武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会

2004-04-23 衆議院 全279発言

⚠️ 発言のコピー・転載時は出典元URL(kokkai.ndl.go.jpおよびkokkai-data.com)を必ず残してください。改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

会議録情報#0
平成十六年四月二十三日(金曜日)
    午前十時三分開議
 出席委員
   委員長 自見庄三郎君
   理事 石崎  岳君 理事 北村 誠吾君
   理事 久間 章生君 理事 増原 義剛君
   理事 首藤 信彦君 理事 平岡 秀夫君
   理事 前原 誠司君 理事 遠藤 乙彦君
      赤城 徳彦君    岩屋  毅君
      江崎洋一郎君    遠藤 利明君
      大村 秀章君    金子 恭之君
      近藤 基彦君    佐藤  錬君
      塩谷  立君    菅原 一秀君
      田中 英夫君    谷  公一君
      中西 一善君    中山 成彬君
      仲村 正治君    西野あきら君
      蓮実  進君    鳩山 邦夫君
      林田  彪君    宮澤 洋一君
      森岡 正宏君    山口 泰明君
      大畠 章宏君    奥村 展三君
      鎌田さゆり君    篠原  孝君
      末松 義規君    田島 一成君
      武正 公一君    筒井 信隆君
      中川 正春君    長島 昭久君
      楢崎 欣弥君    細野 豪志君
      松崎 公昭君    松本 剛明君
      渡辺  周君    上田  勇君
      大口 善徳君    桝屋 敬悟君
      赤嶺 政賢君    塩川 鉄也君
      吉井 英勝君    照屋 寛徳君
      山本喜代宏君
    …………………………………
   総務大臣         麻生 太郎君
   文部科学大臣       河村 建夫君
   国務大臣
   (防衛庁長官)      石破  茂君
   国務大臣
   (事態対処法制担当)   井上 喜一君
   防衛庁副長官       浜田 靖一君
   法務副大臣        実川 幸夫君
   外務副大臣        逢沢 一郎君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  大石 利雄君
   政府参考人
   (防衛庁長官官房長)   北原 巖男君
   政府参考人
   (防衛庁防衛局長)    飯原 一樹君
   政府参考人
   (消防庁長官)      林  省吾君
   参考人
   (独立総合研究所代表取締役社長兼首席研究員)   青山 繁晴君
   参考人
   (軍事アナリスト)    小川 和久君
   参考人
   (早稲田大学大学院教授) 小尾 敏夫君
   参考人
   (日本弁護士連合会有事法制問題対策本部本部長代行)            村越  進君
   衆議院調査局武力攻撃事態等への対処に関する特別調査室長          前田 光政君
    —————————————
委員の異動
四月二十三日
 辞任         補欠選任
  植竹 繁雄君     西野あきら君
  林田  彪君     金子 恭之君
  鎌田さゆり君     篠原  孝君
  川端 達夫君     田島 一成君
  赤嶺 政賢君     吉井 英勝君
  東門美津子君     照屋 寛徳君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 恭之君     林田  彪君
  西野あきら君     近藤 基彦君
  篠原  孝君     鎌田さゆり君
  田島 一成君     川端 達夫君
  吉井 英勝君     塩川 鉄也君
  照屋 寛徳君     山本喜代宏君
同日
 辞任         補欠選任
  近藤 基彦君     植竹 繁雄君
  塩川 鉄也君     赤嶺 政賢君
  山本喜代宏君     東門美津子君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案(内閣提出第九八号)
 武力攻撃事態等におけるアメリカ合衆国の軍隊の行動に伴い我が国が実施する措置に関する法律案(内閣提出第九九号)
 武力攻撃事態等における特定公共施設等の利用に関する法律案(内閣提出第一〇〇号)
 国際人道法の重大な違反行為の処罰に関する法律案(内閣提出第一〇一号)
 武力攻撃事態における外国軍用品等の海上輸送の規制に関する法律案(内閣提出第一〇二号)
 武力攻撃事態における捕虜等の取扱いに関する法律案(内閣提出第一〇三号)
 自衛隊法の一部を改正する法律案(内閣提出第一〇四号)
 日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書1)の締結について承認を求めるの件(条約第一一号)
 千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の非国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書2)の締結について承認を求めるの件(条約第一二号)
     ————◇—————
この発言だけを見る →
自見庄三郎#1
○自見委員長 これより会議を開きます。
 本委員会に付託されております、内閣提出、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律案等武力攻撃事態等への対処に関連する七法律案及び日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定の締結について承認を求めるの件等条約三件を一括して議題といたします。
 本日は、各案件審査のため、参考人として、独立総合研究所代表取締役社長兼首席研究員青山繁晴君、軍事アナリスト小川和久君、早稲田大学大学院教授小尾敏夫君及び日本弁護士連合会有事法制問題対策本部本部長代行村越進君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、青山参考人、小川参考人、小尾参考人、村越参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際は委員長の許可を得ることとなっております。また、参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知をいただきたいと存じます。
 それでは、青山参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
青山繁晴#2
○青山参考人 おはようございます。青山繁晴でございます。
 本日は、自由民主党の御推薦をいただきましてこの機会を与えていただいたわけでありますけれども、なるべく不偏不党といいますか、主権者の立場で申したいと思っております。
 理由は二つございまして、一つは、私の属しております独立総研は、日本の政府機関やアメリカやヨーロッパ諸国、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、スイスと連携して安全保障の実務を行っておりまして、実務といえどももちろん党派色ある場合もありますけれども、基本的には実務は不偏不党でございますから、その立場で話させていただきたいと思います。もう一つは、この独立総研は、どこの団体、企業グループなどからも支援を受けておりませんので、そういう意味でも公正中立なお話をさせていただきたいと考えております。
 本日は、事務局の方から、理事会において、緊急事態対処基本法に重点を置いて意見を述べよというお話をいただいております。緊急事態対処基本法につきましては、まさしく、原理原則のところも含めまして基本的な考えを述べさせていただき、その後、国民保護法制につきましては、現在、私どもが自治体あるいは総務省と連携して国民保護法制の整備の実務を預かっておりますので、一部担っておりますので、そこは詳しく、具体的な話を少しさせていただきたい。
 それから、FEMA、日本版FEMA云々の話、緊急事態管理庁ないし危機管理庁のことにつきましては、アメリカのFEMAと一緒に仕事をしておりますので、その実態を含めてお話をさせていただきたいと考えております。
 まず、緊急事態対処基本法についてでございますが、憲法につきましてお話ししたいと思います。憲法につきましては、先生方に意見を申し上げるのは僣越でございますが、あえて申し上げたいと思います。
 日本国憲法、今憲法調査会を含めて改正論議が盛んになっているわけですけれども、基本的には、国民の安全と国家の平和を具体的にどう守るかという定めがないものと私は理解しております。この憲法が平和憲法であることは疑いを挟む余地はありませんけれども、その平和の理想について具体的な定めがないのではないかと考えている次第であります。
 第九条の第一項に、武力の行使、それは武力の威嚇も含めて行わないと明記し、第二項において、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と。さてその上で、ではどうやって国家の平和と国民の安全を守るかについては、いわば第三項が抜けているわけであります。唯一、憲法の前文に、「諸国民の公正と信義に信頼して、」それによって平和を守るという趣旨のことが書いてあるわけでありますが、この憲法前文の定めにつきまして、議員先生方の間にも、現実と合っていないのではないか、例えば朝鮮半島の現状をかんがみるに、公正でなく信義も持てない国があるから、この前文が現実に即していないという議論も聞くわけでありますが、私はそれではまだ不十分だと思っております。
 肝要なことは、いつの時代、どこの時点におきましても、どの国家におきましても、当該政府は自分たちの国家が公正で信義であると確信しているわけです。現在の北朝鮮における、いわゆるテロ国家と名指された国家であっても、あくまでその指導部は自分たちの公正と信義に基づいて行動しているわけでありまして、そうしますと、国際社会の現実は、常に諸国がそれぞれの公正と信義を掲げるということがございますから、この前文をもって平和を守るための具体的な策があるとは考えにくいと考えております。
 さてその上で、どうしてこういう憲法になったかを考えますと、事実は明白であると思っております。さっき申しました、九条の第三項があるかわりにアメリカにお任せする、アメリカ合衆国との同盟関係において我が国の安全を保持するということが明白に今まで続いてきたわけであります。
