植村秀樹の発言 (憲法調査会)
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○参考人(植村秀樹君) 確かに、自衛のための最小限度の実力ということで自衛隊があるわけでありまして、今日のように頻繁に海外に派遣をするということは非常に現場を見ても大きな問題を生じているというふうに思います。
例えば、海上自衛隊がテロ特措法に基づいて今アラビア海に派遣をされております。元々、専守防衛ということで整備され運用されてきた海上自衛隊は、そのような長期間にわたる、遠いところに派遣をする、そういう仕組みになってはいないわけですね。そういうことからくる問題がもう既に幾つか生じております。
先日も、許可された時間外での飲酒というような事件が発覚いたしましたけれども、これも私は、規律が緩んでいるとか、そういうことではなくて、かなり規律の高い自衛隊であるにもかかわらずそれを踏み外す、そういうほどの強いストレスを自衛官に与えているということだろうというふうに思います。
それから、もっと大きな問題といたしまして、この派遣される護衛艦の中には護衛隊群の旗艦が三隻含まれております。それから、昨年の夏には、たしか四人いる護衛艦隊の司令のうち、一人しか日本にいないというような状態が生まれたりしております。つまり、四個隊群があって、それをローテーションで回して国土を守るというのが海上自衛隊の仕組みになっておりますので、あのような過大な負担を与えることによって、むしろ本務の方が、おろそかにとは言いませんけれども相当に無理が来ている、本務に支障を来しかねない状態を生んでいるというふうに思います。
その辺りも、憲法があり、それに基づいて専守防衛といった戦略、政策を持ち、そういう形で組織され運用されている自衛隊に、このような頻繁な、しかも難しい、大規模な派遣ということがもたらす問題といいますか、矛盾というのは非常に大きいものがあると思います。
さらに、これは例えば航空自衛隊では既に時々新聞にも出ておりますけれども、海外のいわゆる敵の基地を攻撃する能力ということですが、爆撃装置を付けた戦闘機、それから空中管制警戒機、空中給油機も取得しております。もう少しで言わば少なくとも能力を身に付けるまでに至ろうとしております。そういう点も含めて、現在の政策というものがこれまでの枠を踏み出しつつあるということは一つ憂慮すべき問題ではないかというふうに考えております。
本務に支障を来しかねないような事態を招いても対米関係、対米配慮を優先するのかという問題が一つ生じますし、あるいは、逆に、専守防衛をかなぐり捨てて海外派兵海軍に変身を図るのかといった問題も、論議としてではなく事実として提起されているのではないかと。つまり、事実が先行して、政策論議がそれに後れて、憲法が一番後れているという本末転倒した事態を生み出しかねない危険があるように私は思っております。
以上です。