農林水産委員会

2004-11-30 衆議院 全248発言

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会議録情報#0
平成十六年十一月三十日(火曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 山岡 賢次君
   理事 今村 雅弘君 理事 西川 京子君
   理事 二田 孝治君 理事 松野 博一君
   理事 黄川田 徹君 理事 楢崎 欣弥君
   理事 山田 正彦君 理事 白保 台一君
      赤城 徳彦君    石田 真敏君
      大野 松茂君    岡本 芳郎君
      梶山 弘志君    金子 恭之君
      上川 陽子君    木村 太郎君
      北村 直人君    後藤 茂之君
      後藤田正純君    田中 英夫君
      津島 恭一君    西村 康稔君
      馳   浩君    原田 令嗣君
      森  英介君    一川 保夫君
      岡本 充功君    鹿野 道彦君
      川内 博史君    岸本  健君
      小平 忠正君    鮫島 宗明君
      神風 英男君    仲野 博子君
      堀込 征雄君    松木 謙公君
      山内おさむ君    赤羽 一嘉君
      大口 善徳君    高橋千鶴子君
      山本喜代宏君
    …………………………………
   議員           鹿野 道彦君
   議員           黄川田 徹君
   議員           鮫島 宗明君
   議員           山田 正彦君
   議員           高橋千鶴子君
   議員           山本喜代宏君
   農林水産大臣       島村 宜伸君
   厚生労働副大臣      西  博義君
   農林水産副大臣      岩永 峯一君
   農林水産大臣政務官    大口 善徳君
   政府参考人
   (内閣官房内閣参事官)  久貝  卓君
   政府参考人
   (警察庁生活安全局長)  伊藤 哲朗君
   政府参考人
   (外務省経済局長)   佐々江賢一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省医薬食品局食品安全部長)       外口  崇君
   政府参考人
   (農林水産省大臣官房総括審議官)         伊藤 健一君
   政府参考人
   (農林水産省総合食料局長)            村上 秀徳君
   政府参考人
   (農林水産省消費・安全局長)           中川  坦君
   政府参考人
   (農林水産省生産局長)  白須 敏朗君
   政府参考人
   (農林水産省経営局長)  須賀田菊仁君
   政府参考人
   (水産庁長官)      田原 文夫君
   参考人
   (東京大学大学院農学生命科学研究科教授)     生源寺眞一君
   参考人
   (全国農業協同組合中央会専務理事)        山田 俊男君
   参考人
   (国立国会図書館調査及び立法考査局農林環境課主査)            森田 倫子君
   参考人
   (全国農業協同組合連合会代表理事理事長)     田林  聰君
   参考人
   (食品安全委員会委員長代理)           寺尾 允男君
   農林水産委員会専門員   飯田 祐弘君
    —————————————
委員の異動
十一月三十日
 辞任         補欠選任
  大野 松茂君     馳   浩君
  一川 保夫君     川内 博史君
  大口 善徳君     赤羽 一嘉君
同日
 辞任         補欠選任
  馳   浩君     大野 松茂君
  川内 博史君     一川 保夫君
  赤羽 一嘉君     大口 善徳君
    —————————————
十一月十六日
 食料自給率の抜本的向上に関する請願(高橋千鶴子君紹介)(第二一一号)
同月二十九日
 食料自給率の抜本的向上に関する請願(山口富男君紹介)(第六二四号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 閉会中審査に関する件
 牛海綿状脳症対策特別措置法の一部を改正する法律案(鹿野道彦君外五名提出、第百五十九回国会衆法第二三号)
 輸入牛肉に係る情報の管理及び伝達に関する特別措置法案(鹿野道彦君外五名提出、第百五十九回国会衆法第二四号)
 農林水産関係の基本施策に関する件
     ————◇—————
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山岡賢次#1
○山岡委員長 これより会議を開きます。
 農林水産関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 本件調査のため、本日、参考人として、東京大学大学院農学生命科学研究科教授生源寺眞一君、全国農業協同組合中央会専務理事山田俊男君、国立国会図書館調査及び立法考査局農林環境課主査森田倫子君、以上三名の方々に御出席をいただき、御意見を承ることにいたしております。
 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考とさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、生源寺参考人、山田参考人、森田参考人の順に、お一人十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑に対してお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際はその都度委員長の許可を得ることになっておりますので、御了承願います。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきいただきたいと存じます。
 それでは、生源寺参考人にお願いいたします。
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生源寺眞一#2
○生源寺参考人 東京大学の生源寺でございます。
 食料・農業・農村基本計画の見直しにつきまして、食料・農業・農村政策審議会企画部会におけるこれまでの議論を踏まえて所感を申し上げたい、こう思います。
 まず、基本計画でございますけれども、二つの役割があろうかと思います。一つは、具体的な施策の推進の指針としての役割でございます。例えば、品目ごとに克服すべき課題を提示しております現行基本計画の食料自給率目標は、この意味での具体的な施策の指針である、こう見ることができるわけであります。数値目標も含めて具体的な指針が定められているわけでございますので、その達成状況についても的確に評価がなされる必要があるわけであります。
 基本計画のもう一つの役割でございますが、これは農政改革の羅針盤としての役割であると言うことができるかと思います。食料・農業・農村基本法が一九九九年に制定されたわけでありますが、その時点で、農政の体系が新しい基本法の理念に沿ったものに完全に切りかえられたわけではございません。このため、新しい基本法の理念に即した新しい政策展開の方向を示すこと、これも基本計画の非常に重要な役割であると考えられるわけであります。
