山田俊男の発言 (農林水産委員会)

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○山田参考人 本日は、こういう形で意見を述べる機会をいただきまして、大変ありがとうございます。御礼を申し上げます。
 JA全中は、農政改革に臨むに当たりまして、五月にJAグループの組織討議の案をまとめまして、七月には基本的な考え方をまとめました。さらに、八月以降には具体的な提案につきまして討議を行って、十一月五日に具体的な政策提案をまとめて取り組んでいるところであります。
 私自身も、食料・農業・農村政策審議会企画部会の臨時委員として積極的に論議に参画してまいりました。しかしながら、議論の中心となる経営安定対策の対象について、極端に担い手を絞り込む方向が出されていることについて、委員である私としても内心じくじたるものがあるわけであります。確かに、一定の要件を備えた集落営農についても担い手とする方向が出されているわけであります。しかし、その要件の設定いかんでは地域の実態から離れてしまうことを心配しているところであります。
 しかし、我々JAグループは、農政改革の必要性は強く認識しておりまして、地域の実態を踏まえた政策展開を真摯に求めているのでありまして、そうした観点で、我々の意見の積み上げを踏まえましたポイントの五点について、お手元に差し上げております資料に沿いまして申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、農政転換についてのJAグループの認識についてであります。
 我が国農業は、とりわけ水田農業において、担い手の高齢化と圧倒的な減少という状況にあり、担い手をどう確保するのかというのは、地域に根差す、そこに存在意義のありますJAにとりましても大きな課題であります。
 こうした危機的な状況の中で、地域の将来像として、現在、水田農業ビジョンを策定し、実態に即した担い手づくりの取り組みを展開しております。さらに、国際化の一層の進展に備えて、担い手の確保と、その経営所得を安定させる対策はどうしても必要であり、そのための農政転換は必要であります。
 そうした認識のもとに、JAグループは、担い手づくり取り組み方針を策定し、担い手の育成と農地の利用調整の専任体制を各全国のJAでつくるとともに、担い手のニーズにこたえた事業方式への転換を進めることにしております。
 また、JA、行政、関係団体等が一体となって、担い手づくりや、農地の利用集積を推進するワンフロア化や、組織再編による推進体制の整備を進めることが必要というふうに考えております。
 第二点は、JAグループが目指す農業構造改革の姿についてであります。
 我が国の、雨の多いアジア・モンスーン地域特有の、水田農業を中心とした農地の零細分散所有のもとでは、いかに日本型の農業構造改革を実現するかが最大の課題だと考えております。我が国農業は、アジア・モンスーンの東アジア諸国と同様の構造を持っているのでありまして、決して欧米型にはなり得ないということであります。
 そのためには、農地をどうするか、だれが担うのか、資源保全はどうかという、地域ごとの農業、農村の将来像を描くことが出発点であります。とりわけ、高度経済成長のもとで工場の地方分散、総兼業化が進み、農地の転用需要を背景とする資産保有化がさらに進む中では、農地をどう利用するかが最大の問題になってきております。
 そこで、集落、地域での合意形成のもとに、地域実態に即した多様かつ幅広い担い手へ農地を面的に利用集積していく、この方法しかないと考えます。とりわけ、水田農業において担い手がいない状況では、集落営農づくりは、担い手確保と農地の面的な利用集積を実現する上で最も有効な方法であります。
 といいますのは、例えば新潟県S市の認定農業者の場合、十五ヘクタールの経営面積、これは自作地四ヘクタール、借地十一ヘクタールでありますけれども、何と八十九筆の圃場が点在しているのであって、これでは決して効率的な経営とは言えないわけであります。どうしても意識的に集落で担い手をつくり上げ、意識的に集落の農地の利用をこれら担い手に面的に、団地的に集めていく取り組みが必要なのであります。
 このように、集落、地域を単位に農地を農地として利用する仕組みをつくり、農地の利用集積を進めるためには、地域実態に即した担い手を育成、確保していくことが必要であります。そのため、施策の対象となる担い手としては、地域で特定、明確化された意欲ある者や育成すべき者、さらには法人化前の集落営農や受託組織への参画等、一定の基準のもとで地域の実態に即した担い手を位置づける必要があると考えております。
 第三点は、新たな経営所得安定対策の確立の必要性についてであります。
 国際化の進展に対応した品目横断的な対策は、日本型の直接支払いとして、諸外国との生産条件の格差の是正を図るとともに、価格下落等に対しても担い手の経営所得が安定する仕組みとすることが必要であります。そして、その対象は、一定の基準のもとで地域の実態に即した担い手とするとともに、米の計画生産や、麦、大豆等の良品質、安定供給の確保に資するよう工夫を凝らすことが必要だと考えます。
 といいますのは、農水省が企画部会に提案している認定農業者と特定農業団体のみが対象ということになると、我々が考えますところ、五ないし六万戸程度しか対象にならず、まして規模の要件をさらにそれに加えるということになると、さらに対象が限定されたものになると見ております。
 第四点は、地域資源保全、環境保全型農業への新たな経営支援対策の必要性についてであります。
 担い手のみでは農地、水路、農道などの地域資源保全は困難であり、農村地域政策として、地域資源の維持と多面的機能の発揮に向けた新たな対策を品目横断的経営安定対策とともに措置することが必要であります。絞り込んだ担い手のみを対象にした経営安定対策といった産業政策だけでなく、地域の農家、非農家が共同で取り組む資源保全政策といった農村地域政策をパッケージとして実施することが必要であります。
 第五点は、自給率向上に向けた水田の利活用を図る戦略的な作物対策の必要性についてであります。
 米の計画生産が引き続き必要な中では、需要に即した麦、大豆の生産拡大に加えて、それ以外の作物を水田農業に定着させる対策がどうしても必要であります。水田での飼料作物、稲発酵粗飼料、飼料用米の生産拡大、水田への大家畜導入促進などを直接支払い等で支援する仕組みや、耕畜連携、バイオマスの利活用を進める政策の充実強化が必要であります。審議会は自給率目標の議論を先送りしているため、ややもすると、こうした大事な作物対策の議論がおろそかになっているのではないかと懸念しております。
 以上、五点について申し上げました。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 山田俊男

speaker_id: 31991

日付: 2004-11-30

院: 衆議院

会議名: 農林水産委員会