小林良彰の発言 (憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会)

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○参考人(小林良彰君) 私は専門が投票行動ですので、むしろ選挙制度よりもそちらの方が話を私にとってはしやすいことになりますが、有権者が投票に行くインセンティブはどのようにして決まっているかということになりますと、最も今支配的な仮説というか理論というのは、R=P×B−C+Dというもので、要するにPというのは接戦の可能性、その選挙区はどの程度競っているのか、それからBというのは出ている候補者の間にどの程度政策の違いがあるのか、それから投票コストを引いて、選挙に行く長期的利益を足すということになりますが、CとDはどのような選挙制度でも余り変わりませんから、選挙制度によってその変化が一番生じるのは接戦の可能性と政党の期待効用差、政策の違いということになると思います。そうしますと、中選挙区制から小選挙区制になって競っている選挙区の数が極端に減っているのは事実であります。
 これは、例えば選挙の直前になりますと、あるいは選挙の日になりますと、メディアが選挙についてのいろいろな報道をすることになりますが、中選挙区制のときは定数四であれば四位と五位、これはどちらがなるかというのはほとんど分からないような状況であります。ところが、小選挙区の場合は一番か二番ということになりますから、多くの選挙区においてそれほど難しくなくなってきています。その意味では、自分の出ている、自分が住んでいる選挙区における接戦の可能性が下がる分だけ投票に行くインセンティブが下がっているというのが衆議院選挙における過去の調査のデータを分析すると結果として出てくることになります。
 私が今回御提案させていただきました投票のインセンティブとは少し意味が違いまして、どういうことかといいますと、定数不均衡というのはもちろんない方がいいと思います。なるべく一票の等価値性というのは保たれるべきだと思います。しかし、同時に、それを有権者が主張するならば投票に行くべきである、来るべきであると思います。投票に来る権利を放棄して一票の等価値性を議論しても、これは意味がないと思います。つまり、あくまでも重要なのは一人の等価値ではなくて、権利を行使された一票の等価値性ということになります。
 したがいまして、今日御提案させていただきました選挙制度というのは、定数不均衡がない代わりに投票率が高い選挙区ほど多くの議員が割り当てられることになります。そのことが、私は有権者がより自分たちの代表を出したいのであれば、まず自分たちが持っている権利をきちんと行使すべきである、その意味において有権者の責任も求める意味の投票のインセンティブがあるのではないかというふうに思っております。

発言情報

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発言者: 小林良彰

speaker_id: 8579

日付: 2004-11-05

院: 参議院

会議名: 憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会