広井良典の発言 (憲法調査会統治機構のあり方に関する調査小委員会)
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○広井参考人 二点ございましたが、後の社会保障と憲法とのかかわりについてまずお話しさせていただきますと、私、憲法の専門家では全く、それ以前に法律学の専門家でもございませんので、社会保障の視点からの発言になりますけれども、今の憲法というのは、これは言うまでもなく戦後アメリカの影響下につくられたもので、基本的な思想としまして、リベラリズムといいますか、個人の自由なり人権というのを基調に組み立てられている。ただ、二十五条という生存権、社会権と呼ばれるものが入っているのは言うまでもございませんけれども。
社会保障と憲法とのかかわりが浮かび上がってくる条文としては、十三条の幸福追求権、あるいは十四条の法のもとの平等、それから二十五条の生存権と社会権ということになろうかと思いますが、私は、先ほど申しましたように、社会保障というものを個人の自由の、広い意味での自由の実現ということでとらえ直すという意味では、十三条あたりを基本原理に据えて、その上で二十五条のような規定があるというふうに理解できるのではなかろうかと思いますが、確かに、見方によっては、御指摘にございましたように、二十五条の規定は割とあっさりしているといいますか、例えば、ドイツなどでは社会国家という、もう少し福祉国家という理念を掲げた規定があるわけで、それを、日本の憲法にももう少しそういった方向づけを入れていくという選択はあり得るかと思います。
ただ、これは極めて政策的な判断といいますか、あるいは、その時期その時期で国民の意向も変わり得る部分で、裁量の幅が大きな部分でございますので、考え方としては、このリベラリズム的な十三条や二十五条の規定のみを規定としては置いておいて、その上で、具体的な社会保障の姿を実現するのは個々の法的なレベルにゆだねるということも、十分今、現状の姿も考えられるのではないかというふうに考えます。
それから第一の、年金について、これはまた大変な議論になろうかと思いますが、私は、一言で言いますと、今回の改革案は非常にやはり対症療法的なといいますか、そういう面が大きいと思っておりまして、また、現在の一三・五八%を一八・三%まで引き上げていくこの年金の保険料の引き上げに関しては、私自身は、若い世代の理解がなかなか得られない、かなり大きな負担を強いるものではないか。むしろ、基礎年金というものを、発表の中でも申しましたように、国の役割としては強化して、平等というものを図って、報酬比例部分はスリム化していくべきではないか。一元化という話ともつながっていくかと思いますけれども、もう少しそういった骨格自体の議論をしていく必要があるのではないかと考えております。
以上でございます。