが今まさに求められていると理解をいたします。ただ、社会資本整備重点計画法案と本質的な差異は少ないと拝見をいたしました。
 少し批判的なことを申し上げますと、民主党案は、社会資本に関する最近の批判への対応に重点が置かれて、我が国が求められている地域づくりに関する方向性に照らしてやや自由度が少ないかな、こういうふうに読ませていただきました。例えば、全総法の改正ではなくて廃止を前提とするというお考え、計画の国会承認を前提とすること、あるいは事後評価も含めて、事業前の評価、再評価と同様に規定していること等々でございます。
 なお、本法案適用上の課題として、そこにございます四つの点を提起したいと思います。
 一つは、新しい国土計画制度との関係でございます。
 新しい国土計画とか土地利用計画、これについて今議論が進んでいると認識してございますが、そういうものと社会資本整備計画は地域づくりの両輪でございまして、それぞれの分野で調整をしていく、こういうことが大変重要でございますので、この法律を実際に運用するに当たっては、どうそれを調整していくのかということを十分お考えいただきたいということが第一点でございます。
 第二点は、公共投資と民間投資についてでございます。
 もちろん、社会資本整備計画でございますから、公共投資についてのものが中心になろうかとは思いますが、特に外国と比べまして、日本の公共投資に関する迅速性の欠如が大変顕著であると認識してございます。民間が資本回収について大変早く回転するような格好で世界じゅうが動いているときに、それとどうも公共投資の速度が合わない。このミスマッチが日本のいろいろな地域づくりに問題を起こしているような気もいたします。競争力の問題としても問題かと思います。それから、PFIとかPPP、公と民の関係についてのいろいろな制度的枠組みが出てございますが、これを計画の実施に当たって十分推進していくことが重要かと思います。
 それから三番目は、各段階の計画の位置づけと内容についての整合でございます。
 長期、中期、短期の計画、あるいは構想計画から実施計画に至る各段階の計画制度の問題、時間レンジの問題、あるいは社会資本整備と各種地域づくり施策、ソフト施策も含めたものでございますが、これらとどういう格好で整合させて運用するかということが大変重要かと思います。例えて言いますと、長期計画の評価とプロジェクト評価はどういう関係にあるのかとか、あるいはプロジェクト評価と各ソフトも含めた施策の評価とをどういうふうに整合させてしていくのか、こんなことが大変重要かと思います。
 最後に、関連する法律として、条件不利地域のバックアップをするための制度がたくさんございます。過疎法とか離島法とか半島法とか、もろもろございます。こういうものをすべて見ますと、要するに、公共投資の自己負担率を下げるところにだけ重点があるような気もいたしますので、こういうものの内容を、そういう地域をこれからどうしていくのかということについてもう一度考え直すことが大変重要か、こう考えている次第でございます。
 ちょっと時間が長くなって恐縮でございました。どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 森地茂

speaker_id: 22922

日付: 2003-03-11

院: 衆議院

会議名: 国土交通委員会