 しかし、それが既に、冷戦構造が崩壊した後、アメリカにすべてをお任せする時代でなくなっていると考えておりまして、今回のイラクへの自衛隊派遣についても、アメリカの言うがままに送ったというよりは、我が国が独自の判断をして、アメリカと協議をして現在の派遣も継続しているのではないかと私は考えておりますので、この第三項を補う、ないしはアメリカとの新しい同盟関係、つまり、アメリカの一部として活動する防衛力を持つのではなくて、すなわち、具体的に言いますれば、海上自衛隊は通常戦力としては世界有数の戦力と考えなければなりませんけれども、例えばアメリカの第七艦隊に潜水艦部隊が実質的にないのは、日本の海上自衛隊の優秀な潜水艦能力に依存しているからであります。
 そういう米軍の補完である防衛力の変更も今始まっているわけでありますから、そういう意味において、緊急事態対処基本法、ないしは本来議論されてきた安全保障基本法のような、最もベーシックな法体系が必要だと考えております。
 さてその上で、そのあるべき性格を考えますときに、特に所管庁におきましては、安全保障基本法ないしは緊急事態対処基本法を策定する際には、災害対策基本法やあるいは原子力災害対策特別措置法、いわゆる原災法と重なる部分があるから、これを統廃合する手間が大変であるという声もよく聞かれるわけであります。私のところにも官庁からその声は届いております。さらには、自衛隊法や防衛庁設置法との絡みでも整合性を図るという議論が聞かれるわけであります。
 まず前者について言いますと、災対法や原災法との統合を当面進める必要は特にないと思います。何となれば、さっき申しましたように、この緊急事態対処基本法のあるべき姿というものは非常に基本的なものでありますから、災対法や原災法と矛盾しない限りは、基本法ができたからといって直ちに統合すべきものであるとは考えにくいと思います。
 ところが、自衛隊法、防衛庁設置法に関しては、実はこのままですと基本的な整合性に問題が生じる、矛盾が生じる点があると考えております。何となれば、現在の私たちの自衛隊には、世界の先進国の軍隊ないし軍事組織、防衛組織にない、極めて特徴的な問題点が二つあるわけであります。
 一つは、市民社会との整合性、市民社会におけるルールとの混同であります。
 自衛隊は軍隊であるのかないのかという論議が延々とこれまで繰り返されてきたわけであります。国際法上は軍隊として扱われています。例えばアメリカの国防総省から見ますと、通常戦力においては、米軍を除けば世界第一位の戦力に近いという判断もなされているわけでありますが、しかし、それでもなお法的には自衛隊は軍隊ではあり得ないと考えております。
 どうしてかといえば、それは軍法会議を持っていないからであります。自衛隊が軍法会議を持っていない理由といいますのは、察するに、我が国の戦前の歴史におきまして、旧帝国陸軍、海軍の軍法会議というものは、軍内のルールを確立するためというよりは、軍内の不祥事を国民の目から隠したり、あるいは軍がいわば勝手に行動できる基本として存在していたから、その反省に基づいて、軍法会議が現在否定されて自衛隊が存在しているわけでありますが、これは本来は、帝国陸軍、海軍というものが崩壊し民主国家となった段階で、市民社会とは違う軍法会議を持った国軍が創立されるべきであったと考えております。
 軍法会議というものは、基本的には市民社会と違うルールが厳然と存在するということをむしろ主権者市民の側に見せるものであると思っております。
 私たち普通の市民生活においては、例えば私の家族が傷つけられても、その復讐として人を傷つけたり、あるいは私の財産が傷められたからといって、相手の財産を傷つけてはいけないわけでありますけれども、国際社会においては、国家の間において、相手の兵員を殺傷することもあり得るし、戦車や軍艦のような相手の器物を損壊することもあり得る。そのために、市民社会と違うルールが厳然と存在することを示すのが本来の軍法会議であると思っております。
 そういう意味で、実は私たちの祖国というものは、戦争の反省といいながら、本当は、例えばすべて旧軍に押しつけたり、戦前の体制に問題を押しつけたのであって、私たちの民主主義における新しい、国軍を含めた体制というものをつくってこなかったんじゃないかと思っております。
 したがって、緊急事態対処基本法ないし安全保障基本法を策定した際に、この市民社会とルールが混同されている部分の矛盾が残ってしまう。
 第二の点は、自衛隊においては、その行動のすべてにおいてポジティブリストしか持っていないわけです。つまり、してもよいリストだけが存在する。
 ところが、日本を除くすべての先進国の防衛組織、軍事組織ないしは軍隊においては、すべてネガティブリストであります。してはいけないリストが存在する。現実に敵と向かい合うことを想定しなければいけない。つまり、命のやりとりをする組織において、これはしてもよかったのか、これはしてもよいリストに入っているかということを確認するということは至難のわざでありまして、至難のわざといいますか、実際は不可能だと考えております。
 現在のイラクに派遣されている自衛隊だけではなくて、実は、防衛出動が発令された後においても、自衛隊の中にはこういう疑問点も存在していなくもないわけであります。
 したがいまして、このポジティブリストしか持っていない問題というものをそのままにしますと、安全保障基本法や緊急事態対処基本法が生まれた際に、矛盾が拡大する形で残ることを懸念しております。
 持ち時間十五分ですので、非常に立て板に水で基本の部分を話してしまいましたが、この後少し具体的なことをお話ししたいと思います。
 次に、緊急管理庁の創設の問題であります。
 これにつきましては、私を含め、私のような安全保障にかかわる人間ないしは与野党の先生方におかれましても、基本的な必要性というものは多分御異存がないところだと思います。しかし、やや懸念しておりますのは、特にアメリカのFEMAについて、緊急事態管理庁、アメリカのFEMAにつきまして、やや幻想といいますか、思い込みといいますか、誤解があると考えております。このFEMAと私どもは常日ごろ連携して仕事をしているわけでありますが、その機能というものは極めて限られております。
 まず、少し整理しますと、このFEMAは現在、御承知のように、九・一一同時多発テロの後、アメリカの国土安全保障省に統合されました。一たんFEMAという名前を消したんですけれども、単なる一部局の名前に変わりましたが、アメリカ国民に理解されずに、国土安保省の中に再びFEMAという名前の組織が復活した状態になっているわけであります。
 ただし、この国土安保省についてまず幻想があって、実際は、御承知かと思いますけれども、FBIもCIAもこれに入っておりません。国防総省の情報に関する部分、たった九十一人しかいないスタッフのところは国土安保省に統合されましたが、それ以外のところは統合されずに、アメリカの国土安保省に情報部門は置かれましたけれども、CIAやFBIないしDIA、そういったところの情報が統合されているとはとても言いがたいわけであります。
 したがって、FEMAについては、緊急事態をすべて統合して、それに対応して、いざとなればFEMAに機能が統合されるというのは、はっきり言いますと甚だしい誤解であると思っております。
 これは実際に、例えば重大テロに関して言えば、重大テロを未然に防いだり、それから、テロが起きた場合に、そのテロリストの行動を抑止したりという機能は持っていないわけであります。あくまで、起きた災害がそれ以上広がらないように、住民の避難や、あるいは化学兵器ですと、ガスの拡散、例えば服にしみ込んだガスを、それ以上二次被害を与えないために、FEMAの権限において、被害者であっても裸にしてその服を遺棄する、廃棄するというようなことについてはFEMAは権限を預かるわけでありますが、部分的な活動にすぎないというところを考える必要があります。
 したがって、日本版FEMAをつくるという話がよくされるわけでありますけれども、それはアメリカを参考にするのではなくて、一から、日本版といいますか、日本独自のものを考える必要が存在していると思います。
 その際にぜひ先生方にお考えいただきたいのは、さっき軍法会議のところで触れました問題と同じなんですけれども、安全保障にかかわる諸機関、防衛庁・自衛隊以外の機関を考えましても、警察を考えても、実は、警察庁というものは国家警察とは国際社会においては呼ばれないわけであります。あくまで日本の警察は自治体警察でありまして、警察庁は、調整機能は持っているけれども、直接の指揮権は実質持っておりません。
 なおかつ、国家警察じゃありませんから、直轄の部隊を一切持っておりません。警察の特殊急襲部隊、SATも各自治体警察に属しておりまして、例えば、原子力発電所で何か重大な事態があったときにも、福井なら福井にSATを派遣されても、それは福井県警本部長の指揮下に入ることが原則であります。この国家警察を欠如している先進国というものも、私の知る限り、ほとんど見当たらないわけであります。
 これも恐らくは、推察するに、戦前に特別高等警察、特高警察があって、それが国民の正当な権利を甚だしく侵害したから、とりあえずその特高警察を復活させないところでとまっていて、私たちの新たな民主的な国家警察をつくるところに及んでいないという問題が、戦後五十九年間にわたって営々として残ってきたと考えております。情報機関、あるいはさっき言いました国軍といいますか国民軍についても、実は同じことであろう。
 そうしますと、危機管理庁を創設する際に、内閣官房にそれを置くだけではなくて、こういう国家警察の不在を含めた、私たちの歴史の本当の総括、戦前の総括というものを行った上で、この日本の危機管理庁をぜひ創設していただきたいと考えるものであります。
 もうそろそろ時間ですね。お時間が近づいてまいりましたので、あと二点だけ申し上げます。
 一つは、国民保護法制についてでありますが、例えば鳥取県のように非常に先進的に取り組んでいるところがありますけれども、鳥取県においては、県民に対してどういう脅威が存在するかを説明するのに苦労している現状があるわけであります。
 それは、例えば、鳥取の砂丘から着上陸侵攻した敵が京阪神に向かう途中に鳥取県に危害を及ぼすという想定になっておりまして、それはそれで非常に工夫された想定だと私は考えております。しかし、実際の重大テロというものは、実際の脅威というものは、そういう形で起こることはもはやほとんど考えられない。実際は、例えば天然痘ウイルスのように、姿なきテロで起こるわけでありますから、国民保護法制に取り組まれる場合に、現実の脅威というものをもう一度洗い直す作業が必要であると考えております。
 最後に、憲法の問題に戻りまして、憲法九条と前文の問題だけではなくて、憲法第六十五条には「行政権は、内閣に属する。」と書いてあるわけであります。これは、アメリカ合衆国においては、先生方御承知のように、合衆国憲法第二条において、行政権は合衆国大統領に属すると、ただ一点の責任に帰することが明記されているわけであります。
 内閣というものは基本的に調整機関でありますから、閣議も調整会議でありますから、そこに行政権が属するという体制自体が、実は危機に対する対処の弱さというものをつくっているものだと私は考えております。
 済みません。お時間、超過しました。ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
自見庄三郎#3