 一月にスタートいたしました企画部会では、今申し上げました基本計画の二つの役割といいますか性格のうち、農政改革の方向に関する議論を先行させ、その後、秋以降につきましては、食料自給率の目標を初めとする具体的な施策のあり方についても検討を進めてまいったわけでございます。
 農政改革をめぐる議論は、昨年八月に、当時の亀井農林水産大臣が談話によって提示された改革の課題、主要三課題などと言われておりますけれども、この課題に沿って行われているわけであります。第一に品目横断的政策への転換、第二に担い手・農地制度の見直し、第三に農業環境、資源保全政策の確立であります。
 もっとも、資源保全施策は少々別とすべきかと思いますけれども、今申し上げました課題は、実は、現行の基本計画においても、表現は多少異なりますけれども、「検討を行う。」こういう形で記述が行われていたわけでございます。したがって、特に目新しい課題である、こういうわけではないと考えられます。内外の情勢、予断を許さない、こういう中で、宿題に改めて取り組む決意を示された、これが昨年八月の大臣の談話の趣旨ではないか、こう理解しております。
 次に、八月の中間論点整理、企画部会で整理いたしました中間論点整理の中で打ち出されました新しい施策の基本方向について若干申し上げたいと思います。
 まず、担い手政策、特に経営安定対策についてであります。九九年の新しい基本法は、「効率的かつ安定的な農業経営を育成し、これらの農業経営が農業生産の相当部分を担う農業構造を確立する」ことを基本課題として掲げております。このような観点から講じられる施策の全体が担い手政策でありますが、今回は、その重要なパーツとして、新たな経営安定対策の必要性を打ち出しているわけでございます。
 経営安定対策は、農産物特有の価格変動でございますとか、あるいは農産物をめぐる国境措置の組みかえの可能性といった不安定要因を念頭に置いて、担い手の農業経営としての収入に着目し、その安定化を図ろうという施策であります。経営安定対策は、この意味で、いわば競争の最前線で奮闘しようとする、こういった農業者をバックアップする政策であり、内外ともに不透明感の高まっている今日、こうした政策を通じて農業経営の先行き不安を取り除くことの意味は非常に大きいかと思います。
 ただ、幾つか留意すべき点があろうかと思います。二つだけ申し上げたいと思います。
 一つは、この施策は対象を担い手としているわけでございますが、担い手とするという方向で今議論がされているわけでございますけれども、その目的はあくまでも望ましい農業構造の確立にあるのであって、担い手農業、既に担い手とみなされる、こういった農業の成長を促すとともに、特に水田農業については、この新しい経営安定対策を契機として、集落営農の組織化を含めて、担い手をつくり育てていくという視点が大切だと考えられる点でございます。これが第一点でございます。
 それからもう一つは、これは今日の農政全般に言えることでございますけれども、国民の負担によって講じられる経営安定対策の効果、これはやはり、高い生産性を発揮し、多様化する消費者のニーズにこたえる農業の確立を通じて、できるだけ早い方がいいわけでございますけれども、いずれは国民全体に還元される必要があるだろう、こう思うわけであります。つまり、納税者の負担と農業の構造改革、そして消費者の利益のよい循環という視点が非常に大切だろう、こう考えているわけでございます。また、このことを国民の前に率直に提示し理解を得るということも非常に大事だ、こう考えております。
 次に、農地制度について申し上げたいと思います。
 このテーマにつきましては、秋に再開されました企画部会に対しまして、農林水産省としての考え方が示されたところであります。中身は多岐にわたっておりますけれども、担い手に対する農地の利用集積の加速化、不在村所有者の農地を含めた耕作放棄地対策、あるいはリース方式による法人参入特区の全国化への前向きの対応など、現行法の大枠の中で可能な改革、改善はおおむね盛り込まれたという印象を持っております。
 ただし、今回の制度改革を実効あるものとするためには、幾つか課題があるように思います。
 一つは、農地制度を運用する組織、これは制度が複雑になっていることに対応していろいろな組織があるわけでございますけれども、これが的確かつ強力に機能するということであります。
 制度の厳格な運用に自信が持てないから制度改革にも及び腰になるという、いわば、従来、やや本末転倒という状況がこの分野についてはあったかと思いますけれども、ここから脱却する必要がある、こう考えております。
 もう一つは、利用優位の農地制度への移行という観点から、借地型農業の不安定要因をできるだけ除去することでございます。
 これは家族経営あるいは法人経営問わずでございますけれども、特に、地域農業にとって新しい顔となる農外からの参入のケースについてはきめ細かな配慮が必要であるように思われます。また、改革のパーツが、部品が出そろったところで、制度の理念と体系をわかりやすく整理する必要があるかと思います。農地制度は、非常に多くの利害関係者の存在する領域の問題でございます。したがって、制度の過度の複雑化はそれ自体として望ましくない現象である、こう考えております。
 農業環境政策と資源保全政策は、時代の流れの中で重要性を増した課題への対処であります。農業環境政策は、一定の基準に基づいて、すぐれた取り組みを応援し、問題のある農業に改善を促す政策でありますし、資源保全政策は、農村コミュニティーの力を引き出す、こういったことを眼目とする政策であります。いずれも私は適切な方向であるというふうに考えております。
 ただ、新しい政策ジャンルであるだけに、制度の具体像をまだ描き切れていない面もあるわけであります。ほかの新しい政策あるいは既存の政策の強化と足並みをそろえて、いわばワンパッケージで実施に移すことができるよう、関係者に早期の、また万全の準備をお願いしたい、こう考えるところでございます。
 最後に、食料自給率の問題につきまして一言申し上げたいと思います。
 この問題は、現在企画部会でも議論の最中でございますので、私個人の考え方という形で述べさせていただきたいと思います。
 自給率の現状につきましては改めて申し上げるまでもないわけでありますけれども、同時に、自給率の問題は、ただその率が高ければそれだけ安心だといった単純な問題でないことも国民の皆さんによく認識していただく必要があるかと思います。食料自給率は、食料と農業の問題を考えるいわば入り口というべき性格のものだろう、こう考えております。
 二つ申し上げたいと思います。
 極端に低下した食料自給率の数字として、供給熱量自給率の四〇%、あるいは穀物自給率の二八%という数字を挙げることができるわけであります。この二つは共通点がありまして、カロリーあるいは基礎的な食料である穀物に着目しているという点で、いわば食料安全保障をにらんだ自給率である、こう言うことができるかと思います。したがって、この目標水準を掲げて、この自給率について引き上げることを重視しているわけであります。
 ただ、食料安全保障という意味では、自給率に注意を払うだけでなく、同時に、絶対的な自給力の動向に絶えず留意しこれを回復する、こういう観点も極めて重要であると考えられます。農地面積の減少と農業者の高齢化が進む中で、カロリーベースでいえば、今、自給率は何とか四〇%という水準を維持しているわけでございますけれども、その背後で、むしろ絶対的な自給力は低下しているのではないかという懸念がございます。これが第一点でございます。
