白石正輝の発言 (憲法調査会公聴会)

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○白石公述人 おはようございます。御指名をいただきました足立区議会議員の白石正輝でございます。
 本日は、憲法調査会に、私、地方議員の一人という立場で発言する機会をいただきまして、心から厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 私も、昭和四十六年に初めて地方議員にさせていただいて以来、地方自治の進展、確立こそが民主政治の根幹なんだという考え方を持ちまして、今日まで三十数年間の議員活動をさせていただいておりますけれども、今の憲法を見ておりまして、私たち地方議会という立場からいうと、幾つか改正していただかなければならない点があるなというふうに考えないわけにはいきません。
 私が大学に入学したときには、まさに六〇年安保でございまして、憲法改正などということを口に出しますと、あれは右翼なんだ、こういうようなことを言われて、とてもとても憲法改正というようなことを言えるような状況ではございませんでした。
 あれから四十年、戦後もう六十年になるわけですけれども、最近の世論調査等を見てまいりますと、特に、高校生、大学生、二十代、三十代、四十代の若い皆さん方の中に、憲法を改正すべきだという御意見が過半数を占めているという状況を見ますと、やはり、六十年間一度も憲法改正について国会が態度を示さなかったことについては若干問題があったのかな、こんなふうに思います。
 また、先般の読売新聞の調査、国会議員の皆さん方に読売新聞が調査をした結果が発表されましたけれども、二〇〇二年には自由民主党が、改憲、九六%賛成、二〇〇四年には同じく九六%、民主党は六七%だったところが七七%に上がっている、公明党は七一%が八三%に上がっているというこの現実を考えると、国会議員の皆さん方の中にも、大部分が今の憲法のままでいいというふうに考えておられないのではないかな、こんなふうに私どもも思います。
 そうした中で、まさに戦後六十年、国際情勢も大きく変わっておりますし、昭和二十一年、日本が憲法を公布した際には、敗戦ということで、日本の国力は全くなく、外国に与える影響などというのは全く考えられなかった時代に憲法が公布され、制定されたわけですが、今の日本の経済力等を考えると、国際貢献というようなことを考えれば、まさに世界が日本に大きな期待を寄せているんだということを考えなければならないのかなというふうに思います。
 そこで、まず第一点でございますけれども、日本の天皇制について。
 今の象徴天皇というのは、日本の長い伝統や習慣から考えますと、まさに日本に合った考え方なのかなというふうには思いますけれども、昭和三十一年の政府の憲法調査会では、象徴天皇といえども元首の地位にあると解釈しても構わないということが一致して言われているというふうに聞いておりますし、昭和三十九年の外交関係に関するウィーン条約等国際法上、慣例上、天皇は元首として扱っていられる。特に外務省は、外交関係上は天皇を元首扱いにしておりますし、諸外国も天皇を元首として遇している現実を見ますと、やはり天皇陛下の立場を明確にすべきではないのか。象徴天皇といいながらも、やはり国際法上、国を代表するという意味で、天皇を元首という立場で規定すべきではないのかな、こんなふうに思います。
 次に、第九条でございます。
 第九条の平和主義、このことについて、今の国際政治を見ますと、日本の憲法が平和主義をうたっていることは、まさに将来にもこの憲法の平和主義を守らなければいけないことについては当然のことであろうと私も思いますけれども、平和主義、日本の平和を守るということが、自国のみの平和を守るということでは決してないというふうに私どもは思います。
 特に、日本は資源がない国であって、国際貿易をしっかりやっていかなければ日本の国民の福祉向上は全く望めないということを考えたときに、国際平和というものをしっかり念頭に置いた平和主義を今後掲げていかなければならないのではないか。世界の平和の中にまさに日本の平和があるという考え方からまいりますと、国際平和というものにより一層日本は貢献をしていかなければならないのではないかというふうに私どもは思います。
