松本和彦の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)
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○松本参考人 法律の留保原則というのは、これは日本の公法学においてはもう昔から議論になっている事柄でありますが、憲法学においては、かつて法律の留保原則というのが、法律さえ制定すればその法律によって憲法上の権利も制限して構わない、そういう趣旨で理解されたこともあって、非常に不人気な考え方なわけです。
しかし、憲法上の権利が仮に制限できるとすれば、それは法律の根拠がなければならないということは、これはだれもが認めていることでありまして、言い方をかえますと、法律の根拠もなしに、行政の判断だけで憲法上の権利が制限できるわけではないという点についてはコンセンサスがあるわけです。
そこで、日本の公法学においては、とりわけ行政法学においてこの法律の留保原則というのがずっと議論されてきたわけであります。ところが、肝心の憲法学の方では、先ほど言った不人気ということもありまして、余り論じられなくなってきている。しかし、そのせいでありましょうか、法律に人権制限の根拠というものを明確に書き込むということについて、少し配慮が足りなくなってきているのではないかということを私は考えるわけであります。
議会というところは、多様な利害が代表されている場でありますし、また、公開の場であります。これは、行政の場合といろいろな点で違うわけでありまして、この議会の特性というのを十分に生かして、まず議会において、人権と公共の福祉の相互調整を行う、その上で、その調整を行った結果、つまり議会自身の判断を法律の上に表現する、これを私は憲法上の法律の留保原則というふうに考えておりまして、いわば議会の自己決定義務ということを著書の中でも強調しているわけであります。
以上です。