小尾敏夫の発言 (武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会)

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○小尾参考人 早稲田大学の小尾でございます。
 今、お二人の参考人のお話を私も聞きましたけれども、基本的には御両人と緊急事態基本法並びにFEMAに関して同じスタンスかなというふうに思います。ですから、余り長々としゃべらないで、偶然かもしれませんけれども、三人の意見が割と近いなということをまず私自身、認識しております。
 それから、緊急事態基本法に関してですけれども、日本国憲法に有事あるいは緊急事態に対して明確な考えが示されていないということであれば、この基本法は必要であるというふうに私は思っております。その場合に、具体的なアクションを基本法を通してとるとすれば、国民保護法制等現在の七法案というのが対象になるでしょうけれども、その中での連邦緊急管理庁とアメリカで言っているFEMAというのがかなり大きな意味を持っている。つまり、緊急事態基本法が成立するならば、当然、FEMAもその抱き合わせだろうという認識を私は持っております。
 それで、いろいろな問題点をここで指摘しながら考え方を述べたいんですけれども、いろいろ資料を見ていますと、この間、消防庁の資料で、国民保護法制が実際にまだできていないわけですから、現実に平成十五年度に都道府県が国民保護の専任職員を何人置いているかという資料がありましたけれども、五県でたった十人なんですよね。ですから、あしたテロが起きれば、日本じゅうが大混乱、パニックになるのはもう目に見えている、そういうお寒い状況であって、それを考えると、できるだけ早くこの対策は練らなきゃならないというのは基本的に必要だと思います。
 それから、実際に自然災害のような、地震とか台風とかあるいは大規模な火災に対する措置は、確かに災害法が四十三年前に、昭和三十六年ごろですか、できていますから、それはそれとしてありますけれども、余りにも古過ぎる。その後に冷戦時代からポスト冷戦、テロの時代へ移ったわけですから、当然、それを超える大きな法体系ができなきゃいけないということで、国民保護法制などを含めたきょうの議論になっているというふうに認識しております。
 具体的な幾つかの事例で考えていきたいと思うんですけれども、国民の生命財産を守るということを前提に今の国のあり方を見ますと、例えばどこかの地域でテロが起きた、その場合の指揮系統とかそれに対する情報収集、手続等はまだまだ迅速とは言えない段階ですね。総理大臣、官房長官、危機管理センター、そして閣僚会議、それから対策本部、都道府県、市町村、市町村の中でも消防と市長あるいは村長との関係、それが数分の間にできるとはとても思えないですね。テロが起きてから数時間たってやっと動き出すなんというようなことではしようがないわけで、そういう現実の問題からすると、危機管理庁的なものが常設されていて、二十四時間そのことを責任を持ってやっていくということに行き着くんじゃないのかなというふうに思います。
 それからもう一つの視点は、大震災があったりあるいは台風で大変な被害が起きたり、いろいろなことが、自然災害があった場合に、非自然災害である人災が同時に起こるリスクというのはあるわけですね。ですから、大震災のときにテロが発生するとか、あるいはテロも武力テロだけではなくて、サイバーテロ的に日本じゅうのコンピューターが破壊されるような危機的な状況も含めて、複合危機というのは必ず起きると思うんですね。そういうことを想定した国家的な情報収集なり、それを分析して市町村そして国民に伝えるというコミュニケーションだけとっても、決して十分とは思っていません。
 我々専門家の間で議論したときに、例えば携帯電話が非常に役立つとか、インターネットがあるとかありますけれども、携帯電話一つとっても、実際、無線基地局が破壊されてしまったら使えないわけですね。パソコンといっても、発電所が破壊されてしまったら電気が通らないという非常に脆弱な近代国家になっているわけですから、やはりそれに真剣に対応しなければ国民は納得しないだろうというふうに思います。
 その観点から、私から思うと、国が本当に地方地方の村まで含めた市町村、地方自治体を熟知しているかというのはなかなか難しいものがあると思うんですね。ですから、当然、地方分権の方に移っていく。そうすると、村や町の役場で専任の方はほとんどいないわけですから、そういうことになると、民間での自主的な防災組織とかいろいろなことも出てきますけれども、これとて、国民が国を本当に信用して、自分たちの財産あるいは生命が守られるという段階において自主的に行われることが多いわけですから、決して、国、政府というものが本当に日本じゅう隅々まで危機に対して十分対応できるとは言いにくいのかなというふうに思っております。
