山口富男の発言 (憲法調査会)

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○山口(富)委員 日本共産党の山口富男です。
 私は、地域の安全保障を考える場合に、一つは、二十一世紀を迎えたアジアに対する現状認識の問題、それから、それに対して日本が持つべき平和外交戦略の中身の問題、そしてもう一つ、その際依拠すべき憲法原則、それらが当然問題になってくると思います。
 まず初めに、アジアへの現状認識の問題なんですけれども、参考人もさまざまな角度からお述べになったわけですが、私は、アジアは、この二十一世紀の世界の動向を見る中軸になると言われていますけれども、他の地域に見られない非常に多面的な特徴を持った地域だと思います。
 それは、国の構成で見ましても、社会主義を目指す中国、ベトナムがあり、また、日本のように発達した資本主義国があり、そして一方では、経済的発展の点では発展途上と言われるようなさまざまな諸国がそこに存在します。
 それからまた、宗教の面で見ましても、いわゆる世界の四大宗教と言われるような国が、それぞれの自国の中にそういう宗教の面での問題を抱え込むというような地域で、なかなかこれはほかのところに見られない問題だというふうに思うんです。そして、今この地域が世界の非同盟運動の発展の一つの大きな力をなす地域になっているというところも注目すべきだというふうに思うんです。
 私は、それだけに、日本がこういうアジアでの平和外交戦略、経済戦略をきちんと据えることが大事だと思うんですけれども、その際に、やはり憲法論的に考えれば、日本国憲法の平和主義の問題、それと、侵略戦争の反省の上に立って考えるということが基本であって、集団的自衛権については、私はこれは憲法が認めるところではないというふうに思います。
 問題は、アジアでの平和関係に絞って考えてみますと、東南アジアでは、先ほど船田委員が指摘されたように、このASEAN地域フォーラム、ARFという安全保障対話が始まっていますし、また、東南アジア友好条約のように、紛争の国際関係について、平和的な解決を目指すという流れが非常に強力に生まれている。同時に、東南アジアではそうですけれども、北東アジアを見ますと、やはり朝鮮半島の問題、それから台湾海峡をめぐる緊張の問題という、さまざまな不安定な要因を抱えている。この問題を解決していくことが、長期的には北東アジアの平和と安定にとっても欠かすことができない課題になるだろうというふうに思います。
 北朝鮮問題では、五月の日朝首脳会談で、私は、一昨年の日朝平壌宣言が日朝関係の基礎として再確認をされて、拉致問題、それから核、ミサイル問題、人道援助問題などで、懸案事項が引き続き残るわけですけれども、一定の合意を見て、国交正常化への前進の方向を確認したことは重要なものだというふうに考えております。
 そして、北朝鮮との関係の問題について言いますと、ここできちんとした両国関係の安定化が図れるような方向が生まれれば、これは、六者協議を含めまして、北東アジアにおける二十一世紀の長い目で見たときの平和と安定の国際関係の確立の上で非常に大きな役割を日本が果たし得る分野に逆になるというふうにも考えるんです。
 それからもう一点の、台湾海峡をめぐる問題なんですけれども、台湾問題については、日本は平和解決の独自の役割があると思います。それは、あの地域を五十年間植民地支配した問題がありますし、その後ポツダム宣言によって中国に返還したという経過がありますから、やはり台湾住民の合意のもとに、中国大陸との平和的な統一が実現されるということを私は希望したいというふうに思います。
 最後に、FTAの問題なんですけれども、これを考える場合に、やはり国連憲章が定めております主権国家の平等原則の問題、それから、憲法が打ち立てている国際協調主義や平和的生存権にかかわる問題、こういうことをきちんと踏まえることが大事だ。特に、アジアは、八〇年代末から九〇年代のアジア通貨危機を契機にして、自主的な経済圏をつくるという動きを非常に強めましたから、FTAを考える場合も、やはり各国の経済主権と平等互恵の立場に自覚的に立って、問題にリアルに対処していくということが日本には求められているというふうに考えます。

発言情報

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発言者: 山口富男

speaker_id: 25006

日付: 2004-06-03

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会