林紀子の発言 (本会議)

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○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、二〇〇四年度政府予算三案に対する反対討論を行います。
 反対する第一の理由は、今後十数年にわたる際限なき年金保険料の引上げや庶民増税など、言わば連続負担増予算だからです。
 小泉内閣発足以来、医療保険の三割負担などで既に四兆七千億円もの負担増と給付削減を国民に押し付けてきました。これに加え、年金制度の改悪、高齢者への増税、生活保護の給付削減などで、今後三年間で新たな国民負担増は二兆五千億円以上、合計七兆円もの負担増が強いられることになります。これでは国民の暮らしはますます深刻になり、不安を一層増大させます。
 とりわけ、国民の不安をかき立てているのは年金制度の大改悪です。年金保険料は、国会審議抜きで改定できる自動引上げの仕組みを導入し、今後十四年間にわたって毎年七千億円も連続的に引き上げる一方、給付は史上初めて物価上昇分すら割り込む引下げが行われます。現在の年金受給者が二〇二三年度に受け取る年金額は、今と比べて一五%も引き下げられることが明らかになりました。国民年金を始めとする低額な年金を更に引き下げることは、生存権保障の憲法の原則を踏みにじるものです。
 年金改革というのなら、国民への約束である基礎年金の国庫負担を二分の一に直ちに引き上げることを実現し、巨額の年金積立金を計画的に取り崩し、給付を支えることです。そして、何よりも雇用の拡大など年金の安定した支え手を増やすことです。さらに、低年金、無年金者の問題を解決するため、基礎年金部分を発展させて、だれもが一定の年金額を受け取れる最低保障年金制度への移行を目指すべきです。日本では、大企業の社会保障への負担がヨーロッパなどと比べ著しく低くなっています。税金の使い方を徹底的に見直すとともに、大企業や高額所得者に応分の負担を求めれば財源は十分に確保できます。
 さらに、地方財政の三位一体改革と称して、国が責任を負うべき国庫補助負担金を大幅に廃止、縮減し、福祉や教育の水準を後退させていることも重大です。地方交付税の圧縮と合わせて三兆八千億円も国から地方への財源を切り捨てる一方、税源移譲は四千五百億円と削減額の一二%にしかすぎません。多くの地方自治体から当初予算案も組めないと悲鳴が出るほど地方財源を危機に追い込み、地方自治の破壊と住民サービスの大幅な後退をもたらすものです。今必要なことは、国から地方への税財源の移譲と、財源調整機能としての地方交付税制度の原点に立ち返ることです。
 反対する第二の理由は、大企業奉仕や公共事業の浪費の仕組みは温存する一方、国債の新規発行は二年連続史上最高となり、財政破綻を進めるからです。
 税収は歳出総額の半分にすぎず、国債の新規発行は当初予算としては史上最高の三十六兆五千九百億円、国、地方の長期債務は合わせて七百十九兆円、国民一人当たり五百六十万円以上にも達し、財政悪化は目を覆うばかりです。
 無駄な浪費構造に思い切ったメスを入れることは待ったなしの課題です。ところが、羽田空港拡張事業や関西国際空港二期工事などに多額の予算が計上され、高速道路未整備の二千キロもほとんどの区間の建設が進められます。道路公団問題は、巨額の借金、天下り、政治家への資金還流など、腐敗にまみれた自民党政治の縮図にほかなりません。道路公団の改革というなら、高速道路整備計画をきっぱり廃止して、未整備区間は抜本的に見直すこと、利権と癒着の構造に徹底的にメスを入れるべきです。
 政府は、景気回復の芽が出たと自慢していますが、大企業が輸出と大規模なリストラで史上最高の利益を上げているだけで、国民、中小企業にその実感はありません。政府が進めてきた労働市場の規制緩和、労働法制の改悪によって、正社員はこの七年間で約四百万人減少し、アルバイトやパート、派遣労働という低賃金、不安定雇用に置き換えられています。そのため、国民の平均賃金は三年連続で減少しているのです。さらに、若者のフリーターは四百二十万人に急増し、深刻な社会問題となっています。こんなことを続けては、国民の暮らしの向上や景気回復など望めるわけがありません。
 一方で、一般歳出に占める中小企業対策費の割合は史上最低水準のわずか〇・六%、農業の自給率向上に欠かせない価格・所得補償の予算は農業分野全体の三割以下にすぎないなど、国民にとって切実な予算は切り縮められたままです。
 各地で発生した鳥インフルエンザは国民に大きな不安を与えています。国の責任で、法改正も含め万全の防疫対策の確立、感染拡大を防ぐための抗インフルエンザ剤の確保、被害を受けた農家、関連業者への補償などに万全を期すべきです。
 反対する第三の理由は、イラク占領支援や弾道ミサイル防衛システムに見られるように、アメリカの軍事戦略に日本を一層組み込む予算であり、憲法九条を改悪する策動とも軌を一にしたものだからです。
 米英軍が国連憲章を真っ向から踏みにじる無法なイラク戦争を開始して一年が経過しましたが、大義とした大量破壊兵器の発見はおろか、存在すらしなかったとの証言もあります。大量破壊兵器があると断定し、イラクへの自衛隊派兵を強行した小泉内閣の責任は重大です。今なお戦争状態が続いている他国に重火器で武装した自衛隊を派兵し、アメリカの占領支配へ合流、加担することは、憲法が禁ずる武力の行使、交戦権の行使に当たることは明らかです。今、国際社会に求められているのは、米軍主導の軍事占領を直ちにやめ、国連中心の枠組みの下での復興支援です。イラク国民に主権を返還し、自衛隊は直ちに撤退すべきです。
 米軍への戦争支援を無制限に拡大し、自治体、公共施設を軍事優先で利用し、国民保護の名の下に国民を戦争に強制動員する有事関連法案を撤回し、有事法制、武力事態法、周辺事態法の廃止を強く求めます。
 弾道ミサイル防衛システムは、地球規模のアメリカ核戦略に日本を巻き込み、アジア太平洋地域の国々との緊張を激化させるものです。
 また、北海道警察などによる捜査費などを流用した組織的な裏金作りが次々と明らかになりました。調査はなおざりであり、捜査もされていません。犯罪を捜査すべき警察による組織ぐるみの犯罪だからです。第三者による外部監査制度を実施すべきです。真相解明を求める国民の声にこたえ、我が党などが求めている参考人招致を直ちに行うべきです。
 最後に、今求められているのは、社会保障、雇用・中小企業対策など、景気回復と国民生活防衛のための予算の拡充です。このことを強く主張して、私の反対討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 115915254X01020040326_011

発言者: 林紀子

speaker_id: 24883

日付: 2004-03-26

院: 参議院

会議名: 本会議