楠田大蔵の発言 (憲法調査会)
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○楠田委員 民主党の楠田大蔵でございます。
本日は、四月二十二日の小委員会における菊池参考人からの御意見をお聞きし、また、ただいまの委員長の報告を受けまして、以下発言をさせていただきます。
菊池参考人の話、また委員の方々との質疑を聞いておりまして、やはり一つ気にかかりますことは、朝鮮半島や台湾海峡などアジアの中に厳然と国家と国家の深刻な敵対関係が存在する、こうした地域全体の安定に対する脅威への対処として、軍事的な対処、抑止力の維持が極めて重要という論理であります。これ自体は確かにそうかもしれません。しかし、だけれども、この論理から派生して、こうした脅威に対して日本が軍事的にしかるべき役割を果たすのは、単なる日本の国益の発露にとどまらず、より大きな公益を守る一環であり、集団的自衛権が認められないために日本がその役割を果たせないのであれば憲法を変える必要もあるであろうという参考人の発言は、いささか危険ではないかと思います。
同じ論理で、アメリカのアフガニスタンやイラクへの軍事侵攻もテロとの闘いという公共的な利益のために許されるという話になってきますが、その結果が、現在のイラクでの泥沼状態、そしてそれに伴う虐待行為といった非常に悲しむべき現状であります。異なる民族が異なる民族を統治しようとすれば必ず失敗するという過去の歴史が物語ることでございます。イギリスもフランスも日本も、そしてアメリカもその失敗を経験してきました。やはり、軍事的な行動というのはよほど抑制的でなければならないと考えます。
参考人は、世界のすべての国が支持するということはあり得ないとも述べ、有志連合の必要性にも触れられましたが、今回のイラク侵攻のケースを見ても、それだけの支持がないところでの軍事的な行動はやはり誤りである可能性が高く、国連の正当な決議が最低限必要との認識を改めて強く持つ必要性を感じたところでございます。
その上で、今回の小委員会での議論でも話題となりました政治、経済、社会にわたる総合的な取り組みというものを、いかに実質を伴うものにしていくかが重要と考えます。例えばFTAに関しては、参考人の話では、二国間の新たな利益の不均衡を生み出し、政治的な対立が惹起されるというマイナス面も挙げられ、過度の期待をかけることへの疑問も投げかけられましたが、日本がある種戦略的にFTAもしくは一歩進んだEPAをアジア各国に投げかけることは、私は極めて有効だと考えております。
約一カ月前、EUが十五カ国から一挙に二十五カ国に拡大をし、特に旧社会主義国を初めて受け入れました。ここで見逃せないのが、こうした新規受け入れをする際の条件として、開かれた経済運営であるとか、財政赤字の是正であるとか、人権の尊重であるとか、そうしたハードルを設けているということです。相互の発展を図る前段階として、問題を抱える国家を先進的国家にキャッチアップさせるという効果を生んでいる。
アジアの各国も、近代化の点でそれぞれ大きな格差があるというのは参考人の話でも明らかにされました。環境であるとか麻薬、疫病、人身売買あるいは海賊行為という問題がますます深刻化しています。経済面では、中国を初め、WTOルールすら守られていない。こうした状況を是正し、アジア全体での底上げを図るためにも、日本は主導権を持って経済連携を早急に仕掛けて、相互の依存関係をより強め、平和的な安全保障環境を維持することこそがアジアの共通の利益であるという状況をつくり上げていくべきと考えます。こうしたいわば内側からの取り組みこそが、行く行くはアジアの地域安全保障につながるはずです。
そのためにも、政府中心のフォーラムに加えて、官民合同のフォーラムという観点はさらに重要と考えます。民間主導の生活に根差した経済もしくは文化面での交流と、そこから生まれる提言にこそ、真のアジア間での相互理解のかぎがあるのではないでしょうか。こうしたコーディネートを我々若い世代もアイデアを出して進めていかねばならないと考えております。
以上です。