山本清の発言 (決算委員会)
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○参考人(山本清君) 国立学校財務センターの山本でございます。
まず初めに、良識の府である参議院におきまして、とりわけその決算審査の充実化を標榜されておられます参議院並びに決算委員会におきまして、参考人として意見を申し上げる機会を与えていただきましたことに感謝を申し上げたいと思います。
以下、レジュメに従いまして意見を申し上げたいと思います。
まず最初に、国会におきます決算審査の意義につきまして確認を申し上げたいと思います。
私は、レジュメに書いておりますとおり、三点ほどが決算審査のやはり意義なり目的であろうというふうに考えております。
第一点は、当然、国会でございますから、行政府に対しまして、アカウンタビリティーを行政府は負っておるわけでございます。その立法府に対します行政のアカウンタビリティーを解除し、そして更に確保するというのが一番大きな意義であろうというふうに思います。
第二点は、次の予算編成へのフィードバックを図る、そして、単なるフィードバックだけではなくて、やはり途中におきます改善を通じましてやはりその価値を付加していくということが二番目として重要であろうというふうに思います。
三点目は、決算審査を通じまして、予算・会計制度の改革なり見直しというのも含めました監視ということが基本的な視点であろうというふうに思います。
こういった意義を前提にいたしまして、決算を通じました政府全体の統制メカニズムにつきましてまとめた図が図一でございますので、この図に従いまして大筋申し上げたいと思います。
この図の一番下の点線の枠で囲ってありますのは、大きく政府全体にかかわりますガバナンス制度と言っていいかと思います。これには、議会は、まあ立法府と言い換えていいかと思いますが、議会、裁判所並びに行政府から独立しておりますから会計検査院というのも含めておりますが、こういった行政活動全般に対します外部統制機関というのは当然一番左にいるわけでございます。そして、行政府は自ら当然内部統制機関なりに内部統制を図るということで、国会でお決めになった財政法なり会計法の枠組みの中で、それに従って、政省令に従って予算執行、予算の執行を行うという意味におきまして、内部統制の組織なり機関というのも存在しておるわけでございます。
さらには、当然こういった外部統制、内部統制以外に、いわゆる国民の目と申しますか、国民全体の文化と申しますか、そういった、今はやりの言葉で申しますればソーシャルキャピタルと言われておりますが、社会的関係資本なり社会的共通資本と言われているような国民の政治並びに社会、地域あるいはマーケットに対する意識なり規範の遵守の基本的なそういった心情の共有化というものが当然あるわけでございますし、あるいはマスコミ等もこの一番右側のところに位置付けていいのではないかと思います。
こういった三つの大きな統制メカニズムが行政活動に対して統制活動を加え、そしてそういった三つのチャンネルを通じて、いわゆるアカウンタビリティーの確保、向上、そして国民の相互間の利害の調整並びに経営改善を図る。とりわけそのマーケットメカニズムと一番違う点は、アカウンタビリティーという点と利害調整であろうかと思います。アカウンタビリティーがとりわけパブリックセクターにおいて重要であるというのは、税金等は御案内のとおりやはりその公権力の背景として、あるいは国民の納税義務として徴収するわけでございまして、これは自由なマーケットにおける交換取引として取引がなされるわけではないということであります。
さらには、国民はやはり世代間の利害対立がありますし、それは公的年金をめぐる最近の動きにも表れております。あるいは、都市部と地方部におきまして、特に最近ですと高速道路問題等においては、いわゆる都市部と地方部の利害の対立があるわけでございます。こういった利害調整は、やはり国権の最高機関であります議会において、その国民の代表である立法府の方でこれはやはり御議論をして調整し、やはり議決をするということで利害調整が図られておるということでございます。
一方、その経営改善というのは、これは外部統制を通じた経営改善というのもチャネルもあるわけでございますし、あるいは国民の文化という点でいきますと、最近いろいろな地方で行っておりますように、行政と住民との共同参加といった、公共事業方式もございますが、そういった住民参加によって予算の削減を図ろう、あるいは効率化を図ろうという動きも当然チャネルとしてあるわけでございます。