 もう一つの点でございますけれども、金額ベースの総合自給率という、こういう指標もあるわけでございます。これは最新のデータで、たしか六九%かと思います。いわば七割の水準にあるわけであります。カロリーベースの四割と随分違いがあります。また、違いは、この三十年、四十年の長期の動向を見ますと、徐々に開いてきているわけであります。
 この詳細は省きますけれども、この違い、つまり、カロリーベースの自給率と金額ベースの自給率の違いには、ある意味では日本の農業経営の頑張りが映し出されている、こういうことがあるかと思います。つまり、野菜などのようにカロリーに比べて経済価値の高い、こういう品目ですとか、あるいは高品質で付加価値の高い例えば畜産物、こういった分野の頑張りが金額ベースの自給率をそれなりに高い水準に維持している力である、こういうふうに言うこともできるかと思います。
 したがいまして、経済活動としての食料生産の水準を評価するとすれば、金額ベースの自給率にももっと注意を払うべきだ、こういうふうに思うわけであります。こうした農業経営が活力を持続すること、また成長することは、ひいては人と農地、ちゃんとした技術を持った、また優良な農地を確保することにつながるわけでありますし、それが実は食料安全保障の観点に立った絶対的な食料自給力の確保にも結びつくと考えられるわけであります。
 自給率は、いわば市場経済のただ中に我々はいるわけでございますけれども、そんな中にあって、その市場経済が機能不全に陥った状態に備えを考えるという非常に難しい問題であるわけでありまして、まず、自給率の実態について国民の皆さんによく知っていただく、広く知っていただく、その後、やはり自給率の持ついろいろな側面について考えていただくということも大事ではないか、こう思います。
 以上で、私からの意見表明を終わらせていただきます。どうも御清聴ありがとうございました。拍手
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山岡賢次#3
○山岡委員長 ありがとうございました。
 次に、山田参考人にお願いいたします。
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山田俊男#4
○山田参考人 本日は、こういう形で意見を述べる機会をいただきまして、大変ありがとうございます。御礼を申し上げます。
 JA全中は、農政改革に臨むに当たりまして、五月にJAグループの組織討議の案をまとめまして、七月には基本的な考え方をまとめました。さらに、八月以降には具体的な提案につきまして討議を行って、十一月五日に具体的な政策提案をまとめて取り組んでいるところであります。
 私自身も、食料・農業・農村政策審議会企画部会の臨時委員として積極的に論議に参画してまいりました。しかしながら、議論の中心となる経営安定対策の対象について、極端に担い手を絞り込む方向が出されていることについて、委員である私としても内心じくじたるものがあるわけであります。確かに、一定の要件を備えた集落営農についても担い手とする方向が出されているわけであります。しかし、その要件の設定いかんでは地域の実態から離れてしまうことを心配しているところであります。
 しかし、我々JAグループは、農政改革の必要性は強く認識しておりまして、地域の実態を踏まえた政策展開を真摯に求めているのでありまして、そうした観点で、我々の意見の積み上げを踏まえましたポイントの五点について、お手元に差し上げております資料に沿いまして申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、農政転換についてのJAグループの認識についてであります。
 我が国農業は、とりわけ水田農業において、担い手の高齢化と圧倒的な減少という状況にあり、担い手をどう確保するのかというのは、地域に根差す、そこに存在意義のありますJAにとりましても大きな課題であります。
 こうした危機的な状況の中で、地域の将来像として、現在、水田農業ビジョンを策定し、実態に即した担い手づくりの取り組みを展開しております。さらに、国際化の一層の進展に備えて、担い手の確保と、その経営所得を安定させる対策はどうしても必要であり、そのための農政転換は必要であります。
 そうした認識のもとに、JAグループは、担い手づくり取り組み方針を策定し、担い手の育成と農地の利用調整の専任体制を各全国のJAでつくるとともに、担い手のニーズにこたえた事業方式への転換を進めることにしております。
 また、JA、行政、関係団体等が一体となって、担い手づくりや、農地の利用集積を推進するワンフロア化や、組織再編による推進体制の整備を進めることが必要というふうに考えております。
 第二点は、JAグループが目指す農業構造改革の姿についてであります。
 我が国の、雨の多いアジア・モンスーン地域特有の、水田農業を中心とした農地の零細分散所有のもとでは、いかに日本型の農業構造改革を実現するかが最大の課題だと考えております。我が国農業は、アジア・モンスーンの東アジア諸国と同様の構造を持っているのでありまして、決して欧米型にはなり得ないということであります。
 そのためには、農地をどうするか、だれが担うのか、資源保全はどうかという、地域ごとの農業、農村の将来像を描くことが出発点であります。とりわけ、高度経済成長のもとで工場の地方分散、総兼業化が進み、農地の転用需要を背景とする資産保有化がさらに進む中では、農地をどう利用するかが最大の問題になってきております。
 そこで、集落、地域での合意形成のもとに、地域実態に即した多様かつ幅広い担い手へ農地を面的に利用集積していく、この方法しかないと考えます。とりわけ、水田農業において担い手がいない状況では、集落営農づくりは、担い手確保と農地の面的な利用集積を実現する上で最も有効な方法であります。
 といいますのは、例えば新潟県S市の認定農業者の場合、十五ヘクタールの経営面積、これは自作地四ヘクタール、借地十一ヘクタールでありますけれども、何と八十九筆の圃場が点在しているのであって、これでは決して効率的な経営とは言えないわけであります。どうしても意識的に集落で担い手をつくり上げ、意識的に集落の農地の利用をこれら担い手に面的に、団地的に集めていく取り組みが必要なのであります。
 このように、集落、地域を単位に農地を農地として利用する仕組みをつくり、農地の利用集積を進めるためには、地域実態に即した担い手を育成、確保していくことが必要であります。そのため、施策の対象となる担い手としては、地域で特定、明確化された意欲ある者や育成すべき者、さらには法人化前の集落営農や受託組織への参画等、一定の基準のもとで地域の実態に即した担い手を位置づける必要があると考えております。
 第三点は、新たな経営所得安定対策の確立の必要性についてであります。
 国際化の進展に対応した品目横断的な対策は、日本型の直接支払いとして、諸外国との生産条件の格差の是正を図るとともに、価格下落等に対しても担い手の経営所得が安定する仕組みとすることが必要であります。そして、その対象は、一定の基準のもとで地域の実態に即した担い手とするとともに、米の計画生産や、麦、大豆等の良品質、安定供給の確保に資するよう工夫を凝らすことが必要だと考えます。
 といいますのは、農水省が企画部会に提案している認定農業者と特定農業団体のみが対象ということになると、我々が考えますところ、五ないし六万戸程度しか対象にならず、まして規模の要件をさらにそれに加えるということになると、さらに対象が限定されたものになると見ております。
