五十嵐敬喜の発言 (国土交通委員会)
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○五十嵐参考人 五十嵐です。
私は、きょうの法案について、議員立法も出されておりますが、両方あわせて私の意見を述べさせていただきたいと思っております。
長らく公共事業を見てまいりましたけれども、公共事業に関しては本質的な改革が不可避だと私は考えております。その理由は、大きく言って、レジュメに基づいてお話し申し上げますと、一つは、財政危機について非常に大きな責任を持っている分野がこの公共事業であるということであります。二番目は、環境破壊が進んでおりまして、日本のかつての美しかった国土がぼろぼろになっておりまして、この環境破壊の点からも日本の公共事業を見直す必要があるということであります。三番目は、皆さんとも大変関係が深いわけでありますけれども、やはり政治腐敗の根源にこの公共事業がなっている。この三点から、公共事業改革は不可避であると私は考えております。
なお、一方で、特に小渕内閣以降、公共事業については、経済効果やあるいは雇用の確保という観点から政府側でも一時推進した時期がありましたけれども、経済効果についても雇用効果についても、最近は格段にその効力が薄れているということを御配慮していただきたいと思います。
そこで、本質的な改革案について幾つか大づかみに論点を提出させていただきたいと思いますけれども、一つは、公共事業のトータルの費用というものについて、もうちょっと計画的にコントロールすべきではないかということであります。
世界各国の統計が出ておりますけれども、いわゆるある一定のインフラの整った各国では、GDPに比較して二ないし三%ぐらいというのが公共事業のトータルの費用であります。同じような基準に基づいて日本を算定いたしますと八%程度になっておりまして、これは徐々に欧米に近づくように減らしていく必要があるだろうということであります。政府も、小泉内閣になって、一時この問題を取り上げておりましたけれども、最近の不況のために、またこの指標があいまいになってきていることは非常に残念であります。
二番目は、きょうの主題とかかわる問題でありますけれども、いわゆる公共事業のシステムというものについて抜本的な改革を加える必要があるということであります。
公共事業のシステムの日本的な特徴を申し上げますと、開発万能のコンセプトのもとで、中央集権的に、とりわけ官僚という人たちが主導的に公共事業計画を策定し遂行してきたというところに、世界に例のない中央集権的な構造を見ることが出てくると私は思っております。
その一つが、きょうの問題になっております、いわゆる公共事業に関する中長期計画の問題でありますし、さらに言いますと、その全体像を示す全国総合開発計画の問題点であります。先ほどの森地参考人とは少し意見が異なりますけれども、私自身は、一たんこれをすべて廃止すべきであるというのが私の意見であります。
では、どうするかということでありますけれども、公共事業そのものについて、もっと抜本的に別な観点から、今言いました官僚支配による開発志向のコンセプトから、むしろ自治とか地域とか情報公開とかあるいは参加の観点から、事業そのものを見直すべきであるというふうに考えます。大きく言いますと、今までのような国の直轄事業、補助事業、自治体の単独事業というシステムそのものをもう抜本的に考え直す時期ではないかというのが私の意見であります。国の行うべき公共事業と自治体の行うべき公共事業に二分いたしまして、補助金に基づく補助事業というものを廃止する、いわゆる三分割から二分割に変えるということが必要だというふうに考えております。
なお、補助事業を廃止すべきだという理由については、それぞれ、縦割り行政だとか自治体の中央省庁に対する追随だとか、あるいは利権とかということがありますので、これを廃止すべきだという理由はもう詳しく申し上げません。
そこで、きょう出されている法案を見ますと、政府側の提案に係る社会資本整備重点計画法と民主党提出に係る公共事業基本法は、いわば国の行うべき事業についての法のあり方ということについて政策競演をやっているものと理解いたします。もう一つ大きく言いますと、今度は自治体の行うべき公共事業に関する新しい法案をもう一本準備すべきであるというのが私の提案であります。
そこで、国の行うべき公共事業について幾つか、野党議員立法に係る法案との比較について私の意見を述べさせていただきます。