こういった三つの機能が確保されることによって政府全体の業績が向上し、そして政府業績を、国民がそれを見ることによって政府に対する信任なり信頼が形成される。この政府に対する信頼が低下いたしますと、当然、国民の政治に対する参加でありますとか、あるいはいろいろな利害調整の場におけるその関与なり等がやはり問題を受けるわけでございます。これが、政府に対する信頼がプラスに働きますと、この全体のチャネルがうまい具合に機能いたしまして、それが更にアカウンタビリティーの向上なり利害調整を活発にし、経営改善を図り、行政の全体のパフォーマンスを高めると、こういうふうなチャネルになるわけでございます。
したがいまして、ここで一番申し上げたい点は、2の(3)にございますとおり、そうは申しましても、今、富田参考人の方からお話がありましたとおり、やはり議会と行政府の関係を申し上げますと、やはり細かい予算の執行の中身でありますとか、あるいは細かい政省令等につきましては、行政府の方がはるかに大きなスタッフも抱えておりますし、あるいは知識の点あるいは能力の点においても、当然その議会は優れておるわけでございますが、少数スタッフの調査局を抱えておられるだけであります。そういったことからいきますと、やはりその内部統制に対して外部統制が牽制を図る、あるいは的確な、サポートではなくてその監視をするという点からいきますと、行政府に対抗するようなやはり調査機関なりあるいは補助機関なりが必要であろうということであります。
会計検査院の位置付けを憲法的にどうするかというのはいろいろ諸般のいろいろな、あるいはいろいろな御議論があるようでございますが、少なくとも機能面におきましては、議会調査局と同時に、内部統制に対する監視機能あるいは的確な外部統制を行うためにやはり会計検査院を活用するということが、内部統制に対する監視あるいは行政活動全般に対する統制において非常に重要であろうというふうに思っておるわけでございます。
次に、二ページ目の方に参らせていただきます。
先ほど富田参考人からもお話がございましたとおり、NPMのエッセンスにつきましては既に富田参考人も触れておられます。しかし、ここでは原理的な点を申し上げますと、ここに冒頭に書いてございますとおり、NPMの原理というのは四つの原理から成り立っております。一つは成果志向であるということであります。二番目は顧客志向である、三番目は市場原理を活用することである、四番目は分権化ということで、なるべくその現場サイドに裁量権を与えようということであります。
先ほどからの議論がありますとおり、成果志向にするということは、当然、投入の管理でありますとか途中のプロセス管理については裁量性を与えるということでございますから、これは一面におきますと行政権に対しての裁量が増えるということで、議会統制が形骸化するのではないかというのが先ほど富田参考人のお話でございました。確かにその面はあるわけでございますが、NPMを実行することによって立法府が一方的に行政府に対する統制権限がただ失われるだけかということからいきますと、それは必ずしもそうではないということを今申し上げたいと思います。
それは、NPMにおける議会統制の在り方というのは、従来と違って、実は成果に対しても議会審議においてオーソライズをするということでございます。すなわち、従前の予算書なりは、当然これは貨幣の金額の数値が入っている、いわゆる款項目、今もお話しございましたとおり、そういった一定の科目名と金額について統制するというそのことで、金額といわゆる投入財源についての統制であったわけであります。それが、議会審議のNPM化というのは、これはもうオーストラリア連邦政府において一番端的な例でございますが、実は成果、最終的な成果であるアウトカムベースにおいて、実はアウトカム自身を国会で議決をしているわけでございます。そして、金額と同時にバインディングするということであります。
したがって、いわゆる行政権に一定の裁量権を与える代わりに成果で統制する。その代わり、裁量権を与えるということは当然、効率化のメリットがあるわけでございますから、従前の予算よりは少ない金額で多くの成果を達成せよというバインディングを事前に掛けておくということになります。当然、事前にバインディングを掛けているだけであれば、これは当然、議会統制というのは成りませんですから、当然これは事後的にこれをチェックするということで評価の役割が高まってまいります。