 第四点は、地域資源保全、環境保全型農業への新たな経営支援対策の必要性についてであります。
 担い手のみでは農地、水路、農道などの地域資源保全は困難であり、農村地域政策として、地域資源の維持と多面的機能の発揮に向けた新たな対策を品目横断的経営安定対策とともに措置することが必要であります。絞り込んだ担い手のみを対象にした経営安定対策といった産業政策だけでなく、地域の農家、非農家が共同で取り組む資源保全政策といった農村地域政策をパッケージとして実施することが必要であります。
 第五点は、自給率向上に向けた水田の利活用を図る戦略的な作物対策の必要性についてであります。
 米の計画生産が引き続き必要な中では、需要に即した麦、大豆の生産拡大に加えて、それ以外の作物を水田農業に定着させる対策がどうしても必要であります。水田での飼料作物、稲発酵粗飼料、飼料用米の生産拡大、水田への大家畜導入促進などを直接支払い等で支援する仕組みや、耕畜連携、バイオマスの利活用を進める政策の充実強化が必要であります。審議会は自給率目標の議論を先送りしているため、ややもすると、こうした大事な作物対策の議論がおろそかになっているのではないかと懸念しております。
 以上、五点について申し上げました。ありがとうございました。拍手
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山岡賢次#5
○山岡委員長 ありがとうございました。
 次に、森田参考人にお願いいたします。
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森田倫子#6
○森田参考人 国立国会図書館の森田でございます。
 当館では、平成十四年度に、主要国における緊急事態への対処について総合調査を行いました。その一環として、北欧を中心に、緊急時の食料供給確保策について現地調査を実施しています。本日の案件と関連のある事項の外国事情ということで、この調査の結果の概要を御報告いたします。
 お話しするのは、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドとスイスについてですが、これらの国は、防衛政策の一環として、緊急時に食料供給を確保するための施策を重視してきたことで知られております。その制度と現状についてお話しします。
 まず、スウェーデンですが、この国の食料自給率は高く、二〇〇一年には八五%です。一九九九年以前は、緊急時への備えとして、農業生産の転換計画を持ち、また、農業者については可能な限り軍務免除としていました。
 加えて、総合防衛に関する議会決議に基づいて備蓄を行っておりました。備蓄物資の所有と管理は農業庁が行い、使用するのは、戦時に生産や輸送が妨げられる危険性がある場合とされておりました。備蓄の目的は、播種、収穫と牛乳生産を保証することでありまして、このために、窒素肥料、農薬及びたんぱく質飼料を備蓄していました。食料の備蓄は、南からの物資に依存している北部地域で行われ、孤立に備えて、加工を要しない食料、具体的には豆類、米、植物性油脂、缶詰肉を一カ月分備蓄しておりました。加えて、戦後も不足が予測される地域には、戦後数カ月分のパン用穀物、砂糖、ドライイースト、植物性油脂が蓄えられていました。
 備蓄の費用は、一九九四年の数値では、管理費が一億クローネ、購入費が一億クローネの計二億クローネ、約三十億円であったとのことです。予算は農業食料漁業省の所管でした。
 備蓄の量は、戦争があるとして、その継続期間や物資の輸入の可能性の程度を考慮して決められていました。冷戦終結により、一九九〇年代半ば以降は、スウェーデンに対する軍事的脅威は存在しなくなり、貿易が全般的に妨げられることはないとの判断になりました。そのため、現在は備蓄は行っておりません。コストの問題や一九九五年のEUへの加盟も備蓄廃止を決めた理由とされます。
 ただし、備蓄は、必要があれば再構築をするということになっておりますし、農業庁の中に食料供給確保のための部署は残っております。
 食料自給率については、今もスウェーデンは高いのですが、現在の考え方では、食料供給の基盤は、自給に置くのではなく、EU内の物資の自由な流通に置くとしております。
 次に、ノルウェーでございます。
 ノルウェーは、山がちで耕地が少なく、食料自給率は五〇%から五五%ほどです。緊急時の物資供給の根拠法は、供給及び民間防衛上の施策に関する法律です。戦争のほか、生産や供給が妨げられるような事態も緊急事態として位置づけられています。食料部門の所管については、計画の調整は貿易産業省が行い、農業食料省と漁業省が所管部門の政策に責任を持つことになっています。
 ノルウェーが冷戦終結以前に想定していた緊急事態というのは、具体的には、危機または戦時に数カ月間孤立、その後も生命維持に不可欠な物資の輸入が困難または不可能となるというものでした。このため、冷戦期には、食料の自給を目指すことが重視されておりました。緊急時のための農業生産の転換計画も策定していました。
 ノルウェーは、一九九四年から欧州経済地域に参加しております。また、冷戦の終結によって、自国が通常の輸入元から切り離される可能性は低くなったと判断するようになりました。食料生産については、自給の率よりも農業生産の潜在力の維持の方を重視するようになりました。現在は、農業生産の潜在力維持のために、農地の保全が重要であることを強調しております。
 備蓄については、二〇〇〇年までは、食用の小麦を六カ月分、飼料用穀物を三カ月分備蓄しておりました。以降は量を減じているようですけれども、北部地域につきましては、リスク分析を行いまして、その結果、十日分の非常用食料が必要であるとしております。ほかに、戦時には北部地域に食料の供給組織を設立することなども提案されているようです。
 次に、フィンランドです。
 フィンランドは、スウェーデンと同時にEUに加盟したのですが、EU加盟後も備蓄の制度を維持していますし、農業生産を自給可能な水準に維持することが必要であると考えています。食料自給率は八割程度あります。
 緊急時における、食料を含む必需物資の確保に関する法律は二つあります。一つは緊急事態準備法で、緊急事態において、我が国の内閣に相当する国家評議会が、物資の輸入、生産、流通、価格等を管理する権限について規定しています。ここでの緊急事態とは、武力攻撃等のほか、必須物資の輸入が困難な事態や、大規模災害などによって、公的機関の通常の権限によって処理ができない場合を言っています。もう一つの法律、供給保障法は、緊急時の物資の供給保障を定めています。備蓄についてもこの法律で規定されています。
 食料の供給を保障するための政策としては、必需食料品を国内生産すること、収穫期一期分の不作をカバーすること、一人一日当たり二千八百キロカロリーの需要を満たすこと、供給保障用に備蓄を行うこと等となっております。
 供給保障に関する事務をとり行うのは、貿易産業省の傘下の国家緊急供給庁という組織です。燃料等を含めて、必須物資全般の備蓄もここが所管しています。食料関係の備蓄の内容は、パン用穀物、穀物種子、牧草種子と生産資材となっております。これらは、消費の一年分に見合う量を備蓄しているということでございます。
 フィンランドでは、燃料等に課徴金というものを課しておりまして、この課徴金は供給保障基金に集められています。備蓄にかかる費用を含め、供給保障に関する事務の費用は、この供給保障基金で賄われています。
