松本和彦の発言 (憲法調査会基本的人権の保障に関する調査小委員会)
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○松本参考人 人権と人権の調整というのは、これは非常に微妙な考慮を要するわけでありまして、これは、先ほど申し上げましたように、憲法上でそれを行うということには限界があるだろうと考えております。その意味で、立法の役割というのは非常に重要でありますし、それから行政の役割、そして裁判所の役割、とりわけ私人間における人権と人権の衝突の調整において裁判所の果たす役割というのは、これは永遠になくならないだろうというふうに考えております。
そのことを踏まえました上で、立法の前に何らかの調整、特に憲法上の調整というのが要るのかどうか、とりわけ今環境権のお話をされましたので、それについてお答えしたいと思うわけです。
私自身は、環境権というものを憲法に取り込むという点については、環境というものが、個人の権利というより、これは公共の利益である、そういう側面の方が強いのではないかというふうに考えますことから、環境権という形での規定については必ずしも積極的ではございません。
もし環境について憲法上何らかの基準が必要であるというのであれば、私は、国家の環境保全義務というものを規定するというような方向で考えるべきではないかと考えております。つまり、国が環境を保護する義務を負っているのだというふうに考え、そして、その国家の環境保全義務を基礎に、国はさまざまな環境保護立法を行っていくというようなやり方といいますか方向性で考えるべきではないかというふうに考えております。
個人の権利としての環境権というものを規定するという方向よりは、国家の環境保全義務を規定するという方向の方がベターではないかというふうに考える次第です。