暉峻淑子の発言 (憲法調査会公聴会)
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○暉峻公述人 その点だけに絞って言えば、例えば、ユーゴは民族紛争だということになっていますけれども、実はユーゴというのは、南スラブという同じ民族なんですね、クロアチアもスロベニアもセルビアも。ですから、言葉は皆同じです、同じ言葉を使っています。それが歴史の中である国に支配されてこうなった。ボスニアなどはイスラムの影響が強いですし、クロアチアはドイツの影響が強い、セルビアはトルコに非常に影響を受けている。いろいろな歴史的な経過の中で違いは出てきていますけれども、チトーの時代にあれは全部ユーゴスラビアとして統一されたのを見てもわかるように、これは民族紛争とは言えないんです。
ただ、私は大変いい記事が出たと思いますけれども、例の戦犯法廷に日本から判事として出られた女性の方がいらっしゃいますね、多谷千香子さんという。この方はユーゴ国際戦犯法廷に判事として出られているわけですけれども、彼女もそう言っていて、結局どこが悪かった。つまり、報道では、今ヨーロッパの報道はかなり変わっていますけれども、セルビアが悪人でいろいろな虐殺をしたというふうに報道されているのだけれども、彼女は、そうではない、どこの国でも政治家が自分の利益、利権と権力欲のために国民、住民をあおったと。あおったがために、さっきおっしゃったそういう宣伝に、世論操作などに乗せられてそういういさかいというか紛争があったということを彼女ははっきりと述べていて、戦犯法廷のいいところは、そういうことをもう一遍洗い直して見られるというところがこの法廷の大変いいところだということを言っています。
それで、私は、ユーゴの救援にかかわって、例えば病院とかいろいろなところの職場で、あなたは何人なんですかとしょっちゅう聞きました。大体ユーゴ人と答える人が非常に多くて、私はクロアチア人です、セルビア人です、何人ですというような答え方をする人はそんなに多くないんですね。そして、職場でも同じように仕事をして、学校でも机を横に並べてその人たちは皆勉強しているわけだから、一般市民の間では、今聞いても、何でそんな紛争をしなきゃいけなかったのか全然わからないと言う人が大多数です。それはトップの政治家の人はまた違うことを言うかもしれませんが、そういう人たちは亡くなられたりもう政権の座にはいないわけで、ですから、民族紛争とあれをわいわい言ったということは、私は、間違っていたと思うんですね。
結局、経済の格差もあったし、それから、あの紛争を起こしたのは、結局周りの、かつて自分たちが支配した国に自分の国の利権とか権益を及ぼしたいと思っていた、そういう国々があおったんですね。
あのとき、東ヨーロッパでは皆、社会主義政権は崩れていきましたけれども、ユーゴは一応中立、非同盟中立に入っていたので、社会主義政権が最後まで崩れずに残っていました。これを崩してしまうには民族紛争という形をとった方がいい、そういう思惑もあって、その資料は今いっぱいあるんですけれども、あれを一概に民族紛争と言うのは、私は、ちょっと間違いであると思っています。
それから……