 最後に、スイスです。
 スイスの自給率は、六〇%程度です。二〇〇二年六月には、EUとの間の農産物貿易協定が発効しています。
 この国では、一九八〇年に国民投票で、戦時のみならず、平時の経済危機にも備えることとなりました。憲法では、軍事的脅威がある場合などや著しく物資が欠乏し経済活動で対処できない場合、国家は必須物資の供給を確保することとされています。また、国家経済供給法で、物資の供給の保障や備蓄を規定しています。
 スイスにも、必須物資全般の供給確保に関する業務を行う組織があります。国家経済供給機構というもので、連邦経済省傘下の組織です。
 緊急時の食料供給は、一人当たり二千三百キロカロリーを確保することと、食料が平等に分配されることを目標としています。これを可能にする手段として、緊急時に、国家は、供給面では輸入と備蓄食料の放出と国内生産という三つの手段で対処する一方、需要面にも配給や価格統制という手段で介入します。ただし、国家が介入を行うのは、国家的規模の危機に際して、通常の経済活動が機能しないときに限られます。また、最適な手段の選択についての意思決定を支援するため、コンピューターシステムが構築されています。
 食料の備蓄量に関しては、現在は、穀物、砂糖、食用油脂、米、コーヒーが、それぞれ四カ月分のようです。ほかに肥料の備蓄もあります。
 スイスの備蓄物資は、国家ではなく、民間企業が所有しています。備蓄義務のある物資を輸入する企業は、国との間で、一定期間一定量の物資を備蓄する契約を結ばないと、輸入ライセンスが得られません。企業には、備蓄を義務づけられるかわりに、備蓄の量に応じて、有利な利率で銀行から融資を受けられるなどの便宜が与えられます。また、国の融資保証も受けられます。
 さらに、国は、義務備蓄物資の輸入の際などに企業から課徴金を徴収しておりまして、これを保証基金というものに入れているのですが、この基金から企業に対して備蓄維持費が支払われています。一方、企業は、輸入の際に課された課徴金について、価格に転嫁することが認められておりますので、最終的には、これは消費者が負担している形になります。
 スイス当局の計算では、必須物資全体の備蓄維持のコストは、二〇〇二年の数値で約一億スイス・フラン、約九十億円とのことです。なお、スイスでは、備蓄物資は企業の所有物ですので、この数値には物資の購入費は含まれておりませんし、期限後の売買の損益というものも考慮した数値ではありません。
 このように、これらの国々では、緊急時の食料供給確保策は防衛政策の一環ですので、防衛政策の変化、緊急時のシナリオの変化を反映して、その内容や水準も変動し得ます。現在、どのように変化させるのか、あるいはさせないかという点については、国によって異なる判断をしています。
 以上、北欧三国とスイスについてお話ししました。報告を終わります。拍手
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山岡賢次#7
○山岡委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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山岡賢次#8
○山岡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津島恭一君。
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津島恭一#9
○津島(恭)委員 おはようございます。
 私は、自由民主党の津島恭一でございますけれども、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 まず、本日は、参考人各位におかれましては、本当にお忙しい中、こうして御専門の見地からいろいろな貴重な御意見をいただきましたことに対して、本当に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございます。
 なお、本日は、時間も限られておりますので、今まさに食料・農業・農村政策審議会企画部会での議論に参画されております生源寺参考人と山田参考人、このお二人を中心といたしまして何点かお尋ねさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、農業そしてまた農村の重要性についてでございますけれども、農村は、国民の皆様への食料の安定供給を初め、国土、自然環境の保全そしてまた良好な景観の育成といった多面的な機能を提供している、こう思うのであります。このような農業、農村を健全な姿で発展させていくことは国の最も重要な役割である、このように考えるところであります。とりわけ、一億二千万人を超える国民の皆様に対しまして将来にわたって安全な食料を安定的に供給する、こういった食料安全保障の問題については、短期的な損得勘定ではなくて、長期的かつ戦略的な視野に立って考える必要がある、こう思うわけであります。
 特に、世界の食料需給については現在は比較的安定している、こういうふうに思うわけでありますが、将来につきましては、いささかいかがなものか。特に、二十一世紀の半ばには現在約六十億人の世界の人口が一・五倍に増大するというような試算、見込みもあるようであります。そしてまた、地球温暖化や砂漠化など、地球規模での変動が耕地面積そしてまた生産量に対して大きな影響をもたらす、そういう懸念があると思うのであります。またもう一つは、中国やアジア諸国の急速な経済発展に伴い、畜産物やその生産に必要な飼料穀物需給の世界的な規模での増大も予想されている、このように考えるところであります。こうした中で、中長期的には食料需給が非常に逼迫する、そういう可能性も指摘をされるのではないでしょうか。
 こうした中で、我が国への海外からの食料供給が今までどおりいかなくなる、そういった不測の事態も想定しながら、国の安全、国民生活の安全を見据えた長期的かつ戦略的な見地に立って、我が国の農業のあり方、これを考えることが国会やあるいは行政府の責任であろう、このように考えるところであります。
 私は、こうした農業や農村の問題は、国や国民生活の安全保障に深くかかわっている、こういうことがもっと国民の皆様に認識されるべき、これは本当に必要だと思っておるところであります。そしてまた、今回のこの基本計画の見直しに当たっても、農業、農村について国の安全保障の観点から検討していただくことが基本であるべきではないか、こう考えているところであります。
 このような意見について、実際に基本計画の検討に携わっておられます生源寺参考人と山田参考人はどのようにお考えでしょうか。御見解をそれぞれお示しいただければありがたいと思います。
 よろしくお願いします。
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生源寺眞一#10
○生源寺参考人 農業、農村の問題あるいは食料供給の問題が、国の安全保障あるいは国の成り立ちそのものにかかわる極めて重要な問題であるという御指摘につきましては、私も全く同感でございます。
 このような飽食の時代ではありますけれども、食料はエネルギーなんかと同様に絶対的な必需品でありますので、これについて、万が一の場合にも、この国に住んでいる人々が何とか安心して暮らしていけるような、こういう体制をつくっておくことが極めて大事だ、こう思います。また、先ほど森田参考人がおっしゃいましたように、その意味では、リアルで具体的なプログラムを持っているということが非常に重要であろう、こういうふうに思っております。
