保岡興治の発言 (憲法調査会)
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○保岡委員 最高法規としての憲法のあり方に関する調査小委員会における調査の経過及びその概要について御報告申し上げます。
本小委員会は、四月二十二日に会議を開き、参考人として、北星学園大学経済学部助教授齊藤正彰君をお呼びし、憲法と国際法、特に人権の国際的保障について御意見を聴取いたしました。
会議における参考人の意見陳述の詳細については小委員会の会議録を参照いただくこととし、その概要を簡潔に申し上げますと、
参考人からは、
まず、憲法と国際法の関係について総論的な説明がなされ、その中で、国法体系における条約の取り扱いという問題を考える上では、各国の憲法規定や国家機関の実行などの分析に力を注ぐべきであるという意見が近年の主流であること。従来は、憲法と条約が矛盾、衝突するケースが重要な論点となったが、憲法と国際人権条約は人権保障を目指すという点で共通しており、完全な矛盾、衝突は必ずしも多くはないこと。法律に対する条約の優位は、憲法の国際主義を基調として、他の憲法の諸原理との調和を求めた結果と解するのが整合的であることなどが述べられました。
次に、国際人権条約の内容の実現のためには、国内裁判所による国内的実施が重要であるが、現状では、国内裁判所は国際人権条約の活用に積極的であるとは言えないとの指摘がなされました。その上で、国際人権条約の国内的実施に当たっては、国際人権条約の内容を違憲審査制の枠組みで実現する違憲審査制とのすり合わせとして、憲法の条約適合的解釈など国際人権条約の憲法解釈の基準への援用、及び国際人権条約違反を理由とする最高裁への上訴の容認が必要であるとの意見が述べられました。
また、近時問題となっている国際人権規約における自由権規約の規約人権委員会の意見、見解と国内裁判所の関係について、国内裁判所において当該意見等を可能な限り顧慮することは、条約の誠実な遵守をうたう憲法九十八条二項の要請にかなうものであるとの指摘がなされました。
このような参考人の御意見を踏まえて、質疑及び委員間の自由討議が行われ、委員及び参考人の間で活発な意見の交換が行われました。
そこにおいて表明された意見を小委員長として総括すれば、
憲法が定める人権保障をより充実させるための手段として、国際人権条約を憲法へ取り込んでいくことは有用であるという点については、各会派に一致した見解であったと思われます。ただし、我が国の国際人権条約の批准の状況、国内適用の現状に対する評価については、意見の分かれるところでございました。
このほか、質疑の中では、条約の国会承認手続の要否及び条約内容の留保の判断権を内閣が有している問題等の条約と立法、行政の関係のあり方、国内裁判所による条約の直接適用の可否の問題などの条約と司法の関係のあり方につきましても議論がなされました。
これらの議論を通じ、憲法と国際法のあり方を考えるに当たっては、国際協調主義を基調とする憲法が有する国際法に対する尊重的態度をより具体的な形で実現していくために、立法、行政、司法の幅広い視野から、それぞれの国際法への関与のあり方について総合的に検討を行うことが必要であると認識した次第です。
以上、御報告申し上げます。