浅岡美恵の発言 (憲法調査会公聴会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○浅岡公述人 ただいま御指摘いただきましたように、環境についての社会的認識が広がりましたのは、日本におきましてはとりわけ公害問題を端緒としておりまして、水俣病の問題の発生、そして今日に至るまでの経緯が大変そのことを物語っているわけであります。
今私が特にかかわっております地球環境問題につきましても、きょうお示しの資料の中に若干つけてございますけれども、二酸化炭素の排出増加が温暖化をもたらしている主たる大きな要因になっておりますが、日本の排出量の実態を見ますと、総排出量の八割までが企業の活動に由来するものでありまして、国民の家庭生活におけるものといいますのは、マイカーを含めましても二割程度である、こういう状況を見ますと、自由な企業の経済活動あるいは公共的な活動が環境への負荷を大きく拡大してきた要因であるところは、御案内のとおりであります。
あわせて、国民一人一人が豊かさを求めるという中で、それも大きく言いますれば経済の発展というものを反映する形で起こってきておりますし、さまざまな面で御指摘のところが出てまいります。
確かに、他の権利と比べまして、一人で自分の生活の中で完結するものという側面は非常に限られてまいりまして、地球環境まで含めまして、そうした環境の中に私たちが生かされている、また、そうした環境が遠い遠い先の将来世代にも影響を及ぼし、そうした将来世代からの預かり物としてのこの環境を我々が享受するとともに、またよいものとしてつくり上げていかなければいけない、そうした認識も非常に高まっておりますし、そうした議論もなされてきております。
おっしゃるとおり、確かに、そうした新しい問題というものを包括的に見ますと含んでまいりますし、それは、発想といたしまして、地球規模でも、国といたしましても、企業といたしましても、また人の命というところからとりましても、その持続可能性というところから問題提起をするということがなされているわけであります。
ただ、私が申し上げたいのは、こうした問題を具体的に解決していきますために、多くの立法的措置が七〇年代の公害国会以降なされてまいりましたけれども、私も、日弁連の委員等で、あるいは環境団体といたしまして、国会の先生方にいろいろな立法の要請をしてまいりました。今、消費者につきましてもあるいは司法改革につきましても要請しているところでございますけれども、先生御指摘のような形でよい環境を法的に担保していく、そして、それを法的にしっかりした仕組みで担保していくための制度づくりに御熱心な先生方がこの憲法改正議論を御主張しているといいますよりも、むしろ、そうしたことには余り御熱心でないといいますか、それよりも自由な経済活動を優先することの方が重要だ、そうした御指摘を強くされる方の方に見受けるわけであります。
そこが一つ現実でありまして、そのために、一つ一つの立法におきましてなかなかそこが進まない。この国会でと思いましたものが次に、また次にと延長されましたり、今日におきましてもまだ進んでいない。まだまだ国民がそんなことを要求するのは早いよというようなことを言われる先生方の方に多いということが、今日の議論を複雑にいたしているかと思います。
今、環境にせよ、個人の権利にせよ、立法府にお仕事をお願いしたいと求めている部分は、むしろ、一つ一つの立法をもっと国民の権利の観点からあるいは環境保全の観点からしっかりしたものにしていただきたいというところができないまま環境権というものが憲法上入るということは、一体何を意味するのだろうか、そういう疑念をもたらしているのではないかと思うところでございます。