冬柴鐵三の発言 (政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会)

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○冬柴議員 永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案について、趣旨を説明させていただきます。
 ただいま議題となりました永住外国人に対する地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権等の付与に関する法律案について、その趣旨及び主な内容について御説明申し上げます。
 外国人のうち我が国の永住権を持つ者は、平成十五年末現在において、一般永住者二十六万七千十一名、特別永住者四十七万五千九百五十二名の計七十四万二千九百六十三名に達しますが、この法案は、これら永住外国人に対し地方選挙権を付与することを目的として制定しようとするものであります。
 その思想的根拠としては、地方のことはその地域に住む住民が自主的、自律的に決定するのが好ましいこと、成熟した民主主義国家として、この住民には、地域に特段に緊密な関係を持つに至ったと認められる外国人たる住民の意思を、日常生活に密接な関連を有する地域の公共的事務の処理の決定に反映すべきものであること、特に、日本で生まれ、育ち、生計を営み、そして骨をこの国に埋めていこうとしている在日韓国人など特別な歴史的背景のある人々に対しては、その人たちが望むならば、限りなく日本国民に近い扱いがされてしかるべきであること等に基づくものであります。
 しかし、周知のとおり、現行地方自治法及び公職選挙法は、国政選挙はもとよりでありますが、地方選挙においても、我が国が重い歴史を担うこれら永住外国人たる住民に対し、地方選挙権すら与えていません。
 これに対し、日本社会に深く根差し、既に在日四世以降が約十四万人も永住権を持ち、もちろん租税も負担して、我が国の発展に寄与し、日本国民とともに地域においてコミュニティーを構成しているいわゆる在日の人々について、地方参政権を付与すべきであるとの意見が地方自治体の議会からほうはいとして起こり、当方の調査によると、平成十六年十月二十一日現在では、その数は千五百二十地方自治体にも及び、属する住民は国民の七五・八九%にも達している事実に加え、大韓民国民団の地方参政権獲得に向けての長年の地道な運動や、国会議員間の交流である日韓議員連盟総会の数次にわたる共同声明において明確に表明されてきたものであります。
 重ねて、平成十年十月八日、大韓民国金大中大統領の公式訪日に当たり行われた我が国の国会における演説の中において、私は、六十万在日韓国人の未来を考えないわけにはまいりません。特に、地方参政権の獲得が早期に実現できれば、在日韓国人だけではなく、韓国国民も大いに喜び、世界もまた、日本のそのような開かれた政策を積極的に歓迎してやまないでしょうと述べ、また、盧武鉉大統領は、平成十五年六月九日の我が国国会演説で次のように述べています。終わりに、議員の皆様に一つお願いの言葉がございます。六十万人の在日韓国人は、これまで、日本で地域社会と韓日両国の関係発展に向けて大きく貢献してきました。私は、この方たちが日本社会の堂々たる一構成員としてさらに積極的に貢献していけることを心から期待してやみません。皆様が議論していらっしゃる地方参政権が彼らに付与されれば、韓日関係の未来に非常に大きな役に立つことでしょうと、その必要性を強く要請されたことは周知のとおりであります。
 私ども本法案提出者は、以上のような背景及び思想的根拠をもとに本法案を提案したものでありますが、本法案は、その構成上三点について特に配慮して起草した点がありますので、まずそれを説明申し上げます。
 第一点は、被選挙権を付与の対象から除外したことであります。
 これは、被選挙権の付与が許されないという理論的結論を前提に立案したものではなく、現時点における国民感情等をおもんぱかり、本法の早期成立ということを何よりも優先させ、その付与は将来の議論にゆだねようとする政策的判断に基づくものであります。
 重ねて、平成七年二月二十八日の最高裁判所判決が被選挙権の付与については何ら言及していないことも、右政策判断に影響があったことは明らかにしておきます。
 第二点は、選挙権の付与に申請主義を採用し、永住外国人選挙人名簿への登録を取得の要件としたことであります。
 永住外国人への選挙権の付与を強く求める声があることはさきに述べたところでありますが、永住外国人のすべてがそれを望んでいるわけではなく、逆に、日本国への取り込みであるとして強く反対する人々もいます。自国民の取り込みであるとして反発する国があるとすれば、そのような国の国民は、選挙権を取得すると、本国において不利益扱いを受けることになるおそれもあります。
 そこで、真に選挙権の取得を望み、かつ、有権者として日本の地域社会で一定の役割を果たしていく意思のある永住外国人に限りこれを与えることとし、一律に選挙権を与えるのではなく、具体的には、永住外国人選挙人名簿への登録を申請し、これが登録されて初めて選挙権が付与されるという形の申請主義を採用したものでございます。
 第三点は、我が国と国交のない国の国籍を持つ永住外国人に対しては、当分の間、本法により地方選挙権を付与しないこととしたことであります。
 このような永住外国人が本法に基づき我が国の地方選挙権の付与を求めるとしても、その国交のない本国がその付与に強く反対している場合にあっては、我が国の地方選挙権を取得した者に対し、その者にとって不利益となる扱いを行うおそれが十分に予測されます。
 そこで、国交のない国と我が国との間で、将来何らかの交渉が持たれ、付与を容認する意思が確認されるまでの間、これを付与しないこととする制度を採用したものであります。
 次に、法案の主な内容について御説明申し上げます。
 第一に、永住外国人に対し地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を付与するため、地方自治法及び公職選挙法の特例を定めることを目的とするものであります。
 第二に、選挙権を付与される者の要件は、一つ、出入国管理及び難民認定法別表第二の上欄の永住者、または、日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法に定める特別永住者であること。ただし、当該永住外国人に係る外国人登録原票の国籍欄に国名が記載されている者であること。二つ、永住外国人の選挙人名簿に登録された年齢満二十年以上の永住外国人で引き続き三カ月以上市町村の区域に住所を有するものであることとするものであります。
 第三に、選挙権を要件とする各種資格の取り扱いについては、国政に直接的に影響を及ぼすものでない限り、認めることといたしております。
 そのほか、詐偽登録及び所定の届け出義務を行わなかった者に対する罰則を規定する等、所要の規定を定めております。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げ、趣旨の説明は終わります。

発言情報

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発言者: 冬柴鐵三

speaker_id: 30508

日付: 2004-11-16

院: 衆議院

会議名: 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会