 それからもう一つ、万が一というようなことは、あるいは長期的にも食料の需給が逼迫し日本に十分な食料がやってこないということはあっては困るわけでございますけれども、同時に、私は、これはむしろ短期的にもと申し上げていいかと思いますけれども、かくかくしかじかの食料についてはどんなことがあっても国によって供給できる、こういうことがきちんと担保され、また、そのことが情報として人々の間に行き渡っているということが非常に大事だ、こう思います。つまり、これは一種の保険でありまして、保険に入っていることによって、社会がいわば安定的な意思決定を行い、また落ちついた行動をとることができる、こういう意味でも非常に大事だと思います。これはむしろ社会心理学の領域の問題かもしれません。
 それから、長期的ということになりますと、恐らく、世界の食料の地図についての長期の洞察といいますか見通しということが非常に大事だというふうに思っております。この点はいろいろな角度から考えなければいけないわけでございますけれども、あえて一つだけ申し上げますと、アジア、特に東アジアの国々につきまして、日本と、お米を主食として食べているというような意味での緩やかな共通性もあるということ、また成長のセンターであるということもありまして、実は日本と同じような悩みを抱え込むことになる可能性が高いというふうに思っております。食料安全保障、安全保障というような観点ということもありますので、ここは、東アジア、アジアの国々との食料あるいは食品、農業の交流を今後深めていくということが非常に大事ではないか、こう思っております。
 以上でございます。
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山田俊男#11
○山田参考人 津島先生おっしゃいましたとおりでありまして、農業や農村の問題は国や国民生活の安全保障に深くかかわっているということで、国民全体に認識されるべきものというふうにまさに考えるところであります。
 ところで、実態はしかし、我が国のようなアジア・モンスーンの農業について、それでは国民全体の将来像についてのイメージが共通的に共有されているかということになると、大丈夫なのかという不安を持っているところであります。我が国の場合は、これもアジアの国々と同じであります、一人当たり農業者の耕地面積は大変少ないわけでありまして、その点はヨーロッパ、アメリカの農業とは決定的に違うところであります。我が国の場合、農業の構造改革を考える場合は、担い手の問題と、農地の所有といいますか農地の利用の問題とは決して切り離せないわけであります。
 ところが、企画部会の議論におきましても若干そうでありますし、企画部会に対します農林水産省の提案も若干その嫌いがあるわけでありますが、農地の利用をどうするのかという議論を抜きにして、担い手を規模の大きい認定農業者や、それから大変、集落営農を認めるにしても、経営主体として明確である、かつ条件の厳しいものをつけているところがあるのではないかと思っております。地域の実態に基づく多様な担い手を対象とする主張が、ややもするとばらまきとして批判されることは非常に残念であります。まさに国民全体について、農業を理解する、合意するという取り組みを進めていくことが大変必要というふうに理解しております。
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津島恭一#12
○津島(恭)委員 今、まさに国民の皆さんに新たな認識を求めながらということ、本当に大切だと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、今回の基本計画見直しの重要なテーマであると思うのでありますが、我が国の農業の競争力をどう高めていくか、このことについて御質問したいと思うのであります。
 我が国の農業、農村は、海外からの農産物輸入の増加や食料自給率の低下など、大変な困難な状況にあると思います。一方でまた、今後ともWTO交渉などのグローバル化の動きは避けて通れないと思うのであります。こうした中で、今後とも日本農業が競争力を持って生き残っていくためには、値段の安い輸入作物にどう対応していくのか、このことを真剣に考える必要があると思うのであります。私は、国内農産物の安全、安心を消費者に強く訴えていくこと、これが一つのキーポイントになる、こう考えております。
 昨今、消費者の食の安全、安心に対する関心は非常に高くなっているわけでありますが、その背景には、食の安全性に対する不信感もあるわけであります。この不信感の源は、農産物や食品の生産や流通のプロセスがよく見えない、こういうことにあると思いますので、特にまた、農協や農業者が運営する野菜の直販所などに都会の消費者の皆さんが非常によく通われる、こういったことが一つの現象になっているのかな、こういう気もしているわけであります。
 また、こうした点では、消費者にとって身近な、国内でつくられている農産物は、輸入品に比べまして非常に有利性があると思うのであります。産地や生産方法、品質などの表示や、トレーサビリティーシステムを通じて消費者の目に見えるようにしていく、このことが、農薬の低減などに取り組む、消費者との直接の接触の機会をふやしていくことなど、コスト面以外での魅力を高め、我が国農産物の安全、安心、品質に対する消費者の信頼を得ていくことこそが日本の農業の進むべき道ではないでしょうか。
 こうした安全、安心、品質を一層高めることで輸入品に対抗していこうとする生産者の取り組みに対して、どのような政策的な対応や応援をしていくことが効果的であるのかということを、まず初めに生源寺参考人にお伺いをいたしたいと思うのであります。
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生源寺眞一#13
○生源寺参考人 日本の消費者、恐らくアジアもそういうところがあるかと思いますけれども、大変肥えた舌と高い鑑識眼を持っておりまして、これが日本の農業の大変な強い味方だというふうに思っております。この中には、もちろん安全、安心の問題も入っているわけであります。
 政策としてどういう応援ができるかということなのでありますけれども、いわばひいきの引き倒しになっては困るわけでありまして、これはやはり、まじめで誠実に取り組む方について、厳正なる第三者といいますか、そういう観点から、例えば認証なんかもそうでありますけれども、この人はこういう形のものをしているということをきちんと情報として提供していくような、こういうことが大事かというふうに思っております。
 それから、直売所等について、細いけれども消費者と生産者が直接結びつく、この道が随分たくさん出てきておりまして、これを応援するということも非常に大事かと思います。
 同時にやはり、現在も、大量の流通、消費、こういうチャネルのもとで消費しておられる方も随分多いわけであります。これは、そのままの形で日本に導入するかどうかは別といたしまして、一つやはり参考になるのは、ヨーロッパのユーレップギャップというふうに普通言われておりますけれども、小売業者の団体といいますか、意思を同じくする方々が農場での農業生産のあり方についていろいろなチェック項目をつくりまして、このチェック項目をクリアしたものだけを店頭に並べる、こういうような動きがございます。
