五百旗頭真の発言 (憲法調査会)

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○参考人(五百旗頭真君) 御質問ありがとうございます。
 既に松田議員の質問の中に返事が組み込まれていたので改めて申し上げるほどのこともございませんが、「歴史の教訓」という本がアメリカのアーネスト・メイ教授が書いております。その場合に、しばしば最近の激烈なる歴史的事実、国民的衝撃を受けた事実に大きく動かされるというのが今までの歴史の教訓の学び方であったというふうに書かれております。アメリカ自身の外交への反省として書いているんですが。
 我々の場合、あの戦争の時代、余りにも戦争にいそしんだ。そして、ついに全面破綻を来す。自ら戦争を仕掛けて敗北したという場合は、言うなら救いがないわけですね。正統性の面でも、そして勝敗という面でも救われない。そういう中で、剣をすきに持ち替えて戦後日本が平和的な生き方を求めたということは、基本的に間違っていない。間違っていないんですが、アーネスト・メイも言うとおり、最近の激烈な体験から、極端に振ると。日本でいえば、あつものに懲りてなますを吹くという言い方をいたしますが、およそ軍事にかかわることはすべていけない、危険があるから、それをもし認めたら次にこの危険が生ずるじゃないかという論法がすごく力を持っていたんですね。
 しかし、もしそんなことを言えば、交通事故がこんなに多い、外へ出れば車にはねられる危険がある、だから出るべきではない。時々水を飲んだらおなかを壊すことがある、だから水を飲んではならない。それは完全な論法の間違いなんですね。悪い水を飲まないようにこういうふうに注意をして飲むというのが答えでありますし、交通事故に遭う危険があるからこういう点に留意をしてこういう仕方で外を歩けと言うべきであるところを、あの激烈な経験ゆえに、いかなる安全保障にも関与してはならない、積極的な国際行動は危ない、そういうふうな目を我々が持ちましたし、また、周辺諸国からの猜疑心も強く、そういうふうな行動を取ってきた。
 しかしながら、大事なことは、過去のネガティブな行動は特に相手国に非常に長い恨みを残しますが、いい行動の蓄積がそれを中和していくんだということですね。戦後日本は平和的発展を遂げ、民主化を遂げ、そして途上国に援助をしてまいりました。その蓄積というのが、言うならば静かなる和解を築いている。
 そういう状況で我々は今、大事なことは、実態をよく見て、その中で何をなすべきか、何をなすことが長期的にも望ましいかということを考えていくことだと思うんですね。いかなる安全保障にもかかわらないということではなくて、日本にも、国際安全保障は地域の秩序にもプラスになるということを積極的に行動していくことだと、それが我々の取るべき教訓の得方だと思っております。

発言情報

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発言者: 五百旗頭真

speaker_id: 31051

日付: 2003-05-14

院: 参議院

会議名: 憲法調査会