紀陸孝の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(紀陸孝君) ありがとうございます。
 労働基準法の改正の問題につきまして私どもの考え方を述べさせていただく機会を賜りまして、先生方に冒頭御礼を申し上げたいと存じます。
 今回の改正の柱は三つほどあるというふうに存じますが、まず、冒頭でございますけれども、総論的にこの改正の問題をどういうふうに考えるか、評価いたしたいと存じますが、雇用、労働の情勢が従来と大きく変わってきております。とりわけ、少子高齢化という中で働く人の就労ニーズが非常に多様化しつつある。さらには、企業が国際競争の中で非常に大きく圧迫を受けておりまして、どうやって生き残るかということが非常に、従来にも増して重要な問題になってきております。
 こういう中で、今般の基準法だけではございませんけれども、労働法制の緩和がきちんと進められるような法改正を先生方の御尽力によってお進めいただきたいというふうに存じます。
 まず第一に、労働契約、有期労働契約の上限の引上げについてでございますけれども、これは、基本的に私どもは、雇用の形態の多様化に対応して働く人の選択肢を拡大するものであるというふうに理解しております。正に労使双方のニーズに沿うものだというふうに考えております。
 現実問題として、今、一年あるいは三年という上限が掛かっておりますけれども、これが三年、五年に引き上げられますけれども、この三年、五年に引き上げられた場合に、この雇用の形態の多様化というのがどういうふうに進むのか。
 この点につきましては、基本的には市場のニーズに即して進められるものだというふうに思っておりまして、これから具体的にどういう形で、例えば二年契約とか四年契約とかというものが進むか、まだ確たる見通しは企業の労使においても立っていないというふうに思いますけれども、基本的に、労働者とか、労働者の中でも高齢者の方いらっしゃいますし、若い人、女性の方、それぞれのニーズに即して先行きいろいろな多様化が進められる大きな手だてになるのではないかというふうに思っております。
 第二番目に、解雇の法制でございます。
 基本的に私どもは、経営側の立場から申し上げますと、今の雇用情勢の中で可能な限り雇用を守るべきが経営者の責任である、そういうふうに考えております。やむを得ず解雇せざるを得ないという状況が出てきた場合でも、裁判では現在、解雇権の濫用法理というのが妥当に運用されておりまして、この法理につきましては、私ども言わば当然の法理であるというふうに理解しております。
 解雇権の濫用法理につきましては、基本的に衆議院で法案の修正が入りましたけれども、修正後の法案の中でも、この濫用法理というものが忠実に実現されているというふうに私ども考えておりまして、修正案どおりの成立をお願いしたいというふうに存じます。
 これによって、安易な解雇が進むだとか、経営側が従来にも増して簡単に解雇をするとかというような御批判聞きますけれども、決してそういうことではないだろう。法律の改正によって、従来より解雇の事件が増えるであるとか、中小企業においても簡単に首切りをするとか、そういう事態は決して起こらないというふうに私ども考えております。
 なお、解雇法制の問題につきまして、私ども、金銭解決の仕組みも更に御検討賜りまして、できるだけ早期に金銭解決の処理の仕組みを御検討賜りたいというふうに存じます。
 これは、仮に、被解雇者の方々にとっても裁判が長引くようなことを防ぐというような趣旨でございますので、できるだけ労使のために金銭解決の仕組みというものも、今後検討した上で法改正の中に盛り込んでいただけたらばというふうに考えております。
 三番目でございますが、裁量労働制の改正でございます。
 これは、特に企画業務型裁量労働制につきましては仕事の成果、これが労働時間の長短に比例しないというような働き方が非常に増加している現状にかんがみまして、前回の改正の際に労使が知恵を絞って作った制度であります。現実にはこの制度の利用は余り進んでおりませんけれども、これが今回の要件緩和によりまして更に進むということを私ども期待いたしてまいりたいというふうに存じます。
 さらに、もう一歩進んで、私どもは、特にホワイトカラーの働き方が非常にこれも多様化しております。日本の企業が欧米さらにはアジアの企業と大変な競争をしておりまして、特に開発力の強化というのが非常に競争力強化の源になってまいっております。そういう意味でホワイトカラー、いろいろなホワイトカラーおりますけれども、できるだけアウトプットの中身を高めるような働き方をこれから考えていかなければいけないというふうな状況に既に置かれておりまして、そのアウトプットの高さを保障するためにも裁量労働制を一歩進めて、イグゼンプション制度というふうに言われておりますけれども、そういう制度の確立を検討していかなければいけないんではないかというふうに考えております。
 これも、どういう要件でやるかというのは非常に難しい問題が多々ございますけれども、先生方の御尽力によりまして、このイグゼンプション制度に一歩踏み込むような形での御支援を賜りたいというふうに存じます。
 以上、簡単でございますが、私どもの基本的な考え方を述べさせていただきました。御清聴いただきまして御礼を申し上げます。
 よろしくお願いいたします。

発言情報

speech_id: 115614260X02220030611_002

発言者: 紀陸孝

speaker_id: 22195

日付: 2003-06-11

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会