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、小川参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
小川和久#4
○小川参考人 おはようございます。小川でございます。きょうはお招きいただきまして、ありがとうございます。
 私は、本日は、緊急事態対処に関する基本法を中心にちょっとおまえの考えを述べてみよということでございますので、これまで政府の危機管理の末端で実務者としてかかわってきた、そういった経験を踏まえまして、若干の問題提起をさせていただきたいと思っております。
 私自身、危機管理ということでいいますと、おととしまでの二年間、内閣の情報集約センターあるいは危機管理センターの能力を向上させるための研究会の主査をやってまいりました。そこで目の前に展開された状況というのは、惨たんたるものであります。関係省庁から優秀な上級職のキャリアが集まり、しかも、能力は持っていながら、そこにおいて、情報の収集の基本すらわからない、集約の仕方もわからない、ただ単に座っておる。そして、そこで時間がたっていって、おれはこの後出世できるんだろうかという心配ばかりをせざるを得ない。そういった状況が繰り返されてきたわけであります。
 やはりそういった問題を乗り越えていかなければいけないということでございまして、とにかく我々は、法律や制度をつくるとき、それをつくることを自己目的化し、それができれば一段落ということになってしまう。それが機能するかどうかをチェックすることがなく過ぎてきた国民性を持っております。
 そういったことから、私は、法律や制度を絵にかいたもちにしないための条件ということにおいて、やはりこの緊急事態基本法というものを考えたいと思っております。
 つまり、縦割りを克服するためには、条件が二つある。一つは、緊急事態基本法のような法律である。そして、もう一つの条件は、この基本法を機能させるための組織であるということなんです。
 概念図的にここに図をかきました。これは、国家安全保障会議、モデルになるといいますか、それをそのまま、まねするわけではありませんが、アメリカのホワイトハウスのナショナル・セキュリティー・カウンシル、こういったようなものが一つある。そして、それのもとに、危機管理あるいは国の防衛、安全保障に関しては二つの柱がきちっと存在しなければ、国の安全というのは図れないわけであります。
 当然ながら、軍事に関しては、防衛庁・自衛隊でございます。これが一つの柱です。
 ただ、いま一つ、これは軍事にかかわるところもあるし、あるいはテロや災害や、そういったものにかかわるところでありますが、ここにおいて、消防、警察、自治体が実は縦割りで、消防と警察の間で本音の話し合いができないんですよ。たまたま同期の課長がいて仲がいいという場合には、ひっそり話ができる。しかし、セカンドトラックをつくれと言ったって、ではやりましょうと言うけれども、全然機能しない。そういう中で、お互いの言葉の統一も、装備についての知識もないわけであります。
 だから、消防、警察、自治体などを束ねるという意味で、日本版のFEMAという言い方を私はいたしましたが、緊急事態管理庁あるいは危機管理庁のような組織をつくるべきだろうということで、ここにかいております。
 ただ、先ほど青山さんの方からありましたように、日本版のFEMAといっても、アメリカのFEMAを誤解しているようなことではいけない。統合するとか、そういう話じゃないんです。FEMAの、やはり我々が学ばなければいけない機能の一つは、コーディネートでございます。そういったようなことがきちっとできれば、国の安全というものは、相当レベル高く維持されるだろうと思います。
 まあアメリカの場合は、今も青山さんのお話にありましたように、このFEMAも含めて、国土安全保障省、DHSの中に入ってしまいました。私もことし三月までに三回アメリカにセキュリティーの関係で行って、DHSのリッジ長官とも会いましたけれども、やはりまだばらばらです。ただ、アメリカはアメリカなりの歩みを進めている。ただ、日本では、このDHSのような組織をつくるというのは、時期尚早も尚早。
 ネットワークのセキュリティーについて、私は今かなり深くかかわっておりますが、日本はアメリカと比べると大体二十年おくれですよ。IT戦略本部なんてつくらない方がいい。韓国に比べて十年おくれ、その自覚がないわけであります。IT戦略本部は、本部長は総理大臣、副本部長は総務大臣と経済産業大臣。それで何をやっておるのか。いや、IT化社会があれば便利ですという先生がずらっと並んでいる。
 だけれども、最初のときのIT戦略本部に関する文書には、セキュリティーという単語が三回しか出てこない。こんなばかな話がありますか。セキュリティーは、選択肢じゃないんですよ。必要不可欠なものなんです。まずそこから考えないと、国家の安全なんて図れない。
 その意味で、この条件の一、緊急事態基本法、それから条件の二、基本法を機能させるための組織というものを、きちっと我々は備えていかなければいけないのではないかなと思います。
 そういう中で、一つだけ前もって申し上げておきたいのは、危機管理庁あるいは緊急事態管理庁のような組織をつくろうということになりますと、行政改革に逆行するという声が、結構出ていた。
 ただ、私は、いろいろなところで日本の政府のお仕事にかかわる中で、むだなものはいっぱいあるんですよ。例えば、一つの審議会や委員会に私が出るとしても、連絡するだけで、一人の職員が八回も電話してくる。一回で済むんだ。では八分の一に減らせるじゃないかというのは、いっぱいあるわけです。そんなことをちゃんとやればいいんですよ。そういう中で、不要なものはどんどん削り、なくすものはなくす、そして必要なものをつくっていくというのはスクラップ・アンド・ビルド、これが行政改革であります。そういう中で、この緊急事態管理庁というものもお考えいただきたいなと思っています。
 ただ、私は、軍事問題の専門家の一員でありますし、本当の、自分自身で自信を持っているのは日米安保なんです。ただ、私は、消防審議会の委員をやったり、あるいは住基ネットの調査委員会をつくってもらって委員をやったり、そういうことをやっている。あるいは医療の危機管理についてもかなりかかわりがあるんですよ。だから、数年前には九州大学の医学部の大学院の教授になるかと言われたぐらい深くかかわっている。
 何で軍事と離れたところでやっているのかというと、応用問題と基礎問題という問題があって、日本人は、応用問題である国家の安全保障をきちっとした形で答案を書くために、基礎問題からできるようにならなきゃいけないのに、基礎問題である防災能力を高めようとか医療ミスから国民の命を守ろうとか、そういったようなことについて余りにも手薄な状態で来たからだ。基礎問題をきちっとできるようになるのはこれは間違いないんですが、そこに取り組んで基礎問題ができるようになれば、必ずや高度な応用問題である安全保障問題についても相当高いレベルで健全なものを日本国民は維持できるだろう、そういう期待があるから、そういう基礎問題のところにかかわっているわけであります。
 その中で、私は、縦割りの現実としてお手元のレジュメに書きましたのは、道路問題であります。私は道路族のお友達でもないし敵でもないんです。猪瀬直樹の友達でも敵でもない。まあ、あいつは二十五年ぐらい友達ではあるんですけれども。ただ、縦割りの現実を象徴するものとしてちょっとお話をさせていただきたい。同じような現実は、大規模テロや不審船対処の問題でもあるんですけれども、まあ、ひどいですよ。
 ここに書きましたのは、おととしの九月、国土交通省のナンバーツーである大石技監と道路の研究会をやったときの話です。私が指摘をしたメモの一部でございます。これは、もちろん大石技監、道路局長から来た人ですから、道路のエキスパートでありますが、そのとおりであるということを言っていました。そこのお話を申し上げたい。
 私は、そこで話をしたのは、国家建設、国づくりの目標は、国民に安全を保障すること、あるいは国民に繁栄を保障すること、もちろん一番大事なのは、国民に自由を保障することであります。その国家建設の目標の中に道路整備が位置づけられたことが一回でもあるのかという話でございます。
 結論から言いますと、一度もないというお答えでございます。このときは、委員長は東大の岡野名誉教授がやってくださいましたので、これは自民党の道路部会の方で報告をしていただいたはずでございます。ただ、その中で、私は、もう安全保障といったようなところは、危機管理といったようなところ、国民の命にかかわるところでも何にもないじゃないかというのを具体的には挙げざるを得なかった。
 例えば、ここにあるように、国の防衛については、ハイウエーストリップはあるのか、つまり道路を飛行場に使えるような格好になっているのか。先進国だったら常識であります。韓国だって八カ所ある。航空地図を見ればばっとわかりますよ。北朝鮮はアメリカ製の航空地図だと十三カ所ありますよ。日本の場合一カ所もない。これは韓国のケースでいうと、大体直線四キロ、上下二車線、そして厚さ一・五メートルの強化コンクリートでできております。そして、中央分離帯も照明灯もない。だから、有事には戦闘機が発着できるし、大災害や大事故のときは輸送機や大型ヘリがどんどん発着できる。日本であるのか、一カ所もないですよ。公共事業の金はこんなところでどこに行っちゃったんだという話になるわけであります。私は、公共事業はこういったことをちゃんと正すために使ってほしい、そういうお金として公共事業のことを考えてほしいという立場であります。
 あるいは、軍用車両の通行に耐える設計になった道路が一カ所でもあるのか。これは、重量物に耐えるというのは大型トレーラーがいっぱい通るからいいんですけれども、例えば、災害や何かのときでも戦車や装甲車を高速道路を使って移動しなきゃいけない場合があるわけですよ。戦車の前にブレードをつけてタンクドーザーという格好でブルドーザーに使わなきゃいけない場合もあるでしょう。装甲車だって、普賢岳のときにはキャタピラの車両しか入れないから溶岩流のところに入ったでしょう。
 そういったことで考えると、高速道路を使えなきゃいけないのに、日本の高速道路で自衛隊の持っている新しい戦車とか新しい装甲車が通れる料金所を持っているのは、東名の東京バリアの一番端っことか限られたところだけですよ。
 首都高速道路なんて入ろうと思ったら、サダム・フセインの銅像を倒すみたいに料金所を引き倒さなきゃ入れないんだから。だって、九〇式の戦車というのは幅が三メートル四十センチあるんですよ。新しいタイプの装甲車は三メートル二十センチあるんですよ。皆さん方が乗っていらっしゃるクラウンは一メートル八十センチ台ですよ。倍あるんですよ。そんな広いものをつくらなきゃいけないのは何だという議論はあるかもしれないけれども、これはこれで理由はあるわけであります。だったらこんなものを考えて道路を設計せいよと。
 ところが、国土交通省の人、旧運輸省の人あるいは建設省の人はこんな知識なんかないし、こんなものを聞こうという意識もない。自衛隊の側は道路建設にはかかわっていないわけであります。かくして、日本の道路は何にも使えない。