 これは、ある意味では自発的なものでございますけれども、これだけいわば農の現場と食卓の距離が離れているときには、そういう形で、情報でつなぐ。あるいは、安全、安心の問題は、私はいずれ農場における生産環境の健全さということまで話は及んでいくと思いますので、そういった観点からも、一つの例としてヨーロッパのこういった取り組みなんかが参考になるのではないか、こう思っております。
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津島恭一#14
○津島(恭)委員 どうもありがとうございました。
 本当は、もう一つ、私は青森の出身でありますものですから、リンゴの輸出に関すること、いわゆるこれからは攻めの農業という部分で、海外に対して農産物を輸出するということについて山田参考人にもいろいろお聞きしたかったのですが、どうも時間がないようであります。
 総理がよく言われているのが、東京で千円のリンゴが北京では二千円で売れている、しかもよく売れている、こういうお話をよくされているのでありますが、まさに、これからの日本の農業は、守るだけではなくて海外に対して攻め入る、こういうことも必要かと思いますので、その点もまた、ひとつ参考人にもいろいろな意味でお力添えをいただきたいなということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
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山岡賢次#15
○山岡委員長 次に、鮫島宗明君。
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鮫島宗明#16
○鮫島委員 民主党の鮫島宗明です。
 きょうは、生源寺先生、山田先生、森田先生、お忙しいところありがとうございます。
 民主党の方で特に国会図書館の森田参考人にお越しいただきましたが、どうも今まで余り備蓄に対して真剣に議論されたことが少ないのではないかと思いまして、備蓄の専門的な調査をなさっている方がどこにおられるかと思っていろいろ探したんですが、国会図書館の森田さん以外になかなか見つからなかったものですから、本来、国会図書館の調査員の方々は政策決定の場に直接参画しないことを建前にしていると思いますが、そういう意味では、こういう場に特別お越しいただいて、特段の感謝をしたいと思います。
 私は前から、備蓄の問題は、過剰対策という面と、それから非常時の対策という二つの面があるというふうに思っていまして、ところが、日本の備蓄制度というのは、過剰対策、調整保管という意味合いしかなくて、ほとんど非常時に対してどう対応するかというシナリオを持っていない。
 そのことが気になっていたものですから、実は、二年前のこの委員会で内閣府に聞いたことがあります。ちょうどそのころ、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置、武力攻撃事態法について議論されていたときでしたので、武力攻撃のときを想定しての備蓄をどう考えているのかという質問をしたら、当時の内閣官房内閣審議官の村田政府参考人が、これはちょうど二年前でしたけれども、国民保護法制が決まっていく中で非常時の備蓄の問題については決めたい、考えたいという答弁をいただいたんです。
 では、実際その法律が出てきて、中身がどうかと思って見ましたら、各行政機関の長は、必要な物資、食べ物も含めて備蓄しなければいけませんよという規定が百四十五条であります。国民の保護のための措置に必要な物資及び資材の備蓄というのを規定したところであるんですが、その次の百四十六条で、この備蓄は災害対策基本法に定められた備蓄と兼用してよろしいというふうになっていまして、結局、日本における非常時の備蓄は、災害対策基本法と兼用でやってくださいというふうになっています。ところが、では災害対策基本法でどういう備蓄が行われているかというと、全く都道府県によってばらばら、特に九州地区が手薄いのが目につきます。簡易トイレを一つも置いていないところもありますし、食料の保管量も百倍以上違う。
 そういう状況ですので、備蓄について、特に北欧の諸国がどうなっているかということできょうはお伺いしたわけですが、きょう御紹介いただいたスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、スイスなどで、備蓄について、日本と同じように過剰対策という概念というのがこの備蓄の思想の中に入っているんでしょうか。森田参考人にお伺いします。
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森田倫子#17
○森田参考人 今回お話ししました緊急事態用の食料の国家備蓄というのは、通常の需給操作に組み入れているものではないようでございます。
 需給操作を行っているのは、EUでいいますと、介入在庫というものになります。供給が需要よりも多くなったときに、申し出によりまして、申し出がありますと、EUはあらかじめ決められた介入価格で小麦やトウモロコシを買い入れるということになっておりまして、これが介入在庫を構成いたします。供給が不足しますと、この介入在庫から売却する、こういうシステムになっております。これは、緊急事態用の国家備蓄とは別システムになっております。
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鮫島宗明#18
○鮫島委員 それが常識だと思いますね。調整保管というか、市場介入して価格を安定させるための備蓄といいますか、それのための保管と、いざというための保管は、当然別のように考えるべきだと思いますが、非常時に、それぞれの国がどういう考えで、あるいはどういう役所の所管で備蓄しているかという情報はなかなかとりにくいんじゃないかと私は思いますが、この備蓄情報というのは簡単に入手できるものなんでしょうか。感想というか実感で結構なんです。
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森田倫子#19
○森田参考人 防衛にかかわる問題ですので、公開される情報には限度があるというのが感想でございます。あちらがそれぞれ公開してもよいと判断した情報について出すということであって、例えば備蓄倉庫がどこに具体的に配備されているかなどという情報については、出したくない情報なのだろうなというような感じでございます。
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鮫島宗明#20
○鮫島委員 先ほどスウェーデンの例を御紹介いただいたときに、EUという新たな経済共同体ができ、また、冷戦が終わって緊張が緩和したので冷戦時のような備蓄の体制はしかなくなったと言いますが、むしろ今、世界的に見ると、この東アジアについては北欧以上にある種の緊張要因が存在していると思いますが、例えば韓国の備蓄制度なんかについては調べることができますでしょうか。
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森田倫子#21
○森田参考人 残念ながら、備蓄の制度があるということは存じているのですけれども、その具体的内容については、現在、存じ上げておりません。
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鮫島宗明#22
