荒木光彌の発言 (決算委員会)

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○参考人(荒木光彌君) 御紹介いただきました荒木でございます。
 私、この世界に入りまして三十数年、このODAの世界を現場で取材をして感じたことを今日申し上げたいと思っております。
 それでは、レジュメに従いましてちょっとお話をしたいと思いますが、このいただきましたレジュメでは、課題では、経済性、効率性、有効性の観点から見たODAについて考え方を述べてもらいたいということでございましたんですが、私は二点申し上げたいと思います。第一点は、ODAの総合的ないわゆる実施ということの意味において、やはりODAには総合司令塔がないというようなことの問題点、第二点は、ODA実施に際して、その効率を上げるために連携が必要なんですけれども、連携がないというこの辺の問題点を中心にお話を申し上げたいと思っております。
 既に御承知と思いますけれども、このレジュメ、ちょっとミスプリでございますが、今年はODAが開始されて五十年になります。一九五四年のいわゆる技術協力を中心としたコロンボ・プランに加盟して以来、日本は営々と五十年の歳月を費やしてODAを実施してきたわけですが、ここ二、三年のODAの改革路線というのが外務省改革論と併せて問題になりまして、ODAの路線というものは今や国民参加を目指していこうと。それで、そのための頂上、その会議の責任としてODA総合戦略会議が外務大臣を中心に持たれているわけです。それから、ODAの透明性と計画性を確保するということで、国別援助計画の策定ということが今なされつつあります。さらには、実施機関、JICAの独立行政法人化などを通して今も継承されていると。
 こうしてODAは少しずつ進化しているわけですけれども、私は、やはりいろんな批判があって、ODAのその進化の糧になっているんじゃないかと思っておりますけれども、進化するODAという認識の下で、なお改革を必要とする基本的な問題点を、私自身がODAの現場にいましたので、現場に立って発言申し上げたいと思っています。
 題して、ODA行政に見る問題点。
 その第一は、国を見ても地域を見ないODAと。それから、ODAには政府としての司令塔がないという問題。
 で、日本のODAは、久しい間、二国間援助を中心にしてきましたけれども、そのせいか、地域を見るというか、国を見ても地域を見ないと、こういうような地域を見て援助構想を立てるということに非常に弱い。例えば、ASEANという地域全体をカバーする地域協力的な援助構想を立てる能力とか、総合的な機能がない。特に、ASEANの経済統合の足かせになっているインドシナ半島、インドシナ諸国を地域と見て経済発展させる地域協力をODAベースで仕立てることが今や急務になっているにもかかわらず、長期的なビジョンに立った政府の総合開発戦略本部、いわゆる司令塔が存在していないと、こういう問題を指摘したいと思います。
 ちょっと補足いたしますと、司令塔の問題に関しましては、これまで、第一に、これは二〇〇一年の十月の経団連の提言ですけれども、ODA戦略会議、これは総理大臣議長の下での司令塔問題を提案しているわけです。
 第二は、そのODA、第二次ODA改革懇談会というのが開かれましたけれども、その報告書で、ODA調整官庁、いわゆる外務省ですね、外務省の司令塔機能の強化を訴えております。
 第三に、外務省を変える会の中から出てきました一つの提案は、外務省経済協力局の外局として援助庁を作ったらどうかと、こういう案が出てまいりました。
 第四は、政策構想フォーラムというのがございますけれども、その政策構想フォーラムの中で、ODA戦略委員会を設けて総理のリーダーシップの下で国際開発援助庁の設立意義やその目的、機能を含めた総合的なODA戦略策定のための枠組み作りを開始したらどうかと、こういう提案をしているわけでございます。
 次に、第二の問題は、ODA予算と役所との関係について申し上げたいと思います。
 これは一般に言われていますが、ここにもちょっと書いていますように、ODA予算というのはいわゆる霞が関ルールで各省庁に分散されていると、こういう批判が今までなされてきているわけです。現在も、ODA予算というのは十三省庁にまたがって計上されております。例えば、技術協力の場合は、技術協力を一元的に実施するこのJICAの、国際協力機構の技術協力予算は全体の六〇%以下です。つまり、四〇%以上が少なくとも各省庁に技術協力という名で分散されていると、こういうことを示しているわけでございます。そのほか、国際機関への支出、拠出の予算は完全に各省に分散されております。したがって、国際機関にその資金を提供する我が国の外交というか国益的な観点から、また世界銀行など金融機関に資金を提供する我が国の国益的な観点、外交的な観点からの問題、つまり方針というのは余り我々の目に触れられていない。非常にイージーというか容易、イージーに運営されてきたというのが一つの流れでございます。
 私、以下は、予算と役所との関する問題点をいろいろと説明を申し上げたいと思います。