 そういう意味で、危機管理庁のような、全国的なネットワークを有し、特に調整機能を持っているところが大事だというふうに思います。
 それで、先ほど両参考人の方からアメリカの例を出していらっしゃいます。私も、アメリカの国土安全保障省やFEMA、長年研究してまいりましたけれども、確かに、日本とアメリカは全く同じということはないわけで、ブッシュ大統領がリーダーシップをとってできた、このFEMAあるいは国土安全保障省に関しても、二〇〇一年九月十一日の大規模テロがなければここまで急速な組織化はなかったかもしれません。二〇〇一年の九月から翌年の六月に国土安全保障省の構想が出て、そして十二月にはもう議会を通ったわけですね。そして、二〇〇三年一月に発足。つまり、半年の期間に、十七万人の職員を擁する、アメリカで三番目に大きい役所が二十二の官庁を統合してできているわけで、これは、アメリカに大規模テロがあったという現実の中で、議会も国民も納得した結果だと思うんですね。これは大統領のリーダーシップももちろんあると思います。
 それで、私たちが学ぶべきことは、そういうこととともに、日本との関係で考えますと、アメリカというのは五十の州が非常に独立してもともと地方分権の強い国、その国においてでさえも、国土安全保障省という、国民の隅々までネットワークを張る組織ができたということですね。連邦だけでやっていても何もできない国ですから、そういう意味では、日本はこの組織から学ぶものがあるのだろう。
 先ほど、FBIやCIAは入らないと。FBIは多少入っているんですけれども、これは、半年間という非常に短い期間に、アメリカで三番目の官庁ができる過程で、CIA等がかなり抵抗して、入りたくないという意思表示の中で、多少見切り発車した面もあると思うんですね。これは、三年も四年もかけていれば別な形の組織になったかもしれません。
 ですから、今回、我々が、日本の状況の中で危機管理センターのような内閣官房の組織をより充実させて、願わくば危機管理庁のような、市町村までネットワークが張れるような国民の理解を得る組織をつくっていった方が、実際にテロが起きたりあるいは武力攻撃があったときに対応できなければ国民はその内閣を信用しないわけですから、そういう意味ではぜひとも必要かなというふうに思います。
 そういうことに関しては、僣越ですけれども、七月の参議院選挙のような、国民、有権者の審判というのが、当然、この問題について、どの政党が本気で国民の生命財産を守るのかということで意思表示をしていくのかなというふうに思っております。
 それから最後に、日本の総理大臣に関してですけれども、二つ三つ、ちょっと付言しておきたいんです。
 まず、六月の初めに行われるG8サミット、ジョージア州のシーアイランドで行われます。テロ問題に対して、国連も非常に大事だということはもう何度も言われているようですけれども、でしたらば、サミットにアナン国連事務総長をお呼びして、ブッシュ大統領と世界の画面ではっきりと、協力体制を必要とするということを言っていただきたいなと。私も、以前国連の国際公務員をやっていましたけれども、アメリカが国連の最重要プレーヤーであることは間違いないわけで、そのぐらいの協力体制を日本から言っていただきたいなと。
 それから、危機管理庁のみならず、アメリカの国民が心配しているテロ、災害等に対するオペレーションセンターというのは、やはり日本のリーダーが見ていただきたいなと。いかに効果的にやっているか、あるいは逆に何が問題なのかということを、せっかくジョージア州まで行くんですからワシントンに寄ってというようなことも、私あえてこの場でお願いしたいと思っています。
 最後に、こういう法案、国民保護法制にしても基本法にしても、これは国民全体の問題意識の中で議論をしているわけで、政権与党と野党第一党が、国民を代表して、ぜひすばらしい案をまとめ上げていただくということをお願いして、私の方の見解といたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 115905054X00820040423_006

発言者: 小尾敏夫

speaker_id: 23169

日付: 2004-04-23

院: 衆議院

会議名: 武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会