小川和久の発言 (武力攻撃事態等への対処に関する特別委員会)
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○小川参考人 大変重要な御質問をありがとうございました。
私自身は、安全保障の専門家の端くれといたしまして、常々、国会の場で時間をかけて審議をしていただきたいと思っていることが実はあるんです。それは、我が国には外交安全保障の構想がないという問題であります。それを憲法に則した形で、もちろん、憲法は改正をずっと重ねなければ育たないわけでございますが、そういったことも含めてやはり描いていくことが必要である。それがないところでは、どんなに国防費を注入したとしても単なる装備品の買い物リストに終わってしまう。それではだめだ。今度の総理のところの懇談会はそんな話ができるメンツがおるのかと言ったら、おまえは官房長官に嫌われているからだめだよとか言われてしまったんですが、まあ、いいです。
ただ、とにかく、外交安全保障構想というのは、一つの国が安全と繁栄を実現していくための構想だと考えればいい。その実現していくための構想の一番大もとに来るのは、これは、世界から信頼をかち取るための営みなんです。その土台があって初めて、軍事力にしろ、例えば政府開発援助、ODAにしろ、生きてくると言えるし、もっとリアリティーのある政策として打ち出せるだろう。それを諸政策として踏まえながら、最後の段階で、私自身は平和国家モデルという言い方をしておりますが、適切な同盟関係を選ぶべきだという位置づけなんです。
同盟関係の選択が最後に来るというのは、それ以前の段階で、うちはどことも同盟関係を組まないでいくという選択もあるからです。もちろん、私は、アメリカとの同盟関係は、日本にとっては極めていい相手で、いい選択だと思っています。ただ、初めからアメリカとの同盟関係ありきで、それによってすべてが規定されるようでは、これは国際的な信頼をかち取ることはできないだろう。そこら辺まで含めてアメリカと話できるのに何で日本の我々はできないで来たのかという問題が実はあるんですね。
そういう中で、一つ申し上げなきゃいけないのは、例えば、我が自衛隊の戦力構造の問題であります。これは戦力じゃないとかあるとか、そんな議論は私はするつもりはありませんが、構造から見た場合、幾ら国防費をたくさん使おうとも、戦力投射能力ゼロであります。つまり、本来的に、戦力を投入して外国を占領するだけの構造の軍事力ではないんです、パワー・プロジェクション・ケーパビリティーといいますが。
これは、どこか遠くまで飛ぶ、航続距離のある飛行機を持てば侵略になるなんていうのは、もう五十年前の議論で終わりにしましょう。やはり、五十万人、百万人の陸上部隊を例えば朝鮮半島に投入して、その国の軍隊と戦って、勝利をして、戦争目的を達成する、そのことが可能なように、海軍も空軍もその構造でなければ、戦力投射能力があるとは言わない。外国が脅威を感じるパワープロジェクションじゃないんです。自衛隊、どこを切ってもそんなものないですよ。
つまり、アメリカにとってやはり望ましいところは、ある程度高いレベルで整備されているけれども、一本立ちはできない構造になっています。これは、アメリカがいい悪いじゃなくて、戦後の再軍備の過程で、西ドイツと日本の軍事力はやはり自立できない構造にするのがいいだろうという選択をしたんです。それは、自分の国と対等以上に戦った国だから、まかり間違って、ひとり歩きを始めて敵に回ったらまた厄介だなという話ですよ。それは当たり前の話であります。
その構造にあるということをきちっと踏まえて、これは、税金の使い道を通じて日ごろから検証していれば、シビリアンコントロールを貫いていれば、一目瞭然なんです。そして、その現実を周辺諸国に説明して信頼してもらうということも大事だし、その構造のまま、誇り高く、手を縛っていく中で、周辺諸国の信頼を外交の力にしていくという選択もあるだろう。あるいは、これはおかしいから、やはりひとり立ちできる構造の軍事力にしていくということが望ましいだろう、ちょっとアメリカと激論を交わさなきゃいけないけれどもそっちに行こうか、そういう選択も出てくる。
ところが、その戦力投射能力がない。これはまさに憲法九条を絵にかいたような構造の軍事力であります。それを、持っているということすら知らずに、憲法改正だと言うし、軍事力の整備は、防衛計画の大綱はと、やっていられないよ、おれ、税金払うのやめようかなと思っていますよ、本当に。という考えを私はここでちょっと述べさせていただきまして、こういう基本的な部分を、ぜひ国会で審議をいただきたいと思っております。
どうもありがとうございました。