 第一の指摘は、ODAは開発途上国の支援をすることはもちろん言うまでもないんですけれども、御存じのように、日本の経済発展や安全保障の観点からも重要な政策手段であります。その任に当たるべき外務省が、各省のODA予算、その政策、その実態を全体としてどこまで掌握しているか、定かでないという問題は非常に深刻ではないかと思います。予算の面では、外務省が十三省庁の、金額的にはまあ半分、予算の、一般会計予算の半分は所管しているんですけれども、いろんな役割について十三省分の一という、こういう存在ではオールジャパンとしての日本の外交を、日本のODA外交をどこまで展開しているかということは非常に疑わしいと、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
 周知のように、ODA白書とも言うべき我が国の政府開発援助という報告書には、このいわゆる表の部分、つまり外務省の関係の部分だけが表に出てきますけれども、各省関係の予算の執行状態とか役割とか、そういうことについては触れられていません。したがって、十三省庁にはその専門分野において開発途上国といろんな関係があるとしても、JICAの技術協力のように情報公開をしたり、あるいは他者に評価してもらうことをしないと、今に国民にODA予算がいわゆる霞が関ルールで各省庁に既得権化されているのではないかと見られるおそれがあるというふうに考える次第でございます。
 経団連のさきのこの提言でもはっきり述べているのは、省益集合体としてのODAから国民参加型の集合体としてのODAへ持っていかなきゃならないと、こういう提言を既に経団連もしているわけです。そういうことをひとつ念頭に置いていただきたいと思います。
 第二の指摘は、これは非常に重要なんですけれども、いわゆる技術協力にしても資金協力にしても、いわゆる各課各課で、役所の各課で担当しますから、各課の目的になっちゃっています。つまり、技術協力も資金協力も、基本的には開発途上国をよくするために何をすればいいかという手段にすぎないわけですが、手段がいつの間にか目的化されちゃって、その予算を執行することに権限が張り付いていると、こういうようなことでございますので、こういうところもやっぱり改めていく必要があるのではないかと私は思う次第でございます。
 ちょっと時間の関係で一つ飛ばしますけれども、第二の指摘というのはODAの積算に関する問題なんですけれども、非常にプロジェクトごとに積み上げていって、それで柔軟性を失うような予算積算の仕方をやっているわけですね。それじゃなくて、今は援助の方向というのは大きくプログラム化していくと。貧困削減計画という大きなプログラムの中で何がどうするかということを個々のプロジェクトが決まっているにもかかわらず、一つ一つのプロジェクトを硬直化、それを決めてしまうと、それが終わるまで、つまり各予算が余り効率がないにしても、各プロジェクトの予算がそれを無理を承知で実行するという考えで、そういうことで進んでいるわけです。それが非常に無駄が多いということでございます。
 それから、三番目でございますけれども、第三の問題は、私は時間の関係でちょっと捨象しますけれども、やはり今一番重要なのは、現場からの意見ですけれども、やっぱり円借款と無償資金協力と技術協力があります。円借款はJBIC、国際協力銀行が実施団体です、実施機関です。技術協力はJICA、つまり国際協力機構が実施機関です。それから、無償資金協力も実は外務省の委託でJICAがやっております。
 そういう円借款と無償資金協力と技術協力が実は今ばらばらに縦軸で、縦割り型で各省別の権限の中で行われていて、本来は一つの目的に向かって資金と技術とノウハウというか、知識が一体になってやらなきゃならないというところが一体になっていないと。ここで非常に援助の効率性、経済性を損なっているということで、現在、現場の意見を申し上げますと、この枠組み作りを早く進めてもらいたいし、もしそうでなければ、いっそのこと資金協力と技術協力のJBICあるいはJICAの大合同、つまり統合を進めてもらいたいという意見もございます。それが第三点でございます。
 第四点は、民間との連携で、ODAとNGO、大学、自治体などの連携は非常に今進行中ですけれども、まだこれは、特にNGOとの関係などについてはまだまだ連携する余地がたくさんあるにもかかわらず、まだ遅々として今のところ進んでおりません。
 それよりも進んでいないのが、企業との関係というか民間企業の問題です。民間企業というのは、単にODAのプロジェクト、入札に参加する問題ではなくて、むしろ、何というんですか、ODAというのは独りじゃ何もできない。つまり民間とかNGOも含め、民間企業も含め、あるいは大学も含め、いろんな人たちを一緒に連携して初めてODAが触媒効果を果たして全体に波及していく。それを自分たちのタコつぼのようにODAの中だけで何かをしようとするから効果が上がらない。これでは開発途上国の経済発展というのは望まれないというような批判が今出てきておりまして、今最大の課題はこのODAの連携問題ということでございます。これによってODA予算が効率的、効果的に、かつ国民に見える形で実行されるということが見れるんじゃないかというふうに感じております。
 以上、時間が大体来ましたので、私はこの辺で終わらせていただきます。

発言情報

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発言者: 荒木光彌

speaker_id: 1876

日付: 2004-03-15

院: 参議院

会議名: 決算委員会