江本孟紀の発言 (文教科学委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○江本孟紀君 民主党の江本と申します。
 今日は、三人の先生方、どうもありがとうございます。
 私は、まず佐々木先生に、参考人に、東大の野球部はなぜ弱いかと聞こうかなと思ったんですけれども、今日はテーマが違うものですから、でも、お話しできるだけでも、いい機会を与えていただきました。有馬大先生もいらっしゃいますけれども、現役の総長とお話ができるというのは大変光栄でございます。
 いろんな方に今回の問題をお聞きして、今日質問ということで、いろんなテーマをいろんな方にもうお聞きしたんですけれども、時間もそんなにありませんので絞ってお聞きをしたいと思いますけれども、三人の先生方に最終的にお尋ねをしたいと思いますけれども。
 問題点というのは割と広がってはいるんですけれども、非常に大事な問題点というのはあると思うんですね。そういう悩みを、実は実際、独立行政法人化した場合とかに非常に各方面の現場の方がいろんな悩みを持たれているということで、私もある大学病院に勤めている先生にちょっとたまたま機会があってお話を聞いたところ、大学病院でも大変な問題になっていると。ある先生が悩みを書いたものがありまして、それを実は今日ちょっと拝借しまして、原文のままちょっと読ませていただいて、それについて御感想をいただきたいと思います。
 私も言葉の中にちょっと理解できないところも一杯あるんですけれども、よろしくお願いしたいと思います。ある国立大学に勤務される先生のお話なんですけれども、ちょっとお聞きいただきたいと思います。
 大学病院に長年働いてきた私は、その将来に対して大きな危惧の念を抱いています。大学病院の使命としては、一、地域の中核病院としての専門性を有した質の高い医療の提供、二、将来の医療を担う医療従事者の育成、三、臨床医学発展の推進と医療技術水準の向上への貢献の三つが期待をされている。
 しかし、これを本当に実現するためには、マンパワー、資金などの点で大きなハードルが存在している。また、平成十五年四月からは医療費の包括評価、平成十六年からは卒後研修必修化、さらに国立大学には独立行政法人化という大きな課題が待ち受けている。
 まず、この一点目ですけれども、これは本当に関係あるかどうか分かりませんけれども。
 まず、医療費の包括評価であるが、これは一口で言えば、ある病名が決まれば、どのような診療をしようとも、また何日入院しようとも病院側に対する支払は一定となるという仕組みである。主病名ごとに平均入院期間が決まっており、この二五パーセンタイルより短ければ医療機関に支払われる医療費は一五%増しとなり、逆に二五パーセンタイルより長ければ一五%減となる。これは、従来の出来高払の仕組みでは医療費の高騰を抑制することができないことから取られた施策である。
 今回対象となっているのは特定機能病院、すなわち大学病院の本院と国立がんセンター、国立循環器センターなどの全国八十二病院である。しかし、実際にはいまだ細目に関する検討は不十分のままに見切り発車したというのが正直なところであり、現場では少なからず混乱が生じている。
 この制度は、クリニカルパスのでき上がっている疾患に対しては余り問題が起こらない。しかし、関節リューマチや全身性エリテマトーデスのようないわゆる難病は多臓器にわたる合併症を有しやすいこと、免疫抑制療法によって日和見感染症などの有害事象が起こりやすいことなどの理由から臨床経過を予測することは難しく、クリニカルパスを適用することは困難である。さらに、昨今、大学病院に紹介される症例は様々なリスクファクターを有する難治例が増えており、膠原病や血液疾患を扱う診療科の在院日数の短縮はますます困難となっている。包括評価がいずれ一般病院に及べば、医療費が掛かり在院日数も長くなることが予測される難治性症例はますます大学病院へと紹介されることになり、大学病院の財政基盤は更に脆弱なものとなる。
 次、二番目ですが、次は卒後研修必修化である。このシステムでは入院患者百名に対して一名の研修医を採ることができるとされているが、これでは大学病院の研修医は足りなくなってしまう。となると、人手不足を補うために三年目以降の医師も終日病棟勤務となり、大学院のための質の高い研究を行うことは難しくなる。今まではある程度分業で行われていたものが、一人で診療、教育、研究を、それぞれグローバルスタンダードにかなうレベルで行うことが求められる。しかし、人手不足の中で実際にはそんなことが可能であろうか。
 また、今度のシステムでは、内科をローテートする医師は必ずしも内科医になるとは限らず、最終的に眼科医や耳鼻科医になる者も内科を必ずローテートする。しかし、これでは必ずしもモチベーションの点で満足すべき研修医ばかりが来るわけではなく、従来の研修医の質は保証されない。さらに、スーパーローテートというと聞こえは良いが、小児科や麻酔科をたった二か月程度ローテートしたところでお客さん扱いをされるのが関の山であり、実のある研修ができるとは思えない。もっと卒前教育を充実すれば卒後にスーパーローテートなどをする必要はなくなるはずであり、より効率的な卒後研修を行うことができると思われる。
 そこで、三番目なんですが、三番目は独立行政法人化、俗にいう独法化である。国立大学は平成十六年から国立大学法人として独立するが、これに当たって向こう六年間の中期目標、中期計画を立てることが求められている。
 その精神は、国立大学の再編・統合を大胆に進める、国立大学に民間的発想の経営手法を導入する、大学に第三者評価による競争原理を導入するということであり、至極もっともなことであり、これは古ぼけた制度が満ち満ちた大学と大赤字に悩む大学病院を改革する好機であるはずである。
 しかし、壮大な計画を立てた場合に、もしそれが実現しなかったときのペナルティーを恐れる余り、当初の改革案の内容をできるだけ不明瞭にして、しかも玉虫色にしようとする傾向があちこちの大学で出始めている。まるでどこかの道路公団改善計画のようなものである。これではせっかくの改革の好機を逃してしまうことになる。
 いずれにせよ、大学病院、特に国立大学病院には、三重苦に苦しむことになり、その将来は決して明るいとは言えない。正直なところ、眼前の事態に対処するだけで精一杯というのが大学病院に勤務する私を含めた者の実感であろう。どうすればこの事態から脱却できるのか、頭を悩ませている昨今であるという手紙があったんですが、これについて、特に三番目のこの独立行政法人の一番問題になっている部分も含めて、御感想を三人の参考人の方からお聞きをしたいと思います。

発言情報

speech_id: 115615104X01720030603_027

発言者: 江本孟紀

speaker_id: 29552

日付: 2003-06-03

院: 参議院

会議名: 文教科学委員会