○鮫島委員 そういう意味では、非常時の備蓄というのはある種の国家機密ですから大変調べにくいだろうと思いますが、私が調べた範囲では、韓国は現在およそ百十六万トンを備蓄している。ただ、韓国も、これから国際化に対応して、減反政策とか生産調整とかいろいろなシナリオを発動する時期に入っていますが、それの一環で、二〇〇五年からは公共備蓄制という新たな制度を導入して、現在と同じような約百二十万トン規模の備蓄を続けると。これは調整保管という機能と非常時対応という二つの機能を持たせるようですが、この百十六万トンという数字、韓国の現在の人口は四千七百万人ですから、一億二千万人に換算するとちょうど三百万トンになります。
 私は日本も、民主党はかねてから、過剰対策という意味もあり、また、いざというときの安全のためもあって、最低備蓄は三百万トン持つべきだというのが我が党の主張で、与党の百万トンという主張と大きく食い違っているわけですが。安心してむしろ米がつくれる、必要な量、三百万トンの備蓄量、これは二回転で百五十万トンとしてもいいですが、これを足すだけで本当は大分米の生産調整の縛りが楽になるんじゃないかという思いもあって、私どもはこういう数字を出しているわけです。
 森田さん、ありがとうございました。
 次に、時間も限られていますので、全中の山田参考人に若干きつい質問をいたします。
 多分、きょうが、全農にとって、組合貿易、カナダ産黒豚を鹿児島産の黒豚と偽装して売ったということに対して業務改善命令が農水省から出ていて、十一月三十日までに回答しろ、特に、責任者の処分についてどう考えるのかという指示が来ていると思いますが、きょう、どういう回答の内容になるんでしょうか。
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山田俊男#23
○山田参考人 先生おっしゃいますとおり、農水省の経営局長に対します報告は本日行うと伺っております。その際、責任ある役職員について厳正な処分を行うということで伺っております。
 なお、処分内容につきましては全農役員より事前に相談を受けておりまして、内容については承知しておるところであります。
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鮫島宗明#24
○鮫島委員 つまり、具体的な処分を行うということは聞いているけれども、固有名詞にまでは言及しないということだと思います。
 実は、私はやはりこの委員会の中で、ちょうど二年前に、そのときも鶏肉の偽装の問題があって、同じように質問させていただいたことがあります。ところが、ずっとその後も、例えば平成十五年一月十六日はせん茶の製造販売の偽装表示で全農福岡県本部が業務改善命令を出されましたし、十五年七月十七日には精米の不正表示で全農パールライス東日本株式会社がやはり業務改善命令を受けて、そのたびごとに、責任ある役職者の処分というのが指示されていると思いますが、この二件についても、責任ある役職者の処分というのは適正に行われたんでしょうか。
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山田俊男#25
○山田参考人 過去、何度かにわたりまして、先生おっしゃいますように、偽装表示の問題を起こしておりまして、同じJAグループの仲間としましても、その点については全く弁解のしようがないわけであります。
 その都度、どういう内容であるか、それから、どこに問題があるのかということを聞いておりまして、責任の追及並びに処分につきましても、その都度それなりの措置がなされたものということで承知しております。
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鮫島宗明#26
○鮫島委員 何度も、とにかくこの二年ぐらいで六回ほど業務改善命令が出されて、そのたびごとに、モラルの回復に努めますとか、これからこういうことをいたしませんと言いながら、いまだにその体質が変わっていない。これは多分もっと根源的な問題が恐らくあるんだろうと思いますが、全農側のいつもの言い方は、やはり全農も競争原理の中にいる以上、それぞれの分野分野で、あるいは全農が出資している会社が営業努力をしないといけない、そのことに走り過ぎて、ついコンプライアンスがなおざりになったというような言いわけをしますが、大体、コンプライアンスというような言い方をして、組合員の方がぴんとくるのかどうか私は疑問に思います。
 全農が出資している、いわゆる全農の子会社、孫会社、関連会社、二百十四社、二年前にありましたが、農協法の第八条で、農業協同組合は営利活動を行ってはいけないというふうに決まっていまして、ところが、全農が出資する二百十四社が営利に走る、そのことで偽装表示が繰り返される。したがって、一つのポイントは、連結子会社、これとの連結決算をしない限りこういうのは断ち切れないのではないかということを二年前に申し上げたら、十五年末までにそれはいたしますという回答を当時の堀役員からいただいているんですが、それはちゃんとできたんでしょうか。
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山田俊男#27
○山田参考人 全農とも確認しておりますが、平成十五年から連結決算制度を導入するということにしておりましたが、全農及びその子会社の十五年度決算が確定したのが平成十六年八月でありますので、その時点で連結決算を実施し、かつ、財務諸表、貸借対照表、それから損益計算書、剰余金計算書等につきまして実施しました。
 なお、貸借対照表と連結損益計算書はホームページに掲載するということをやっておりまして、その意味では、先生御指摘いただいたとおり、実施しているところであります。
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鮫島宗明#28
○鮫島委員 済みません。時間がないので、もうあと一問だけにしますが、生源寺先生のお話、それから山田参考人のお話も含めて、担い手問題というのが大変重視されていると思います。
 私は、山田参考人のきょうお配りしたメモとさっきの御発言、あるいは食料・農業・農村基本計画の見直しについての学識経験者等の見解の中で述べられている内容が若干違うような気がしまして、つまり、きょうの担い手ばかりに集中するのはよろしくない、あすの担い手というのをもっと重視すべきじゃないかと言っておられるような気がして、そういう意味では生源寺先生と僕は余り違わないんじゃないかと思っています。
 私どもも、それぞれの政策担当の、自民党で言う部会長はあすの大臣という言い方をしていて、きょうの大臣も大事だけれども、あすの大臣も大事だ。そういう意味では、農業の世界で、きょうの担い手も大事でしょうが、あすの担い手も大事なはず。そのあすの担い手の一つとして、かねてから株式会社の農業参入も認めたらどうかということが議論になっていると思います。
 最後に、生源寺先生、株式会社の農業参入、特区では一部、農地取得は別ですが、農地の利用ということに関しては認められているようですが、その株式会社の農業への参入ということについて生源寺先生はどんなふうにお考えなんでしょうか。
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山岡賢次#29
○山岡委員長 生源寺参考人。簡単にお願いします。
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