松本和彦の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)

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○松本参考人 表現の自由と国家権力の関係ということ、これは相変わらず重要な議論でありますが、今おっしゃられましたように、個人の人権をめぐる状況というのは、私人対私人の間でもやはり問題となるだろうと思います。その場合、国家がどういう位置にあるかということを考える必要があるかと思っています。私は、私人対私人の関係についても、国家を含めた三者関係で考えるべきだというふうに考えております。
 その場合、国家は、一方において、表現の自由によって被害を受けた私人を保護すべき立場にあるだろうというふうに考えています。これは、最近憲法学においても有力になりつつある議論でありますが、基本権保護義務という考え方がございまして、国家が私人間における被害を防止する義務というのを負うという考え方であります。つまり、ある私人の表現によって別の私人が損害をこうむる場合、この別の私人の損害を国家が防止して、その個人の人権を保護しないといけないという考え方です。ここで、憲法上、基本権保護義務というのが国家に課せられる。
 しかし、他方で、国家がその保護義務を履行しようとすれば、表現を行った私人の表現の自由に介入せざるを得ないわけでありまして、ここに個人対国家の表現の自由の問題というのは残らざるを得ない。それで、表現の自由をその表現した私人が持っている以上、ここには、その私人から国家に対して表現の自由の主張というのが常になされるわけでありまして、これを国家の側から見ると、私人の表現の自由を侵害してはならない義務、人権侵害防止義務というものが課せられることになる。
 つまり、国家には、基本権保護義務と基本権侵害防止義務の二つの義務が同時に課される、そしてこの二つの義務の間で調整を行わないといけないということになる、こういうふうに考えていくべきだろうと考えております。

発言情報

speech_id: 115904186X00320040401_012

発言者: 松本和彦

speaker_id: 16943

日付: 2004-04-01

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会