 あと、これは「上陸適地周辺の防御的設計」なんて難しいことを書いていますけれども、鳥取県の海岸に大規模地上部隊が上陸するなんということはあり得ない。これは、鳥取県で五年間新聞記者をやった私がよくわかっているし、上陸適地というのはあるわけです。つまり、一個連隊三千名ぐらいの各国の軍隊の一個歩兵連隊が上陸するためには、幅二キロの海浜が必要だとか、ちゃんとあるんですよ、ちゃんと軍事の公式というのが。だから、そういったもので考えれば、別な話を片山知事はしなきゃいけないわけであります。
 ただ、この上陸適地というのはちゃんとありまして、北海道においては、北方脅威論の時代にあった。でも、上陸適地が明らかなのに、その周辺で国を守るために道路をどう使うのか、あるいはトンネルを例えば戦闘機のシェルターとして使うのか、そんな発想なんか全くない。じゃぶじゃぶ金を使ってむだな道路やトンネルをつくったと言われてもしようがないわけです。私は、クマしか通らないところでも道路が必要だったらつくれと言っているんです。ただ、高規格道路をつくるようなワンパターンなばかなことをやる役人は首にせいと言っているわけであります。だから、その辺はちゃんとしていただきたい。
 あるいは、防衛計画と住民避難路の整合性なんて、考えられたことはないわけであります。これは次の防災の問題にもかかわるので、そこでお話をいたしますけれども、「防災計画と住民避難路の整合性」ということで書いておりますが、防災を考えた道路もないんです。一番日本で欠けているのは循環という発想なんです。
 阪神・淡路大震災の現場でいいますと、神戸があり大阪がある、大都市がある。それを結んでいる道路、高速道路はちょっと除外いたしますが、国道二号線が山側を走っている。そして海側を国道四十三号線が走っている。それを発災した地点によって融通無碍に組みかえて、一方通行で必要な流れができるような計画を持っていなかったら、何の意味もないわけであります。
 だから、ある事態においては国道四十三号西行き一方通行、国道二号は東行き一方通行、そして交通の流入点はわかっているから、陸上自衛隊は五百機のヘリコプターを持っていますので、その半分ぐらいは輸送にも使えますから、例えば白バイを三台ずつぐらい載せていって、そして交通の流入点におろして赤色灯をつけるだけで、日本人は従順だから、むちゃくちゃやじ馬が入ってくることはないんです。そこにおいて緊急車両の通行は確保できる。そんな発想が全くない。
 だから、鳥取県が住民避難の話をしても、これは自衛隊側にもプレゼンテーション能力がないという問題はあるんだけれども、例えば、あそこで幹線道路が、国道二十九号線、五十三号線など山陽方面に向かっている道路があります。海の側で、例えば津波が来るかもしれない、だから住民を避難させようでもいいじゃないですか。
 そうすると、片側一車線の幹線道路を使って住民が避難してくる。ただ、自衛隊は逆方向に行って災害の対処のための行動をしなきゃいけないとする。あるいは作戦行動の場合もある。往復二車線で動けるか。装甲車や何か大きな車両を持っていけば持っていくほど、路肩に寄れば崩れるんですよ。だから、センターラインを大きくまたいで前進しなきゃいけない。そうすると、前から来る住民を乗せたバスは二メートル五十ある。通れない。だから、完全に循環というのを考えなかったら、これは絵にかいたもちだよという話ですよ。そんなものをちゃんと考えているのか。
 これは、縦割りの中にいたら全然そういう発想は出ないんです。私のように、食いぶちは自分で稼ぎ、その分どこの役所にも手を突っ込むというやつじゃないとだめなんですよ。だから役人にならないんだ、なれと言われたって。その役所の何かポストの中でしかできないからですよ。でも、そういったことをちゃんと考えながらやっていただかなければいけないという話なんです。
 これは、津波と高速道路網の問題なんかは象徴的ですが、東名の由比のあたり、あるいは北陸道なんかは何カ所もありますが、ちょっと波が高ければ普通の車は走れない。何でこんなところに道路をつくるんだよという話でしょう。何も考えていない。
 あるいは、こればかり言っていると大変なことになりますが、あと、救急救助の問題なんかも考えていないんですよ。私はドクターヘリの実現に若干かかわった人間でありますが、あの救命効果の高いシステムを、我々は、西ドイツがスタートさせてから三十年間やらずに来た。その間に、救えるはずの国民の命を、例えば、二十五万人ぐらい殺してしまったと言えるぐらい問題はあるわけであります。これは厳密さを欠く話ですから、例え話でございますが。
 ただ、ドクターヘリが実際に動き始めてみたら、高速道路におりられない。だって、そういう設計になっていない。しかも、防音壁はあるわ照明灯は出ているわ。だから、私の自衛隊時代の後輩のパイロットが一人、ドクターヘリのパイロットがおりますが、もうぎりぎりで事故現場にドクターとナースをおろしたら、すぐまた離陸して、田んぼの上でホバリングしているんだそうですよ。それでまた迎えに来るとか。それはそれで運用できればいいけれども、やはり、道路の設計というのはきちんと考えなきゃいけないだろうという話でございます。そんなことだけじゃありません。だから、道路というのは、本当に三つ、四つ、五つの役所がきちっと調整されて、機能を発揮する中で国民の安全のために建設できるという話なんです。象徴的なケースなんでお話をいたしました。
 この縦割りの現実につきましては、大規模テロの問題、不審船の問題、挙げていけば三日三晩ここでしゃべってもいいぐらい例はあるんですよ。
 例えば大規模テロにつきましても、自衛隊、警察、海上保安庁、消防という組織、それぞれに機能しなきゃいけないけれども、武器一つとっても、自衛隊が普通だと思っている武器に関する知識を警察が持っていない、海上保安庁が持っていない、どうするんやという話ですよ。だから、海上保安庁にとってはRPG—7は重装備だそうですけれども、自衛隊にしてみれば重装備とは言わないですよ。それは、軽いか重いか、重火器という場合の分類には使いますけれども。そういうところから始まる。
 だから、一発迫撃砲弾がおっこってきたらびっくりする。戦場だったらどうなるんですか。一カ所の陣地をねらうのに、迫撃砲弾が百発ぐらい降ってきますよ。そんな中で戦わなきゃいけないんですよ。あるいは国民がびびるから、自衛隊もあんな避難しなきゃいけないわけですよ。そのための軍事組織なんだから。だから、やはり基礎知識だけはきちんと持とう、持たなければシビリアンコントロールはできないぞという話であります。
 あるいは不審船の問題も、あと一分以内に話しますが、武器に関する知識の格差が、自衛隊、海上保安庁の間にもあります。同時に、ずっと指摘をしてきた結果、新しい船についてはそんなことはないようにしようということで両方の役所が一致しましたが、同名異船、同じ名前の船がいっぱいある。「なだしお」事件のときは、四十九組九十八隻あった。この間の不審船の事件のときは、四十三組八十六隻あった。
 私は、海上保安庁の委員をやっているけれども、海上保安庁の委員会に行くと、主な船だけで、数少なく見せようとして悪知恵を使って出してくるから、違う、小船まで入れて同じ船がいっぱい並んでいるじゃないか、こんなばかな国がほかにあるのかと言うと、そうでございますと。海上自衛隊は、今、古庄さんという大変優秀な幕僚長がいまして、こんなばかなことはないと言っているから、何とか進んでいるんですよ。これを許してきたのは、我々国民ですからね。やはり反省しなきゃいけないだろう。
 私は、最後にお願いを申し上げたいのは、緊急事態基本法は国家生存のために不可欠な法律である。基本法を機能させるための組織、国家安全保障会議あるいは緊急事態管理庁のようなものを忘れずに備える形で、この法律をぜひ高度なレベルで制定していただきたい。そして、この基本法については、改正が融通無碍にできるような内容にもしていただきたい。それをお願いいたしまして、私の話にかえたいと思います。
 どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
自見庄三郎#5
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、小尾参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
小尾敏夫#6
○小尾参考人 早稲田大学の小尾でございます。
 今、お二人の参考人のお話を私も聞きましたけれども、基本的には御両人と緊急事態基本法並びにFEMAに関して同じスタンスかなというふうに思います。ですから、余り長々としゃべらないで、偶然かもしれませんけれども、三人の意見が割と近いなということをまず私自身、認識しております。
 それから、緊急事態基本法に関してですけれども、日本国憲法に有事あるいは緊急事態に対して明確な考えが示されていないということであれば、この基本法は必要であるというふうに私は思っております。その場合に、具体的なアクションを基本法を通してとるとすれば、国民保護法制等現在の七法案というのが対象になるでしょうけれども、その中での連邦緊急管理庁とアメリカで言っているFEMAというのがかなり大きな意味を持っている。つまり、緊急事態基本法が成立するならば、当然、FEMAもその抱き合わせだろうという認識を私は持っております。
 それで、いろいろな問題点をここで指摘しながら考え方を述べたいんですけれども、いろいろ資料を見ていますと、この間、消防庁の資料で、国民保護法制が実際にまだできていないわけですから、現実に平成十五年度に都道府県が国民保護の専任職員を何人置いているかという資料がありましたけれども、五県でたった十人なんですよね。ですから、あしたテロが起きれば、日本じゅうが大混乱、パニックになるのはもう目に見えている、そういうお寒い状況であって、それを考えると、できるだけ早くこの対策は練らなきゃならないというのは基本的に必要だと思います。
 それから、実際に自然災害のような、地震とか台風とかあるいは大規模な火災に対する措置は、確かに災害法が四十三年前に、昭和三十六年ごろですか、できていますから、それはそれとしてありますけれども、余りにも古過ぎる。その後に冷戦時代からポスト冷戦、テロの時代へ移ったわけですから、当然、それを超える大きな法体系ができなきゃいけないということで、国民保護法制などを含めたきょうの議論になっているというふうに認識しております。
 具体的な幾つかの事例で考えていきたいと思うんですけれども、国民の生命財産を守るということを前提に今の国のあり方を見ますと、例えばどこかの地域でテロが起きた、その場合の指揮系統とかそれに対する情報収集、手続等はまだまだ迅速とは言えない段階ですね。総理大臣、官房長官、危機管理センター、そして閣僚会議、それから対策本部、都道府県、市町村、市町村の中でも消防と市長あるいは村長との関係、それが数分の間にできるとはとても思えないですね。テロが起きてから数時間たってやっと動き出すなんというようなことではしようがないわけで、そういう現実の問題からすると、危機管理庁的なものが常設されていて、二十四時間そのことを責任を持ってやっていくということに行き着くんじゃないのかなというふうに思います。
