中山太郎の発言 (憲法調査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○中山会長 次に、日本国憲法に関する件について調査を進めます。
本調査会は、設置以後、人権の尊重、主権在民、再び侵略国家にならないという三つの原則を堅持しつつ、日本国憲法の制定経緯、戦後の主な違憲判決、二十一世紀の日本のあるべき姿に関する調査を経て、小委員会において、個別論点の調査、憲法の全条章についての網羅的な調査を行うとともに、全国八都市において地方公聴会を開催し、国民各層から日本国憲法に関する意見を聴取してまいりました。
また、平成十四年十一月一日には、この間の調査の経過及びその内容を取りまとめた中間報告書を作成し、議長に提出いたしました。
なお、この間、衆議院より派遣された議員団による諸外国の憲法事情に関する調査も四回行われております。
本調査会では、天皇制や憲法九条の問題など、これまで議論をすること自体が避けられてきた分野につきましても調査を行ってまいりました。このような分野における調査においても、終始冷静かつ熱心に討議が行われてきたと理解しております。
各小委員会や調査会においての議論を積み重ねる中で、象徴天皇制の存続など各党の考え方の集約が見られる分野、首相公選制など慎重あるいは消極的な意見が多く見られた分野、安全保障など意見の対立がある分野等があったと承知しておりますが、いずれにいたしましても、憲法に関する議論が格段に深まってきたことは大変喜ばしいことと存じます。
申し上げるまでもなく、憲法は国民のものであります。しかしながら、我が国では、自衛隊と憲法九条との関係だけでなく、戦後間もなく始められた私学助成と、憲法八十九条の公の支配に属さない団体への公金支出禁止規定との関係、人事院勧告の実施に伴い行われた裁判官報酬の引き下げと憲法七十九条、八十条の裁判官報酬の減額禁止規定などとの関係といった違憲の疑いが指摘される諸問題について、解釈を通じて問題解決を図ろうとするいささか安易な対応がなされてきたことは否めないのではないかと存じます。
さらには、憲法九十六条の改正手続規定の具体化である国民投票制度が未整備であることは立法の不作為行為であるとの批判もあるところであり、国民投票法案及び国会法一部改正法案が注目を集めております。
今月二十日にイラク復興支援のため陸上自衛隊の先遣隊がイラクのサマワに到着し、連日報道されておりますが、自衛隊による対応措置の実施が憲法九条の禁ずる武力の行使と評価されないことをどう担保するか、国連の枠組みのもとにおける国際協力の重要性等、従来から、憲法九条のもとで我が国がどのように国際協力を果たしていくのかについて議論がなされてきましたが、今なお一層議論を深めていく必要があると存じます。
その他、年金、医療、福祉といった社会保障のあり方と憲法の問題、電子政府の構築に伴って生ずるプライバシーの憲法上の保護の問題、両院制を維持すべきか一院制をとるべきかなど、国会の組織はいかにあるべきかという議論、地方税財源、道州制の議論など、人権、統治の分野において、憲法的視点からの議論が十分であるとは言えない課題もまだ残されており、こういった諸問題に関し、憲法に対する国民の信頼を確保するという観点を踏まえ、憲法の規定を正面から十分に検討、議論することが必要であります。
本調査会の調査期間は、議院運営委員会理事会の申し合わせにより、おおむね五年程度をめどとすることとされており、我々に残された時間はあと一年程度となってまいりました。よって、今国会では、さきに申し上げましたようないまだ議論の行われていない分野、憲法的論議の不十分な分野についての調査が不可欠であります。
さらには、来るべき最終報告書の作成に向け、憲法議論の整理、集約を視野に入れた議論を試みる必要もあるのではなかろうかと存じます。大変困難な作業であるとは存じますが、我々国会議員がこの困難を乗り越え、その成果を国民に提示できてこそ、その職責を全うすることができるのであります。
第一党である自民党は、平成十七年十一月の立党五十年をめどとして新憲法草案を起草するとし、第二党である民主党は、平成十八年までに新たな憲法のあり方を国民に示したいとして、それぞれ憲法改正について積極的な姿勢を打ち出したところであり、憲法論議の機運がにわかに高まってきております。本調査会においても、このような状況を踏まえ、憲法問題に関する論点を掘り下げた、より建設的な憲法の議論が行えるのではなかろうかと考えている次第であります。
かねてより申し上げておりますとおり、私といたしましては、国民的な論争の対象となっている時事的な諸問題につきましても、当調査会が日本国憲法についての調査を行うに際し、あわせて議論を行うことが、その広範かつ総合的な調査にとって極めて有益であると考えております。
そのような観点からも、本日は、最近の情勢にかんがみて、安全保障問題、社会保障と国民負担率の問題、三位一体論などの地方分権の問題等を中心として国民的に関心の高い憲法的諸問題について、活発な御議論をいただきたいと存じております。
—————————————