植松治雄の発言 (憲法調査会公聴会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○植松公述人 医療ということ全般で考えますれば、高度先進医療を初めといたしまして、いわゆる高度医療というものが非常に脚光を浴びておるわけでございますけれども、これの対象になります人と、いわゆるコモンディジーズというふうなもの、あるいは生活習慣に基づいたもの、このようなものとを比べますと、数からいいますと、一般的な疾患がはるかに多いわけでございます。その中には、治るものも治らないものもある、また加齢に伴うもの、いろいろあるわけでございます。
 そういう意味からいいますと、今、我々医療を担当しております者に求められております最大のものは、病を持った人トータルをどういうふうにケアしていくかということで、病気を治すということは当然でございますけれども、病気を持った人、その人をどのようにクオリティーを高めていって幸せにするかということが一番なわけでございます。そういう意味では、私どもは全人的医療ということを進めておりますし、そういうものに対しまして、いわゆるかかりつけ医というものが対応できるように、プライマリーケアの重視ということで進めておるわけでございます。
 ただ、今の選択権その他の問題もございますけれども、今、混合診療の話その他で出ておりますもののどの部分が本当に混合診療でなければならないかということが示されておりませんし、極めて希薄なものであります。
 医療と福祉というものを考えましたときに、いわゆる生活保障としての例えば年金というものにつきましては、社会生活一般のときでもそうでございますけれども、それぞれのレベルの中で生活をしております。ただ、病になったときの疾病に対しましての医療保険、これに対応するものは、ミニマムではなくオプティマムのものを当然求めるべきだということがございます。
 そういうことを考えますれば、医療、医学というものが進歩いたしますとともに、医療保険の守備範囲というものは当然に広がるべきであって、その当時の医学のレベルに応じたものを国民に当然に提供すべきでございますし、そのことが、混合診療というふうな形のように、もし混合診療でなければならないというならば、そういう部分にある者が、お金がないがためにその医療を受けられないというふうなこと、医療は私は平等に与えられるべきであるというふうに思っております。
 ただ、現在の国家財政その他の問題を抱えて、医療費の問題も議論になるわけでございますけれども、今、日本の医療費、GDP比にいたしましてアメリカの半分でございます。世界の先進国の中でも低いところにございまして、十七番目というところでございます。日本の国力から考えて、これに〇・何%か上積みすることができるのかどうかということを考えますと、決してそんな状況ではないというふうに思っておりますし、国民もそういうふうに望んでおると思います。
 ただ、日本の皆保険制度というものは、今までに十分に機能してまいりました。そういうことで、国民の皆さん方は、この皆保険制度というものを空気か水のように当然にあるものというふうに信じておられるわけでございまして、今私どもが皆保険制度の危機とかと言いましても、そんなものは決して来ないよというふうな感覚で受けとめられておると思います。
 そのこと自体は決して悪いことではないと思いますし、国がそこまでやられたということについては私は敬意を払うわけでございますけれども、そういう国民をこれからさらに不幸にすることのないように、先ほど申し上げましたオプティマムな医療は提供できるようにすべきで、しかも平等でなければならない。あくまでも、税であれ保険料であれ、あるいは一部負担金であれ、すべて出ていくのは国民の懐から出るお金でございます。
 それをどのように配分するかということは、政治の決定でございますけれども、温かさを持った施策の中で、しかも将来に向けてどのような国家像を示し、そしてそのためにはどうあるべきかということで、現在のように、医療というものを成長産業というふうに位置づけて、それによって国の経済を活性化し、そして雇用を促進するというこの今の政府の目標というものは、まだ一歩先がある。経済が安定をしたときに、果たしてそれから先はどうかというと、国民が健康で幸せになれるということであります。
 そういうことを思うと、政府といたしましては、その先の、健康で幸せな安全な国をつくるんだということを目標に挙げて、そのために経済の発展が大事だというふうなことであり、その間に国民の健康を阻害するようなものをつくっていきながら経済を発展させたときには、最後の到着点のところでは必ず失敗になるだろうということでありますので、新しい国のあり方を示していただいて、それがこれからの医療の改革にどうあるべきかということをお考えいただきたいというふうに思います。

発言情報

speech_id: 116104187X00120041111_016

発言者: 植松治雄

speaker_id: 34808

日付: 2004-11-11

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会公聴会