しかし、これは行政府の一方的な評価だけではとても、これはそれだけ裁量権を与えたということとバランスが取れないわけでございますから、これは次の予算審議あるいはその成果に関する厳格なチェックということを議会においてもやるということで、先ほど申し上げました会計検査院の機能もそこに活用しようというのが世界的な動きであるわけでございます。
先ほど、大蔵大臣なり国会の力が強い国は財政再建に非常に有効であるということのお話がございました。それはそのとおりだと思いますが、それとほぼ同様なポジションで、三ページ目の表の一というのをごらんいただきたいと思います。
これは、OECDのいわゆる有力国と称されておる国と、いわゆる発展途上国と申しますか、そういう国も包括して、いわゆるNPM的な改革に積極的に取り組んでいる国とそうでない国がいろいろな、先ほど申し上げました政治に対する信頼あるいは汚職の問題あるいは政府全体のガバナンス、さらには今議論になっております財政再建であります歳出の変化率、これはマイナスになるということはそれだけ削減しておるわけであります。
これをごらんいただきますと、おおむねでございますが、やはりNPMの改革に積極的な国は明らかに歳出の変化率がマイナスでございますから、これは財政削減に成功しておるということでございます。
したがって、問題は、NPMを議会統制とどうやってうまく接点を見いだすかということにあるわけでございまして、そこら辺の御議論が是非国会の方でもやっていただかないと、行政府の一方的な執行になると、これは大きな問題が起こるというのは富田参考人の御意見のとおりでございます。
こういったことを前提にいたしまして、最後に、改革に向けた取組について申し上げたいと思います。ここでは三点申し上げたいと思います。
一点は、決算審査の視点でございます。
ここで一番重要な点は、いわゆるNPM適用に伴います決算審査における評価内容の予算への反映ということでございます。
現在の状況におきましては、行政府内部におきます、総務省なり財務省におきます評価の予算への反映というのは行われておりますが、実はこれは議会できちんとやることが一番重要であろうと思います。とりわけ、平成十六年度予算から盛り込まれておりますモデル事業なり政策群というのは、これは大くくりの予算編成をしております。あるいは裁量性を認めるということでございますから、これは決算審査で是非きちんとチェックをするということが決算審査の意義を高め、さらには次の予算へのフィードバックにもつながるのではないかと思っております。これが第一点でございます。
第二点は、財政当局との関係でございます。
国会におかれましても調査局等でいろいろな分析をおやりになっているということは承知しておりますが、とりわけ最近ですと、公会計改革等が財務省あるいは内閣府の方で実施されておられますが、実は一番重要な点が欠けておると思います。
それは、いわゆる公会計改革の中でいろいろな決算書類なり財務諸表を企業会計方式と称する方式で作成しておりますが、それはすべて実績数値だけであります。決して予算との対比がないわけであります。そうすると、国会の議会統制並びに決算審査という点からいきますと、これは予算と比べてどうであるか、あるいは計画数値と比べてどうであるかといった公会計の書類が出てまいりませんと、行政内部のフィードバックとしてはいいのかもしれませんが、議会統制からいうと、これは大きな問題をはらんでいるというのが第二点目でございます。
第三点は、会計検査院との関係でございます。
現在、会計検査院はいろいろな改革に取り組んでおられますが、諸外国の会計検査院等を拝見いたしますと、これは特にオーストラリア等が参考になるかと思いますが、オーストラリアにおきましては、合同の決算監査委員会におきまして、単なる決算だけではなくて、予算改革につきましても積極的な勧告をしております。そして、その勧告の基になっておりますのが会計検査院の調査レポートということでございまして、とりわけ、その独立行政法人の運営等につきましてはNPM的な改革がなされておりますから、それが本当に真の効果を発揮しているのか、あるいは無駄な、かえっていろいろな上乗せ規制になっていないのかどうかということを是非御審議願いたいと思います。
以上でございます。