川橋幸子の発言 (本会議)
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○川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、政府提出のテロ対策特別措置法の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。
テロ行為が、これを支援したサダム・フセインによる国家の犯罪なのか、テロリスト集団アルカイダ及びタリバンによる平和に対する罪、人道に対する罪であるのかを問わず、人類が築いてきた文明の歴史に対する許し難い愚行、蛮行であることは言うまでもありません。
こうした卑劣かつ残虐な行為に対し、国際社会が一致団結し、毅然として取り組むべきことはもちろんのこと、テロが引き金となって米英の攻撃が決行されたことにより、国土が破壊され、肉親を失い、日々の生活の糧を失うことになったアフガンひいてはイラクの人々の復興支援に対し、国際社会の協調の下、日本が取り組んでいくべきことは当然のことであります。
しかし、今回の政府案には以下の理由から到底賛成するわけにはいかず、断固反対の意思を国民の皆様に訴えるものであります。
第一に、国民に対する説明責任の放棄です。
民主党は、テロへの取組は重要であり、真に必要であれば、国会によるシビリアンコントロールを条件としての自衛隊の活用はあり得ると考えています。
しかし、政府は、今回二年間の時限延長の理由について、米英の掃討作戦が終結しておらず、各国も活動を継続しているという、こうした状況を抽象的に述べるにとどまりました。時には、単に一抜けたと言うのは国際社会に対して恥ずかしいといった極めて情緒的な説明に終わったのであります。
国民自身がこの法案の継続を必要だと判断するためには、アフガンにおける米軍の行動がどのようなものであり、これに対して各国はどのように協力し、そして日本の自衛隊はどう行動したのか、その判断材料が必要とされます。
想像されるような過酷な条件下での自衛隊員の苦労な活動がアフガン復興全体の、全体像の中で実際にどのような成果を上げ、今後はどのような役割が期待され、そして、特別措置であるからにはどのような条件が整えば活動を終了することができるのかといったことなどが国民の目に明らかにされる必要があります。
しかし、小泉総理は、必要なときに必要なことを行うと言うだけで、まるで答えにならない答弁に終始したのであります。これでは単に法律の枠組みの延長を提示しただけで、何の意味も成しません。
第二に、現在のアフガン情勢から見て、自衛隊派遣という我が国の協力行動が現段階においても適当なものであるかどうかといった疑問です。
確かに、二年前、九・一一のテロが余りにも衝撃的であり、早急な対策が必要とされた事情は理解できます。
しかし今は、既にアフガンでの主要な戦闘行動は終息し、当初の目的は達成されたという意見が有力です。今はもう、海上自衛隊のインド洋上におけるテロの阻止行動を継続し、海上のガソリンスタンドとやゆされるような活動を継続するよりも、カルザイ暫定政府がいまだ自国内のガバナンスを確保できない中、地域紛争化しているアフガン情勢に対して国際社会はどうかかわっていくのか、また我が国はどう対応するのかといった新たな課題に移行することが重要だという指摘があります。私も同感です。重要な指摘であります。
さらに、アフガン支援のためであったはずの自衛隊派遣が、今やポスト・アフガンにおける米軍のイラク攻撃支援のために転化しているのではないかといった疑問も出ています。これに対して政府は、米国に問い合わせたところ、そうしたことはないという返事であったというような伝聞を繰り返すのみで、最後まで明確な自らの見解を示そうとはしなかったのであります。
このようなあやふやな状況の中で、政府がただ漫然と自衛隊派遣による対応を延長しようということは、この法律の趣旨をゆがめる行為であり、国民を欺くことにほかなりません。
第三に、この法律自体が持つ欠陥です。
民主党は、海外への自衛隊派遣という問題の重要性にかんがみ、国民を代表する国会における民主的な統制、いわゆるシビリアンコントロールが必要であると考え、衆議院において国会における事前承認を盛り込んだ修正案を改めて提出しましたが、与党は選挙日程を意識し採決を急ぐ余り、これを一顧だにしませんでした。
テロ対策が重要だとしても、時限的な特別措置法としての二年目の節目に当たり、国会によるチェック、国民によるモニタリングを受けないままに機械的に二年間の延長を認めることは、今後の再々延長を許すことにもつながります。このことは、本法案は特措法に名をかりた恒久法にほかならず、時の政府のこのような法の趣旨を逸脱した権力の濫用を良識の府参議院は断じて許すことはできません。
以上、民主党・新緑風会の反対理由を三点にわたって述べました。
さて、この本会議が終了いたしますと、午後には衆議院の解散が行われます。自民党総裁選に勝利された小泉総理は、人事のマジックと言われた人気取りのための選挙目当ての内閣改造を行い、選挙体制を整え、国民的人気が高いとされる安倍幹事長を選挙の顔として抜てきされたと言われています。しかし、私には、お二人のコンビネーションというのは、タカ・タカコンビ、もちろん鳥のタカです。米国の言うままに付いていった末のカク・カクコンビ、これは、非核三原則のその核を、非核原則を破る核です。カク・カクコンビのように見えます。
今回の総選挙は、政党がマニフェスト、つまり国民に対する政権公約を明らかにし、政策を選択することによって国民が日本のリーダーである総理大臣を選ぶという初めての選挙であります。既に昨日の党首討論により、民主党、自民党それぞれのマニフェストの相互の違いが我が党の菅代表と小泉総理のディベートによって明らかになりました。やはり、小泉総理のマニフェストはマニフェストの名に値しないものであることがテレビの中の映像として印象付けられたのであります。
私の個人的な意見を述べさせていただくならば、マニフェストに示されたことに加えまして、今回、このテロ特措法の期限延長に際して小泉総理が取られた態度は、必ずや国民の審判に付されるものと考えます。
国家と国民の将来について責任を持つべき一国のリーダーたる権力者が事態の分析のあやふやなままに独裁に陥る、そして、その側近グループは、情報を公開せず、情報を隠し、責任の所在を自覚しないまま、お互いにもたれ合って無責任体制になる。一方、国民は、判断基準を与えられないままに、ただただ強者の論理に引きずられてしまう危険を持つ。このような無責任体制の図式は、今回の総選挙でこそ国民の側も今度こそ断ち切りたいと思うことでありましょう。
第二次大戦において日本国民が体験した悲劇は、正にこうした我が国の無責任体制にあったのです。既にアメリカでもイギリスでも、世論はアフガン・イラク攻撃に対し反対が多数を占めつつあります。
どうぞ、党派を超えて良識ある参議院議員各位、そして総選挙を目前にした有権者各位に、付いていくだけでは、小泉さんに付いていくだけでは日本の将来は危ないことを訴えさせていただいて、私の反対討論を終わります。(拍手)