志方俊之の発言 (憲法調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(志方俊之君) まず、第一項でございますが、この九条の第二項を入れたいきさつというのは、芦田修正とかケーディス大佐発言とか、もう今までに万巻の書がありまして、議論されております。
 私が現場にいたことから考えますと、自衛隊という文言が憲法の中にないということ自身に非常に学生、私が今教えている学生なんかも質問してくるんですが、憲法ができた後といいますかね、憲法の方が自衛隊より先にできているわけですから、その憲法の中に自衛隊という文言がないのは当たり前であって、やはり後から入れればいいと思うんですね。それを入れていなかったというのが怠慢であるというだけのことであります。
 それと、もう一つは、この憲法九条に関して本当にもう万巻の書が出ているということは、哲学者が論じ、学者が論じ、政治家が論じ、国民が論じてもこの九条の意味が分からないということ自身が、国語的に私はこの憲法というのは考え直す必要があるのではないか。憲法に保障する義務教育ですか、この義務教育を終わった者ならば、それを読んだら、そのほとんどの者が同じ結論に達するような文言にすべきだと思います。
 したがって、もし将来修正するようなことがございますれば、立派な学者だけではなくて、中学校の国語の先生などを草案の委員に入れていただきたいということであります。
 それと、もう一つは、憲法の中に自衛隊という言葉がなくてもいいんでありますが、やはり自衛隊という武力集団をだれが指揮し、だれがコントロールするかという、このやっぱり文民統制というのは一番重要なことでありますが、その文民統制のメカニズムすら入っていません。やはり、我が国が防衛力を持つ以上、文民統制というのは一番大切なことでありますから、じゃ、どうやって文民統制をするかといえば、我が国は法治国家でありますから、その最高法規の中にそういうことをちゃんと明示していただくのが一番いいのではないかと思います。
 それからもう一つは、二番目、内閣法制局の答申といいますか、解釈、解釈権の問題でありますが、これは内閣法制局が諮問をされて、どのような解釈をするかというのはそれは法制局のとおりでいいと思うんですが、それをどう取り上げるかということに、それをずっと認めてきたということは、相手が悪いんではなくて認めてきたものに問題があると思うんですね。ですから、ちゃんと政治が内閣法制局の意見を採用しないならば、採用しないだけの理論武装と勇気を持って対応すればいいことであって、内閣法制局が悪いのではないと思います。
 それから三番目、ドイツの問題でありますが、これは恐らくドイツの基本法の百十五条のことを申しておるのと思いますが、ドイツも簡単に基本法を改正したんではなくて、いろいろな、今、日本がやっているような有事法制ですね、こういう場合には土地の借り上げはどうするんだとか避難誘導はどうするんだ、水はどうやって統制するんだと、そういうことをずっと一つ一つ小さな法制をやっていったわけですね。そして、その結果、幾つもの非常時立法というものができまして、しかし、よくそれを連ねてみると、どうもドイツの基本法の中にその根拠がないということで、非常に理論的なドイツ人は、これはどっちが悪いんだと。必要に応じて作った法律が悪いのか、あるいはその法律が支えていない基本法の中にボイドがあるんではないか、空白があるんではないかということでやった結果、この基本法の改正に踏み切ったわけであります。
 したがって、基本法から改正したというよりも、その前に幾つもの緊急時立法というのがありまして、それを最後にくし刺しにした。しかし最後に、それでもなお国民の基本的な人権とかそういうことを担保するというのが添えられてあの十五条というのは挿入されたわけであります。
 したがって、我が国も少し時間を失したようでありますけれども、今からでも遅くないので、しっかりとした文言を憲法の中に入れていただくのがいいのではないかと思います。

発言情報

speech_id: 115614184X00820030709_016

発言者: 志方俊之

speaker_id: 3847

日付: 2003-07-09

院: 参議院

会議名: 憲法調査会