永岡洋治の発言 (憲法調査会)
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○永岡委員 自由民主党の永岡洋治でございます。
本日は、国会、内閣、二院制及び政党を中心としてをテーマとした調査会であります。
本日、私からは、二院制のあり方と政党の位置づけについて意見を述べさせていただきます。
まず、二院制の問題であります。
現在我が国は二院制を採用していますが、フランス革命当時の政治家であるアベ・シェイエスは、その著書「第三身分とは何か」の中で、そもそも上院は何の役に立つのか、上院と下院は一致すれば無用であり、下院に反対すれば有害であると述べております。また、米国のベンジャミン・フランクリンは、二院制度は、一台の馬車の前後に馬をつなぎ反対方向に走らせるようなものだと述べております。
一般に、一院制、二院制については、それぞれメリット、デメリットがあるとされています。二院制のメリットとしては、慎重な審議が確保できる、国民の多様な意見や利益をきめ細かに代表できるなどがあり、他方、一院制のメリットとしては、政策決定が効率的になり、立法上の行き詰まりが生じにくいとされております。
我が国の二院制の現状を考える際には、統治構造のもう一つの柱である議院内閣制とその関連を見る必要があると考えます。二院制は、ある意味では、議院内閣制と緊張関係にあると考えられます。
議院内閣制は、議会の多数派に多くの権限を集中し、立法府と行政府の融合によって内閣総理大臣という明確な権力中心をつくって権力と責任を一体化する仕組みでありますが、このように議院内閣制が予定する権力の集中にとって第二院の存在は抑制的要素となる可能性があり、特に、日本のように性格が似た両院がほぼ対等の権限を持って存在すると、第一院に基礎を置くべき内閣、あるいは首相のリーダーシップは大きく損なわれてしまうおそれがあります。そして、実際にも、現在の参議院により内閣の政策にブレーキがかけられているような場合もあるようにも感じるわけであります。
また、総理の所信表明等について、衆参両院において全く同じ演説がなされ、それに対し似たような質疑が行われていることや、立法府の最も本質的な機能である法案の作成、審議につきまして、国民生活にとって重要な意義を有する法案が参議院から提出されたり、あるいは重要な法案修正が参議院において行われるなどの事例もあるわけでありますけれども、ややもすると、衆議院での議論をなぞるような状況も場合によっては見受けられ、参議院が衆議院のコピーとなっているという批判も全く的外れではないようにも思えるわけであります。
この問題の解決策として主張されるものの一つに、一院制への移行があります。しかしながら、私は、一院制への移行には反対であります。
といいますのは、我が国のように人口の多い国におきましては、民意のきめ細かな反映や、少数者の意見表明の機会の確保、国民の関心も高く、国会が主要な責任を果たすべきである行政監視機能の強化などが、一院では十分に果たし得ないと考えるからであります。
と同時に、私は、現在のままの二院制をよしとするものでもありません。今述べました二院制の現状を踏まえるならば、本来の二院制のよさが発揮されるような改革に向けた議論が求められます。
本調査会におきましても、二院制の改革をめぐっては、多くの議論がなされております。大別して、一つは、両院の役割分担の明確化に関する議論がありますし、二つ目には、参議院の権限に関する議論があります。そして三つ目には、選挙制度の見直しにより両院の構成に差異を生じさせるべきであるか否かに関する議論が行われてきたわけであります。
衆参両院の役割分担の明確化につきましては、国会が全体として、国民代表機関として国政を推進し、監視していくという責務を十分に果たすために、衆議院と参議院の的確な機能分担を考慮した見直しが必要であるとの意見が述べられています。
具体的には、参議院の役割として、決算審査を中心とした行政監視機能や、より長期的視野に立った調査機能を強化するということが考えられます。また、参議院の権限につきましては、参議院を補完的な機能を有する第二院として位置づける意見や、参議院の権限行使の自主的抑制の慣行を確立すべきであるといった意見も述べられております。
私自身としては、かつての緑風会のように、ある程度党派的な立場を超越して、大所高所から意見表明を行うような参議院をイメージしており、そのような参議院を実現するために、衆参両院の権限のあり方について考えていくべきであろうと考えております。
さらに、二院制と選挙制度をめぐっては、二院制である以上、異なる形での代表機能が期待されているにもかかわらず、現在は、両院の選挙制度が余りにも似通い過ぎていて二院制の意味を損ねていると、両院の選挙制度の類似性を批判する意見が述べられており、私自身もそうした意見に共感するところもあります。
ただ、衆参両院の選挙制度は、先人が知恵を絞って、長年の努力の積み重ねとして現在の姿があることを踏まえて議論をすべきであります。そのとき、例えば、将来の道州制の導入を前提として、参議院を道州代表とすれば、参議院に固有の代表機能が付与されるものであって、検討の余地があると考えます。
二院制の問題につきましては、各方面におきまして活発な議論が展開されているところであります。本日の調査会での議論などを通じて、よりよい二院制に向けた議論をさらに活発に行い、衆参両院の衆知を集めて幅広いコンセンサスを形成していくことが国会議員の務めであると考えるところであります。
次に、政党であります。
政党につきましては、現在の憲法では直接の規定はありません。この点、一般的には、憲法二十一条の結社の自由が政党を結成する自由等の保障を含んでいるとされております。
しかしながら、政党は、政治と国民をつなぐ媒介として、現在の立憲民主主義にとりまして不可欠の構成要素であり、議院内閣制の中核をなす存在であります。
そこで、私は、政党を憲法上、明文で位置づけた方がよいと考えております。ただ、規定の仕方によって、かえって政党の結成、活動の自由などが阻害されるおそれがあるので、そのようなことがないように注意をする必要があります。すなわち、思想の自由市場の価値を踏まえ、その主義主張によって政党としての適格が失われるということのないようにすることが肝要です。
政党規定の具体的内容としては、政党の意義に加えて、政党の結成、活動の自由、党内民主主義、政党法の制定に関する根拠などが考えられますが、本日の調査会での議論などを通じて、政党の意義、機能を十分に踏まえた議論が今後望まれるところであります。
来年は、いよいよ、本調査会発足時に約束された最終報告書を世に問う年であります。来年早々に始まる通常国会では、最終報告書の取りまとめに向けた具体的な作業を始めることとなると考えます。最終報告書が国民の負託にこたえるものとなりますよう、その取りまとめに向けたますます活発な議論をお願いいたしまして、私の発言とさせていただきます。
ありがとうございました。