大森勉の発言 (内閣委員会)
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○参考人(大森勉君) ただいま御紹介いただきましたイトーヨーカ堂の大森でございます。このような場で意見を述べさせていただくという機会をいただきまして、大変光栄に思っております。
このたび、食品の安全ということに関しまして、行政が的確に対応すべく政策を取りまとめられて、なおかつ新体制を発足させるべく行為を起こされ、推進されておりますということに感謝申し上げます。
食品安全基本法案というのを高く評価する者の一人として、食品関連事業者であります小売業、その中で消費者との接点に立つ者として、現場の立場で申し上げさせていただきます。
まず最初に、その販売者責任を問われる小売業ということなんですが、おととしの九月に、食品の仕入れ責任者を私務めていたわけなんですが、最初のBSEの問題が起きました。その後、産地の改ざんであり、添加物の問題、農薬の問題、様々な問題が一気に吹き出たというのが現実でございました。
私ども小売業では、それまでの安全管理という点では、生産者、メーカーとの信頼関係というのが大きなきずなでありました。小売業、販売している商品に対してすべて完璧なチェックはできない、各メーカー、生産者がきちんとした対応をしていただければ、我々はそれに基づいて販売をしていこうというスタンスでおりましたため、小売業の立場で力を入れておりましたのは、仕入れ担当者にきちんと教育をしていこうと。要は、都度変化していくそれぞれの基本であったり知識というものが、安全、表示に関する変更が起きるたびに全店を統一して動かなければいけないという点で、担当者への教育という点を重視してまいりました。
それから、各商品の表示義務、これもメーカー様々ある中で、最低限のことから、ここまで表示するというメーカーまである商品がございますので、イトーヨーカ堂として、お客様の視点でどこまで漏れをなくきちんと表示義務を守れるかということに重視してまいりました。
なおかつ、商品の保存検査という点では、各メーカー、生産者から保存期間というものが出てくるわけなんですが、お客様の、消費者の保存というものも考えた、私どもで販売する期間を独自に設定をしながら販売に努めてきたわけです。社内にあります、QCと書いてありますが、クオリティーコントロール、商品管理室ですね、こちらを通しまして、店頭に並ぶ商品については全メーカー、全商品何らかの確認をすべて取るという体制を過去から実施してきた次第です。
ただし、おととしの九月以降、今まで信頼していた商品というのがすべて疑って掛からなければいけないという状況に陥ったわけです。本当に正しい表示なのか、表示以外のものが使われていることはないのかという疑いから商品をもう一度見直さなければいけない。それから、違法と指摘されたというものが本当に使用されていないかと。様々な問題が吹き出たわけですので、新聞紙上に載ってから各メーカーの問い合わせをするという事態も頻繁に起きてきた次第です。なおかつ産地の表示というものも加わってまいりまして、本当に産地に偽りがないのかと。細かいことでも、本当に原産国なり現地の証明書はあるのかという確認をそれぞれのメーカー、それぞれの商品にすべて取るという体制をしいたわけです。その中で、たとえ証明書があっても、本当に安全かどうかと。要は、自主的に再度確認しなければお客様への、消費者への安心というものが提供できないという商品も出てきた次第でございます。
各メーカーも非常に混乱をしまして、問い合わせにすぐ答えるという体制がすべてしかれていたわけではございません。各担当、各商品の担当が、それぞれ書類がファイルされているとか、今までは考えなかったというような問題も出てきた次第であります。今まで販売していたものが突然回収ということになり、それが相次いで廃棄処分という形も行ってまいりました。メーカーを信頼、信用していたということが失墜いたしました。そして、すべての商品をもう一度消費者サイドで見直していこうという動きを取った次第です。
メーカーは回収であったり、生産者は廃棄ということで大変だという認識はその当時あったわけなんですけれども、問題が発生する都度、商品の回収の指示、それから各店へそれを徹底させて販売を中止を確実にやらなければいけない、なおかつ消費者、お客様への説明ですね、既に食べてしまったけれどもとか、どんな影響があるのかと、これに対して的確な答えを来店されます消費者の皆様にすべて話せる体制を取らなければいけないということで、最大の混乱は、各メーカーはそれぞれの商品なんですが、すべてを販売しております小売業が一番混乱をしたんではないかと私は思っております。
