白石淳一の発言 (農林水産委員会)
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○参考人(白石淳一君) 白石でございます。
こうした形で意見を述べる機会を作っていただいたことに感謝申し上げたいというふうに思います。
私は、北海道岩見沢市で水田を中心にタマネギ、小麦、野菜などを作営している生産農民でございます。
まず最初に、農村の現状をお話しさせていただきたいと思います。
水田地帯の農村の現状、大変厳しいものがあります。離農が相次ぎ、自ら命を絶つという大変悲惨な事例も後を絶ちません。実は、私の高校以来の友人が、今年の春、夫婦で自殺をしてしまいました。ともに農業を志して、水田を中心に十ヘクタールを経営して、有機・無農薬農業、これを実践していた、そして後継者夫妻もいて、はたから見ると大変順風満帆に見える、そういう状況でしたけれども、負債の重圧で自らの命を絶ってしまいました。生命保険で負債の返済に充てたということであります。
こうしたことの原因は、稲作農家の今の収入の大部分である米価の下落であります。
資料に私の稲作収入の推移をまとめてみました。米価の下落がどれほど農家経営を直撃しているか、お分かりいただけるというふうに思います。この資料は、「わが家の稲作収入の推移」という資料ですけれども、稲作部門を抜き出して表にしたものであります。生数字です。ただ、品質や、私も直接消費者の人方に販売もしておりますので、価格の面では若干高めに出ているかと、単価は高めに出ているかというふうに思います。米価の減収と比例して収入が減るということがお分かりいただけるのではないかというふうに思います。
今年の北海道産米の価格形成センターの水準、これは一俵一万三千円ほどでありますけれども、恐らく今年の農家の手取り額、一万二千円を切るんではないかというふうに予想されます。仮に一万二千円としても、十アール当たりの収入は十万二千円であります。そこから肥料代だの経費、物財費、約六万五千円ほど掛かります。それから、稲作経営安定対策、これらへの拠出金一万円ほど掛かりますから、これらを差し引くと、実際に手元に残る収入は二万七千円、十ヘクタール作っても二百七十万円、ここから借入金の返済などを行わなければならない、そういう現状であります。現在の米価の水準では、農機具が壊れても買い換えることができず、農機具の寿命が農家の寿命ということになりかねない、そういう事態であります。
経営を継続するのには稲作収入は当てにできない水準にまで落ち込んでおりまして、農家は減収分を他産業に働きに出て何とか補い、経営を続けているのが現状であります。
だからこそ、今度の米改革の議論が出てきたときに、今よりは米価も保障されるんではないだろうか、転作条件の整備も進むだろう、そのように多くの農民は改革に期待をいたしました。しかし、今回の主要食糧法の改正、その前提となる米政策大綱、改革大綱の方向は多くの農民のこうした期待を裏切るものと、それだけではなくて、大多数の農民を生産現場から締め出すものだというふうに言わざるを得ないと思います。
次に、なぜそうしたふうに考えるのかという点を申し上げたいと思います。
法案では、生産調整について、生産者の自主的な努力を言っております。生産者団体等が方針を定め、そしてそれを国が認定するというふうに言います。このことは、国民の主食である米の需給調整からの国の撤退を意味するものであります。
現在の低米価は、国民が食べもしないミニマムアクセス米による過剰感が大きな要因であります。ミニマムアクセス米の在庫は九十五万トンに達しており、大変なお荷物になっております。
SBS米は、二〇〇一年度までは輸入枠を一〇〇%達成しておりましたけれども、二〇〇二年度は輸入枠九万トンに対し四万トンという数字であります。私の資料の左側の真ん中の資料であります。
今年に入っても外米離れは続いております。右側のちょうど真ん中の資料です。二〇〇二年度第一期の落札数量は契約予定数量の七〇%でありました。二〇〇三年度第一期では、これが四七%になっております。しかも、モチ米の国内の不作、これがありまして、このことを反映してモチ米の落札が多くなっております。ウルチ米の落札は昨年の半分であります。
国民の圧倒的多数の方々は輸入米は嫌だと、右下の表にありますけれども、言っております。業者も外米離れが進んでいるのが実態であります。
生産調整ということを言うのであれば、まずはこうした輸入米を削減することが先決だというふうに思います。生産調整の数量配分、こうしたことを無視しておりまして、輸入が増えれば生産調整が増えるという、こういう方向を一層拍車を掛ける、このようになるというふうに思います。
次に、米価の回復が稲作農民の経営を支えるという意味では最大の保障であるということは先ほど述べたとおりでございますけれども、米価価格下落影響緩和対策、これは現行の稲作経営安定対策の補てん水準を下回ることが予定されておりますし、過剰米の短期融資制度、これでは加工用米そして飼料用、輸入米の価格水準を想定しているものであり、到底、農家の経営を安定させることに寄与するとは思えません。さらには、備蓄米の政府買入れ価格を入札によって決めるというふうに言っておりますけれども、再生産の確保という米の生産費に配慮した現行食糧法の規定、これをほごにして、米を一層市場原理にゆだねるものであります。したがって、今回の改正で一層の米価下落が懸念をされます。
また、担い手経営安定対策についてでありますけれども、農村は、小さな農家も大きな農家も、兼業も専業も、それぞれの役割を果たして地域や集落の営農を維持しております。水田に欠かせない用水路、これを維持する上でも様々な人の努力で成り立っております。一部の農家に施策を集中するということは、農村での集落の機能を失わせてしまいます。結果的に、米作りができない、そういう環境を作り上げてしまう危険性があります。
次に、法案では、計画流通制度を廃止し、自主流通米形成センターを改称し、取引方法を多様化するというふうに言っております。販売業者も登録制から届出制に変更するといいます。このことは、農民に対する買いたたきを野放しにして、中小米卸、小売店の淘汰が一層進むことが危惧されます。大阪では四千軒あった米屋さんが現在二千軒になって、更に五百軒減るのではというふうに心配をされております。生産者と消費者を結ぶ懸け橋の役割を果たしてきた中小の米卸、小売店にとって大変大きな問題となっております。
以上のことから、今回の法案は、国民の主食である米の需給と価格安定に対する責任を全面的に放棄をして、米流通を一部の流通資本に明け渡すものということを言わざるを得ません。したがって、私は改正案には反対であります。
次に、私は、生産者が安心して米作りに励み、消費者には安定的に供給できる制度とするために、次のことを提案し、その実現を強く求めるものであります。
一つ目は、米の需給と価格安定に国が責任を持つこと。二つ目は、ミニマムアクセス米を削減、廃止して、生産調整面積を大幅に減らすこと。三つ目は、転作奨励金の助成水準の大幅カットはしないこと。四つ目は、自給率向上は圧倒的な国民の願いであります。自給率の異常に低い麦、大豆などの増産を図ること。五つ目は、諸外国でも価格保障の改善によって農家の経営安定を図っております。稲作経営安定対策を抜本的に改善をして、生産費を償う米価を実現していただきたい。六つ目は、備蓄は、たった一年しかもたない回転備蓄、これをやめて、棚上げ備蓄に切り替えて、用済みの米は主食用以外に回すこと。六つ目は、計画流通制度の廃止、これをやめて、大企業の流通支配を抑え、農協や中小小売店の役割を尊重したシステムに改善すること。
以上申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。
ありがとうございます。