 また、日本国が、今後も長く国民のために存在し、平和主義、基本的人権をしっかり守っていくためには、日本の憲法を守っていかなければならない。日本の憲法を守っていくためには、日本という国を外国の侵略から守らなければならないのは当然のことでありますけれども、今の日本国憲法第九条の規定をこのまま文字として読めば、本当に自衛権はあるのかな、自衛隊を持って本当にいいのかなというのが、基本的には国民の素朴な疑問だというふうに私どもは思います。
 こうした部分を単なる憲法の拡大解釈だけで運用するということについては、やはり国民の不信というものをぬぐえないのではないか。そういう意味において、憲法九条二項にただし書きとして、他国からの不当な侵害に対する自衛の戦力は、これを保持することができるということを明確に規定して、自衛軍または国防軍の存在をはっきりと国民に示すべきではないのかな、こういうふうに思います。
 先ほど申し上げましたように、日本の平和は世界の平和の中にある以上、国際協力をしっかりと推し進めていかなければならないのは当然のことですから、国連主導の国際紛争解決に参加できるように九条の改正をすべきだ。九条三項に次の条項を加えたらいかがなものかと思うのです。前項の規定にかかわらず、国連の要請があった場合は、国際紛争を解決する手段として武力の行使をすることができるという、国連主導型の国際紛争解決に当たってはあえて武力の行使もできるんだ、こういうことを規定するべきであると私は思います。
 次に、私ども地方自治を担当している立場として、特に私有財産の権利の制限についてもう少し明確にすべきではないのかな、こういうふうに思います。
 日本国憲法では、第二十九条に「財産権は、これを侵してはならない。」こういう規定がありますけれども、この規定が、例えば私どもの地方自治体で計画的に道路をつくる、計画的に交通網を整備するようなときに、どうしても、私の土地は先祖伝来持っているんだから絶対に売らないんだ、こういう中で、土地収用がまことに困難なために道路が途中でとまってしまっている。東から来ている道路が、二百メーターぐらいどうしても土地収用ができないで、そこだけなくて、その後また西の方に行っている。こうしたことによって周囲の交通が大変に阻害されている現状を見ますと、土地所有権に対する制限についてはもう少し厳しくすべきではないのか、公共の福祉による利用という部分についての制限をより一層厳しくすべきではないのかな、こういうふうに思います。
 こう言うと、土地収用法というのがあって、土地収用委員会で土地収用すればいいじゃないかという御発言があろうかというふうには思いますけれども、地方自治の政治の中で土地収用法、土地収用というのを発動するのはなかなか難しいことは、皆さん方もよく御存じだというふうに思います。
 足立区七十余年の歴史の中で土地収用をかけた例はまだ一度もありませんし、今大変問題になっている道路も、もう二十一年間地主の説得に当たっておりますけれども、地主が全く聞く耳を持たない。しかも、そこに生活していない地主なんです。全く生活していない地主。そうした地主が全く聞く耳を持たないという中で、道路が開通しない。道路が開通しないために環七が大変に混雑をして、一キロ進むのにひどいときには一時間ぐらいかかってしまうというような道路状況、交通状況にある。この道路ができると、この道路は環七の約五百メーターぐらい北にできますので、この道路を利用して、二通りの東西交通ができるということになっておりますけれども、現実問題としては、地主が全然売らない。
 ということで、私は、憲法第二十九条第一項を、国民の生活に必要不可欠な財産権は、これを侵してはならないと。今は「財産権は、これを侵してはならない。」こういう形で規定されている中で、なかなか計画的な道路それから公園、交通網、こうしたものの整備が全くできないという現状を考えたときに、何とか、この土地の特に所有権に対する制限についてはぜひもう少し厳しくしていただければありがたいなと思うと同時に、第二十九条第二項中に「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」というふうに書いてありますけれども、地方自治体の基本条例の中でこれを定めることができるというふうに憲法を変えていただければ、各地方自治体が地方の実情に合わせて、今、私どもの足立区も住民基本条例を策定中でございますけれども、その住民基本条例の中に盛り込めるような、そんな考え方ができればまことにありがたいというふうに思います。