 それからもう一つの視点は、大震災があったりあるいは台風で大変な被害が起きたり、いろいろなことが、自然災害があった場合に、非自然災害である人災が同時に起こるリスクというのはあるわけですね。ですから、大震災のときにテロが発生するとか、あるいはテロも武力テロだけではなくて、サイバーテロ的に日本じゅうのコンピューターが破壊されるような危機的な状況も含めて、複合危機というのは必ず起きると思うんですね。そういうことを想定した国家的な情報収集なり、それを分析して市町村そして国民に伝えるというコミュニケーションだけとっても、決して十分とは思っていません。
 我々専門家の間で議論したときに、例えば携帯電話が非常に役立つとか、インターネットがあるとかありますけれども、携帯電話一つとっても、実際、無線基地局が破壊されてしまったら使えないわけですね。パソコンといっても、発電所が破壊されてしまったら電気が通らないという非常に脆弱な近代国家になっているわけですから、やはりそれに真剣に対応しなければ国民は納得しないだろうというふうに思います。
 その観点から、私から思うと、国が本当に地方地方の村まで含めた市町村、地方自治体を熟知しているかというのはなかなか難しいものがあると思うんですね。ですから、当然、地方分権の方に移っていく。そうすると、村や町の役場で専任の方はほとんどいないわけですから、そういうことになると、民間での自主的な防災組織とかいろいろなことも出てきますけれども、これとて、国民が国を本当に信用して、自分たちの財産あるいは生命が守られるという段階において自主的に行われることが多いわけですから、決して、国、政府というものが本当に日本じゅう隅々まで危機に対して十分対応できるとは言いにくいのかなというふうに思っております。
 そういう意味で、危機管理庁のような、全国的なネットワークを有し、特に調整機能を持っているところが大事だというふうに思います。
 それで、先ほど両参考人の方からアメリカの例を出していらっしゃいます。私も、アメリカの国土安全保障省やFEMA、長年研究してまいりましたけれども、確かに、日本とアメリカは全く同じということはないわけで、ブッシュ大統領がリーダーシップをとってできた、このFEMAあるいは国土安全保障省に関しても、二〇〇一年九月十一日の大規模テロがなければここまで急速な組織化はなかったかもしれません。二〇〇一年の九月から翌年の六月に国土安全保障省の構想が出て、そして十二月にはもう議会を通ったわけですね。そして、二〇〇三年一月に発足。つまり、半年の期間に、十七万人の職員を擁する、アメリカで三番目に大きい役所が二十二の官庁を統合してできているわけで、これは、アメリカに大規模テロがあったという現実の中で、議会も国民も納得した結果だと思うんですね。これは大統領のリーダーシップももちろんあると思います。
 それで、私たちが学ぶべきことは、そういうこととともに、日本との関係で考えますと、アメリカというのは五十の州が非常に独立してもともと地方分権の強い国、その国においてでさえも、国土安全保障省という、国民の隅々までネットワークを張る組織ができたということですね。連邦だけでやっていても何もできない国ですから、そういう意味では、日本はこの組織から学ぶものがあるのだろう。
 先ほど、FBIやCIAは入らないと。FBIは多少入っているんですけれども、これは、半年間という非常に短い期間に、アメリカで三番目の官庁ができる過程で、CIA等がかなり抵抗して、入りたくないという意思表示の中で、多少見切り発車した面もあると思うんですね。これは、三年も四年もかけていれば別な形の組織になったかもしれません。
 ですから、今回、我々が、日本の状況の中で危機管理センターのような内閣官房の組織をより充実させて、願わくば危機管理庁のような、市町村までネットワークが張れるような国民の理解を得る組織をつくっていった方が、実際にテロが起きたりあるいは武力攻撃があったときに対応できなければ国民はその内閣を信用しないわけですから、そういう意味ではぜひとも必要かなというふうに思います。
 そういうことに関しては、僣越ですけれども、七月の参議院選挙のような、国民、有権者の審判というのが、当然、この問題について、どの政党が本気で国民の生命財産を守るのかということで意思表示をしていくのかなというふうに思っております。
 それから最後に、日本の総理大臣に関してですけれども、二つ三つ、ちょっと付言しておきたいんです。
 まず、六月の初めに行われるG8サミット、ジョージア州のシーアイランドで行われます。テロ問題に対して、国連も非常に大事だということはもう何度も言われているようですけれども、でしたらば、サミットにアナン国連事務総長をお呼びして、ブッシュ大統領と世界の画面ではっきりと、協力体制を必要とするということを言っていただきたいなと。私も、以前国連の国際公務員をやっていましたけれども、アメリカが国連の最重要プレーヤーであることは間違いないわけで、そのぐらいの協力体制を日本から言っていただきたいなと。
 それから、危機管理庁のみならず、アメリカの国民が心配しているテロ、災害等に対するオペレーションセンターというのは、やはり日本のリーダーが見ていただきたいなと。いかに効果的にやっているか、あるいは逆に何が問題なのかということを、せっかくジョージア州まで行くんですからワシントンに寄ってというようなことも、私あえてこの場でお願いしたいと思っています。
 最後に、こういう法案、国民保護法制にしても基本法にしても、これは国民全体の問題意識の中で議論をしているわけで、政権与党と野党第一党が、国民を代表して、ぜひすばらしい案をまとめ上げていただくということをお願いして、私の方の見解といたしたいと思います。
 どうもありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
自見庄三郎#7
○自見委員長 ありがとうございました。
 次に、村越参考人にお願いいたします。
この発言だけを見る →
村越進#8
○村越参考人 日本弁護士連合会、日弁連の有事法制問題対策本部本部長代行をしております村越と申します。
 本日は、有事法制関連法案、特に国民保護法案等につきまして、参考人として日弁連の意見を述べさせていただく機会をいただきましたこと、大変ありがとうございます。
 共産党の推薦ということで参っておりますけれども、もとより日弁連は特定の政党と何か連携関係があるわけでは全くございません。国会の場に来て意見を言えと言われれば、どのような形でも積極的に参加して発言をさせていただく、そういうことで本日参っております。
 日弁連は、申すまでもございませんが、全国の約二万名の弁護士が全員加入しているところの法律家団体でございます。法律家団体として、弁護士法に定められた人権の擁護そして社会正義の実現というものを使命としておりますし、また、法律制度の改善に努めることもその職責であります。
 日弁連は、そうした立場から、現在国会で関連法案が審議されております司法制度改革、これに総力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 また、有事法制問題につきましても、政治的、政党的立場からではなく、あくまで法律家団体として、憲法と人権の視点から検討し、これまで見解を表明してまいりました。その基本的なスタンスは、有事法制そのものの是非あるいは必要性については会内でもさまざまな意見がありますので、その点については態度、判断を留保し、提案された具体的な法案について検討して意見を述べるというものであります。
 日弁連は、そうした検討の結果といたしまして、昨年の通常国会で審議、採択された有事法制関連三法案につきましては、一つは、武力攻撃事態等の範囲、概念があいまいであり、国会の関与が事後承認であり、政府の恣意的な判断を許すおそれがある。二つは、さまざまな私権の制約、社会生活の規制等が基本的人権の侵害につながるおそれがある、殊に、国民は国等の措置に「必要な協力をするよう努める」との規定は思想、良心の自由を侵害するおそれがある。三つ目として、周辺事態と武力攻撃予測事態が重なり合うことにより、集団的自衛権行使の危険性が高まる。四つ目として、内閣総理大臣に強大な権限が集中し国会等による民主的コントロールが弱まり、民主的な統治構造や地方自治が形骸化するおそれがある。五つ目として、NHKや民放を指定公共機関として政府の統制下に置くことは報道の自由や国民の知る権利を侵害するおそれがある、ひいては国民による政府の民主的チェックを不可能とするおそれがあるというふうに考えまして、日弁連として法案に反対するとの見解を表明いたしました。
 全国の四十六の単位弁護士会も、同様の見解を表明しております。
 現在審議されております七法案についても検討しておりますが、本日、時間がありませんので、国民生活に最もかかわりが深いと思われます国民保護法案についての意見を述べます。
 国民保護法案には、幾つかの問題点、疑問点がございます。
 第一は、緊急対処事態の問題です。法案は、第八章において、「緊急対処事態に対処するための措置」を定めています。緊急対処事態は、手段としては「武力攻撃の手段に準ずる」とされ、行為は「多数の人を殺傷する」とされている点で、武力攻撃事態等とは全く性格が異なりますし、その定義は甚だあいまいであり、その範囲はかなり広範にわたるものと考えられます。
 そもそも、テロ等は、原則として警察、海上保安庁等が治安問題として対処すべき事態であり、武力攻撃事態等における国民保護措置に関する法案にこのような緊急対処事態に対する措置をも含めて規定することには疑問があります。
 しかも、法案は、緊急対処事態においては、武力攻撃事態等と異なり、対処方針についての国会承認を不要としながら、武力攻撃事態等における対処措置の多くを準用しています。このような規定の仕方は、重大な武力攻撃事態等に対する対処措置を、全く性格や規模の異なる緊急対処事態にもそのまま準用するものであり、立法のあり方としても、また人権保障という観点から見ても、大きな問題が存在します。
 さらに、緊急対処事態は、「後日対処基本方針において武力攻撃事態であることの認定が行われることとなる事態を含む。」とされております。これは、国会の関与を排除しつつ、事実上、武力攻撃事態等の範囲を拡大し、あるいは時間的に前倒しすることにつながりかねず、そもそもあいまいであった武力攻撃事態の定義や範囲をさらにあいまいにし、政府の恣意的判断を許す危険性を有するものであります。
 次に、避難についてですが、法案では、住民避難というものが保護措置の中核に位置づけられております。しかし、この住民避難というのは、国民の保護措置として有効かつ適切に実施し得るのか、機能するのかということについては疑問があります。
 先ほど来触れられております鳥取県のシミュレーション、この現実性ということを考えましても、その非現実性あるいは困難性というものは明らかになっているのではないでしょうか。適切で実効性のある国民の保護とは何か、もっと議論が必要であると考えます。
