山口富男の発言 (憲法調査会)

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○山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 私は、先日のツェプター大使のお話をお聞きしまして幾つか感じたんですけれども、まずEUの問題について言いますと、ヨーロッパで起きている試みというのは、いわゆる二十一世紀の主権国家の多様な社会が共存と安定を確保する上での非常に大きな実験だと思います。その実験を見る上で、大使は、やはり世界的に共通な普遍的な面と、それからヨーロッパ的な条件があるという特殊性の面と、両方から複眼的に見なさいというお話だったというふうに思います。
 その際に、EUで、私がお話を聞いて大事だと思っておりますのは、一つはやはり、あそこは戦場になりましたから、二度と戦場にしないという思いから出発しているという点で、侵略国家であったドイツやイタリーの戦争責任問題が戦後補償を含めまして非常に明確に対応がされたという点。それから、人権状況でも、各国の人権にかかわる問題が、共通の条件を持てるように、いろいろな条約や協定を結びながら、お互いの事態を高める方向で努力してきたという点が挙げられると思うんです。そして、もう一つつけ加えれば、安全保障の対話の問題ということになるだろうと思います。
 そういう面からアジアを見ますと、私は、アジアの場合は、日本の二十世紀前半の軍国主義のもとでの侵略戦争の問題もありますし、現時点での北朝鮮による拉致犯罪を初めとした一連の国際的無法行為がいまだに清算されていないということや、ヨーロッパとはステージの違うさまざまな問題が起きている、そういう中で、ヨーロッパの経験を我々がどう見るのかという提議だったというふうに思うんです。
 さて、北東アジアでの、もう少しアジアを広くとってもいいと思うんですが、地域の集団安全という問題になりますと、私は、これは即軍事的な面での安全保障ということで考える必要は全くないと思います。例えば、ASEAN諸国は、いずれも軍事同盟に参加をしない国々ですし、紛争や国際的な問題があれば平和的解決に努力しようという立場をとっておりますから、それこそ平和の安全保障対話という枠組みだと思うんです。今度の六カ国協議の場合も、やはり事態を交渉によって平和の立場で解決しようということで、到達点のいろいろな評価はあったとしても、そういう場を設けたことはやはり非常に高く評価されるべき点だと思いまして、こういう努力を尽くしていくことが大事だと思うんです。
 その点で、憲法制定議会の際に政府側が、日本国憲法と国際社会とのかかわりにつきまして、やはり九条を基本に置くということを繰り返し述べている点は留意すべきだと思うんです。
 例えば、一九五〇年代に国連に日本が入ったときに、直接その交渉やいろいろな問題を担当いたしました外務省の西村熊雄氏は、九条がある関係で、国連軍を含めまして国際的な軍事活動には参加できないという留保のもとで国連に加わったというふうに、六〇年代に内閣のもとでつくられました憲法調査会の際にそういう発言をしております。
 私は、その点で、やはり日本が憲法制定時の立場を今日生かすことがアジアの安定を考える上でも非常に不可欠となるというふうに思うんです。
 関連して、先日の広島公聴会なんですけれども、私が感心いたしましたのは、広島の記念資料館の元館長でありました高橋さんにしても、それから団体職員の平田香奈子さんにしても、平和への思いという点では、掛け値なしに、非常に胸を打つ話をされたと思うんです。
 私たちは、憲法論で議論いたしますと、どうしても九条の厳密な規定、それは当然そのことも踏まえなければいけないわけですけれども、そういう憲法というものが国民の日常生活の中でどういう力を発揮しているのかというときに、九条は変えてくれるなとか、三月二十日にイラクの戦争一周年ということで世界的に戦争反対の集会が開かれますけれども、平田さんという方が人文字でへいわという文字をつくりたいというお話をされていましたが、そういうところにあらわれてくる憲法の力というものを実感したというのが、地方公聴会についての私の感想です。

発言情報

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発言者: 山口富男

speaker_id: 25006

日付: 2004-03-18

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会