森本敏の発言 (憲法調査会)
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○参考人(森本敏君) 御指摘のように、冷戦が終わった後の各種の危険とかリスクに対応するために、従来、日本の領域の中、それから安保条約で認められた領域、すなわち具体的に言うと安保条約第六条の考えている領域以外の、つまりそれを超える地域での国際的な協力については日米安保条約では対応できないわけですから、したがってその領域の外に自衛隊を活動させるためには国内法上の根拠が要ることは明らかで、したがっていろいろな国内法、例えば、PKOについてはPKO法、あるいは国際援助隊法等いろんな法律ができ、それからさらに、二〇〇一年のテロ特措法によってインド洋に、そして昨年のイラク特別措置法によってイラク及びその周辺に自衛隊をこうやって活動させている。
この法律を、事態が起こるたびにその都度立法の措置をするということになると二つの問題が起きます。
一つは、それだけ時間が遅れ、対応が遅れる。それからもう一つは、法律そのものの制定のたびに手続その他、部隊の任務、あるいは持っていくべきいろいろな装備、指揮関係等をその都度法律の中で新しく決めなければならないということになり、もしその基準となる法体系ができており、政府が政策判断をすれば一つの法律の枠組みの中で派遣させることができるのであれば、むしろ時間的には直ちに対応するという即応の体制が取れるということのみならず、自衛隊がその法に従って日ごろから訓練を行い、装備を整え、いろいろな体系が取れるという利便性があるのではないか考えます。
したがって、一般に言われているような恒久法その他の基準となる法律を作る必要があると考えますが、その際二つのことを考えないといけないと思います。一体その基準となる対象は何かということです。自衛隊を単に領域外において活動させるための基準を作るのであれば、一体現在の自衛隊法を改正するという手段によってなぜできないのかという問題が出ます。したがって、これは恒久法というより自衛隊法改正、抜本的な改正、つまり任務を含む抜本的な改正という問題でなぜ処理できないのかと。そうではなく、自衛隊の領域外における活動を含む国としてのトータルな国際協力、国際貢献の基準を作るための法というのであればそれは自衛隊法の改正ではできないわけで、もう少し広い範囲と広い領域を持つ基準法ということになりましょうから、その場合は恐らく何らかの基準となる法律というものが必要なんだろうと思います。
いずれにしても、その法律を制定するときに我々が考えないといけないことは、一つは、そのようなリスクを負って領域外に自衛隊を出すことに係る日本が追求すべき国益とは何かということが明確でなければならず、第二に、自衛隊をこのように海外に展開させるということが日本の防衛の在り方との関係においてどういう意味を持っているかということです。
我が国憲法の中で、日本を守るため必要最小限度の防衛力を我が国は持っていて、それを今やゴラン高原、東チモール、そしてインド洋、イラク、それでとどまらないと私は思いますが、このように領域外で活動する自衛隊のありようとその防衛力は、現在の防衛大綱の中では予期せぬ事態だと思います。このような防衛力というものを現在の大綱はそもそも予定し、予想し、防衛力を整備してきたのかというと、私は必ずしもそうではないんだろうと思うんです。したがって、我が国の防衛の在り方とは一体何なのかと。この二つを追求し、その基準を明確にした上で法整備を進めていくという必要があるのではないかと考えます。
以上でございます。