 三番目に、立法事実の有無についてですが、言われているところの想定される有事事態は、弾道ミサイル攻撃、航空機や船舶により地上部隊が上陸してくる攻撃(着上陸侵攻)、航空機による攻撃(空襲)、ゲリラや特殊部隊による攻撃の四つでございます。国民保護法制の必要性、立法事実の有無という視点から見ますと、法案が予測しているそうした事態が発生する可能性の程度、それに対処する保護措置の現実性、実効性、さらに経済的、社会的合理性の有無等を勘案し、総合的な判断が不可欠であると考えます。
 次に、平時における作用ですが、法案では、指定行政機関の長及び知事は、あらかじめ内閣総理大臣と協議し、基本指針に基づき国民保護に関する計画を作成するとなっております。市町村長もほぼ同様でございます。それから、指定公共機関は、やはり基本指針に基づき業務計画を作成し、内閣総理大臣に報告する。内閣総理大臣はこれに対する助言権があるとされています。それから、地方公共団体は、平素から国民保護協議会を組織するということになります。さらに、国民に対し訓練と啓発に努めなければならないという規定が存在しまして、指定行政機関、地方公共団体、指定公共機関に、平素から国民保護措置を的確、円滑に実施するための組織整備と住民訓練の実施を義務づけております。
 つまり、平時において有事に向けて準備を怠らないということではありますが、これは一方で、我が国の統治構造あるいは社会のあり方を平時から大きく変えていくということにもなるというふうに考えます。
 それから、日弁連として最も大きく考えております人権侵害の危険性ですが、法案の四条一項で、国民は、協力を要請されたときは、必要な協力に努めるようにするというふうな規定がございます。これは強制ではないということにはなっております。しかし、実際に、自主防災組織、ボランティアということが強調されております。そういう地域ぐるみの協力活動が平時から行われ、盛り上げられていく中で、本当にこれが強制にならないのかという点には疑問が存在します。国民の協力は、あくまで一人一人の自主的判断にゆだねられるべきものであります。
 さらに、協力を超えた具体的な強制措置としては、運輸の強制があります。運送事業者は、正当な理由がない限り拒否できない。物資の保管命令、売り渡し要請、収用もあります。違反に対して、六カ月以下の懲役または三十万円以下の罰金です。土地、家屋、物資の強制使用、これも、立入検査を拒む等には三十万円以下の罰金刑があります。医療の実施指示ですが、医師、看護師その他の者に医療を行うよう要請することができ、正当な理由なく拒否したときは、医療の実施を指示できることになります。
 つまり、実際には、かなり広範な国民が、自発的な協力だけではなく、強制の対象となります。強制の根拠、要件は何か、拒否できる正当な理由とは何か、だれがどのように判断するのか、不服申し立てはどうするのか。財産権、営業の自由、幸福追求権等の人権にかかわるだけに、より明確な規定が必要であり、そうでないと、基本的人権の尊重を幾ら総則に書いてあっても、それが画餅に帰する危険性があります。
 最後に、報道の自由、知る権利についてですが、先ほど言いましたので簡単にいたしますが、指定公共機関にNHK、民放がなることにより、放送事業者は、放送の根幹にかかわる体制や報道姿勢について業務計画として作成し、これを内閣総理大臣に報告する義務を負い、かつ助言を受けるということになります。
 以上述べましたとおり、法案は、有事法制三法に至る過程では必ずしも十分に議論されていなかった、そして定義も明確でない緊急対処事態をも対象とするものであり、立法事実の有無や国民保護措置の現実性、実効性についても大きな疑問があります。さらに、基本的人権を侵害し、知る権利を制約し、地方自治を含む我が国の民主的な統治構造を平時から大きく変容させる危険性をはらんでいる、そういうふうに言わざるを得ないと考えます。人権と民主主義にかかわるこのような重要法案については、十分な国民的議論を尽くした上で、慎重な国会審議が求められていると思います。
 したがいまして、日弁連は、ただいま指摘しました問題点を解消するような抜本的な見直しがなされない限り、この法案には反対せざるを得ないと考えております。殊に、大変審議期間の限られた今国会において、この法案を、拙速と言ってはなんですが、審議、採決するということには強く反対するものであります。
 以上でございますが、なお、日弁連は、他の六法案についても四月十七日に意見を取りまとめておりますが、基本的には同じような考え方でございます。
 大変駆け足の意見陳述になってしまいましたが、御清聴ありがとうございました。拍手
この発言だけを見る →
自見庄三郎#9
○自見委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の開陳は終わりました。
    —————————————
この発言だけを見る →
自見庄三郎#10
○自見委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北村誠吾君。
この発言だけを見る →
北村誠吾#11
○北村(誠)委員 私は、自由民主党の北村誠吾でございます。
 本日は、参考人の先生方、また随行者の皆様方には、御多忙の中おいでいただき、本当にありがとうございます。なお、ただいまは、それぞれ参考人の皆様方から大変示唆に富む御意見を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
 時間もございませんので、これから質問をさせていただきますが、まず、青山参考人と小川参考人に三問ほど同じ質問を、失礼ですが、させていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、我が国の安全保障政策に欠けている視点とは何かという観点からお尋ねをさせていただきます。先ほど来のお説の中にいろいろお話はいただいておりますけれども、確認も含めて、改めてお話を聞かせていただきたいと思います。
 と申しますのは、冷戦終結後、我が国は安全保障に関する法令や組織を急速に整備してまいりました。いわゆる五五年体制の時代と比較すれば、驚異的な動きであるとさえ言えると思います。例えば、法令面では、周辺事態関連法や昨年成立した武力攻撃事態対処法、そして現在審議されている国民保護法案など、有事関連法案が次々と、我が国またその周辺において発生する武力紛争等に対処するための法が議論されたほか、PKO協力法、テロ対策特別措置法及びイラク人道復興支援特別措置法といった、国際貢献に関する法整備が行われました。組織につきましても、テロ対策のための部隊、例えば特殊作戦群が陸上自衛隊に設けられるなど、冷戦時代のような、大規模な着上陸侵攻を主眼とした編成から変化をしてきておると言えると思います。
 このように、安全保障に関する法令や組織が整備されてきているとはいえ、我が国の安全保障政策は、世界各国の安全保障政策と比較して不十分な点があるのではないかと思われます。また、ただいままでお聞かせいただいた話の中でもそのことを強く感じます。
 そこで、我が国の安全保障政策に欠けている視点は一体何なのかということについて、主なことについて、重ねて、参考人お二人からお聞かせをいただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
この発言だけを見る →
青山繁晴#12
○青山参考人 お答えをさせていただきたいと思います。
 欠けている視点は随分あり過ぎて、なかなか短時間では言いにくいのでありますが、まず第一には、やはり予算のあり方の問題であろうと思います。
 防衛予算は御承知のように年間五兆円にも達しているわけですけれども、その多くの部分が後年度負担に費やされておりまして、後年度負担について、中身はいろいろありますけれども、非常に国民にわかりやすく言えば、ツケ払いの一種だということになろうかと思います。そうしますと、冷戦が終わった後、戦力の転換というものが最もおくれている国の一つになっているのも、後年度負担で購入した正面装備の武器の調達を続けたり、あるいはその整備を続けることに費やされていて、柔軟な、例えば重大テロへの新しい対処といった武器体系の導入というものも難しい、そのあたりが一番大きいのではないかと思っております。
 その防衛予算を考えますときに、もう一つ、一番大事なことは、私たちの国の平和と国民の安全をだれが守るのかという最も基本的な問題でありまして、私は、日米同盟を強く支持する立場でありまして、日米安保条約も支持しておりますが、日米安保条約の基本思想というものをもう一度主権者の立場から考える必要があると思っております。
 さっき言いました米軍の補完としての戦力のあり方、それは実はこの正面装備の問題とも絡んでいるわけでありますが、米軍ないし同盟国と連携しつつも、重大テロについては、例えば米軍の来援を待つということは現実には不可能でありますから、自力で重大テロのような新しい脅威に対応するための戦力をつくれる予算、柔軟な予算というものに変更することが第一であろうと考えております。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
小川和久#13
○小川参考人 大変重要な御質問をありがとうございました。
 私自身は、安全保障の専門家の端くれといたしまして、常々、国会の場で時間をかけて審議をしていただきたいと思っていることが実はあるんです。それは、我が国には外交安全保障の構想がないという問題であります。それを憲法に則した形で、もちろん、憲法は改正をずっと重ねなければ育たないわけでございますが、そういったことも含めてやはり描いていくことが必要である。それがないところでは、どんなに国防費を注入したとしても単なる装備品の買い物リストに終わってしまう。それではだめだ。今度の総理のところの懇談会はそんな話ができるメンツがおるのかと言ったら、おまえは官房長官に嫌われているからだめだよとか言われてしまったんですが、まあ、いいです。
 ただ、とにかく、外交安全保障構想というのは、一つの国が安全と繁栄を実現していくための構想だと考えればいい。その実現していくための構想の一番大もとに来るのは、これは、世界から信頼をかち取るための営みなんです。その土台があって初めて、軍事力にしろ、例えば政府開発援助、ODAにしろ、生きてくると言えるし、もっとリアリティーのある政策として打ち出せるだろう。それを諸政策として踏まえながら、最後の段階で、私自身は平和国家モデルという言い方をしておりますが、適切な同盟関係を選ぶべきだという位置づけなんです。
 同盟関係の選択が最後に来るというのは、それ以前の段階で、うちはどことも同盟関係を組まないでいくという選択もあるからです。もちろん、私は、アメリカとの同盟関係は、日本にとっては極めていい相手で、いい選択だと思っています。ただ、初めからアメリカとの同盟関係ありきで、それによってすべてが規定されるようでは、これは国際的な信頼をかち取ることはできないだろう。そこら辺まで含めてアメリカと話できるのに何で日本の我々はできないで来たのかという問題が実はあるんですね。
 そういう中で、一つ申し上げなきゃいけないのは、例えば、我が自衛隊の戦力構造の問題であります。これは戦力じゃないとかあるとか、そんな議論は私はするつもりはありませんが、構造から見た場合、幾ら国防費をたくさん使おうとも、戦力投射能力ゼロであります。つまり、本来的に、戦力を投入して外国を占領するだけの構造の軍事力ではないんです、パワー・プロジェクション・ケーパビリティーといいますが。