まず、今回出されている政府法案の対象でありますけれども、これはすべて国土交通省のみでありまして、農水省その他の事業との関係性がここも縦割りになっております。できれば公共事業、公共事業基本法案ではこれはすべてが対象になっておりますけれども、一括して対象にすべきである、縦割り行政を残すべきではないというのが第一点であります。
二番目、これが最大の論点でありますけれども、今回の社会資本整備計画は、やはり従来と同じように、閣議決定のみで最終決定が行われております。民主党法案は、これは国会承認にかけているわけですけれども、ここが、法的に言いますと最大の論点ではないかというふうに思います。
国民の生活に最も大きな影響を持ち、かつ莫大な税金が投入される公共事業の計画について、なぜ国会の皆さん方が自分たちで考えるあるいは討議するということを放棄しているのか、私には理解できません。国会とはそもそもどういうものであるかという根源にかかわる大きな論点がここに含まれているように思います。昭和三十年以降の中長期計画はすべて、漁港法を除きまして閣議決定で行われてきましたけれども、これが最大の失敗であったと私は思っております。
それから、今言いました国の事業と地方自治体の事業についても、今回の社会資本整備法案によりますと無制限であります。これは国の事業についてはそろそろ限定をして、役割分担をした方がよろしいと思います。
それから、公共事業の評価に関しましても、ここも自己撞着に陥っているだろうと私は思います。
政府法案の中でも、最近の批判を受けまして、評価という概念が大分入ってきておりますけれども、だれが評価するかということに関しまして、相変わらずこれは官庁内にとどまっておりまして、第三者の目による評価というのはございません。公共事業基本法によりますと、これを正確に、五年、十年あるいは事業再評価後二年に分けまして、第三者の目で、その成果について公表する、審査をする、評価をするということになっておりまして、これは評価の問題の基本的な原則について、社会資本整備法の方が誤っていると思います。
それから、法的な観点と少しずれるかもしれません、この法案全体をだれが所管するかということであります。これは国土交通省が自分で所管するということでありますけれども、公共事業全体、特に省庁を超える新しい計画を立てる場合には、内閣府に置くべきではないかというふうに私は思います。
もう一つ、今後ぜひ先生方に検討していただきたいものとして、地方自治体の行うべき公共事業について、従来の仕組みとは全く変わる新しいシステムを導入すべきであるというふうに思っております。とりわけ、今、地方自治体では議会が行われておりますけれども、公共事業についてはどこでも悪戦苦闘しております。大きいある顕著な自治体では、四年ぐらいの間に公共事業を半分、五〇%削減するなどという状態に追い込まれておりまして、これが地方の経済や地方の事業について、物すごい影響力を与えております。これを従来のように、いわば補助金絡みで細分化されたシステムでやっていくことはほとんど不可能になっておりまして、抜本的な地方自治体における新しい公共事業の取り組み方、システムを考える必要がある。
ちなみに、私の言葉で言いますと、市民事業、地方自治体の行う事業を従来型の公共事業とはっきり区別する意味で市民事業というものにすべきであると思っておりますけれども、いわば私の提案は、この市民事業法を制定せよというお願いであります。
どういうふうにするかといいますと、一つは、従来型の補助事業を全部やめまして、総合的にその資金を運用できるようにする。つまり、地域の最も必要なところに重点的に配分できるように、縦割り行政をやめるということであります。
それから二番目に、公共事業に関しまして、市場と市民の導入を図るということであります。PFI等さまざまな民間活力の運用の手法が最近開拓されておりますけれども、自治体でもこういう点についてはぜひ導入すべきであるということであります。さらに言いますと、もう一方の側であります市民も計画段階からこれに参加する必要があるということであります。
三番目は、これについて議会に責任を持たせまして、議会が、こういう事業について、いいか悪いかについてみずから決定をする、かかわっていく、あるいは失敗した場合にはそれについて責任をとるというような構造に切りかえる必要があるだろうということであります。さらに、それらの全体について、市民が市民の目で評価するというような形での点検委員会というものをつくるべきであるというふうに思います。
総じて言いますと、いわば公共事業というのは、自治体から見れば自治体のまちづくり事業でありますから、これを都市計画の観点から、改めて、自治体の行う都市計画事業について抜本的なシステムを構築すべきであるというふうに考えております。
以上です。(拍手)