 今、国の方で、三位一体の改革という中で、地方に大幅に権限を移譲しよう、こういうふうに国の方は考えてやられているというふうにお伺いしておりますし、私ども地方自治体としては、一日も早く三位一体の改革が実現して、権限の移譲はもちろんですけれども、権限にあわせて財源をしっかりと地方に移譲していただきたい、こういうふうに思います。
 そうした中で、地方自治をもう少ししっかりと確立していく、地方自治を明確にしていくためにも、地方政府と言ったら語弊があるかもしれませんけれども、地方政府に近い形の地方自治体を新たにつくってはいただけないものか。これは、今よく言われておりますけれども、道州制という言葉が適当かどうかわかりませんが、今の都道府県単位をより一層大きくした中で、道州制、今の東北地方とか関東地方とかというような形の一つの大きなまとまりにして、財源をしっかりした形で計画的な広域地方行政ができるような組織をつくっていただければまことにありがたいというふうに思います。
 なお、今私どもがいろいろと地方で政治を行っていく中で、例えば一般的な大型の交通、バスを通すには、どうしても赤字になって、交通機関が乗ってくれない。そうした場合に、今、足立区では、コミュニティーバスという形で六系統のバス路線を走らせておりますけれども、こうした六系統のバス路線を走らす中においても、なかなか国の許可がおりないという中で、新設路線を新しくつくっていくことについてもなかなか厳しい状況があるわけですけれども、こうしたまさに住民生活に直結しているような問題については、私たち地方にぜひ任せていただきたいなというふうに思います。
 そうした意味で、地方自治体の権能、権限を明確にするために、自主立法権を地方自治体に与えてはもらえないものか。道州制については、国の権限を侵さない範囲内において、法律に優先する基本条例を定めることができる、こういう規定を追加することができないものか。基礎的自治体においては、国または道州の固有の権限を侵さない範囲において、法律または道州の条例に優先する基本条例を定めることができる、こういうことを加えることができるかどうか、お考えをいただきたいなというふうに思います。
 先ほどの天皇制でございますが、一つ申し忘れましたけれども、今、男女平等というのは当たり前の国民の考え方でございまして、天皇はまさに国民統合の象徴であるという考え方からすれば、現在、皇統男子に限るような状態で天皇が規定されているというふうに思いますが、私は、男女平等が国民の中に当然の権利として広く行き渡っている今の日本の国内において、天皇を男性に限る理由は全くないというふうに思います。天皇は女性、男性を問わず皇統に属する方から選ばれるという形で決めていただければまことにありがたいなというふうに思います。
 何といっても、戦後六十年間、憲法を一度も改正してこなかった国というのはまことに珍しい国だというふうに私は思います。同じ敗戦国のドイツ、イタリアにおいても、戦勝国のアメリカ、イギリス、フランスにおいても、数度にわたって憲法が時代に合わせて改正されているということを見てまいりますと、まさに時代のニーズに合わせて、今まさに二十代、三十代、四十代の皆さん方が五〇%以上憲法改正に賛成しているこの現実を見るときに、憲法改正はまさに国会議員の皆さん方の責務であるというふうに思います。
 なお、憲法改正に当たっては、現在の、三分の二の国会議員の賛成がなければ発議できない、こういうことになりますと、三分の一プラス一という勢力を持っていれば憲法改正は一切できない、こんなことは私は許されることではない、こういうふうに思います。国会議員の皆さん方の二分の一以上の賛成があれば憲法改正は発議できるというような形で改正をいただければまことにありがたいと思います。
 以上でございます。まことにありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 116104187X00320041125_002

発言者: 白石正輝

speaker_id: 17421

日付: 2004-11-25

院: 衆議院

会議名: 憲法調査会公聴会