 これは、どこか遠くまで飛ぶ、航続距離のある飛行機を持てば侵略になるなんていうのは、もう五十年前の議論で終わりにしましょう。やはり、五十万人、百万人の陸上部隊を例えば朝鮮半島に投入して、その国の軍隊と戦って、勝利をして、戦争目的を達成する、そのことが可能なように、海軍も空軍もその構造でなければ、戦力投射能力があるとは言わない。外国が脅威を感じるパワープロジェクションじゃないんです。自衛隊、どこを切ってもそんなものないですよ。
 つまり、アメリカにとってやはり望ましいところは、ある程度高いレベルで整備されているけれども、一本立ちはできない構造になっています。これは、アメリカがいい悪いじゃなくて、戦後の再軍備の過程で、西ドイツと日本の軍事力はやはり自立できない構造にするのがいいだろうという選択をしたんです。それは、自分の国と対等以上に戦った国だから、まかり間違って、ひとり歩きを始めて敵に回ったらまた厄介だなという話ですよ。それは当たり前の話であります。
 その構造にあるということをきちっと踏まえて、これは、税金の使い道を通じて日ごろから検証していれば、シビリアンコントロールを貫いていれば、一目瞭然なんです。そして、その現実を周辺諸国に説明して信頼してもらうということも大事だし、その構造のまま、誇り高く、手を縛っていく中で、周辺諸国の信頼を外交の力にしていくという選択もあるだろう。あるいは、これはおかしいから、やはりひとり立ちできる構造の軍事力にしていくということが望ましいだろう、ちょっとアメリカと激論を交わさなきゃいけないけれどもそっちに行こうか、そういう選択も出てくる。
 ところが、その戦力投射能力がない。これはまさに憲法九条を絵にかいたような構造の軍事力であります。それを、持っているということすら知らずに、憲法改正だと言うし、軍事力の整備は、防衛計画の大綱はと、やっていられないよ、おれ、税金払うのやめようかなと思っていますよ、本当に。という考えを私はここでちょっと述べさせていただきまして、こういう基本的な部分を、ぜひ国会で審議をいただきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
北村誠吾#14
○北村(誠)委員 どうもありがとうございます。もうあふれるようなお二人の情報量でありまして、私が質問で用意しましたことではとても間に合いません。
 次に、緊急事態対処基本法、先ほど来、すべての参考人の先生からお話、言葉が出てきた基本法でありますが、これで定義すべき緊急事態ということの内容について、触れられましたけれども、確認の意味も含めてお尋ねをさせていただきたい。ただいまの青山参考人と小川参考人にお答えをお願いいたします。
 緊急事態対処基本法で定義すべき緊急事態、これの内容及び基本法に盛り込まれるべき項目のあり方、例えば、すなわち基本法の中に、理念だけじゃなくて、手続面まで踏み込んで規定すべきかどうかということなどについて、どのようにお考えであるかということをお教え願いたいと思います。
この発言だけを見る →
青山繁晴#15
○青山参考人 この問題を考えますときに、やはり一つ参考にした方がよろしいかなと思いますのは、ドイツの制度であろうと思います。
 ドイツは、御承知のように、憲法じゃなくて基本法ですけれども、基本法の改正を重ねながら緊急事態対処基本法を定めております。その中でそれに対応すべき事態というものを類型化しているわけであります。その中には、いわゆる防衛事態、それから、そうではなくて、防衛まで至らないけれども緊迫している事態、それから、同盟、これは特にNATOのことを指しているわけですけれども、同盟関係の上で軍事力の必要な場合の同盟事態、それからさらに、災害事態というものを基本的には類型化しているわけであります。
 同様の手続が日本においても緊急事態対処基本法を策定する場合にはやはり必要になってくるかと思います。
 先生お尋ねの後段の部分、手続の部分まで基本法に盛り込むべきかについては、私は、先ほど申しましたように、日本国憲法の改正がやがてあるとしても、現在の危機の、あるいはテロが世界に蔓延するような状況においては間に合いませんから、憲法の改正を行わずに、第三項としての基本法でありましょうからといいますか、それが望ましいと考えますから、手続まで必ずしも盛り込む必要はないと考えております。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
小川和久#16
○小川参考人 これは、国民の生命財産にかかわるような事態で、しかもそれぞれの担当の省庁が単独では対処できないような事態というふうな考え方を私は持っております。
 ですから、これは戦争も含まれますし、大規模テロもありますし、あるいは大規模災害、大規模事故、そういったものがすべて、考えられる限りのものが含まれる。ただ、それをすべて国家としてまとめて見ていくというのは、やはり国家安全保障会議のようなものがあり、そのもとに、やはり戦争であれば中心になるのは自衛隊である、大規模テロにおいても自衛隊がメーンにならなきゃいけないものもあるだろうし、あるいは、これは警察との協力関係でやっていかなきゃいけないものもあるだろう。そういったものをきちっと分けるために、防衛庁・自衛隊と、それから緊急事態管理庁という二本柱で考えているということになっております。
 とにかく、国民の生命財産の危機、単独の省庁では対処できない事態はすべて緊急事態というふうにここで定義をした方がいいだろうと思っております。どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
北村誠吾#17
○北村(誠)委員 時間が参りましたので、私の質問を終わります。ありがとうございました。
この発言だけを見る →
自見庄三郎#18
○自見委員長 次に、遠藤乙彦君。
この発言だけを見る →
遠藤乙彦#19
○遠藤(乙)委員 公明党の遠藤乙彦でございます。
 きょうは四人の参考人の先生方、大変貴重な御意見を開陳いただきまして、心より感謝申し上げます。
 御承知のとおり、自民、公明、民主、三党におきまして、緊急事態基本法制を整備しようということで合意をいたしております。きょう、三人の先生方はそれにつきまして賛成意見というふうに承知いたしますが、ぜひ基本的なことにつきまして御意見を伺いたいと思っております。
 既に、緊急事態の定義並びに類型については、今の北村委員の質問に答える形でお話がありましたもので、これはもう省略をしたいと思います。
 一点だけ、類型の中で、いろいろ含めていかなければならないと思っておりますが、例えば石油危機のような事態、あるいはまた北欧の一部の国では食糧危機なんかもこういった緊急事態に含めていると思いますけれども、日本の場合、こういったものを含めるべきかどうかということなんです。この点につきまして、三人の先生方にお聞きしたいと思います。
この発言だけを見る →
青山繁晴#20
○青山参考人 これは多分異存の少ないところではないかと思いますけれども、我が国においては、エネルギー、食糧、いずれも自給率が低いないしは自給が難しい状況でありますから、当然、テロだけではなくて、今後の新しい危機のあり方として、例えば、日本への食糧の流れ、エネルギーの流れをとめることもあり得るわけです。ですから、当然、私は基本法の中にはその考え方は含めるべきだと考えております。
この発言だけを見る →
小川和久#21
○小川参考人 重要な御質問、どうもありがとうございました。
 私も、石油の問題あるいは食糧の問題等はすべてこの緊急事態の中に含めて克服できるような体制を組むべきだと思っております。
 例えば、エネルギーの問題一つとりましても、日本は中東にエネルギーの九割以上を依存しているということをどこへ行っても言う。そのくせに、中東のエキスパートをどれぐらい育ててきたのか、いないじゃないかという感じがするぐらい手薄なんですよ、一部優秀な先生方はいらっしゃるけれども。外務省に聞きましても、きょうも午後に行くのですが、本当に流暢なアラビア語の通訳をできる人間は何人いるんだと言ったら、三人おりましたと言うんですね。過去形とは何だと言ったら、一人死にましたと言う。これで、中東で、アラビストかという感じですよ。
 これはやはり、外務省が悪いんじゃなくて、我々が中東の重要性というのを国家の緊急事態という格好でとらえていくという発想がなかった結果でございます。
 ですから、当然ながら、御質問にありましたような分は全部含めていきたい、そう思っております。ありがとうございました。
この発言だけを見る →
小尾敏夫#22
○小尾参考人 結論から言いますと、私もお二人の意見と同じであります。総合安全保障という視点で考えているということです。
 特にエネルギーに関しては、日本は石油一〇〇%を海外依存で、それも中東ということで、一九七〇年代に第一次石油危機、大変な国民的パニック、それから経済危機があったわけですし、また、食糧に関しても、以前、大豆の輸入ができなくて、あるいはお米の不足の問題があって、国民的な経済的損失も非常に大きかったということを考えまして、総合的な視点で危機を考えるというふうに考えております。
この発言だけを見る →
遠藤乙彦#23
○遠藤(乙)委員 大変ありがとうございました。
 この質問をしたのは、今後、緊急事態法制を整備していくに当たり、国民に御理解をいただくためには、何が緊急事態かという明確なコンセプト、これをしっかりと定義をすること、それからさらに、抽象的な定義だけにとどまらず、具体的な類型を示して、ビビッドに国民の方々に必要性を理解していただく、そういった意味で御質問したわけでありまして、ぜひとも今後ともさらにまた御指導を賜れればと思っているところでございます。
 続いて、第二点なんですが、なぜ今緊急事態基本法なのかという、これも国民に対して説明責任が重要な点でございます。
 確かに、今までもずっとこういった危機管理のことは叫ばれてきましたが、今ここに来て、二十一世紀初頭に当たって、なぜ今これから取り組まなきゃならないかということを国民の皆様によく理解をしていただく必要があると思っておりますが、そういった意味では、さまざま新しい要素、新しい環境、新しい状況に入ったということも一応きちっと強調しなければならないと思っております。
 例えば、私なんか個人的に見ると、冷戦が終了して、逆に地域紛争や非対称型の紛争がふえてきた。特にテロの蔓延という大きな事態がある。さらにもう一つは、手段の面で、新しい、大量破壊兵器の拡散ということであり、NBC、核や生物あるいは化学兵器、鳥インフルエンザなんかも生物兵器と類似していますので、いろいろな形で新しい手段、形態がふえてきている。さらにまた、ネットワークスキャンというような、文明社会という新たな脆弱性が逆に突出してきて、そこをねらえば社会が麻痺するといった事態もふえている。
 こういった環境の変化、時代の変化に応じて、ぜひともこういった緊急事態対処は確立しなければならないということは必要だと思っておりますけれども、そういった点について、なぜ今緊急事態法制なのか、この点につきましてやはりお三人の御意見を伺いたいと思います。
