松本和彦の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)

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○松本参考人 表現の自由といいましても、確かに限界があるわけでありますが、しかし、どのような表現行為までが表現の自由としての保護を受けるのかという点については、これは抽象的にお答えするのは非常に難しいわけであります。
 ただ、先ほど私が述べましたように、憲法上の権利の行使とは言えない表現行為はあり得るとは思うのですけれども、それはだれがどう考えても、これは憲法上の保護を考えるまでもなく許されないだろうと思われるような行為だけを表現の自由の保障領域から排除するべきでありまして、逆に言いますと、議論があるような行為については、これは表現行為ととらえた上で公共の福祉による制限を考えるべきであろうというふうに考えております。
 それから、インターネット等の新しい技術が普及することによって、さまざまな新しい表現の自由の問題というのは確かに出てきておりますが、原理的な問題については、実はそれほど昔から変わっていないのではないかというふうに考えております。それは、技術が新しくなったというだけのことでありまして、それぞれの新しい技術の特性に合わせて従来の原理をどう応用していくかという話になっていくだけだろうというふうに思います。
 それから、出版物に対する規制が、あるいは放送等に対する規制が緩やかではないかという点につきましては、これは表現の自由というものに対してどのくらいコミットするかという問題ともかかわると思いますが、表現の自由というのは、やはり傷つきやすい自由であるというふうに私は思います。どちらかというと、名誉保護とかあるいはプライバシー保護ということによって表現の自由というものを規制すべきであると言う方が何となく耳ざわりがいいわけでありますが、しかし、表現の自由というのは一たん傷つきますと取り返しがつかないことになりやすいわけでありまして、その意味で、表現の自由に対する感度と申しますか、その傷つきやすさに対する配慮というものは、幾ら強調しても強調し過ぎることはないのではないかというふうに考えております。
 仮処分の規制についての手続については、これもいろいろ議論があるわけでありますが、最高裁判所は、北方ジャーナル事件判決という昭和六十一年の判決において一応の基準を出しておりまして、やはり回復不可能な侵害があるような場合、しかも弊害が明白であるというような場合に限って、仮処分という緩やかな手続でもって事前に規制することが許されるというふうに言っております。
 この考え方が正しいかどうかについては異論もあるわけですけれども、しかし、仮処分というのは手続としては非常に緩やかな手続でありますので、先ほど申し上げた表現の自由の傷つきやすさということを考える際には、表現の自由を尊重するという観点を忘れることなく手続に臨むべきであろうというふうに考えております。
 以上です。

発言情報

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発言者: 松本和彦

speaker_id: 16943

日付: 2004-04-01

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会