その後、自主的に当社としてスタートさせましたのは、業界で最初かと思うんですが、表示改善のプロジェクトを社内で立ち上げさせてもらいました。本当に分かりやすい表示になっているのか、表示をするということから安心、安全がどう消費者に伝えられるのかという視点で、表示をすべて見直しました。
なおかつ自主基準も設けなければいけないという事態も生じてまいりまして、特選とか特級とか、大とか特大とかいう表現、何を基準にしてその表示をしているのかということで、公の基準がないものについてはすべて、大とか特大というような紛らわしい表現はすべてやめようというようなことを決めながら動いてきた次第です。
なおかつ販売員がパート、アルバイトに頼っているという部分もございますので、人的ミスをなくすということで、本部で配信できるものについてはIT化、システム化を進め、投資をし、少しでも人的ミスを防いでいこうという対応も取ってきた次第でございます。
もう一点は、情報の開示でございます。牛肉のトレーサビリティーの問題から、パソコンで履歴をきちんと確認ができるようにしようという動きから、その他生鮮食材に関しても、顔の見える野菜、既に六十店舗ほど立ち上がっているんですが、生産履歴の開示をしていこうという動きも取ってまいりました。
これは私どもの動きなんですが、個々の企業の取組というのも、安全について消費者の視点で見直しが私は進んできたというふうにとらえております。
食品安全行政というのも個別の法で行われ、それぞれが行われてきたわけなんですけれども、我々の方も企業ごとの動きというのを取ってきたわけなんですが、この食品安全基本法案というのが包括的な法律としてできるという点では大きな期待と高い評価をしている次第でございます。
今後、一つ一つの基準が作られてくると思いますが、幾つか申し上げさせていただきたいというふうに思います。
一つは、小売業の立場では、日本の基準というものに対して世界の基準というものがあるという点でございます。
科学的な見地から日本としての基準を持つという形になるわけなんですが、海外から様々な商品が日々入ってくるという中で、日本としての基準を示し、消費者の安全を求める声にこたえる体制というのを望んでおります。日本の基準というのが本当に海外の生産者であり、加工業者、それから検査機関というところに至るまで理解され、海外各国との差を明確にした中で動かなければ、国内搬入後にまた大きな混乱を生じるんではないか、要因になり得るというふうに思っております。
二つ目は、既存の基準値というものをもう一度ゼロから見直さなければいけないなというふうにお願いしたいと思います。
一例ですが、ホウレンソウの農薬でクロルピリホスの問題が出ました。そのときの基準値が、ホウレンソウは〇・〇一ppmです。コマツナにつきましては二ppmということで、同じ葉物でありながら二百倍の基準差があるという点も数値上は出てまいりました。
科学的な見地という点でも様々な問題が出てくるというふうに考えられますけれども、現行の見直しにとどまらず基準作りを進めていただきたい、それに基づいて私どももきちんと販売をしたいというふうにとらえております。
私どもも、その基準値についてなんですが、許容量に甘んじるということではなくて、各商品に対して減らす努力、若しくは使わない努力というのは日々実施していくことが食品関連業者の仕事ということになってくるかというふうに考えております。
三つ目は、検査体制の問題でございます。
全量、全商品検査するということになりますと、食品の場合、売るものなくなっちゃいますので抜取りでの検査という形になっていくわけなんですが、全量検査でない以上は、私どももそれぞれ小売業の立場で自主検査というものを行っていかざるを得ないというふうにとらえております。
一例ですけれども、農産物の農薬検査というのも、商品によっては五十種類を超える農薬の検査をしているという商品もございます。生産者、ロット、畑ごとというような形になりますと、本当にどこまで検査ができるのかということが問題になってくる部分もございます。
公的な機関に検査を依頼し、ピーク時は二週間以上結果が出るまで五十数種類の農薬の検査には掛かっておりましたが、今は一週間を掛からないという状況にはなってきております。その日に食べてしまう食品でございますので、特に生鮮食品につきましては、その場で結果をというのは当然無理な話なんですが、今後、検査期間、検査が短縮され、しかもコストも抑えられ、結果データが信頼できるデータになるというような検査機器の開発の支援等も含め、今後とも御尽力をいただきたいなというふうにとらえております。
当社としても、食品安全義務なり通知義務というのはもう守って当たり前と認識しておりますが、安心して販売できる商品というためには、生産者段階での法理遵守とともに進めていく所存でございます。
この食品安全基本法、是非制定していただきたくお願いし、終わらせていただきます。ありがとうございました。