この発言だけを見る →
青山繁晴#24
○青山参考人 お答えさせていただきたいと思います。
 重大テロという新しい脅威につきましては、国民の関心も一番高くて、今、遠藤先生からも御指摘ありましたので、私から繰り返す必要は余りないと思うんですね。
 先生のお言葉の中でとても大事なキーワードがありまして、全く新しい事態、新しい時代になったと。それを主権者に理解していただくために、二点申し上げたいんです。
 一点は、先ほどの話と実は関連する、あるいは百八十度違う面もあるんですけれども、今までは、日本に資源が全くなくて、日本が中東を初めとする遠くの地域にエネルギーをとりに行ったときにそれが阻害されるという想定だけだったわけですけれども、実は今現在、中国の海洋探査船が、日本に事前通告なく、繰り返し参っていることでも推察できますように、日本の近海には実はメタンハイドレートという、天然ガスよりも効率がよく、さらには埋蔵量も非常に多いものが、既に日本の近海、南海トラフだけではなくて、日本の領海内、EEZ、排他的経済水域も含めて、多量に埋蔵されていることが既にほとんど確認されているわけであります。
 そうしますと、私自身も子供のころから、日本は資源がない国だということだけ教わってきたわけでありますけれども、実は、日本のエネルギーが奪われる、ないし襲われる事態もあり得る。特に、中国においては、人口爆発が続いていて、エネルギーが足りなくなっているわけでありますから、それぐらいのコペルニクス的転回のような時代の変化が起きていることが一点。
 それから、在日米軍の役割について、在日米軍が実際に果たしている機能について主権者としてよく知る必要があると思いますのは、例えば、三沢のF16、嘉手納のF15の近年の主要な任務といいますのは、イラク戦争前のイラクの飛行禁止区域の南部のところに飛来してそこを攻撃するということも行っていたわけであります。
 したがって、在日米軍は、この北東アジアの周辺の安全に寄与するだけじゃなくて、世界全体を見ているわけです。例えば、イラク戦争が始まりまして、今のような状況になりましたら、沖縄にいます海兵の四個大隊のうち三個までが出払っている。そうしますと、世界展開している米軍と日本の関係ということをもう一度主権者として考え直さねばならない。アメリカの世界戦略との絡みで、日本の防衛協力をどうなすかということをもう一度考えるべきである。
 今までの常識が、エネルギーについてもアメリカとの関係についてもすべて通用しなくなっているということを主権者に理解していただくのが、まずこの基本法の策定には必要かと考えております。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
小川和久#25
○小川参考人 なぜ今かという話でございますが、遠藤先生が総理大臣であれば、今までなかったのがおかしいから今だと多分答えられるでしょうね。
 つまり、これは状況が変わったからということではなくて、本来国家が国民に対して負わなければいけない責務の中で、やはり安全というのは一番大きいわけですよ。それにとって、やはりこういったものがなければおかしいというのに、なかった、だから私が政権をとったからやるんです、あるいは、我々が国会を動かしている中で実現したんです、これは野党であろうと与党であろうと同じであります。そういった考え方で国民に説明をしていくというのが恐らく正攻法ではないか。
 ただ、その場合、国民の理解を得やすいということでいいますと、戦争というのはイメージがわかないんですよ。というのは、まず、自衛隊、ほとんど行ったことないでしょう、武器をさわったことないでしょう。だから、カタログデータ的な話をする人はいるけれども、実際にわいているイメージというのは幼稚園のレベルなんですよ。だから、これはアメリカあたりでイメージされているものとこんなに差があるわけです。そこで理解してくれといったって、無理なんですよ。
 だから、さっき、応用問題、基礎問題と言いましたけれども、同じ税金を使って国民の生命財産を守るといっても、やはり、防災能力を高めようとか、そういった面であれば反対する人は基本的にいない話で実現しやすい、そこから入っていこう。だから、大規模災害あるいは大規模事故、そこから入っていきながら、今我々を取り巻く環境の中で、非常に国民がニュースに接して危機感を持っている大規模テロなどに入っていく。そういった形で順序を踏んでその理解の度を上げていけば、本当に高度な応用問題であると言って差し支えない国防の問題についても、健全な議論とそれを支える理解が生まれてくるんじゃないかと思っております。
 どうもありがとうございました。
この発言だけを見る →
小尾敏夫#26
○小尾参考人 遠藤先生の質問の中に、もう既に答えが十分入っておりました。あえて申し上げれば、国内的に、国民の不安というのは、治安が非常に悪化してきたとか、あしたにでもテロがあるんじゃないかとか、そういうような国民に対する国家の責任というのはあるでしょう。それから、対外的に、二人の参考人が言ったような状況変化。また、特に私、気になっているのは、やはり日米関係、日米安保条約の中での位置づけが変わってきたのかな、日本に対する大きな責務というのが出てきたのかなと。それには、日本国民が十分理解できる基本法がこの時期にはぜひとも必要、そういう時代の流れというのがあると思っております。
この発言だけを見る →
遠藤乙彦#27
○遠藤(乙)委員 それでは、次の質問に入ります。
 日本はなぜこういう危機管理体制が弱いのか。先ほど小川先生からも御指摘があったように、非常に縦割り型、分権的な意思決定といいますか、あるいはボトムアップの意思決定、こういう長い、風土に根差した、あるいは歴史的、地政学的環境に根差した意思決定過程が根本にあって、非常にそれが根深い問題だというふうに感じております。
 そういった中で、有効な危機対処のための意思決定過程をつくっていくためにどうしたらいいかということなんですが、一つは、機構型、FEMAのようなかなり権限を集中した包括的な機構をしっかりつくっていくのか。あるいはまた、今の日本がやっています、内閣危機管理監を中心にネットワークを広げて、そのネットワークをしっかりとつくり上げていく、こういった、ネットワーク型と言ってもいいような形があるかもしれませんが、この二つの類型に即して、当然、行政改革という要請もあるわけですけれども、日本型の有効な意思決定過程、特に危機管理に対する意思決定過程にするにはどうしたらいいのか。ずばりひとつお聞かせいただきたいと思っております。
この発言だけを見る →
青山繁晴#28
○青山参考人 三問目はなかなかに難しい御質問だと思うんですけれども、先生御指摘のように、私たちの祖国というのは、二千年の歴史の中で、気がついたら税金を納めていましたし、気がついたら天皇陛下もいらっしゃった。私は、天皇制をこの国の安定の基本として高く評価していますけれども、いずれの制度も、私たちが自覚的につくったものではない。反面、アメリカは、二百三十年の歴史しかありませんから、納税制度も、それから大統領制も、全部手づくりの国であります。ですから、さっき申しましたように、アメリカの制度は、FEMAにしても、そのまま援用することはできないと考えているわけであります。
 先生がおっしゃった、あるいは私も共通認識を持っている、日本の特有の構造を持ちながら危機というものに有効に対処するためには、まず責任を一点に絞ることが肝要であろうと思っております。
 さっき申しました、行政権がどこに属するかということもそうですけれども、私たちは、戦前の歴史をかんがみますときに、天皇陛下は統帥権をお持ちでしたけれども、しかし、帝国陸軍、海軍の指揮権は実は持っていなかった。あれだけの大戦争が起きながら、直接の最終責任者はだれであるかということは、ついに明治憲法下においてあいまいであったと私は考えております。そういう意味では、もちろん天皇陛下に戦争責任はなかったと私は考えておりますけれども、もともと責任の所在が明確にされていなかった。
 そうしますと、さっき先生の方から、機構型、ネットワーク型というお話がありましたけれども、ネットワーク型になるためには、まず責任の所在が一点に絞られた機構があって、そこから横にネットワークを広げていくものでありますから、まず、私たちの国においては、機構をはっきりさせ、責任をただ一点に絞る、ただ一個人に最終的には帰結させるというシステムをつくることが先決であろうかと考えております。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
小川和久#29
○小川参考人 私自身が若干かかわったことでお話しできることを通じて、お答えしたいと思います。
 私は、小渕内閣のとき、野中官房長官といろいろな仕事をさせていただきましたが、あの中で、やはり政治とはこう機能しなければならないんだなということを改めて思ったのは、ドクターヘリの実現なんです。
 先ほどもちょっとお話ししましたように、お医者さんがヘリコプターに乗って事故現場まで飛んでいって治療をする、これは大変救命効果が高い。一九七〇年に西ドイツがスタートさせた。先進国は当たり前の状態になっている。日本もそれをやらなきゃいけないというので、一九七五年以降、お医者さんが声をかけて、国に四回、委員会をつくった。でも、六つの役所プラス道路公団とか何かが絡んできて、どこかが反対するから、全部空中分解。その間に国民はどんどんどんどん死んでいって、警察の統計の範囲内の交通事故の死者は三十万人を超えちゃった。その半分は助かる。統計の後、死んでいる人は五十万人。その半分は助かる命。
 私は、九八年の秋に野中さんとしゃべっていて、こんな救える命で、前例も実績もあるようなことをできない日本が先進国なのか、民主主義国なのか、人道とか人権とか人命とか言える国かと言ったら、野中さんは、縦割りにならないようにと内閣内政審議室に委員会をつくってしまった。だから、大規模にはまだ進んでいないけれども、そこでいっちゃうんですよ。
 だから、私が申し上げたいのは、危機管理においては特に政治が、どの段階であれ、みずからがどう機能しなければいけないかということを自覚してきちんとやっていくということがまず大事であろう。それから、世界のレベルはどこかということを常に意識して、そこに到達することをやはり常に目指し歩いていく形にすべきであろう。
 そこにおいては、日本の官僚機構に幻想を持ってはいけないということなんです。優秀な人が集まっていて、確かにすぐれた人はおりますけれども、私は、九〇年以降、上級職の国家公務員の研修をやっていますけれども、すぐれた人間を集めてきて、だめにしちゃうシステムなんです。だから、局長、審議官クラスになると、かなりな部分が世界に出すと通用しないんですよ。それを言っても、自分のことじゃないと思っている人も随分いますね。
 だから、やはり彼らを機能させるためには、政治がみずからの責任と職務というのを自覚して、その組織の頂点で号令をかけていく、動かしていくということが大事だろうと思っております。
 ありがとうございました。
この発言だけを見る →
← 戻る