山口富男の発言 (憲法調査会)
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○山口(富)委員 土井委員と近藤小委員長はしばしば議論しておりますが、私も中谷委員としばしば議論しておりまして、先ほど言及がありましたので、その点に限って申し述べたいと思います。
私は、大体、集団的自衛権について悪者論というような言葉は一切使っておりません。それは、委員の方はまとめておっしゃったことですけれども。しかし同時に、私は、集団的自衛権について、これを世界の自明のものとして扱うという姿勢は正しくないと思っております。というのは、国際法の規範の理解の問題という側面と、もう一つは歴史の実態の理解の側面と、両方からそのことは言えると思うんです。
まず、国際法の問題でいいますと、確かに国連憲章五十一条に初めてこの集団的自衛権という言葉が書かれたわけですけれども、これが持ち込まれた経過というのは、既にいろいろな文書で明らかになっているように、軍事同盟を認めるために最終盤でアメリカが押し込んだ規定であるということはもう明らかです。ですから、私は以前の委員会でも申し上げたんですが、これはあくまで例外的な規定であって、普遍的な固有の権利という形での理解はできないものであるというふうに考えております。
それからもう一点は歴史の実態なんですけれども、自衛権という名前はついておりますが、集団的自衛権の名前で行われたものは、実際には集団的な攻撃権なんですね。アメリカの場合はベトナム戦争であり、ソ連の場合はアフガニスタンへの侵略であるという形であらわれてきたわけです。しかも、現実には、今、世界の多数の国々は非同盟諸国となっておりまして、既に軍事同盟から離脱しておりますから、その点では、集団的自衛権の行使というものがあたかも世界で自明であるかのような立場でこの問題を考えることは正しくない。
ですから、私は、冒頭一言、日本の憲法は、前文でも九条のもとでも集団的自衛権を認めるものではないということ、以上の点を踏まえながら述べたわけです。