酒井啓子の発言 (憲法調査会)
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○参考人(酒井啓子君) 御質問ありがとうございました。
アメリカの占領政策が失敗しているのではないか、あるいは今の復興支援、アメリカの復興支援といいますか復興政策でございますね、支援といいますか、彼らが主導的にやっておりますから、サポートしているわけではございませんので。アメリカの復興政策が先入観に基づいて行われているのではないかという御指摘でございますけれども、これは正にそのとおりでございます。
ある意味では、戦争が昨年始まります段階においても、ある意味ではその戦争が圧倒的な英米軍の勝利で終わるということは目に見えていた話でありまして、あるいはそれによってフセイン政権が崩壊するであろうということもある程度予測が付いた。にもかかわらず、多くの国が戦争に反対したということの背景には、その後の占領統治は非常に難しいものになって、今のアメリカの体制、あるいはどのように準備したところで極めて大きな混乱をあの地域にもたらすことにしかならない、であればこの戦争は失敗に終わるであろうということで反対の声が非常に強かったんだというふうに理解できるかと思います。
そういう意味では、このアメリカの戦後統治をいかに失敗させないように持っていくかということが近々の必要なことであったわけでありまして、ある意味ではイギリスのブレア政権はそういうことをある点で期待して、すなわちアメリカが単独で占領するということになると失敗がより大きくなってしまうので、少しでもその失敗の幅を小さくするためにはイギリスは付いていかなければいけないんだというような論理をイギリス国内では展開していたのではないかと思います。残念ながら、そうした歯止めとしてのイギリスという役割も、それも機能していないという、そういう結果であろうかと思います。
そうした失敗の背景にあるのは、御指摘のとおり、正にアメリカのイラク社会に対する認識の違いといいますか、正確にイラクを認識していないという状況であります。
これに関しては、ただナイーブにイラクを理解していないということでとらえていいのか、それとも、あれだけのアメリカは超大国であり、かつ情報収集能力を持つアメリカがここまで単純な先入観にとらわれているということはあり得ないのではないか。もっと悪意を持つ人たちは、あえてイラクの国情を分かっていながら、あえて誤解しているようなふりをして、アメリカの望んだような形で社会を変革していくために、あえて誤解しているようなふりをして復興を進めているんではないかというふうにまで勘ぐる人々も出てきているという状況であろうかと思います。
そうした戦後政策をどういうふうに改善していくかということが私の報告、近々必要だということが私の報告の趣旨であったわけですが、具体的に、じゃ日本が何ができるかということになりますが、先ほどの報告の途中で申し上げましたけれども、やはりイラクが日本に対して抱いているポジティブな像というのは、これは民間企業主導の対等な関係、石油を売っていい物を買うという、そういう対等な関係というものが一番イラクが日本に対して期待していることであろうかと思います。
先ほど、先生の方で御指摘がありました、正にその国際協力というテーマでこの会が開かれる以上、国際援助という話が出るのではないかと期待されたという御指摘がございましたけれども、私はイラクに関しては、援助ということも確かに重要、金銭的にも物理的にも援助、支援をしていく、援助をしていくということは十分必要ではありますけれども、それはただ単に物を上げる、金を上げるということが今、それだけで済む問題かということではないということを今日は御報告したかったということでございます。
すなわち、物や金といったようなもので援助する以上に、それがどのような形でイラクの社会を立て直すのに有効であるかどうかという政治的な枠組み、政治的な体制そのものに対して日本が、援助というよりは正に協力、貢献という意味では、政治力、外交力を発揮することによってなし得る貢献というものがあるのではないか。正に、今のイラクの戦後体制の見直しという意味では、そちらの方面での貢献が必要なのではないかという意味で申し上げさせていただきました。